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明午 伸一郎; 岩元 大樹; 杉原 健太*; 平野 幸則*; 堤 和昌*; 斎藤 滋; 前川 藤夫
JAEA-Technology 2024-026, 123 Pages, 2025/03
J-PARC核変換実験施設ADSターゲット試験施設(TEF-T)の設計をベースとし、J-PARC陽子ビーム照射施設の概念検討を行った。これは、文部科学省の分離変換技術評価タスクフォースの提言「ADSの工学的課題解決に加え、多様なニーズへの対応の可能性を含め、既存のJ-PARCの陽子加速器を利用可能な利点を最大限活用する施設仕様を検討することが望ましい。」を受けたものである。TEF-T設計で不要となった設備を削減する一方、多様なニーズに対応可能な設備の具体化を行った。多様なニーズとして、諸外国の大強度加速器施設の利用法の調査を行った。その結果、1)材料照射試験、2)核破砕中性子を用いた半導体機器のソフトエラー試験、3)医療用RI製造および4)陽子ビーム利用を主な利用目的と特定し、これらの利用に必要な施設の検討を行った。施設概念の検討にあたっては、2022年に施設のユーザーコミュニティを立ち上げ、ユーザーの意見を広く取り入れて施設設計に反映した。本報告書は、陽子ビーム照射施設の概念検討結果、多様なニーズとその対応、施設建設に向けたロードマップおよび今後の課題についてまとめたものである。
明午 伸一郎
加速器, 21(4), p.333 - 344, 2025/01
加速器駆動核変換システム(ADS)のビーム照射環境下における材料損傷の研究のため、日本原子力研究開発機構(JAEA)は、J-PARCリニアック400MeV陽子ビームとLBE核破砕ターゲットを用いた核変換実験施設ターゲット施設(TEF-T)の建設を計画していた。文部科学省の分離変換技術評価タスクフォースでは、リニアックを利用するメリットを最大限に生かし、ユーザーの多様なニーズに応える施設として検討するよう提言していた。TEF-Tの後継となる陽子線照射施設は、1)材料照射試験、2)核破砕中性子を用いた半導体ソフトエラー試験、3)医療用RI製造、4)宇宙用陽子線利用を目的として建設が計画されている。より魅力的な施設としてユーザーの意見を取り入れるため、2022年にユーザーコミュニティが設立された。本論文では、施設の現在の設計状況について述べる。
杉原 健太*; 明午 伸一郎; 岩元 大樹; 前川 藤夫
JAEA-Conf 2024-002, p.162 - 167, 2024/11
中性子エネルギースペクトルは加速器駆動システム(1.5GeV p+鉛ビスマス共晶合金)における遮蔽設計にとって重要である。同様のスペクトルはJ-PARC(3GeV陽子+Hg)でも得られる。アンフォールディングの妥当性を確認するため、
Bi(n,xn)反応と応答関数(JENDL/HE-2007とTALYS)を用いたアンフォールディングを行った。ポスターでは、スペクトルの導出と飛行時間法を用いたスペクトルとの比較を発表する。
Yee-Rendon, B.; 近藤 恭弘; 田村 潤; 前川 藤夫; 明午 伸一郎
Proceedings of 21st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.205 - 209, 2024/10
高レベル放射性廃棄物の有害度低減化を目的とし、日本原子力研究開発機構(JAEA)は、加速器駆動未臨界システム(ADS)の主要コンポーネントとして、30MW CW陽子線形加速器(リニアック)を設計を進めている。大強度加速器におけるビーム損失の主な原因である空間電荷効果の最小化のため、JAEA-ADSの低エネルギービーム輸送(LEBT)は陽子ビームおよび負水素ビームによる電荷中和を積極的に用いる。機器保護などのためADSでは徐々にビーム出力を上昇させる必要があるため、LEBTに設置したビームチョッパーによりデューティを徐々に上昇させることを検討している。チョッパーは電荷中和に影響を与え、ビーム過渡現象によりビーム損失を発生させる可能性がある。チョッパーのビーム光学モデルを作成し、チョッパーの電圧や寸法などの必要な特性を解析した。さらにチョッパーが空間電荷補償に与える影響を解析し、LEBTにおけるビーム過渡現象を評価した。本研究では、JAEA-ADS LEBTにおけるチョッパーの設計とビーム性能への影響について報告する。
明午 伸一郎; 山口 雄司; 岩元 大樹
Proceedings of 21st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.32 - 37, 2024/10
宇宙機器の開発において必要な400MeV以上の陽子が供給が可能な加速器施設は世界的に少なく、国内ではJ-PARCが唯一となる。しかし、J-PARCでは二次粒子を安定に継続する必要があるため、試験装置を加速器の真空槽に設置することは困難となる。J-PARCで進めている「陽子ビーム照射施設」により試験を進める計画としている。本施設ではLINACの400MeV Hビームから、レーザーにより微弱な陽子ビームを取り出し、デグレーダにより利用者が要求するエネルギーの陽子を供給する予定となる。本報ではこの施設の詳細について報告する。また、宇宙開発での陽子利用は極めて高く、宇宙航空研究開発機構(JAXA)および情報通信研究機構(NICT)では、衛星搭載の宇宙線センサーにおける試験の強い要求があった。しかし、加速器を安定に運転させる必要があるため、真空槽に試験装置を組み込むのは困難となり、さらに試験で必要な微弱なビームを得るのは困難となる。我々はビーム窓の散乱による陽子を利用する方法を開発し、JAXAおよびNICTとセンサーの試験を開始した。陽子ビーム散乱のデータは加速器において重要なデータとなるもののデータはほとんど存在しないため、この測定を開始した。
明午 伸一郎; 山口 雄司
Proceedings of 21st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.853 - 858, 2024/10
30MWを超える大強度陽子加速器加速器を用いた、加速器駆動型核変換システム(ADS)が原子力機構(JAEA)で開発が進められている。核破砕中性子源においても、1MWを超えるマルチMWの施設が提案されていおり、これらの施設において安定に入射するためには、ビームが正しく標的に入射していることを確認するプロファイルモニタが重要となる。J-PARCの核破砕中性子源では炭化ケイ素(SiC)のマルチワイヤからなるプロファイルモニタを用いており、約1MWの利用運転では問題ないものの、今後の定常的な大強度運転ではワイヤの損傷が著しくなるものと考えられるため、ワイヤの損傷評価を定量的に行う事が重要となる。我々はモニタの開発の一環として、量子機構(QST)TIARAおよびJAEAタンデム加速器において、はじき出し損傷が数GeV陽子に比べ著しく高い重イオンビームを用いたビーム試験を実施した。JAEAタンデム加速器では様々なイオンビームを用いて、表面におけるLET依存性に関して調査を開始した。本発表では、この結果について報告する。
田村 潤; 近藤 恭弘; Yee-Rendon, B.; 明午 伸一郎; 前川 藤夫; 加古 永治*; 梅森 健成*; 阪井 寛志*; 道前 武*
Proceedings of 32nd Linear Accelerator Conference (LINAC 2024) (Internet), p.496 - 498, 2024/10
The Japan Atomic Energy Agency (JAEA) has been proposing an accelerator-driven nuclear transmutation system (ADS) as a future nuclear power system. Toward the actual design of the CW proton linac for the JAEA-ADS, we are currently prototyping a low- (
0.2) single-spoke cavity. The cavity fabrication began in 2020. Most of the cavity parts were shaped in fiscal year 2020 by press-forming and machining. In 2021, we started welding the shaped cavity parts together. Each cavity part was joined together by preliminarily examining the optimum welding conditions using mock-up test pieces. We have fabricated the body and two lid sections, and have confirmed that there were no significant problems with the cavity fabrication according to the frequency measurement of the temporarily assembled spoke cavity.
Plaais, A.*; Bouly, F.*; Froidefond, E.*; Lagniel, J.-M.*; Normand, G.*; Orduz, A. K.*; Yee-Rendon, B.; De Keukeleere, L.*; Van De Walle, J.*
Proceedings of 32nd Linear Accelerator Conference (LINAC 2024) (Internet), p.563 - 568, 2024/10
高出力粒子加速器にとって信頼性は重要である。特に加速器駆動システム(ADS)では、ビームの停止が原子炉の稼働率に大きく影響し、停止の多くは、加速空洞やその関連システムの損失に起因する。空洞に起因するビーム停止は、リニアックの他の空洞を再調整することで補償できる。しかし、理想的な補償設定を見つけることは、ビームダイナミクスと多目的最適化を伴う難しい課題であり、対象のリニアックによって大きく異なる問題が生じる。SPIRAL2リニアックでは、多くの空洞が補償のために動員され、探索空間は非常に多くの次元を持ち、ビーム進行方向の許容マージンがかなり低い。MYRRHAやJAEAで検討を進めているADS用リニアックには、最適化を容易にする特定の耐故障設計を適用しているものの、空洞は数秒で再調整する必要がある。そこで我々は、任意のリニアックのすべての空洞障害に対する補償設定を自動的かつ体系的に見つけるツールであるLightWinを開発した。本研究では、LightWinの最新の開発状況と、SPIRAL2とADSリニアック用に開発した補償戦略について、ビームダイナミクスと数学的な観点から紹介する。
Yee-Rendon, B.; 近藤 恭弘; 田村 潤; 前川 藤夫; 明午 伸一郎
Proceedings of 32nd Linear Accelerator Conference (LINAC 2024) (Internet), p.488 - 491, 2024/10
日本原子力研究開発機構(JAEA)は、放射性廃棄物核変換のための30MW CW陽子線形加速器(リニアック)を設計している。高出力加速器の低損失と高ビーム品質を達成する上で、特に空間電荷力が大きくなる低エネルギー部において空間電荷の緩和が主な課題である。空間電荷の影響を打ち消すために、低エネルギービーム輸送(LEBT)は、ビーム電荷の中和により空間電荷補償を可能にする静磁場設計を用いており、主ビームと対向する電離粒子との間の電荷平衡に達する蓄積プロセスにより中和する。しかし、ADSのビーム出力上昇時に用いられるチョッパーにより平衡状態は逸脱する。このため、ビーム出力の過渡状態においてビーム光学系は最適とならず、加速器に深刻な劣化をもたらす可能性がある。従って、これらのビーム出力上昇時におけるビーム挙動の解析は、リニアックのロバストな設計と効率的な運転を開発するために不可欠でとなる。本研究では、JAEA-ADS LEBTの中性化ビルドアップとチョッパー運転時のビームダイナミクスの検討を行った。
Yee-Rendon, B.; Jameson, R. A.*; 岡村 昌宏*; Li, C.*; Jiang, P.*; Maus, J. M.*
Proceedings of 32nd Linear Accelerator Conference (LINAC 2024) (Internet), p.492 - 495, 2024/10
LINACsは、粒子加速器内の荷電粒子の光学系とビーム ダイナミクスを設計するためのシミュレーションのフレームワークであり、RFQのすべての設計パラメータとシミュレーションパラメータをユーザーが完全に制御できるオープンソースのフトウェアである。ビーム駆動設計、正確な四極対称性を使用した完全3Dシミュレーション、外部および空間電荷場に対する厳密なポアソン解を含む。本コードは、解析入力分布を伴う粒子ビームを同時に処理でき、入力ビームの状態がスキャン可能である。本ソフトウェアは実行時間が比較的短くかつ広範な分析情報を提供する。本発表では、コードの歴史的な概要を説明するとともにRFQモデルの結果を提示し、将来の開発について議論する。
斎藤 滋; 明午 伸一郎; 牧村 俊助*; 平野 幸則*; 堤 和昌*; 前川 藤夫
JAEA-Technology 2023-025, 48 Pages, 2024/03
日本原子力研究開発機構(JAEA)は、原子力発電に伴い発生する高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減のため、加速器を使った核変換の研究開発として加速器駆動システム(ADS; Accelerator-Driven Systems)の開発を進めている。ADSの設計に必要な材料照射データベースを作成し、鉛ビスマス共晶合金(LBE; Lead-Bismuth Eutectic)中での照射効果について研究するため、J-PARCに陽子照射施設の検討を進めている。この陽子照射施設では、LBEの核破砕ターゲットに250kWの陽子ビームを入射し、ADSの構造材候補材についてLBE流動下での照射試験を実施する他、半導体ソフトエラー試験、医療用RI製造、陽子ビーム利用などを行う計画である。これらのうち照射済み試料の照射後試験(PIE; Post Irradiation Examination)とRIの分離精製は、陽子照射施設に付属して建設されるPIE施設において実施される。本PIE施設では、J-PARCの他の施設において照射された機器や試料のPIEも実施される予定である。本報告書は、この照射後試験施設の概念構築に必要な照射後試験項目、試験フロー、設備、試験装置等の検討を行い、施設内の配置案をまとめたものである。
岩元 大樹
JAEA-Conf 2023-001, p.40 - 45, 2024/02
加速器駆動核変換システム(ADS)の研究開発及び京都大学におけるADS未臨界炉物理実験に資する核反応データを取得することを目的として、2019年10月より京都大学のFFAG (Fixed Field Alternating Gradient)加速器を用いたADS用核データの実験的研究を行っている。本実験プログラムは、「(1)核破砕中性子エネルギースペクトル測定」および「(2)高エネルギー核分裂測定」の二つのサブプログラムから構成される。これまでに「(1)核破砕中性子エネルギースペクトル測定」に関する実験をおおむね終了した。本発表では、本プログラムの概要、これまでの研究の成果及び今後の実験の準備状況について紹介する。
田村 潤; 近藤 恭弘; Yee-Rendon, B.; 明午 伸一郎; 前川 藤夫; 加古 永治*; 梅森 健成*; 阪井 寛志*; 道前 武*
Journal of Physics; Conference Series, 2687(5), p.052008_1 - 052008_6, 2024/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Atomic, Molecular & Chemical)The Japan Atomic Energy Agency (JAEA) has been proposing an accelerator-driven system (ADS) as a future nuclear system to efficiently reduce high-level radioactive waste generated in nuclear power plants. As a first step toward the full-scale design of the CW proton linac for the JAEA-ADS, we are now prototyping a low- (
) single-spoke cavity. The actual cavity fabrication started in 2020. Most of the cavity parts were shaped in fiscal year 2020 by press-forming and machining. In 2021, we started welding the shaped cavity parts together. By preliminarily investigating the optimum welding conditions using mock-up test pieces, each cavity part was joined with a smooth welding bead. So far, we have fabricated the body section and the beam port section of the cavity. By measuring the resonant frequency of the temporarily assembled cavity, we have confirmed that there is no significant problem with the cavity fabrication.
Yee-Rendon, B.; 近藤 恭弘; 田村 潤; 前川 藤夫; 明午 伸一郎
Proceedings of 20th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.545 - 549, 2023/11
日本原子力研究開発機構(JAEA)は、放射性廃棄物の有害度低減のため加速器駆動未臨界システム(ADS)の開発を行っている。JAEAのADS(JAEA-ADS)では、ビーム出力30MWを有する陽子線形加速器(リニアック)を提案している。JAEA-ADSリニアックの大きな課題は、イオン源から高周波四重極までの35keV陽子ビームの効率的な輸送である。この目標の達成のため、様々な空間電荷の補償シナリオを考慮しつつ、ビームロスの要因となる高電荷状態のイオンビームの透過を低減し、陽子エミッタンスの増大を最小化するために、2つのソレノイドから構成される静磁場低エネルギービーム輸送(LEBT)を最適化した。本報告では、JAEA-ADS LEBTの光学設計を紹介し、多粒子を用いたトラッキングの結果について述べる。
Plaais, A.*; Bouly, F.*; Yee-Rendon, B.
Proceedings of 14th International Particle Accelerator Conference (IPAC 23) (Internet), p.4097 - 4100, 2023/09
大強度ハドロン加速器の信頼性は、特に加速器駆動システム(ADS)にとって大きな問題となる。例として、日本原子力研究開発機構(JAEA)で検討を進めているADSでは、5分以上のビーム停止の最大頻度は年間42回に設定されている。ビーム停止の大半は加速空洞または関連するシステムの故障によって引き起こされるため、これらを効果的に削減する方法を検討した。この目的のため任意の超伝導(SC)リニアックの補償設定を、自動かつ体系的に決定することを目的とした数値ツールLightWinを開発した。このツールは、MYRRHA SCリニアックに使用されて成功した。本報告では、JAEA ADSリニアックの最後段に関連するいくつかの障害シナリオをLightWinにより補償し、関連する再調整された設定とビーム性能とを以前にTraceWinを適用し行った結果と比較した。
岩元 大樹; 中野 敬太; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 岩元 洋介; 杉原 健太*; 西尾 勝久; 石 禎浩*; 上杉 智教*; 栗山 靖敏*; et al.
EPJ Web of Conferences, 284, p.01023_1 - 01023_4, 2023/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)加速器駆動システム(ADS)の核特性予測精度の向上と京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)におけるADS炉物理実験で用いる中性子源情報の取得を目的として、京都大学の固定磁場強集束(FFAG)加速器を用いた核データ測定実験プログラムを開始した。このプログラムの一環として、鉄,鉛及びビスマスに対する陽子入射二重微分中性子収量(TTNY)及び断面積(DDX)を測定した。測定では、真空チェンバ内に設置された標的試料に107MeVの陽子ビームを照射し、核反応によって標的から発生した粒子の信号を、小型の中性子検出器を用いて検出した。検出信号とFFAGキッカー電磁石の信号の時間差から飛行時間(TOF)を求め、ガンマ線の事象を波形弁別法によって除去して中性子事象をカウントすることで中性子のTOFスペクトルを求めた。得られた中性子のTOFスペクトルから、相対論的運動学によりTTNY及びDDXを求めた。実験で得られたTTNY及びDDXを、モンテカルロ輸送計算コードPHITSによる計算と比較し、PHITSに組み込まれた核反応モデル及び評価済み核データライブラリJENDL-4.0/HEの妥当性を検証するとともに、PHITSによる計算の予測精度を評価した。
岩元 大樹; 中野 敬太*; 明午 伸一郎; 竹下 隼人; 前川 藤夫
EPJ Web of Conferences, 284, p.01033_1 - 01033_4, 2023/05
被引用回数:1 パーセンタイル:68.83(Nuclear Science & Technology)加速器駆動核変換システムの研究開発で重要となるビスマス標的に対する核種生成断面積の測定実験を行った。実験は、J-PARCの陽子ビームを用いて、0.4, 1.5及び3.0GeVの陽子ビームをビスマス標的試料に照射し、核種生成断面積を放射化法により導出した。本実験で新たに取得した計50核種127個の核種生成断面積データを最新の核反応モデル(INCL++/ABLA07及びINCL4.6/GEM)による計算結果及び評価済み核データライブラリJENDL/HE-2007の評価値と比較した。比較の結果、INCL++/ABLA07は総じて実験値を再現する一方で、INCL4.6/GEMは核分裂片に対する実験値を過小評価する等の知見が得られた。
明午 伸一郎; 中野 敬太*; 松田 洋樹; 岩元 洋介; 吉田 誠*
EPJ Web of Conferences, 284, p.05001_1 - 05001_4, 2023/05
被引用回数:1 パーセンタイル:68.83(Nuclear Science & Technology)加速器駆動未臨界システム(ADS)や核破砕中性子源などの大強度陽子加速器施設では、電磁石コイルなどの加速器構成機器の放射線損傷を評価することが重要である。損傷指標としては、NRT(Norgertt-Robinson-Torrens)モデルに基づき、粒子束と弾き出し断面積を積分して得られるdpaが用いられてきた。20MeV以上のエネルギー領域の陽子に対する弾き出し断面積の実験データは乏しいため、J-PARCにおいてNbの弾き出し断面積の測定を行った。Nb試料を極低温(8K)で冷却し、熱運動によるフレンケル対の再結合を抑制するとともに、マッティセン則を維持するために常伝導度を維持した。PHITSコードを用いてNbの弾き出し断面積の計算を行い、今回の実験結果と比較した。その結果、広く用いられるNRTモデルは、これまでの研究で示唆されているように、断面積を2倍程度過大評価することが明らかになった。また、最近提案された分子動力学(MD)に基づく熱中性子再結合補正モデル(arc)を用いた計算が、今回のデータと良い一致を示すことも明らかにした。
Yee-Rendon, B.; 近藤 恭弘; 田村 潤; 前川 藤夫; 明午 伸一郎
Proceedings of 14th International Particle Accelerator Conference (IPAC 23) (Internet), p.1591 - 1593, 2023/05
日本原子力研究開発機構(JAEA)は、加速器駆動システム(ADS)の開発のため、ビーム出力が30MWとなる連続波(cw)超伝導陽子線形加速器(リニアック)を設計している。JAEA-ADSリニアックのイオン源は、エネルギーが35keV、正規化されたrmsエミッタンスが0.1mm mrad未満で、20mAを超える陽子ビームを提供する必要がある。イオン源におけるビーム引出し部がビーム特性と品質を決定するため、目標の達成のためAXCEL-INP 2-Dシミュレーションプログラムを使用して、引き出し部の設計における幾何形状に関して最適化した。本報告は、イオン源引き出し部の設計について説明し、JAEA-ADSリニアックの陽子イオン源に関するビームダイナミクスを最初の結果として報告する。
岩元 大樹; 中野 敬太; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 岩元 洋介; 杉原 健太; 西尾 勝久; 石 禎浩*; 上杉 智教*; 栗山 靖敏*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(4), p.435 - 449, 2023/04
被引用回数:4 パーセンタイル:51.78(Nuclear Science & Technology)加速器駆動核変換システム(ADS)の研究開発及び京都大学臨界実験装置(KUCA)におけるADS未臨界炉物理の基礎研究を目的として、固定磁場強収束(FFAG)加速器を用いて107MeV陽子による鉄、鉛及びビスマス標的に対する二重微分中性子収量(TTNY)を測定した。TTNYは8個の中性子検出器(各検出器は小型のNE213液体有機シンチレータと光電子増倍管より構成される)からなる中性子検出器システムを用いて飛行時間法により得られたものである。測定で得られたTTNYを、粒子・重イオン輸送コードシステム(PHITS)に組み込まれたモンテカルロ法に基づく核破砕反応モデル(INCL4.6/GEM, Bertini/GEM, JQMD/GEM, JQMD/SMM/GEM)及び評価済み高エネルギー核データライブラリ(JENDL-4.0/HE)による計算結果と比較した。JENDL-4.0/HEを含む比較対象のモデルは、検出器角度5度における高エネルギーピークを再現しないなどの特徴的な不一致が見られた。測定で得られたTTNYとPHITSによって評価した20MeV以下のエネルギー及び角度積分中性子収率を比較した結果、INCL4.6/GEMがKUCAにおけるADS炉物理実験のモンテカルロ輸送シミュレーションに適していることが示された。