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小松 満*; 西垣 誠*; 瀬尾 昭治*; 平田 洋一*; 竹延 千良*; 田岸 宏孝*; 國丸 貴紀; 前川 恵輔; 山本 陽一; 戸井田 克*; et al.
JAEA-Research 2012-001, 77 Pages, 2012/09
本研究は、地下水流動解析の上部境界条件として必要となる地下水涵養量を土壌に浸透した水分量から求める手法に着目し、その算定手法の体系化と現場で安定して長期間計測可能なシステムの構築を目的として実施した。計測システムの開発においては、多点かつ長距離に渡る計測が可能な光ファイバーの歪計測原理を、サクションによる圧力計測,土中湿度計測,吸水膨張材を適用した体積含水率計測の3方式に適用する場合についてそれぞれ検討した。さらに、浅層における降水の土中への浸透量を直接的に計測する手法として、現地水分量の計測結果から直接浸透量を算定する手法と、不飽和透水係数の値から浸透量を推定する手法について現地に計測機器を設置してその有効性を確認した。
丹野 剛男; 佐藤 稔紀; 真田 祐幸; 引間 亮一; 松井 裕哉; 多田 浩幸*; 郷家 光男*; 熊坂 博夫*; 石井 卓*
JAEA-Research 2012-002, 86 Pages, 2012/03
日本原子力研究開発機構では、超深地層研究所計画(以下、MIU計画)の岩盤力学研究の一環として、結晶質岩を対象とし、坑道の掘削に伴って周辺岩盤中に生じる掘削影響の評価を地上からの調査段階で実施する方法の構築を課題の一つとして設定している。この課題を達成するために、岐阜県瑞浪市の瑞浪超深地層研究所において、割れ目の力学特性やその幾何学的分布が岩盤の変形に支配的な影響を及ぼす結晶質岩について、クラックテンソルモデル(等価連続体モデルの一つ)による研究を進めている。あわせて、クラックテンソルによる相対誤差に基づいたREV(Representative Elementary Volume: 代表要素体積,寸法効果を定量的に表現する指標であり、不連続体を等価な連続体とみなして解析・解釈する際の最小体積の意味)の検討を実施し、第3段階における試験計画の策定や、モデル化の際の要素の大きさの設定にREVの検討結果を適用することを試みている。2010年度は、クラックテンソルモデルに基づき、REVの検討を実施した。また、クラックテンソルのトレースと電中研式岩盤等級との関係を調査し、設計時に設定した岩盤等級に基づく物性分布評価の妥当性を検討した。
市川 康明*; 丹野 剛男; 引間 亮一; 真田 祐幸; 松井 裕哉; 佐藤 稔紀
JAEA-Research 2012-003, 34 Pages, 2012/04
岩盤は断層や節理などのさまざまなスケールの不連続面群と鉱物を非均質に内包した複合材料であり、結晶質岩についてミクロな視点で岩石を見ると、個々の結晶粒子と粒界及び粒子内における微視亀裂の集合体である。結晶質岩の変形・破壊にかかわる時間依存性挙動を含む力学的な挙動は、個々の結晶の形状・物性に基づく変形挙動と粒界及び鉱物粒子内の微視亀裂の進展による変形挙動に起因している。石英や長石等のケイ酸塩鉱物を主成分とする岩石の破壊と、それに伴う亀裂の進展の機構については、1970年代から力学的要因のみならず化学的要因と結び付けて研究がされている。このように岩盤の長期挙動の研究では、応力と化学反応が連成した現象を理解することが重要である。そこで本研究では、以下の研究を行った。(1)非線形破壊力学の解説、(2)石英の圧力溶解現象に関する室内実験、(3)石英の溶解速度式の導出に関する理論的研究、(4)亀裂性岩盤を対象とした均質化理論の構築
下茂 道人*; 熊本 創*; 小坂 寛; 尾上 博則; 三枝 博光; 水野 崇; 大山 卓也
JAEA-Research 2012-004, 126 Pages, 2012/04
本研究では、超深地層研究所計画における地下水流動場の把握を目的とした水理地質構造のモデル化及び地下水流動解析技術の高度化に関する研究開発の一環として、ローカルスケール(研究所用地周辺を含む約十km四方の領域)を対象とした水理地質構造モデルの構築及び地下水流動解析を実施した。モデル化・解析に用いたデータは、地表からの調査予測研究段階(第1段階)で得られた調査データ及び第2段階における研究坑道を深度200mまで掘削時の調査データである。モデル化・解析の結果、研究坑道の掘削に伴う湧水量や周辺の地下水流動場に影響を与える水理地質構造の推定、及び深度1000mまでの研究坑道の掘削に伴う湧水量や周辺地下水位の低下量を予測することができた。また、研究坑道掘削時のグラウトが周辺の地下水流動場の変化に与える影響の程度を解析的に把握することができた。また、研究坑道掘削に伴う地下水の水質分布に与える影響の程度を把握することができた。
江連 俊樹; 三宅 康洋*; 飛田 昭; 木村 暢之; 上出 英樹
JAEA-Research 2012-005, 56 Pages, 2012/05
高速増殖炉による核燃料サイクルの実用化を目指して、炉容器をコンパクト化することで経済性を高めたナトリウム冷却高速炉であるJSFRの設計研究が行われている(FBRサイクル実用化研究開発)。JSFRでは、冷却系2ループ化によって冷却系配管内の平均流速が増加するため、ホットレグ配管入口部において強い旋回渦が発生する可能性がある。その結果として、渦中心での圧力低下に伴う液中渦キャビテーションの発生が懸念されており、液中渦キャビテーションの発生状況の評価が構造健全性の観点から必要である。本研究では、液中渦キャビテーションの発生評価に関連して、ナトリウムと水の物性の違いが液中渦キャビテーションの発生に与える影響について検討するための基礎的な水試験を行った。基礎的な円筒体系において、水の温度を10Cから80Cに変化させることで水の粘性係数を変化させ、液中渦キャビテーションの発生状況を定量的に評価した。その結果、10Cから30C程度の比較的粘性係数が大きい条件では粘性依存性が確認されたものの、50Cから80C程度の比較的粘性係数が小さい条件では粘性の影響が少ないことを確認した。
佐藤 勇; 有馬 立身*; 仁科 匡弘*; 田中 康介; 小野瀬 庄二; 出光 一哉*
JAEA-Research 2012-006, 66 Pages, 2012/05
燃料の製造性及び照射挙動に影響する物性である拡散挙動に関して、実験的手法と分子動力学シミュレーション(MD)の両面から評価した。実験的手法では、Amを含有した混合酸化物燃料とUO燃料を用いた拡散試験を実施した。その結果、UO中のPu及びAmの拡散は粒界に大きく影響される傾向があった。格子拡散と粒界拡散を区別せずに拡散係数を評価したところ、その大きさは1010m/s程度であり、PuとAmの間に差はほとんどなかった。一方、MDでは、混合酸化物燃料中のU, Pu及びAmの格子拡散係数を評価し、拡散係数の温度依存性を導き出した。また、対応格子粒界構造を用いた粒界拡散係数の評価方法を確立した。その結果、MDから得られた粒界拡散係数の温度依存性の外挿値は実験的手法で得られた拡散係数と良い一致を示した。MDで得られた粒界拡散の熱活性化過程と実験的手法で得られた拡散係数を考慮し、PuやAmの拡散現象をよりよく再現できるような実質的な拡散係数の温度依存性を得た。燃料挙動解析コードで使用できる拡散係数の整備に関して検討を行った。
徳安 真吾; 松岡 稔幸; 程塚 保行*
JAEA-Research 2012-007, 55 Pages, 2012/06
本研究では、深度300m研究アクセス坑道掘削前の先行ボーリング時に1,000L/min以上の湧水が発生した2008年10月の自然電位測定結果について、ノイズ除去に有効なデータ処理方法の検討及び、処理後の自然電位測定結果から水理地質構造の推定を行った。次に、立坑排水の一時的な停止による立坑内水位上昇後の、立坑内の地下水排水作業期間である2006年3月から4月に実施した既存の自然電位測定結果について、今回検討したデータ処理を適用し、水理地質構造の推定を行った。これらを総合して、自然電位測定の地下水流動を規制する断層や割れ目帯の分布の推定への適用性について評価を行った。その結果、ノイズ除去に有効なデータ処理方法を示すとともに、このデータ処理によって研究坑道の掘削に伴う地下水流動に起因する自然電位変化を抽出し、地下水流動を規制する断層や割れ目帯の分布を推定することができた。
大丸 修二; 尾上 博則; 竹内 竜史
JAEA-Research 2012-008, 70 Pages, 2012/06
日本原子力研究開発機構では、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究の一環として、結晶質岩を対象とした超深地層研究所計画を進めており、現在は、第2段階及び第3段階における調査研究を進めている。第2段階における調査研究の一環として、第1段階において構築した地質構造モデル、水理地質構造モデル及び地下水の地球化学概念モデルの妥当性の確認と更新を目的として、2010年度に瑞浪超深地層研究所の深度300m研究アクセス坑道100m計測横坑においてボーリング調査を実施した。主立坑断層を対象としたボーリング調査のうち、長期揚水試験の結果では、主立坑断層を境として水圧応答の傾向が大きく異なることが確認され、主立坑断層がその直交方向に対して低透水性であり、水理学的な境界を形成する地質構造であることが確認された。単孔式水理試験の結果では、母岩の変質を伴う割れ目帯において、9.4E-7m/sから3.8E-11m/sの透水係数を確認した。今回の結果から、母岩の変質を伴う割れ目帯は、透水係数が土岐花崗岩の上部割れ目帯の平均的な値である1E-7m/sオーダーの区間と、それよりも4オーダー程度低い主立坑断層近傍の区間に分類されることがわかった。
中原 将海; 鍛治 直也; 野村 和則
JAEA-Research 2012-009, 15 Pages, 2012/06
晶析工程に関してPuとCsの化合物の生成抑制の観点から、原料液中のCsを減少させることが求められている。照射済核燃料中のCsを粗分離するため、純水及び希薄HNOにおける浸漬試験を行った。浸漬67時間後の純水及び0.1mol/dm HNOにおける燃料粉末からのCsの溶出率は、それぞれ33.8及び38.3%であった。燃料溶解前に燃料粉末を純水もしくは希薄HNO溶液に浸漬させることによりCsを粗分離できる可能性を示した。
亀井 玄人; 本田 明; 小田 治恵; 平野 史生; 市毛 悟; 栗本 宜孝; 星野 清一; 赤木 洋介; 佐藤 信之; 高橋 邦明; et al.
JAEA-Research 2012-010, 80 Pages, 2012/06
TRU廃棄物の地層処分研究開発については国の全体計画に基づき、併置処分の評価にかかわる信頼性向上、ジェネリックな評価基盤の拡充及び幅広い地質環境に柔軟に対応するための代替技術開発が進められている。原子力機構においても処理,処分の両面で全体基本計画のなかの分担課題に取り組んでいる。本年報は平成22年度のそれらの進捗と、平成18年度以降過去5か年の成果の要点を記すもので、具体的課題としては、(1)ニアフィールドの構造力学評価(構造力学評価モデルの開発・整備、岩盤クリープモデルの導入及び検証計算、処分施設の長期的な変形挙動解析)、(2)性能評価(セメント変質、高アルカリ性環境における緩衝材及び岩盤の長期化学挙動、硝酸塩影響)及び(3)代替技術(硝酸塩分解技術)である。
笹尾 英嗣
JAEA-Research 2012-011, 147 Pages, 2012/07
東濃鉱山の閉山措置に伴う周辺環境への影響の検討の一環として、捨石集積場の捨石、鉱業廃棄物埋立場の鉱業廃棄物、坑道に充填する鉱石と捨石に起因する一般公衆に対する被ばく線量を検討した。被ばくの評価点として東濃鉱山西方の東洞川評価点と南東方の日吉川評価点を設定し、現在の土地利用を考慮して基本シナリオと参考シナリオを設定した。解析は既存のデータ等に基づいて解析に必要なパラメータを設定した基本ケースで行うとともに、パラメータの幅などを考慮した代替ケースでも行った。解析の結果、東洞川評価点では、被ばく線量は基本シナリオ,参考シナリオとも最大で0.08mSv/年であり、直接線,スカイシャイン及びラドンによる被ばく線量を加えると最大で0.09mSv/年となった。代替ケースにおいては、基本シナリオ,参考シナリオとも最大で0.050.14mSv/年となった。日吉川評価点では、基本シナリオでは被ばく線量は最大でも0.001mSv年未満、参考シナリオでは最大で0.001mSv/年となった。代替ケースにおいて、基本シナリオではすべてのケースで最大でも0.001mSv/年未満となり、参考シナリオでは最大で0.00060.002mSv/年となった。
小坂 寛; 三枝 博光; 栗原 新*; 尾上 博則
JAEA-Research 2012-012, 100 Pages, 2012/07
深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として進めている、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画では、第1段階(地表からの調査予測研究段階)、第2段階(研究坑道の掘削を伴う研究段階)及び第3段階(研究坑道を利用した研究段階)の3段階に区分して、繰り返しアプローチに基づく調査研究を実施している。本研究では、調査の進展に伴う情報量の増加に応じた、地下水の流速分布及び移行特性の変化を把握すること、及び不連続構造分布の地質学的解釈の違いや岩盤の水理的不均質性の有無が、地下水流動特性に与える影響を評価することを目的として、第1段階及び第2段階において構築された地質構造モデル及び水理地質構造モデルに基づき、地下水流動解析及び粒子追跡解析を実施した。結果として、調査の進展に伴う情報量の増加により、地下水の流速分布及び移行特性の不確実性が低減されたことを確認した。また、不連続構造分布の地質学的解釈の違い及び岩盤の水理的不均質性の有無が地下水流動特性に与える影響を確認した。これらの結果に基づき、次期調査に向けてターゲットとなる不確実性要因の特定及びターゲットに対する調査方法を提案した。
杉野 和輝; 石川 眞; 沼田 一幸*; 岩井 武彦*; 神 智之*; 長家 康展; 羽様 平; 千葉 豪*; 横山 賢治; 久語 輝彦
JAEA-Research 2012-013, 411 Pages, 2012/07
最新知見に基づいた高速炉の核設計精度の評価を行うため、国内で最新の評価済核データファイルJENDL-4.0を用いて、高速炉の種々の核特性にかかわる実験及び試験の解析を行った。具体的には、臨界実験装置としてZPPR, FCA, ZEBRA, BFS, MASURCA, LANLの超小型炉心、実機プラントとしてSEFOR,「常陽」,「もんじゅ」で行われた炉物理実験/試験及び照射試験にかかわる合計643特性を対象とした。解析においては、基本的に標準的な高速炉の核特性解析手法を採用し、最確評価となるように詳細な計算を行った。また、得られた解析結果について、実験誤差、解析モデルにかかわる誤差、核データに起因する誤差の観点から検討を行い、炉心間あるいは核特性間の整合性を総合的に評価した。さらに、これらの評価結果を活用して、高速増殖炉サイクル実用化研究開発(FaCTプロジェクト)で設計が進められている高速炉炉心の核特性予測精度の評価を行った。
小林 順; 木村 暢之; 飛田 昭; 上出 英樹
JAEA-Research 2012-014, 40 Pages, 2012/07
JSFRの制御棒チャンネルと燃料集合体との出口ナトリウム温度差は最大で100C程度になるため、炉心出口部における流体の混合による温度変動が炉上部機構(UIS)の下部高サイクル熱疲労を与える可能性がある。そこで、炉心出口と炉容器上部プレナムを対象とする1/3スケール60セクタモデルを使用した水流動試験を実施した。制御棒周辺の温度とその変動強度分布を計測するとともに、熱疲労に対する対策構造の評価を行った。試験の結果、制御棒周辺の温度変動特性を把握するとともに、熱疲労に対する対策構造は温度変動振幅を低下させ、構造材料に対する熱応力に変換されやすい周波数領域においても、その変動強度を低下させる効果があることを明らかにした。また、比較的低温の冷却材が流出するブランケット集合体と炉心燃料集合体との境界における温度変動強度分布を把握した。
山田 智*; 迫田 晃弘; 石森 有
JAEA-Research 2012-015, 32 Pages, 2012/07
鳥取大学農学部と日本原子力研究開発機構人形峠環境技術センターは、農地土壌等における環境修復技術開発として、植物を利用した浄化手法(ファイトレメディエーション)について検討している。平成23年度は、フィールドでの実証試験に供しうる有望な植物種を2、3種程度選定するため、水耕栽培によるスクリーニング試験を実施した。供試植物種は好塩性植物を中心に選定した。栽培や収穫に手間のかからないこと、回復後に農作の妨害をしないことなどに留意した。苗を一定期間栽培した後、安定同位体のCs又はSrで試験した。原則、試験開始後2週間目に採取し、器官ごとにK, Ca, Mg, Sr, Csを測定した。総合的に判断して、今回の試験範囲で最も適した植物種はツルナとアイスプラントであると結論した。Cs, Srともにおもに茎葉に集積するほか、表層近くに根を張り匍匐して株が大きくなることから、表層土壌の汚染物質除去に適している。効果的な適用には、吸収と分配の生育時期による変化、植物の成長特性、根の分布などについてフィールドでの調査が必要である。これらを踏まえて、適用可能性にかかわる試験計画を立案した。
田中 勝*; 五福 明夫*; 石坂 薫*; 佐藤 和彦; 長濱 洋次
JAEA-Research 2012-016, 23 Pages, 2012/07
日本原子力研究開発機構人形峠環境技術センター,岡山大学,鳥取環境大学及び廃棄物工学研究所は、ウラン鉱山の跡措置や産業廃棄物の処分の安全性にかかわる市民のリスク認知や関係者間の信頼醸成について研究を行っている。平成23年3月11日の東日本大震災で発生した岩手県及び宮城県の災害廃棄物の広域処理の安全性にかかわる市民の認知構造は、この研究の目的であるウラン鉱山の跡措置や産業廃棄物の処分の安全性にかかわる認知様式を理解するうえで重要であると考えられる。そこで、岡山県下の市民を対象に、災害廃棄物の安全性にかかわる意識を把握することを目的としてアンケート調査を行った。調査対象者は電話帳を用いて岡山市及び倉敷市それぞれ500人、合計1,000人を系統無作為抽出した。調査は、平成23年12月に郵便を用いた調査を行い、有効回答数は530であった。主な結果は、次の通り。(1)「岩手県,宮城県の災害廃棄物の処理・処分に他の自治体が協力するのは必要なことだと思う」93%、(2)「自分の住む自治体ががれきを引き受け、処理・処分に協力することに賛成する」87%、(3)「災害廃棄物を引き受ければ、放射性物質で自分の地域が汚染されるのではないかと心配」70%
木村 暢之; 上出 英樹; 長澤 一嘉*; Emonot, P.*
JAEA-Research 2012-017, 97 Pages, 2012/07
サーマルストライピング現象の評価手法を確立することは原子力プラントの安全性を確保するうえで重要な課題となっている。本研究は、サーマルストライピング現象評価の一環として、3本の噴流が矩形断面のスリットから鉛直に置かれた壁と平行に吐出する体系での水及びナトリウム試験を対象に、ラージエディシミュレーション法(LES)を用いた流体-構造連成解析(仏原子力・代替エネルギー庁で開発した熱流動解析コードTrio-U)を実施した。本解析では、流体及び構造材の接触面近傍に詳細な計算メッシュを配置し、流体と構造材の熱的連成を熱伝導のみでモデル化した。流体中の温度変動強度に関して、水及びナトリウム体系とも数値解析により実験結果の空間分布を再現することができた。また、構造材内の温度変動強度は、水及びナトリウム体系とも本解析により再現できた。このことから、サーマルストライピング現象に対するLESをベースにした流体・構造連成解析の適用性を確認することができた。また、解析により、壁面近傍での流体混合特性及び温度変動の構造材への伝達特性を明らかにした。
石橋 正祐紀; 栗原 新*; 松岡 稔幸; 笹尾 英嗣
JAEA-Research 2012-018, 48 Pages, 2012/07
本報告書では、超深地層研究所計画の第2段階において実施してきている、地質構造モデルの変遷について整理した結果を取りまとめた。第2段階においては、研究坑道の掘削に伴う研究坑道の壁面地質調査結果や研究坑道から実施したボーリング調査結果などに基づき、第1段階に構築した地質構造モデル(SB3地質構造モデル)の更新を行っている。現在までに、Shaft180地質構造モデル、Pilot500地質構造モデル、Substage200地質構造モデル、Stage300地質構造モデルと4回の更新を実施してきている。地質構造モデルは、各段階の調査データをもとに更新した地質・地質構造の空間分布を示しているため、前段階に構築した地質構造モデルと比較することで、調査の進展に伴う地質・地質構造の分布、情報の過不足、不確実性の変遷を総合的に評価するうえで有効である。
福島技術本部 福島環境安全センター; 人形峠環境技術センター; 安全研究センター サイクル施設等安全研究ユニット; 地層処分研究開発部門 地層処分基盤研究開発ユニット; バックエンド推進部門
JAEA-Research 2012-019, 125 Pages, 2012/08
2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故に起因した放射能汚染対策が、現在福島県をはじめとして各地で進められている。汚染物質対策の一つである植物を用いた除去技術(ファイトレメディエーション)について、芝草を用いたフィールド試験を行った。芝草は、他の植物に比べて根域深度が浅くかつ生育密度が高く、マットを形成するという特徴を有する。試験としては、芝草への吸収による放射性セシウムの除染と芝草の剥離による除染の効果を把握することを目的とした。結果としては、芝草への吸収は小さく、その除染係数は最大でも1%未満であった。一方、芝草の剥離による除染は、育成が順調に進んだものは100%に近い効果が得られた。国における除染方針及び各自治体で策定された除染計画に従い、今後さまざまな方法により除染が進められる。芝草を用いたファイトレメディエーションは、限定的な適用が可能と考えられる。
佐藤 大樹; 小嶋 健介; 大泉 昭人; 松田 規宏; 久語 輝彦; 坂本 幸夫*; 遠藤 章; 岡嶋 成晃
JAEA-Research 2012-020, 97 Pages, 2012/08
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、福島県をはじめとする東日本各地では、除染による線量の低減化が期待されている。原子力機構では、除染作業で効果的に線量率を低減させる計画の立案を支援するため、除染効果評価システムCDE(Calculation system for Decontamination Effect)を開発した。CDEは、環境中に分布する放射性セシウムに対して作成した線量寄与データベースを用いて、適用する除染技術に応じた放射性物質の除去効果(除染係数)から、除染前後の空間線量率を計算する。これにより、除染効果を示す線量率の減少(線量率減少係数)が得られ、その結果は除染対象地域の地図上に可視化される。計算結果の妥当性は、3次元放射線輸送コードPHITSを用いた除染領域と線量低減効果の解析結果と比較して検討した。これにより、CDEは短時間の計算で、PHITSによる解析と同等の精度で結果を与えることが確認された。本報告書では、CDEの概要,計算手法,検証解析を示すとともに、付録として線量計算プログラムのソースコードと取扱説明書を掲載する。
森平 正之
JAEA-Research 2012-021, 25 Pages, 2012/08
高速増殖炉サイクル実用化研究開発(FaCTプロジェクト。以下、「FaCT」)では、集合体平均150GWd/t(集合体ピーク250GWd/t)の高燃焼度を目指している。このような高燃焼度域では被覆管の内面腐食が従来以上に厳しくなると予想され、照射中における燃料の酸素ポテンシャル上昇の抑制が必要になる。このため、照射中に生じる余剰酸素を吸収させる酸素ゲッターについての検討を開始し、ペレット型MOX燃料に適用する酸素ゲッターオプションの概念の構築と実現性検討を進めてきた。その結果、チタンロールペレット方式が最も有望であるとの評価結果を得たことから、平成23年度にチタンロールペレットの製作性評価、チタン材の酸化特性にかかわる追加データ取得及びチタンロールペレットの酸化特性評価を行い、製作加工性、余剰酸素吸収の有効性、燃料設計上の要求の充足性の観点から同方式の実現性を見通した。
安藤 賢一*; 田中 達也*; 橋本 秀爾*; 三枝 博光; 尾上 博則
JAEA-Research 2012-022, 60 Pages, 2012/08
本研究では、超深地層研究所計画の第1段階や広域地下水流動研究におけるボーリング調査結果を用いて、土岐花崗岩中の透水性構造分布に起因する水理学的な不均質性を考慮したブロックスケールの水理地質構造モデルを構築した。また、構築したブロックスケールの水理地質構造モデルに基づき、モデル化領域を対象とした等価な水理特性を算出し、既往の単孔式水理試験結果との比較することで算出した等価な水理特性の妥当性を確認した。
中山 雅; 澤田 純之; 佐藤 治夫; 杉田 裕
JAEA-Research 2012-023, 65 Pages, 2012/08
高レベル放射性廃棄物の処分施設は、地下300m以深に建設されることから、坑道の空洞安定性確保や周辺岩盤のゆるみ領域の抑制、掘削に伴う湧水量の抑制のため、セメント系材料を用いた吹付けやグラウトが必要となる。従来の地下構造物に一般的によく用いられるセメント系材料として、普通ポルトランドセメント(以下、OPC)がある。このセメントはセメント硬化体の細孔溶液中に含まれるアルカリ成分により、pHが1213程度の高アルカリ性を呈する。地層処分施設においては、上記の高アルカリ成分が地下水に溶出した場合、緩衝材を構成するベントナイトや周辺の岩盤を変質させ、人工バリア及び天然バリアとしての性能に影響を与えることが懸念されている。このような影響を低減するために、幌延深地層研究計画においては、低アルカリ性セメント(以下、HFSC)を開発し、化学的特性,機械的特性,施工性,鉄筋の耐腐食性などについて検討を実施してきた。HFSCはポゾラン反応により、浸出液のpHの低減を指向しており、OPCにポゾラン材料であるシリカフューム及びフライアッシュを混合したセメント系材料である。これまで、幌延の地下施設の140m調査坑道において、吹付け施工試験を実施し、施工性を確認した。本報告においては、250m調査坑道において実施した同様の施工試験について報告する。その結果、HFSCは良好な施工性を示し、地下坑道への適用性が確認された。
浅森 浩一; 丹羽 正和; 花室 孝広; 山田 国見; 草野 友宏; 幕内 歩; 高取 亮一; 國分 陽子; 松原 章浩; 石丸 恒存; et al.
JAEA-Research 2012-024, 132 Pages, 2012/09
本報は、深地層の科学的研究のうち、「地質環境の長期安定性に関する研究」について、第2期中期計画期間(平成22年度平成26年度)の2年目である平成23年度に実施した研究開発にかかわる成果を取りまとめたものである。第2期中期計画期間においても第1期中期計画に引き続き、最終処分事業の概要調査や安全審査基本指針などの検討・策定に研究成果を反映できるよう、(1)概要調査などに必要となる、自然現象に関する過去の記録や現在の状況を調査するための体系的な技術の整備(調査技術の開発・体系化)、(2)変動シナリオを考慮した安全評価の基盤となる、将来の自然現象に伴う地質環境の変化を予測・評価するための手法の整備(長期予測・影響評価モデルの開発)のほか、(3)最先端の分析装置などを用いた放射年代測定や鍵層の高分解能同定法などによる編年技術の高度化(年代測定技術の開発)を進めている。本報では、それぞれの研究分野にかかわる科学的・技術的背景を解説するとともに、主な研究成果及び今後の課題などについて述べる。
真田 昌慶; 岸 裕和*; 杉田 裕; 林 克彦*; 武部 篤治*; 大久保 誠介*
JAEA-Research 2012-025, 130 Pages, 2012/09
本研究では、「強度回復試験」,「一般化応力緩和試験」,「引張強度試験」を、稚内層珪質泥岩を用いて実施した。その結果、強度回復を表す構成方程式で適切な定数の値を用いることにより、押し込み試験での軸応力の変化を表現できることを示した。一般化応力緩和挙動については気乾状態と湿潤状態で試験を行った。粘弾性的な挙動は、気乾状態よりも湿潤状態の方が、また、一般化応力緩和試験を開始するまでの載荷速度が大きいほど顕著であることがわかった。さらに引張特性については圧裂引張試験と一軸引張試験を実施した。圧裂引張強度については層理面に対する載荷方向の影響が大きいことがわかった。
吉田 一雄; 石川 淳
JAEA-Research 2012-026, 25 Pages, 2012/09
再処理施設では、長時間の全交流電源の喪失による放射性廃液を内包する貯槽の冷却機能の喪失で、廃液が沸騰する事象が想定される。この事象では、放射性物質は沸騰により発生する蒸気等より施設外へ移行すると考えられ、事故影響を評価するうえでは、貯槽を含めた施設内での熱流動状態を解析する必要がある。そこで、原子炉の過酷事故解析コードMELCORを用いて当該事象での施設内のエアロゾル移行を含む熱流動の解析を試みた。解析では、MELCORコードの制御関数機能及び複数の状態入力ボリュームを用いて、再処理廃液の沸騰の特徴である100Cより高い温度での沸騰,硝酸蒸気,NOXガスの発生などをモデル化した。解析の結果からMELCORの当該事象への適用性を確認するとともに、(a)乾固時刻を詳細モデルで予測した場合と単純な水の沸騰で予測した場合と大差ないこと、(b)揮発性Ruの発生と脱硝反応によるNOX等の非凝縮ガスの発生は、沸騰晩期から乾固段階初期の同じ時期に起こるため、脱硝反応による吸熱、非凝縮性ガス量の評価は放射性物質移行量評価の観点で重要であること等を明らかにした。
齋藤 浩介; 野上 嘉能; 古田土 和雄; 松山 一富; 遠藤 秀男
JAEA-Research 2012-027, 118 Pages, 2012/09
平成19年から4年間に渡って実施してきた、グローブボックス用ゴム製グローブに対するアルファ線照射影響を定量的に評価した一連の試験をまとめた。試験内容は、グローブ材となる各種ゴム試料に模擬アルファ線として5MeVのHeイオンを照射し、照射試料を目視及び光学顕微鏡による外観観察並びに引張試験に供したものである。一般に、イオン照射によって表面層数十mのみが劣化して退色及び硬化を呈することがわかった。照射材料は照射量によって引張強さ及び切断時伸びが低下し、引張強さ低下の機構は、表面劣化に伴う損傷を契機とした応力集中である可能性が高いことが見いだされた。高線量環境にて使用されている現行の鉛グローブ材では、イオン照射量1.410cm程度で引張強さの減少が飽和した。また100%の引張り負荷を掛けた同試料への照射によって引張強さの減少が加速され、4.610cm程度で飽和することがわかった。本試験は、先例がないグローブ材料(有機材料)への低エネルギーイオン照射試験であり、物性変化や変質・劣化の定量的なデータが得られたことや、試験の具体化を行ったことは、学術的にも貴重であると言える。
松岡 稔幸; 程塚 保行*; 山田 信人
JAEA-Research 2012-028, 70 Pages, 2012/11
日本原子力研究開発機構東濃地科学研究ユニットが進めている超深地層研究所計画の第2段階の調査研究の一環として、地下構造物周辺の地質構造を三次元的に把握する技術の整備を目的とした、瑞浪超深地層研究所の研究坑道の掘削工事に伴う振動を利用した逆VSP探査を実施している。本報告書では、取得した坑道の掘削工事に伴う振動を利用した逆VSP探査データに対して、複数の手法によるデータ処理・解析を適用し、本探査手法の適用性について検討した。その結果、適用した複数のデータ処理・解析手法(VSP-CDP変換,VSPマイグレーション,IP変換法,地震波干渉法)から、研究坑道周辺における堆積岩と花崗岩の不整合面などの水平方向に分布する地質構造や高角度傾斜の断層を抽出することができた。地下構造物周辺の地質構造を三次元的に把握するうえでは、坑道の掘削工事に伴うさまざまな振動を利用し、複数のデータ処理・解析手法を適用することが効果的であることが示された。
瀬口 忠男*; 田村 清俊*; 渡士 克己; 鈴木 雅秀; 島田 明彦; 杉本 雅樹; 出崎 亮; 吉川 正人; 大島 武; 工藤 久明*
JAEA-Research 2012-029, 158 Pages, 2012/12
原子力発電所用ケーブルの経年劣化研究として、ケーブル絶縁材料であるエチレンプロピレンゴム(EPR),架橋ポリエチレン(XLPE),ポリ塩化ビニル(PVC),シリコーンゴム(SiR)について、劣化メカニズムの研究を実施した。実用ケーブルと同等の配合試料(実用配合)及び特定の添加剤を配合したモデル配合の試料を用いて、放射線と熱の加速劣化を行い、実用物性の測定、重量の変化、高分子の架橋・切断の分析、酸化防止剤と酸化生成物の濃度分布の測定分析を行い、解析した。
佐伯 盛久; 江坂 文孝; 田口 富嗣; 大場 弘則
JAEA-Research 2012-030, 16 Pages, 2012/11
レーザー微粒子化を利用した高レベル放射性廃液からの白金族元素分離法を考案し、パラジウム,ロジウム,ルテニウム及びネオジムが溶解した模擬溶液を用いて原理実証実験を行った。1.5mL模擬溶液に等量のエタノールを加え、266nm紫外レーザー(レーザー強度20mJ)を40分照射することにより、模擬溶液中のパラジウム,ロジウム,ルテニウムを選択的に微粒子化し、ネオジムと分離した。サブミクロンサイズまで成長させた白金族元素微粒子をろ過又は遠心分離により回収し、誘導結合プラズマ発光分光法により試料溶液中に残存する金属イオン濃度を分析した。その結果、ネオジムイオン濃度はレーザー照射前と変化しなかったのに対し、パラジウム,ロジウム及びルテニウムイオン濃度はそれぞれ100%, 94-99%, 65-69%減少しており、レーザー微粒子化とろ過又は遠心分離との組合せにより、白金族元素を溶液中から合金微粒子として回収できることを実証した。また、さまざまな実験パラメーターに対する白金族元素の回収率依存性を調べたところ、照射レーザー強度を調整することによりパラジウムとロジウムを相互分離できることがわかった。
森田 泰治; 山岸 功; 津幡 靖宏; 松村 和美; 桜井 孝二*; 飯嶋 孝彦
JAEA-Research 2012-031, 39 Pages, 2012/11
ガラス固化体において濃度限度を超えるとイエローフェーズを生成するMoの高レベル廃液からの除去を目的に、酸性リン酸エステル抽出剤であるHDEHP(ジ-2-エチルヘキシルリン酸)によるMo抽出分離プロセスの開発を行った。Mo及びその他の主な核分裂生成物元素の抽出・逆抽出に関するバッチ試験データを取得し、この結果をもとにミキサセトラ型抽出試験装置を用いた連続抽出分離試験を2回実施し、元素の分離挙動を把握した。第2回連続抽出試験では、第1回の試験と比較して、Yの抽出率低減、Mo及びZrの逆抽出率改善などの成果を得たが、いずれも十分な値には到達しなかった。しかし、解析コードPARC-MAを用いたプロセスシミュレーション解析の手法を確立し、これによる最適プロセス条件の検討を行って、Y抽出率のさらなる低減には洗浄液硝酸濃度の上昇が、Mo及びZrの逆抽出率のさらなる改善には過酸化水素溶液及びシュウ酸のそれぞれの逆抽出液の流量増加及びZr逆抽出におけるミキサ内滞留時間増加が必要なことを明らかにし、最適分離条件を示すことができた。
柴田 雅博; 澤田 淳; 舘 幸男; 牧野 仁史; 早野 明; 三ツ井 誠一郎; 谷口 直樹; 小田 治恵; 北村 暁; 大澤 英昭; et al.
JAEA-Research 2012-032, 298 Pages, 2012/09
原子力機構(JAEA)と原子力発電環境整備機構(NUMO)は、概要調査段階における処分場の設計・性能評価に関連する主要な技術テーマについて、原子力機構が蓄積してきた技術やノウハウを、NUMOが今後の処分事業に適用できるよう、実施主体の視点に沿って実用化を図っていくための具体的な考え方と進め方を策定するとともに、必要な開発課題と今後の計画を明らかにすることを目的として、2011年度に共同研究を実施した。実施テーマと概要は以下の通り。(1)対象母岩の選定に関する検討:母岩特性のうち水理に着目し、母岩特性を評価するための項目、及び地下水移行時間の評価手法について、地質環境の調査・評価と関連付けたうえで整理した。(2)シナリオの構築に関する検討:シナリオ構築手順を具体化するとともに、ガラス固化体の溶解と核種の浸出、オーバーパックの腐食、緩衝材の長期変遷について、現象理解に関する最新の知見を構造的に整理した。(3)核種移行パラメータの設定に関する検討:緩衝材の分配係数と拡散係数、母岩の分配係数を対象として、パラメータ設定の方法論を検討し、その方法論に従った試行を行った。(4)知識情報の品質確保に関する検討:知識情報の品質を確保するための考え方や手法を、(2)シナリオの構築で検討した状態設定に対する論拠に関する情報を例として検討した。
細馬 隆
JAEA-Research 2012-033, 66 Pages, 2013/01
泡や滴あるいは液架橋などの気液界面の美しい形は、界面の表面張力及び平均曲率による圧力と、界面内外の密度差による圧力が、垂直方向でそれぞれ連続的に変化しながらも釣り合うという関係から生み出される。しかしながら、その正確な形状や曲率及び体積等を論じた資料は意外に少ない。U-Pu混合転換技術に関する研究開発では、これらを正確に求めることにより理解を深めることのできた現象が幾つかあり、静的で軸対称という条件ではあるものの、極座標系を導入し、原点移動アルゴリズムにより適用範囲を拡大することにより、水平接面と垂直接面をともに複数有する形状に適用可能な数値計算方法を導いた。本方法では、実際に観察される界面形状は、数値計算によって得られる曲線の一部が、物理的条件に対応して選ばれると考える。実例として、密度及び液位の測定に用いられる浸漬管の先端に生じる気泡、マイクロ波加熱により円筒形状の液中に核生成する気泡、転換後の造粒物中に生じていると推定される液架橋をとりあげた。体系的な計算の例は、室温,大気圧下における水と空気の界面とした。曲線の一部が選ばれる際の物理的条件は、接触角,内外圧力差,体積,表面エネルギー及び周期的に変化する形状の波長等である。
吉田 英一; 加藤 章一; 古川 智弘
JAEA-Research 2012-034, 68 Pages, 2013/01
ナトリウム中の酸素濃度は材料腐食の支配的な因子であり、酸素の影響については十分な評価が必要である。本研究では、高酸素濃度のナトリウム環境下におけるFBR構造材料の腐食及び低サイクル疲労特性を把握するために試験を実施した。試験には、異なる組織構造を有する材料として、高速炉構造用316ステンレス鋼(316FR鋼)及びMod.9Cr-1Mo鋼を供した。腐食試験は、初期酸素濃度3レベル(1、10及び10ppm)の650Cのナトリウム中で500時間を実施するとともに、腐食試験後の腐食材を用いて650Cの大気中にて低サイクル疲労試験を実施し、これらの特性に及ぼす酸素濃度の影響を検討した。
阿部 仁; 田代 信介; 渡邉 浩二; 内山 軍蔵
JAEA-Research 2012-035, 26 Pages, 2013/01
核燃料サイクル施設の安全性の確認に資するため、同施設における火災時の閉じ込め機能の健全性を評価するための手法の整備を進めている。同施設に存在する代表的な可燃性物質として、再処理有機溶媒やMOX燃料加工工程でMOX粉末へ添加されるステアリン酸亜鉛さらに代表的な潤滑油を取り上げ、これらの燃焼に伴う質量減少速度や煤煙化率等の燃焼特性データを取得した。また、再処理有機溶媒の燃焼に伴う煤煙の目詰まりによるHEPAフィルタの差圧上昇データを取得した。その結果、30%TBP/70%ドデカンの燃焼では、煤煙化率がドデカンを含む他の燃焼物質と比べて大きいこと、燃焼晩期にこれまで報告されていないHEPAフィルタの急激な差圧上昇が引き起こされる可能性があることがわかった。また、これまで燃焼性については考慮されていないステアリン酸亜鉛も、外部から加熱された状態では、定常的に燃焼を継続することを確認した。
田上 雅彦*; 山田 泰広*; 山下 佳彦*; 宮川 歩夢*; 松岡 俊文*; Xue, Z.*; 辻 健*; 鶴田 忠彦; 松岡 稔幸; 天野 健治; et al.
JAEA-Research 2012-036, 110 Pages, 2013/02
瑞浪超深地層研究所の周辺には北西-南東走向の断層が発達しており、これらの断層が地下水流動に影響を与えていることがわかっている。これらの断層は、研究所北側をほぼ東西に走る月吉断層の右横ずれ運動に伴って形成されたプルアパート構造に関連したものである可能性が指摘されているが、これらの断層の過去の活動履歴やその分布については、十分に明らかにされていない。本共同研究では、瑞浪超深地層研究所で確認されている地質構造を事例として、アナログモデル実験並びに数値シミュレーションを用いた地質構造の再現を試みた。まず、瑞浪超深地層研究所内及びその周辺において確認されている断層や剪断割れ目について古応力解析を実施し、運動像と形成時期を推定した。その結果と既往の研究をふまえて地質構造発達史を整理した。次に、現状の地質構造を再現するためのアナログモデル実験及び数値シミュレーションを実施した。再現された断層の配列・分布・発達密度といった三次元的な幾何特徴を現状の地質構造モデルと対比し、未調査地域における地質構造の発達状況を考察した。
窪島 光志; 石橋 正祐紀; 笹尾 英嗣; 鶴田 忠彦; 田上 雅彦*; 湯口 貴史
JAEA-Research 2012-037, 78 Pages, 2013/03
日本原子力研究開発機構では、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を岐阜県瑞浪市において進めている。本計画は、「深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤の整備」及び「深地層における工学技術の基盤の整備」を第1段階から第3段階までを通した全体目標として定め、「第1段階:地表からの調査予測研究段階」、「第2段階:研究坑道の掘削を伴う研究段階」、「第3段階:研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなる約20年の計画である。現在は、第2段階及び第3段階における調査研究を進めている。そのうち第2段階では、「研究坑道の掘削を伴う調査研究による地質環境モデルの構築及び研究坑道の掘削による深部地質環境の変化の把握」を段階目標の一つとして調査研究を進めている。本報告書は、今後の調査研究に資するため、第2段階における地質・地質構造の調査研究結果に基づき、深度300mまでに認められた地質・地質構造を取りまとめた。また、本取りまとめ結果は、第2段階で更新された地質構造モデルに反映した。
早野 明; 澤田 淳
JAEA-Research 2012-038, 32 Pages, 2013/02
地層処分事業におけるニアフィールド岩盤を対象とした核種移行遅延性能の評価手法は、調査段階ごとに構築及び更新される地質環境モデルとその不確実性や、評価結果の反映先を考慮して設定されると考えられる。そのため、それらに対して柔軟に対応できるように、複数の評価手法をオプションとして準備しておくことが肝要であると考える。上記のことを踏まえ本研究では、調査の進展に応じて構築される地質環境モデルとその不確実性に柔軟に対応できる評価手法の整備に資することを目的として、ニアフィールド岩盤を対象とした核種移行遅延性能を簡略的かつ定量的に評価する手法を検討した。次に、検討した評価手法の適用例を示すために、超深地層研究所計画の地表からの調査段階において取得された調査データを活用した核種移行解析を試行した。そして、地質環境モデルの不確実性が評価結果に与える影響を考察するとともに、地質環境調査へのフィードバックを示した。
木村 仁宣; 高原 省五; 本間 俊充
JAEA-Research 2012-039, 24 Pages, 2013/02
原子力事故での早期防護措置の適切な実施方法を検討するため、原子力機構が開発した確率論的事故影響評価(レベル3PSA)コードOSCAARを用いて、さまざまな事故シナリオに対し、防護措置実施による被ばく低減効果の評価を進めている。放射性ヨウ素の吸入による甲状腺被ばく線量を低減させるため、安定ヨウ素剤服用は効果的な早期防護措置である。しかし、安定ヨウ素剤の効果を最大限にするためには服用時期が重要であり、そのため、緊急時計画策定にあたり安定ヨウ素剤服用の最も効果的な実施方法をあらかじめ検討しておく必要がある。本研究では、安定ヨウ素剤の服用時期に応じた被ばく低減効果を評価するため、ヨウ素代謝モデルをOSCAARに導入し、環境への放出が大きい格納容器バイパス事故シナリオを例に取り、屋内退避又は避難と安定ヨウ素剤服用の組合せによる被ばく低減効果を甲状腺被ばく線量の観点から評価した。
枝尾 祐希; 河村 繕範; 落合 謙太郎; 星野 毅; 高倉 耕祐; 太田 雅之; 岩井 保則; 山西 敏彦; 今野 力
JAEA-Research 2012-040, 15 Pages, 2013/02
核融合中性子源施設FNSにおいて、トリチウム増殖材のLiTiOに中性子を照射して生成したトリチウムを回収する実験を行った。核融合炉ブランケットを模擬するため、LiTiO充填容器の周囲をBeブロック及びLiTiOブロックで覆った。トリチウム生成量計算による予測値と実験値はほぼ一致した。照射容器は300Cに加熱し、パージガスとしてヘリウム,水素添加ヘリウム,水蒸気添加ヘリウム,水素及び水蒸気添加ヘリウムを選択した。生成トリチウムはHT及びHTOとして放出され、パージガス条件を変えることによりその割合が変わった。水蒸気添加ヘリウムパージでは、98%がHTOで放出された。水蒸気及び水素添加ヘリウムでは80%がHTOで放出され、このHTO放出は水蒸気との同位体交換反応により起こると考えられる。乾燥ヘリウムでは、トリチウムはほとんど放出されなかった。水素添加乾燥ヘリウムでは、6070%がHTとして放出され、このHT放出は水素との同位体交換反応により起こると考えられる。水素添加により起こる水分生成反応によって生じた水蒸気とトリチウムが交換反応を起こすため、水素添加ヘリウムでもHTOが放出された。LiTiO表面が水素による還元状態にある場合はHTOの放出は起こりにくかった。LiTiOからのトリチウム放出化学形はパージガス成分に依存し、LiTiO表面状態の影響を強く受けることが明らかになった。
植松 眞理 マリアンヌ; 杉野 和輝; 川島 克之; 岡野 靖; 山路 哲史; 永沼 正行; 大木 繁夫; 大久保 努; 太田 宏一*; 尾形 孝成*; et al.
JAEA-Research 2012-041, 126 Pages, 2013/02
ナトリウム冷却金属燃料炉心はMOX燃料炉心に比べ重金属密度が高く中性子経済が良好である。こうした特徴を活かし、燃料仕様やナトリウムボイド反応度及びバンドル部圧力損失などの炉心設計条件を柔軟に持たせることで、高燃焼度化、増殖比の向上、燃料インベントリの低減などを目指した炉心設計が可能である。また、米国では実炉の装荷燃料として使用してきた経験が豊富であり、その実用性が実証されてきていることから、高速増殖炉サイクル実用化研究開発(FaCT)のなかで、MOX燃料炉心に続く副概念として概念検討が実施されている。一方、金属燃料サイクルの実用化に向けては、金属燃料の高温・高燃焼度条件における照射試験やマイナーアクチニド・希土類含有燃料の物性などのデータ拡充や、金属燃料炉心特有の安全特性の確認、過渡時解析手法の信頼性向上などの課題が残されている。本報では平成21年度から平成24年度に実施した日本原子力研究開発機構と電力中央研究所による共同研究「金属燃料高速炉の炉心・燃料設計に関する研究」の結果について報告する。
立松 研二
JAEA-Research 2012-042, 45 Pages, 2013/03
原子力発電の利用規模及び二酸化炭素の排出抑制基準が異なる6種類のエネルギー需給シナリオを想定し、MARKALモデルを使用して、我が国を対象とした長期エネルギー需給を分析した。その結果、我が国全体及び発電部門における二酸化炭素排出量は、原子力発電を利用しない場合でも2050年において1990年の水準から、それぞれ37%及び47%の削減が可能であるが、一方で、原子力発電を段階的に廃止し、再生可能エネルギー及び天然ガスで代替した場合では、原子力発電や石炭の利用を継続した場合と比べて、平均発電単価が3.7円/kWh以上高いことが明らかになった。また、原子力発電を即時停止した場合では、現状の平均発電単価が4.4円/kWh上昇することも示された。発電部門におけるエネルギー源の多様性、二酸化炭素排出量及び平均発電単価を指標としたマッピングによる視覚化方法を新たに提案し、モデル分析の結果に基づいて、電源構成の変化による平均発電単価及び二酸化炭素排出量への影響を整理した結果、原子力発電を再生可能エネルギー、天然ガス又は石炭のいずれで代替した場合においても、原子力発電の全廃によって、エネルギー源の寡占化が大幅に進むことが明らかになった。これらの結果は、一定規模の原子力発電の利用を継続することにより、エネルギー源の寡占化を回避し、平均発電単価の大幅な上昇を抑えながら、二酸化炭素排出量を低減できることを示すものである。
下茂 道人*; 熊本 創*; 露口 耕治; 尾上 博則; 三枝 博光; 水野 崇; 大山 卓也
JAEA-Research 2012-043, 98 Pages, 2013/03
本研究では、超深地層研究所計画における地下水流動場の把握を目的とした水理地質構造のモデル化及び地下水流動解析技術の高度化に関する研究開発の一環として、サイトスケール(研究所用地周辺を含む2km四方の領域)に着目し、それを包含するローカルスケール(研究所用地周辺を含む約9km四方の領域)を対象とした水理地質構造モデルの構築及び地下水流動解析を実施した。モデル化・解析の結果、研究坑道の掘削に伴う湧水量や周辺の地下水流動場に影響を与える水理地質構造の推定及び深度1,000mまでの研究坑道の掘削に伴う湧水量や周辺地下水位の低下量を予測することができた。また、研究坑道掘削時のグラウトが周辺の地下水流動場の変化に与える影響の程度を解析的に把握することができた。さらに、研究坑道掘削が地下水の水質分布に与える影響の程度を把握することができた。
Ochs, M.*; 舘 幸男; Trudel, D.*; 陶山 忠宏*
JAEA-Research 2012-044, 130 Pages, 2013/03
地層処分性能評価における信頼性の高いパラメータ設定に資するため、原子力機構では具体的な地質環境条件に対する収着パラメータ(Kd)の設定手法の開発を進めている。この設定において、実験条件から性能評価条件におけるKdを評価するため、専門家の判断、半定量的推定手法、熱力学的収着モデルといった条件変換手法が重要となる。本報告では、半定量的推定手法、熱力学的収着モデルを用いたKd設定と不確実性評価を、具体的な設定を試行しつつ検討した。対象とした系は、複数の幌延泥岩環境に対するCs, Ni, Am, Thの4核種のKd設定である。本検討を通じ、実際の環境条件に対する分配係数設定手法を提示することができ、同時に、既存のデータや現象理解に関する重要な課題を抽出することができた。さらに、これら分配係数設定手法を、花崗岩など他の岩種に適用する際の課題についても議論された。