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報告書

CMIR-5及びMARICO-1で照射したPNC-FMS鋼及びODSマルテンサイト鋼の照射後シャルピー衝撃特性評価

矢野 康英; 吉武 庸光; 阿部 康弘

JNC TN9400 2003-028, 44 Pages, 2002/12

JNC-TN9400-2003-028.pdf:1.75MB

実用化段階の高速炉炉心材料としては、耐スエリング性能の観点からフェライト系ステンレス鋼が有望である。そのためサイクル機構では、被覆管材として酸化物分散強化型鋼(Oxide Dispersion Strengthened: ODS)(12Crフェライト系と9Crマルテンサイト系の2鋼種を開発)を、ラッパ管材としては高強度フェライト/マルテンサイト鋼(PNC-Ferritic/Martensitic Steel;PNC-FMS)をそれぞれ候補材料として開発を進めている。 フェライト系ステンレス鋼を高速炉炉心材料として適用するうえでは、中性子照射に伴う材料の脆化が課題であり、その挙動評価が重要な評価項目となる。そこで、フェライト鋼の照射脆化の評価に資するために、「常陽」MK-II炉心材料照射用反射体CMIR-5及び温度制御型材料照射装置MARICO-1で照射したPNC-FMS鋼(2WFK)とODSマルテンサイト鋼(H35)のミニチュアサイズ及びハーフサイズシャルピー衝撃試験を行い、両鋼の照射後衝撃特性を評価した。本試験を通して得られた主な結果は以下の通りである。(1)本照射条件範囲(最大照射量: 1.8$$times$$10の26乗n/平方メートル、温度範囲:376$$sim$$659度C)において、すべての2WFK照射材は、照射量より照射温度に依存して衝撃特性が変化した。すなわち、照射温度が400$$sim$$500度Cでは、顕著な衝撃特性の変化が見られなかったのに対し、659$$^{circ}$$Cの照射材では明らかな衝撃特性の低下が観察された。(2)熱時効材の結果を考慮すると、照射温度495$$^{circ}$$Cの2WFK照射材の衝撃特性に顕著な変化が見られなかったのは、熱時効による改善と照射による低下が相殺されたためと考えられる。また、照射温度659$$^{circ}$$Cの2WFK照射材では、650$$^{circ}$$C熱時効材の衝撃特性と比較して、顕著な低下が見られた。これは、熱時効効果に加えて照射誘起析出や照射促進拡散等の照射による組織変化に起因するものと推察される。このような2WFK衝撃特性変化は、熱時効及び照射に伴う組織変化挙動、特に析出挙動から解釈できると考えられる。(3)H35では、シャルピー衝撃特性に著しい異方性が見られなかった。これは、$$alpha$$/$$gamma$$変態を利用した組織改善を図った効果であると考えられる。また、非照射材と比較して、本試験条件範囲では照射に伴う衝撃特性の低

報告書

SVIR-1照射ODSフェライト/マルテンサイト鋼被覆管のリング引張特性評価

吉武 庸光; 赤坂 尚昭; 阿部 康弘

JNC TN9400 2002-073, 42 Pages, 2002/12

JNC-TN9400-2002-073.pdf:1.8MB

再結晶及び$$alpha$$-$$gamma$$相変態により結晶組織を改善して高温内圧クリープ強度等の機械的性質の向上を図った酸化物分散強化型(Oxide Dispersion Strengthened;ODS)フェライト/マルテンサイト鋼被覆管の基本的な照射後強度・延性特性を評価することを目的として、「常陽」SVIR-1で照射試験を実施した。照射した被覆管試料は12Cr-フェライト系再結晶ODS鋼被覆管(F94,f95)9Cr-マルテンサイト系ODS鋼被覆管(M93)である。これらについては照射後、リング引張試験を行い、本鋼被覆管のリング引張特性に及ぼす中性子照射効果を評価した。 本試験・評価で得られた主な結果は以下のとおりである。 1) F94,F95及びM93被覆管未照射材のリング引張強度は、ODS鋼開発当初に温間加工でODSフェライト鋼被覆管(1DS)とPNC-FMS鋼被覆管の中間の強度レベルであった。また、再結晶及び$$alpha$$-$$gamma$$相変態による結晶組織改善の結果、一様伸び及び全伸びは1DSに比較して大幅に増加し、本鋼被覆管は良好な周方向延性を有することが分かった。 2) 高速中性子照射量0.5$$sim$$3.0$$times$$10の26乗 n/平方メートル(E$$>$$ 0.1MeV)、照射温度397$$sim$$ 534度Cの照射条件範囲においては、本鋼のリング引張強度は降伏応力、引張強さともに照射に伴い約10%程度の増加を示したが、強度特性の照射量依存性は見られなかった。また伸びについては、一様伸び及び全伸びはともに高温側でやや低下する傾向が見られたものの、照射に伴う伸び特性の著しい劣化は確認できなかった。 3) 以上の結果から本照射条件範囲においては、本鋼被覆管は照射に伴う著しい強度変化や伸びの低下はみられず、照射後の周方向引張強度・延性特性が良好であることが判明した。しかし、現状の中性子照射データは非常に限られていることから、今後計画的に目標とする高照射領域までの照射試験を実施し,照射特性を把握することが重要である。

報告書

「もんじゅ」型燃料集合体(MFA-1,2)被覆管の引張強度・延性特性評価

吉武 庸光; 大森 雄; 田中 康介

JNC TN9400 2001-116, 71 Pages, 2001/07

JNC-TN9400-2001-116.pdf:6.52MB

高照射量まで照射されたPNC316,15Cr-20Ni鋼被覆管の機械的性質及びこれに及ぼすスエリングの影響を評価することを目的として、米国Fast Test Facility(FFTF)炉で照射した「もんじゅ」型燃料集合体MFA-1,MFA-2の燃料被覆管について照射後引張試験を行い、引張強度・延性特性に及ぼす照射効果及びスエリングの影響を評価した。本試験・評価で得られた主な結果は以下のとおりである。1)PNC316では降伏応力、引張強さを照射温度、照射量で整理すると概ねこれまでの照射材データの外挿となる強度を示し、照射量2.1$$times$$10E(+27)n/㎡ までの範囲において照射量の増大に伴う顕著な強度低下はみられなかった。2)15Cr-20Ni鋼では降伏応力及び引張強さはPNC316と同等で、明確な鋼種の違いは見られなかった。3)本試験での一様伸び、破断伸びともに概ねこれまでの照射材データの範囲内であったが、試験温度400、450$$^{circ}C$$では延性の低下が顕著であった。一方、他の試験温度では一様伸びは数%有しており、高照射量まで照射された後も延性を有することが分ったが、破断伸びは一様伸びに近い値であった。この結果は被覆管が絞りを殆ど示さずに破断したことを意味しており、破断観察結果からも材料の照射脆化が大きいことが示唆された。4)PNC316,15Cr-20Ni鋼被覆管では、スエリングが約10%程度生じた場合でもスエリングの発生に伴う著しい強度特性の劣化が生じないことを確認した。

報告書

CMIR-4,5で照射した酸化物分散強化型(ODS)フェライト鋼被覆管(温間加工材)の照射後強度特性評価

吉武 庸光; 大森 雄; 宮川 俊一

JNC TN9400 2001-105, 41 Pages, 2001/07

JNC-TN9400-2001-105.pdf:1.33MB

サイクル機構で開発を進めている参加物分散強化型(Oxide Dispersion Strengthened: ODS)フェライト鋼の基本的な中性子照射特性、特に照射後の機械的性質(強度・延性)を把握するために、「常陽」CMIR-4, CMIR-5にて照射された開発初期試作被覆管(1DS, 1DK)について引張試験、リング引張試験、バースト試験ミニチュアシャルピー衝撃試験を行った。本1DS,1DK鋼は温間加工を用いて製管され、また管軸方向と周方向で内圧クリープ強度の異方性を有する等、現行の組織制御を適用した改良鋼種とは異なっているが、ODSフェライト鋼の基本的な照射特性を評価する上では大変貴重なデータである。本報告書では、上述した各照射後機械試験データをもとに1DS, 1DK被覆管の強度・延性特性に及ぼす中性子照射効果を評価した。本試験・評価で得られた主な結果は以下の通りである。1)本照射条件範囲では、1DS, 1DK鋼では照射硬化による強度の上昇がPNC316等のオーステナイト系鋼種よりも高温域(約600$$sim$$650$$^{circ}C$$)まで維持された。2)材料特有の結晶組織(竹状組織)に起因して、照射後においても、短時間強度試験における管軸方向の強度特性に対して周方向の強度がやや劣る傾向を示した。3)伸び特性については、2)と同様の理由から、照射後の周方向の延性は管軸方向に比較して著しく低い値を示した。4)本照射条件範囲では、照射による延性低下は顕著でなく、衝撃特性(ミニチュアシャルピー試験)の低下は殆ど見られなかった。5)組織観察の結果、本1DS, 1DKでは照射材では粒界にラベース相が析出した以外は照射前後での大きな組織変化は観察されず、酸化粒子とその分散状態が中性子照射に対して安定であることが示唆された。

報告書

PNC316鋼被覆管のスエリング挙動; FFTF/MFA-1, 常陽/C3M, 常陽/B8データに基づく検討

堂野前 貴子; 赤坂 尚昭; 山県 一郎

JNC TN9400 2001-092, 44 Pages, 2001/03

JNC-TN9400-2001-092.pdf:1.36MB

従来、高速炉炉心材料用SUS316相当鋼(以下PNC316鋼)のスエリング挙動は材料照射材の結果をもとに評価されてきた。しかし平成 8年以降に得られた20$$times$$E(+26)n/㎡(E$$>$$0.1MeV)を超える高照射量の燃料集合体照射材の結果から材料照射材とのスエリング挙動の差異が明らかとなった。 高照射量領域で同等の温度と照射量条件下で比較すると、燃料集合体照射材のスエリングは材料照射材に比べて大きい値を示し、スエリング速度も燃料集合体照射材の方が大きな値を示している。それぞれの場合の照射条件をさらにをさらに詳細に比較すると、温度変動や応力などの条件が大きく異なることから、照射条件がこれらのスエリング挙動の違いに影響を及ぼしている可能性が示唆され、それらの因子の同定分析を行った。例えば、燃料集合体照射の場合では照射中の温度が変動するが、材料照射の場合はほぼ一定温度にて照射される。 本報告書では、燃料集合体照射されたPNC316鋼被覆管のスエリング挙動の分析に重点を置き、これまでの知見を統合した当該スエリング挙動の相違の因子分析とスエリング挙動実験式について報告する。得られた結果を以下に示す。 (1)燃料集合体照射材と材料照射材のスエリング挙動の相違に最も大きな影響を与える因子は、温度効果(温度変動・温度勾配)であると考えられる。 (2)PNC316鋼被覆管のスエリング挙動実験式(燃料集合体照射)は以下に示すとおりである。S=R$$times$${$$phi$$t+(1/$$alpha$$)$$times$$ln{1+exp($$alpha$$$$times$$($$tau$$-$$phi$$t)))/(1+exp($$alpha$$$$times$$$$tau$$)}} 但し、R=1%/dpa, $$alpha$$=-0.29282$$times$$tanh(T-508.31)/15.502)-0.40981$$times$$tanh((T-469.07)/32.627)+0.28304, $$tau$$=127.08$$times$$tanh((T-340.16/461.44)-147.14$$times$$tanh((T-350.75)/82.422)+118.2 上記の適用範囲は、照射温度430$$^{circ}$$C $$sim$$ 550$$^{circ}$$Cである。これによると、燃料集合体照射の場合23$$times$$10$$^{26}$$n/m$$^{2}$$ (E$$>$$0.1MeV, 550$$^{circ}$$C付近)において最大約14%のスエリングを有すると推測される。

報告書

「もんじゅ」型燃料集合体(MFA-1,2)被覆管の急速加熱破裂挙動評価

吉武 庸光; 大森 雄; 坂本 直樹; 遠藤 敏明*; 赤坂 尚昭; 前田 宏治

JNC TN9400 2000-095, 110 Pages, 2000/07

JNC-TN9400-2000-095.pdf:13.57MB

米国Fast Flux Test Facilities(FFTF)で照射された「もんじゅ」型燃料集合体MFA-1及びMFA-2に装荷されたPNC316及び15Cr-20Ni鋼被覆管の燃料ピンはこれまでで最高の高速中性子照射量を達成している。これらオーステナイト系ステンレス鋼を高速炉炉心材料とした場合、高速中性子照射に起因するスエリングによる形状変化(体積膨張)が使用上重要な評価項目であるが、機械的性質に及ぼす照射効果、特に重照射条件でのスエリングした材料の機械的性質の評価も重要なことである。そこで、重照射されたPNC316、15Cr-20Ni鋼被覆管のLOF時の過渡変化時における燃料健全性評価に資することを目的として、これらMFA-1、MFA-2の燃料被覆管について急速加熱バースト試験を行うとともに、その後の金相試験、TEM観察に基づき急速加熱破裂挙動を評価した。本試験・評価で得られた主な結果は以下の通りである。1)PNC316では、照射量2.13$$times$$10の27乗n/mの2乗(E$$>$$0.1MeV)までの範囲において、周応力100Mpa程度までの低応力条件では破裂温度はこれまでの照射材データと同様であり照射量の増大に伴う破裂温度の低下は見られなかった。2)15Cr-20Ni鋼では、照射量2.27$$times$$10の27乗n/mの2乗(E$$>$$0.1MeV)までの範囲において、周応力約200MPaまでの条件において、破裂温度は非照射材と同等であり、照射による破裂温度の低下は見られなかった。3)PNC316について、「もんじゅ」燃料使用末期条件である周応力69MPa(7kgf/mmの2乗)にて試験した結果、破裂温度は1055.6$$^{circ}C$$であった。ここで試験加熱速度は5$$^{circ}C$$/sであり、「もんじゅ」設計におけるLOF時の1次ピークで想定される被覆管温度上昇率よりも厳しい条件であることから、本照射量条件において「もんじゅ」燃料の許容設計限界の被覆管最高温度(肉厚中心)830$$^{circ}C$$の保守性を示した。4)今回試験したスエリング量数%の条件では、急速加熱バースト後の組織は照射後試験加熱前の組織と比較して顕著な違いは認められず、破裂機構に関してスエリング量、破裂温度及び組織(ボイドの結晶粒界への偏析、粗大化)間の相関は見られなかった。

報告書

CMIR-2照射Fe-15Cr-20Ni系モデル合金の照射後試験(1); 照射誘起偏析に及ぼすシンクの影響および溶質原子のサイズ効果

神田 北斗; 山県 一郎; 堂野前 貴子; 赤坂 尚昭

JNC TN9400 2000-046, 24 Pages, 2000/02

JNC-TN9400-2000-046.pdf:1.1MB

オーステナイトステンレス鋼では照射により、溶質原子が表面や結晶粒界等に偏析し、合金組成が局所的に変化する事が知られている。粒界偏析挙動を詳細に調べ、理解するために高速炉炉心材料として開発中であるPNC1520の基本合金系であるFe-15Cr-20Ni合金に、原子サイズの違いを考慮したSi,Moを各々添加したモデル合金について照射誘起偏析を検討した。高速実験炉「常陽」により476$$^{circ}C$$、3.5$$times$$10の26乗n/mの2乗(E$$>$$0.1MeV)の条件で照射された試料を、透過型電子顕微鏡(TEM)とエネルギー分散型X線分光分析装置(EDS)により微細組織の観察および溶質濃度を測定した。照射誘起結晶粒界偏析挙動は概ね溶質原子のサイズ効果に従っており、Feよりサイズの大きな(oversize)原子は結晶粒界で枯渇し、小さな(undersize)原子は濃化した。またボイド表面における偏析は結晶粒界とほぼ同等であり、析出物界面における偏析はこれらよりも大きい傾向を示した。また粒界によっては粒界近傍にボイドの存在しないボイド欠乏帯が存在していた。その生成理由の一つとして粒界移動現象によりボイドが掃き出されたことが考えられる。

報告書

「もんじゅ」型燃料集合体(MFA-1)の照射挙動評価

堂野前 貴子; 勝山 幸三; 鵜飼 重治; 赤坂 尚昭; 山県 一郎; 金成 孝志; 大森 雄

JNC TN9400 2000-075, 374 Pages, 1999/08

JNC-TN9400-2000-075.pdf:18.85MB

日米燃料材料共同開発計画の一環として、米国のFFTF炉で照射した「もんじゅ」型燃料集合体MFA-1の照射後試験を行った。MFA-1燃料集合体はPNC316の被覆管、ラッパ管、ワイヤ、及び85%低密度燃料ペレットで製造されており、ペレットピーク燃焼度は147.1GWd/t、最大高速中性子照射量は21.4$$times$$10の26乗n/mの2乗に達している。本集合体の照射後試験結果に基づき、燃料集合体、要素の照射挙動を評価した。得られた結果は以下の通りである。 (1)「もんじゅ」型燃料集合体の伸びやラッパ管の変形量は小さく、燃料要素の外径増加率は最大で約4%(サンドブラスト加工材を除く)であった。また顕著なバンドルーダクト相互作用も発生していないことを確認した。(2)製造途中で内面傷を削除するためサンドブラスト加工した被覆管では、通常のPNC316に較べて大きなスエリングが測定された。このサンドブラスト材でのスリング促進は通常のPNC316と比較して大きな残留応力と低い冷間加工度に起因していると考えられる。(3)被覆管とワイヤのスエリングは異なる温度依存性を示し、スエリングピーク温度は被覆管で495$$^{circ}C$$、ワイヤで475$$^{circ}C$$であることを確認した。一方ラッパ管については、スエリングの温度依存性を明確には評価できなかった。

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