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高橋 史明; 佐藤 薫; 遠藤 章; 小野 孝二*; 伴 信彦*; 長谷川 隆幸*; 勝沼 泰*; 吉武 貴康*; 甲斐 倫明*
Health Physics, 109(2), p.104 - 112, 2015/08
被引用回数:8 パーセンタイル:56.45(Environmental Sciences)日本国内でのCT検査による患者の臓器線量を正確に評価するため、CT線量評価システムWAZA-ARIの開発を進めている。WAZA-ARIの線量計算では、成人日本人のボクセルファントム及び放射線輸送計算コードPHITSを用いた数値解析で整備した臓器線量データを利用する。このデータの解析を進めるため、CT装置内の寝台における線量分布等の測定結果に基づき、各種装置でのX線放出特性をPHITSで数値的に模擬する技術を開発した。典型的な撮影条件について、PHITSと日本人ボクセルファントムを用いた解析結果より臓器線量を計算し、既に利用されている他のCT線量評価システムによる結果と比較した。その結果、日本人ボクセルファントムを用いた解析で得た線量データを利用した場合、数学人体模型に基づく線量データを利用した他のシステムよりも、人体形状を適切に考慮して臓器線量を導出できることが検証された。また、欧米人の体格に基づくボクセルファントムによる計算結果や日本人体型を模擬した物理モデルを用いた実測結果と比較した。これらの比較検証により、本研究で開発した数値解析法で得られる臓器線量データは、日本人の体格特性を考慮したシステムWAZA-ARIに十分適用できることを確認した。
高橋 史明; 佐藤 薫; 遠藤 章; 小野 孝二*; 吉武 貴康*; 長谷川 隆幸*; 勝沼 泰*; 伴 信彦*; 甲斐 倫明*
Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 2, p.153 - 159, 2011/10
CT検査は医療行為における有用な診断法となっているが、比較的高い被ばく線量を受けることから、適切な線量管理の必要性が指摘されている。そのため、CT検査における被ばく線量を評価するシステムが、これまでに開発されている。これらのシステムは、モンテカルロ計算で解析した線量データを利用しているが、これにかかわる計算技術,CT検査に用いる装置は常に進歩している。このような背景から、最新の計算技術を利用して、種々の撮影条件に適用できる線量評価システムWAZA-ARIの開発を進めている。WAZA-ARIでは、基盤となる臓器線量データとして、計算コードPHITSと精密人体モデルJMファントムで解析したデータを用いている。JMファントムは平均的な日本人の体格,臓器質量を模擬するモデルであるが、実際の被験者はさまざまな体形,体格を有することから、人体構造の違いによる臓器線量の変化を把握しておくことは重要である。本研究では、異なる人体構造を模擬するICRPの標準ファントムなどを用いた線量解析の結果について述べる。
伴 信彦*; 高橋 史明; 佐藤 薫; 遠藤 章; 小野 孝二*; 長谷川 隆幸*; 吉武 貴康*; 勝沼 泰*; 甲斐 倫明*
Radiation Protection Dosimetry, 147(1-2), p.333 - 337, 2011/09
被引用回数:25 パーセンタイル:88.02(Environmental Sciences)CT検査における被検者の被ばく線量を評価するため、web上で動作する線量評価システムWAZA-ARIを開発している。システムの基礎となる臓器線量データは、日本人男性ファントム(JMファントム)をPHITSコードに組み込んで解析した。解析にあたっては、5mm幅の扇状ビームが人体上を5mmピッチで走査していく条件を想定し、ビーム成形フィルタによる光子減弱も考慮した。また、従来のMIRD型モデルを用いて、同様の条件で臓器線量を解析した。その結果、線源の位置に応じて、人体の形状、内部構造を精密に模擬したJMファントムでは臓器線量のスムーズな変化が確認されたが、MIRD型モデルでは、臓器、組織の形状の簡易的な定義に起因して、ステップ状に臓器線量が変化した領域があった。JMファントムによる解析結果は、Linuxサーバー上で動作するWAZA-ARIシステムに組み込んだ。その結果、同システムでは、商用のソフトウェアを使用しないが、高い操作性を有したうえで、正確な線量計算が可能となった。
高橋 史明; 佐藤 薫; 遠藤 章; 小野 孝二*; 吉武 貴康*; 長谷川 隆幸*; 勝沼 泰*; 伴 信彦*; 甲斐 倫明*
Radiation Protection Dosimetry, 146(1-3), p.241 - 243, 2011/07
被引用回数:18 パーセンタイル:81.7(Environmental Sciences)CT検査における被検者の被ばく線量を評価するため、web上で動作する線量評価システムWAZA-ARIを開発している。WAZA-ARIは、撮影条件を入力すると、システムに内蔵する臓器・組織線量のデータベースから、条件に対応するデータセットを抽出し、線量を評価する。本研究では、被検者の撮影時の条件等を詳細にモデル化し、PHITSコードを用いた放射線輸送計算により、線量データベースを作成する方法を確立した。ここで、人体モデルとして、身長(171cm)及び体重(65kg)が、日本人の成人男性の平均値に近いJMファントムを用いた。このファントムは、およそ1mm角のボクセルで小さな臓器も厳密に再現し、臓器質量は日本人男性の平均値に近い。また、胴体のCT検査では腕を頭上に置くため、両腕を胴体側面から除去したモデルも導入した。これらのモデルを用いて、CT装置に導入されているビーム成形フィルタでの光子減弱を考慮した輸送計算で、各臓器の線量を計算した。その結果、JMファントムと従来の解析で使用されていたMIRD型ファントムによる臓器線量に有意な差が見られ、精密な人体モデルの利用の必要性が確認された。
伴 信彦*; 高橋 史明; 小野 孝二*; 長谷川 隆幸*; 吉武 貴康*; 勝沼 泰*; 佐藤 薫; 遠藤 章; 甲斐 倫明*
Radiation Protection Dosimetry, 146(1-3), p.244 - 247, 2011/07
被引用回数:18 パーセンタイル:81.7(Environmental Sciences)CT検査における被ばく線量を正確に評価するため、webシステムWAZA-ARIを開発中である。WAZA-ARIは、放射線輸送計算コードPHITSにJMファントムを組み込んで解析した臓器線量を計測可能な線量に規格化し、そのデータベースをXMLファイル形式で保存している。また、線量評価をネットワーク上のwebブローザーによりアクセス可能なLinuxサーバーで実行するため、ユーザーは表示画面を通じて撮影条件を設定する。ここで設定した条件に対して、最適なデータセットが選択され、撮影範囲内にあるデータを合算して臓器線量を算出する。この計算処理では、X線管の回転時間、ビームピッチというCTスキャニングに関係するパラメータが考慮され、臓器線量の最終結果はスキャニング中の総電流値(mAs)及びCT撮影の線量指標(CTDI)に基づき算出される。現在、規格化された線量データの整備は、未だ数種類のCT機種に限られているが、WAZA-ARIは高い有用性,簡便なメンテナンス法を既に達成した。また、さらなる適用の拡張に関する可能性を検討中である。
長谷川 隆幸*; 勝沼 泰*; 高橋 史明; 伴 信彦*; 甲斐 倫明*
no journal, ,
光子外部被ばくに対する人体内の線量測定において、近年、素子間の感度差,フェーディング特性で熱ルミネッセンス線量計(TLD)よりも優位性のあるガラス線量計(GD)の利用が高まっている。一方で、GDについては、高密度,高原子番号のすず(Sn)フィルタを含むケースに内包するため、特に、低エネルギー光子に対する放射線場の乱れが問題点として指摘されていた。そこで、ランドファントム内にGDを配置して、一般的な撮影条件(固定線源:単一方向の照射)及びCT診断(回転線源:360方向からの照射)におけるX線照射について、GDによる測定値の相互影響を実測で求めた。ここで、挿入するGDの個数は、1個から数個まで変化させ、1個と複数個挿入した場合の測定値の差異を求めた。また、実測とほぼ同様の条件で、相互影響をPHITSコードによるシミュレーション計算でも検証した。その結果、一般撮影などの固定線源において、線束中心軸上でGDが重なる位置における線量評価は実測では15%の過小評価となった。また、CT撮影(回転線源)におけるGDの相互影響は実測、シミュレーションともに5%以内であった。
佐藤 薫; 高橋 史明; 遠藤 章; 小野 孝二*; 長谷川 隆幸*; 勝沼 泰*; 吉武 貴康*; 伴 信彦*; 甲斐 倫明*
no journal, ,
原子力機構では、国内におけるCT診断による被ばく線量管理に資するため、大分県立看護科学大学等との共同研究によりWAZA-ARIの開発を進め、2012年12月に試験運用を開始した。WAZA-ARIでは、平均的成人日本人男性(JM103)及び女性(JF103)ファントムと放射線輸送計算コードPHITSを組合せて計算した臓器線量データに基づく、成人男女の線量評価を行うことが可能である。今後、WAZA-ARIでは、他の体型を考慮した線量計算ができる機能を拡張する計画がある。そこで、平均的体型と異なるファントムをJM103及びJF103から変形して整備する手法を開発した。変形においては、CT撮影による被ばく線量に対し、大きな影響因子となる胴体周囲長を変化させ、内部の臓器や組織を適切に配置させた。これにより、男性(10体)及び女性(8体)のファントムを作成した。これらの体型の異なる成人男女のファントムを用いて、同一のCT撮影条件を仮定して臓器線量を評価した結果、臓器線量と体型の間の明確な相関関係を確認した。今後、作成したファントムから、その被ばく線量特性等を考慮したうえで何体かを選定し、WAZA-ARIの線量評価機能の拡張に必要な線量データの整備に利用する。
小野 孝二*; 佐藤 薫; 高橋 史明; 長谷川 隆幸*; 勝沼 泰*; 亀井 修*; 吉武 貴康*; 伴 信彦*; 遠藤 章; Lee, C.*; et al.
no journal, ,
原子力機構では、大分県立看護科学大学等との共同研究により、国内でのCT診断時の被ばく線量を正確に計算するため、WebシステムWAZA-ARIを開発し、平成24年12月より試験運用を開始した。WAZA-ARIでは、原子力機構が開発した平均的成人日本人男性(JM-103)及び女性(JF-103)ファントム、フロリダ大学が開発した4才女児ファントムを用いてPHITSコードにより計算した臓器線量データに基づき、患者の線量を評価できる。その後、想定されるニーズに対応するため、線量評価機能を拡張したWAZA-ARI2の開発を進めてきた。ここでは、成人日本人の臨床上の体型特性を考慮してJM-103及びJF-103を変形させることにより、3つの体型(小柄,大柄,特大)の男女ファントムを開発し、臓器線量の計算に利用した。また、フロリダ大学が開発した年齢別(0, 1, 5, 10, 15才)の男女ファントムについても同様に臓器線量を計算した。これらの臓器線量データをWAZA-ARI2へ格納することにより、様々な体型や年齢の患者に応じた線量計算が可能となった。特に、WAZA-ARI2はアジア人体型を考慮した成人ファントムに基づく臓器線量データにより被ばく線量を評価するため、アジアの国々でのCT撮影時の患者の被ばく線量評価に有用なツールとなり得る。
佐藤 薫; 高橋 史明; 遠藤 章; 小野 孝二*; 長谷川 隆幸*; 勝沼 泰*; 吉武 貴康*; 伴 信彦*; 甲斐 倫明*
no journal, ,
原子力機構では、国内でのCT診断時の患者の被ばく管理に資するため、大分県立看護科学大学等との共同研究によりWAZA-ARIの開発を進め、2012年12月にその試験運用を開始した。現在WAZA-ARIでは、4才女児ファントム、平均的成人日本人男性(JM-103)及び女性(JF-103)ファントムと放射線輸送計算コードPHITSを組み合わせて解析した臓器線量データベースを基に線量評価を行うことが可能である。今回、WAZA-ARIの本格運用に向けて、他の年齢(0, 1, 5, 10, 15才)及び成人体型(胸囲,腹囲,臀囲の平均値に対して-2, +2, +5変動)を持つ男女の計16体のファントムを用いて、4メーカー, 7機種のCT装置を用いた診断時の臓器線量の解析を行い、データーベースとして整備した。整備したデータベースを用いて、同一のCT診断条件での管電流当たりの臓器線量を算出した結果、臓器線量は体型が大きくなる程減少するという明確な相関関係があることを確認した。本データベースの構築により、WAZA-ARIの線量評価機能が拡張され、国内の様々な年齢や体型の患者に対応した線量評価を行うことが可能になった。