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中西 貴宏; 安藤 麻里子; 小嵐 淳; 國分 陽子; 平井 敬三*
Journal of Environmental Radioactivity, 128, p.27 - 32, 2014/02
被引用回数:8 パーセンタイル:23.82(Environmental Sciences)森林土壌における溶存態有機炭素(DOC)の動態に関してさまざまな研究がなされてきたが、主要な供給源である土壌有機物と落葉落枝の寄与程度については評価が定まっていない。われわれは、日本の冷帯林土壌におけるDOC供給源の季節変化について、水抽出有機炭素(WEOC)の炭素同位体(C・C)から推定した。融雪期は、落葉落枝からのDOC供給の影響が大きかった。一方、梅雨期には、微生物活動の促進による土壌有機物起源WEOCの増加が示された。夏から秋にかけても土壌有機物を起源とするWEOCが支配的であった。これらの結果から、DOCの供給源と動態に対して季節や環境の変化が強い支配因子であることが明らかになった。
中西 貴宏; 安藤 麻里子; 小嵐 淳; 國分 陽子; 平井 敬三*
European Journal of Soil Science, 63(4), p.495 - 500, 2012/08
被引用回数:25 パーセンタイル:63.03(Soil Science)森林土壌における水抽出有機炭素(WEOC)の起源と動態を解明するために、非イオン系網状アクリル系樹脂DAX-8によって化学分画したWEOCのCとCを測定した。深さとともに高くなるWEOCのCは、疎水性酸画分に対する親水性画分の割合増加を反映していた。また、WEOCのCから、WEOCの主要な起源は鉱質土壌層に存在する古い有機物であることを示した。これらの結果は、これまで提案されてきた、疎水性酸画分の選択的吸着と鉱質土壌層からの潜在的溶存有機物の浸出というプロセスを強く支持するものであった。このような土壌有機物に強く関係したWEOCの動態は、土壌における炭素の輸送・蓄積過程に対して重要な役割を担っているといえる。
安藤 麻里子; 小嵐 淳; 石塚 成宏*; 平井 敬三*
Agricultural and Forest Meteorology, 152, p.149 - 158, 2012/01
被引用回数:34 パーセンタイル:82.05(Agronomy)放射性炭素(C)を用いた手法により、寒冷地のブナ林を対象として、土壌呼吸起源の季節変動を評価した。従属栄養呼吸と独立栄養呼吸では影響を与える因子が異なり、従属栄養呼吸では地温が、独立栄養呼吸では植物活性の影響が大きかった。また、地温に対する応答は土壌有機物の分解が表層のリターの分解よりも大きかった。Cを利用することで土壌呼吸の各起源の寄与率を定量的に測定することができ、土壌呼吸をコントロールする主要な環境因子の把握に有効であることが明らかとなった。
安藤 麻里子; 小嵐 淳; 石塚 成宏*; 平井 敬三*
JAEA-Conf 2010-001, p.80 - 83, 2010/03
森林生態系における炭素収支及び、生態系内の各CO吸収・放出源の評価は、地球温暖化防止の取り組みにおいて重要な課題である。アジアフラックス観測サイトの一つ(岩手県安比森林気象試験地)を対象として、土壌有機物・大気中CO・土壌表面から放出されるCO(土壌呼吸)中のCを測定し、得られた結果より土壌呼吸の起源推定を行い、その季節変動を明らかにした。観測タワーを利用して採取した大気CO中C年平均値は、2006年から2008年で51, 37, 31‰と低下した。土壌有機物中Cの深度分布は、06cmの間にピークを持ち、採取した3本の土壌コアごとの最大値は137167‰であった。リターを除いた状態で測定した土壌呼吸中Cの年平均値は、2007年, 2008年でそれぞれ81, 71‰であった。土壌呼吸起源推定の結果、土壌有機物及びリターの分解によるCO放出速度は地温と高い相関を持つ季節変動を示した。試験地での地温の連続測定結果を用いて土壌呼吸に対する各起源の年間の寄与率を推定した結果は、根呼吸が35%、リター分解が34%、土壌有機物分解が31%であった。
安藤 麻里子; 小嵐 淳; 石塚 成宏*; 平井 敬三*
KURRI-KR-153, p.8 - 13, 2010/03
土壌中に存在する有機炭素の滞留時間分布を定量的に把握することは、土壌炭素循環モデルを構築し、地球温暖化の進行に対する土壌の応答を予測するために不可欠である。本研究は、土壌有機物中C濃度に基づいて平均滞留時間を推定する手法の適用において、異なる分画法の使用や対象とする森林生態系の違いにより、土壌有機物の滞留時間分布がどのように異なるかを明らかにすることを目的とした。同じ森林から採取した土壌に対し、酸アルカリ処理を用いた化学分画及び密度分画を行って得られた有機物は、異なる炭素同位体比分布を示した。化学分画では画分ごとの炭素同位体比の差がより明確であり、滞留時間分布評価に適していることが明らかとなった。異なる生態系に対し化学分画を行い、炭素貯留量と平均滞留時間及び有機物分解速度を評価した結果より、これまで数多く調査されている炭素貯留量と地温だけでは有機物分解速度の違いを説明することはできず、Cを利用した滞留時間分布評価が異なる生態系における土壌の質の違いを示す有効な手法であることを確認できた。
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 石塚 成宏*; 三浦 覚*; 齋藤 武史*; 平井 敬三*
Global Change Biology, 15(3), p.631 - 642, 2009/03
被引用回数:44 パーセンタイル:74.23(Biodiversity Conservation)土壌には大気中に存在している炭素の約2倍に相当する炭素が有機物として貯留していると推定されている。そのため、土壌有機炭素貯留量がわずかに変化するだけで、大気中のCO濃度や地球規模での炭素循環に重大な影響を及ぼす可能性がある。将来の気候変化に対する土壌有機炭素の応答の規模やタイミングを正確に予測するためには、土壌有機炭素の微生物分解に対する不均質性の定量的理解が不可欠である。本研究では、化学的に分画した土壌有機物に対して加速器質量分析装置を用いて放射性炭素同位体比を測定することによって、化学的に安定性の異なる土壌有機炭素画分ごとにその滞留時間を推定した。その結果、土壌を数年から1000年以上に渡る6つの異なる分解性を持つ炭素プールの複合体として特徴づけることができ、今後100年間に温暖化によって数十年から200年程度の比較的長い滞留時間を持つ炭素プールからの炭素消失が加速する可能性を示した。
安藤 麻里子; 小嵐 淳; 石塚 成宏*; 齋藤 武史*; 平井 敬三*
JAEA-Conf 2008-003, p.75 - 78, 2008/04
森林土壌は陸域における炭素の巨大な貯蔵庫であり、地球温暖化ガスであるCOの循環において極めて重要であるため、その炭素貯留機能を正確に評価することが求められている。本研究では、土壌に植物の枯死体(リター)として添加される炭素中のCが大気中核実験の影響で1950年代以降大きく変動したことを利用して、土壌深度ごとの有機物の滞留時間及びCO放出速度を評価した。また、土壌有機物やリター分解により放出されるCO中C濃度と植物の根呼吸起源のCO中C濃度が異なることを利用して、地表面からのCO発生源の季節変動を評価した。結果として、リター及び深さ20cmまでの土壌のうち炭素貯留量が6.3%であるリターからのCO放出速度が全体の60%を占めること,土壌表面からのCO放出起源は6月にリターや根呼吸の寄与が大きく、地温の上昇する8月に表層の土壌有機物の寄与が大きくなるという明確な季節変動を示すことが明らかになった。
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 石塚 成宏*; 齋藤 武史*; 平井 敬三*; 三浦 覚*
Proceedings of International Symposium on Application of a Closed Experimental System to Modeling of C Transfer in the Environment, p.72 - 76, 2008/00
土壌には大気中に存在している炭素の約2倍に相当する炭素が有機物として貯留していると推定されている。そのため、土壌有機炭素貯留量の微小な変化でさえ、大気中CO濃度に重大な影響を及ぼす可能性がある。近年の議論では、土壌有機炭素の分解に対する不均質性のより詳細な理解が、気候変化に対する土壌有機炭素の分解応答の程度やタイミングの将来予測の鍵を握っているとされている。本研究では、安比ブナ林において土壌を採取し、土壌有機物の化学的分画を行い、加速器質量分析計を用いて各有機物画分の放射性炭素同位体比の測定を行った。得られた同位体比に基づいて土壌炭素の滞留時間及び土壌有機物の分解速度の推定を行った。その結果、安比ブナ林の土壌は、数年から1000年以上に渡る6つの異なる滞留時間を持つ炭素プールの複合体として特徴づけることができ、従属栄養生物による全炭素放出のうち約半分が、炭素貯留量がわずか6.1%であるが最も滞留時間の短い表層リター層から生じていることが示された。さらに、約3分の2の土壌有機炭素が数百年の滞留時間を有していることや、約5%の炭素は炭素循環から隔離された状態で保持されていることが明らかになった。
下川 知子*; 中村 雅哉*; 長澤 尚胤; 玉田 正男; 石原 光朗*
森林総合研究所研究報告, 6(1), p.27 - 34, 2007/03
コーンコブ,米ぬかを主原料とした菌床栽培により生じるエノキタケ廃菌床の、酵素分解処理における線照射の影響について検討を行った。菌床の全重量は培養過程で34%減少していたが、リグニンは残存していた。廃菌床の主な糖組成はグルコースとキシロースであった。500kGyの線照射処理により廃菌床の酵素糖化率はほぼ倍になり、一定時間のブレンダー処理によって生じる細粒子の量も増加した。照射処理によって廃菌床中のホロセルロースは明らかに低分子化しており、試料がもろくなった原因と考えられた。また、照射によって、キシラン由来の糖成分の水溶解性が高まった。そのため、セルラーゼのほかに、キシラナーゼ,キシロシダーゼが含まれているトリコデルマ由来の酵素製剤セルロシンTP25を用いることで、酵素糖化率は48%から80%にまで上昇した。
石井 克明*; 細井 佳久*; 長谷 純宏; 田中 淳
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 84, 2007/02
スギやヒノキのような有用樹で、花粉症対策としての雄性不稔個体や環境抵抗性に優れた変異体作出に、突然変異の活用が期待されている。そこで本研究では、スギの培養芽やヒノキの苗条原基に、重イオンビームや線を照射し、変異体の作出を目指した。イオンビームを照射したスギ培養芽から個体再生させて生存した苗木にジベレリン処理を施したところ、10Gy照射区では雄花が見られず、雄性不稔個体の可能性があった。また、2及び5Gy照射区において、プラスチド変異と考えられる緑色欠損変異体が得られた。ヒノキでは、ワックスリッチで紫外線耐性変異体の可能性のあるシュートが得られた。今後、取得した変異体の特性評価を継続する予定である。
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 三浦 覚*; 齋藤 武史*; 石塚 成宏*
no journal, ,
地球規模での炭素循環を解明するためには、森林生態系の炭素収支を把握する必要がある。森林生態系の炭素収支は、植物群落の純一次生産による実質的なCOの吸収と、土壌中の従属栄養生物による有機物の分解によるCO放出量のバランスによって決定される。そのため、従属栄養生物呼吸によるCOフラックス(従属栄養生物呼吸量)の定量的評価が、生態系全体としての炭素収支のみならず、生態系内の炭素循環・貯留機能やその変化の炭素収支への影響を解明するための重要な鍵となる。本研究では、岩手県安比高原のブナ林を試験サイトとして、土壌有機物の放射性炭素同位体比の深さ分布から、土壌深度ごとの従属栄養生物呼吸量を推定することを試みた。これによって、従属栄養生物呼吸の年間量のみならず、その土壌深さ分布も評価され、リター分解が起源となって発生するCOの全土壌呼吸に対する寄与が相対的に大きいことが示された。
安藤 麻里子; 小嵐 淳; 石塚 成宏*; 齋藤 武史*; 平井 敬三*
no journal, ,
土壌有機物は陸域生態系における重要な炭素貯蔵庫である。炭素循環挙動の解明には、土壌有機物分解によるCOの放出を正確に評価することが必要であるが、土壌から放出されるCOは土壌有機物分解以外に植物の根呼吸を起源とするCOを含むため、それぞれを分離して測定する必要がある。本研究では、冷温帯広葉樹林を対象として、土壌有機物,土壌表面から放出されるCO及び大気中COの炭素同位体比を測定することで、地表面からのCOフラックスに対する土壌有機物分解の寄与率とその季節変動を評価した。
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 石塚 成宏*; 齋藤 武史*; 平井 敬三*; 三浦 覚*
no journal, ,
土壌に有機物として貯留している炭素量は、現在大気中にCOとして存在している炭素量の約2倍に相当すると推算されている。そのため、土壌の炭素貯留機能を定量的に評価することが、温暖化によって引き起こされる炭素循環への影響を予測するうえで重要である。本研究では、化学的に分画した土壌有機物に対して放射性炭素同位体比の測定を行うことで、有機物画分ごとに炭素の滞留時間を推定し、土壌を滞留時間の異なる炭素プールに分けることを試みた。滞留時間を指標とした炭素貯留モデルを用いて21世紀末までに各炭素プールにおいて生じる炭素消失量を推定し、45-60年後以降には数十年から200年程度の比較的長い滞留時間を持つ炭素プールから重大な炭素消失が起こりうる可能性を示した。
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 石塚 成宏*; 角野 貴信*; 守屋 耕一*; 中西 貴宏
no journal, ,
地球温暖化により、土壌に貯留した炭素の放出の加速が危惧されているが、土壌の炭素貯留メカニズムの解明の遅れにより、その規模やタイミングは不明のままである。われわれは、日本国内の土壌特性や植生が異なる4つの森林サイトで土壌を採取し、化学分画とC同位体分析を組合せた手法により、土壌炭素を滞留時間の異なる炭素プールに分割した。森林サイトごとに、炭素貯留量のみならず、滞留時間の分布が大きく異なっていることを明らかにした。ターンオーバーが比較的長い(100-1000年)炭素の貯留量は、土壌の鉱物学的特性(特にAl-腐植複合体の形成)によって、ターンオーバーが速い(数十年程度)炭素の貯留量は、森林サイトの年間平均気温によって規定されている可能性を見いだし、土壌が将来の温暖化によって異なる応答を示すことを明らかにした。
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 石塚 成宏*; 角野 貴信*; 守屋 耕一*; 中西 貴宏
no journal, ,
土壌は陸域生態系における最大の炭素貯蔵庫であり、絶えず大気と炭素の交換を行っているため、将来の気候変化により炭素の発生源・吸収源のどちらにもなりうる。土壌に蓄積する炭素がどのように振舞うかを予測するためには、土壌がどのくらい長く炭素を貯留しているかを定量的に明らかにする必要がある。われわれは、国内の4つの森林サイトから採取した土壌に対して、有機物の分画と放射性炭素分析を行い、土壌炭素の数年から数千年の滞留時間を推定し、土壌ごとに異なる滞留時間分布、すなわち異なる分解性を持つことを定量的に明らかにした。土壌の全炭素貯留量は、滞留時間が100年以上の炭素貯留量と正の相関がある一方、100年未満で代謝回転する炭素との間には相関性がないことを見いだした。この結果は、炭素貯留量が多い土壌が必ずしも高いCO放出ポテンシャルを有しているわけではないことを示唆している。
中西 貴宏; 小嵐 淳; 安藤 麻里子; 平井 敬三*
no journal, ,
森林土壌において、溶存有機炭素は、鉛直移動に伴う有害物質の輸送,土壌への炭素固定,微生物活動の栄養源など、重要な役割を担っている。本研究では、水抽出溶存有機炭素(WEOC)の炭素同位体組成(C・C)から、岩手県安比ブナ林での溶存有機炭素の動態を推定した。Cの結果より、土壌から生物利用性有機物(糖類,アミノ酸など)が優先的に分解されてWEOCが生成されていることが明らかになった。このことは、親水性有機物と疎水性有機物へのカラム分画実験の結果からも示唆された。また、Cの結果より、WEOCの滞留時間が土壌有機物に比べてずっと短い(数十年以内)ことが明らかになった。
守屋 耕一*; 小嵐 淳; 安藤 麻里子; 森泉 純*; 山澤 弘実*; 平井 敬三*
no journal, ,
土壌有機炭素は陸域で最大の炭素リザーバーであり、土壌有機炭素分解は大気中二酸化炭素濃度に大きな影響を与えることから、土壌有機物の分解特性を評価することは重要である。本研究では土壌培養とC分析を組合せ、三成分一次元モデルを用いることで、土壌有機物を滞留時間の異なる三成分に分別した。その結果、数週間の滞留時間を持つ成分は全炭素量の約1%であり、数年の滞留時間を持つ成分は全炭素量の30-50%を占めていることが明らかになった。また前者の成分は培養初期の炭素放出量に大きく寄与し、後者の成分は全培養期間を通し大きく寄与していた。最も滞留時間の長い成分は、全炭素量の50-70%を占めていたが炭素放出量への寄与は10%程度であった。この結果から、比較的速く分解されるこれらの成分の挙動を正確に評価することが、温暖化に対する土壌の応答を評価するうえで重要である。
安藤 麻里子; 小嵐 淳; 守屋 耕一; 中西 貴宏; 石塚 成宏*; 平井 敬三*
no journal, ,
土壌呼吸は陸域から大気へのCO放出の主要な経路である。地球温暖化による土壌呼吸の増加が懸念されることから、その正確な評価が求められている。アジアフラックス観測サイトの一つ(岩手県安比森林気象試験地、ブナ林)を対象として、土壌呼吸・土壌有機物・大気中COの炭素同位体比( Cと C)を測定した。得られた結果より土壌呼吸起源を評価し、土壌呼吸の季節及び空間変動要因を推定した。各土壌呼吸起源(リター分解,土壌有機物分解,根呼吸)の寄与率は異なる季節変動を示し、地温の上昇に対するCO放出速度の増加率は、土壌有機物分解が最も高く、次いで根呼吸であった。土壌呼吸速度と炭素同位体比の分布の関係から、春期はリター分解の増減が土壌呼吸の主要な変動要因であると考えられた。夏期には土壌有機物分解が空間変動に寄与することが示唆されたが、土壌呼吸速度の空間分布パターンは春期と夏期で同じであることから、その変動要因はリター量の空間分布に関連していると考えられる。
守屋 耕一; 小嵐 淳; 安藤 麻里子; 森泉 純*; 山澤 弘実*; 石塚 成宏*
no journal, ,
土壌有機炭素(SOC)は陸域生態系の中で最大の炭素リザーバーであり、その分解によるCO放出は大気中CO濃度に大きく影響するため、SOCの分解プロセスを理解することは重要な課題である。本研究では、国内4地点の森林サイトで採取した土壌を実験室内にて異なる温度で培養することで、各土壌からのCO放出の温度変化に対する応答を調べた。その結果、SOC分解の温度応答性Q値(温度が10C上昇した際のCO放出率が何倍になるかという値)が培養の時間経過とともに3から4へ増加した。これは分解される基質の変化に伴ったものと考えられる。また土壌乾燥質量あたりのCO放出率と土壌乾燥質量あたりのSOC量の測定結果より、SOC分解の速さが土壌中のSOCの量によらないことが示唆された。
守屋 耕一; 小嵐 淳; 安藤 麻里子; 森泉 純*; 山澤 弘実*; 石塚 成宏*
no journal, ,
土壌有機炭素(SOC)は陸域生態系の中で最大の炭素リザーバーであり、その分解によるCO放出は大気中CO濃度に大きく影響するため、SOCの分解プロセスを理解することは重要な課題である。本研究では、国内4地点の森林サイトで採取した土壌を実験室内にて異なる温度で培養することで、各土壌からのCO放出の温度変化に対する応答を調べた。その結果、SOC分解の温度応答性Q値(温度が10C上昇した際のCO放出率が何倍になるかという値)が培養の時間経過とともに3から4へ増加した。これは分解される基質の変化に伴ったものと考えられる。また土壌乾燥質量あたりのSOC量や観測サイトの年平均気温の比較から、SOCの分解性と土壌中のSOCの量やその土壌が形成された地点の年平均気温との間に関連性は見いだせなかった。