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報告書

ナノインデンテーション法によるLOCA模擬試験後ジルカロイ被覆管の機械特性評価(共同研究)

垣内 一雄; 宇田川 豊; 山内 紹裕*

JAEA-Research 2022-001, 21 Pages, 2022/06

JAEA-Research-2022-001.pdf:1.84MB

冷却材喪失事故(LOCA)時想定される被覆管脆化の主たる要因は、高温酸化に伴う金属層中酸素濃度の増大とこれに起因する微細組織の変化である。被覆管が破裂した場合には、燃料棒内に侵入した水蒸気によって生じる被覆管内面の酸化及びこれに伴う燃料棒内水素分圧の上昇の結果、破裂開口部からやや離れた軸方向位置で局所的な水素吸収が起こり(二次水素化)、二次水素化部では水素脆化による延性低下も重畳する。これら微細組織の変化がLOCA条件下における燃料棒の機械特性に及ぼす影響をより詳細かつ定量的に把握するため、LOCA模擬試験後試料の破裂開口部及び二次水素化部の延性評価にナノインデンテーション法を適用した。硬さやヤング率に加えて、押込み荷重-変位曲線から算出される塑性仕事割合を評価したところ、二次水素化部の金属層(prior-$$beta$$相)における塑性仕事割合は、被覆管外周のZrO$$_{2}$$層と$$alpha$$-Zr(O)層に近い水準であり、破裂開口部に比べて酸素濃度が低いにもかかわらず、水素の影響により有意に延性が低下していることが示唆された。

報告書

S波スプリッティング解析を用いたスラブ起源流体の移行経路推定の試み

平塚 晋也; 浅森 浩一; 雑賀 敦

JAEA-Research 2022-002, 38 Pages, 2022/06

JAEA-Research-2022-002.pdf:4.49MB

日本列島の下に沈み込むスラブから脱水して上昇してくる深部流体は、高温かつ炭酸化学種に富むなどの特徴を有することから、その特徴や分布、地表への移行経路を把握することは高レベル放射性廃棄物の地層処分における調査・評価においても重要である。これらスラブ起源流体の移行経路としては、クラックが高密度に分布する領域が考えられ、こうした領域は周囲に比べてより強い地震波速度の異方性を示すと予想される。異方性媒質に入射したS波は、振動する方向によって異なる速度で伝播するS波偏向異方性を示すため、互いに直交する方向に振動し、異なる速度で伝播する2つの波に分裂するS波スプリッティング現象が生じる。本報告書では、まず、S波スプリッティング解析の原理について詳しく説明する。次に、和歌山県田辺市本宮町周辺を事例対象として、S波スプリッティング解析を行った結果を示す。最後に、先行研究による温泉水及び遊離ガス中に含まれるヘリウム同位体比($$^{3}$$He/$$^{4}$$He)の分布や、本宮地域を横断する測線に沿って行われた二次元比抵抗構造解析の結果との比較に基づき、スラブ起源流体の移行経路の推定を試みた。検討の結果、温泉水及び遊離ガス中に含まれるヘリウム同位体比($$^{3}$$He/$$^{4}$$He)が高く、スラブ起源流体が上昇してきている可能性が高いとみなされる場合は、2つの波に分裂したS波の到達時間差(dt)も大きな値を示す傾向にあることが明らかとなった。また、二次元比抵抗構造解析の結果との比較によれば、高比抵抗領域においては、dtは小さい値を示す。それに対し、低比抵抗領域においては、dtは大きな値を示しており、本宮地域に対してスラブ起源流体は西側の深部から上昇してくるとする先行研究による解釈と調和的であることが分かった。

報告書

地下水と溶存ガスを考慮した三次元二相流解析による掘削影響領域における飽和度分布

宮川 和也; 山本 肇*

JAEA-Research 2022-003, 40 Pages, 2022/05

JAEA-Research-2022-003.pdf:6.08MB

高レベル放射性廃棄物の地層処分場などの大規模地下施設の掘削により、坑道壁面近傍に割れ目を伴う掘削損傷領域が形成され、不飽和な割れ目を通して岩盤内に酸素が侵入し、核種移行の環境条件に影響を及ぼす可能性がある。新第三紀海成堆積層のように、CH$$_{4}$$などの溶存ガスを高濃度で含む地層に坑道が掘削される場合、酸素の侵入は脱ガスしたCH$$_{4}$$の坑道へ向かう流れにより抑制されるものの、不飽和領域における気相拡散を介して促進される可能性が考えられる。本研究では、地下水に多量の溶存CH$$_{4}$$が含まれる環境における地下施設の建設・操業に伴う不飽和領域の三次元分布を推定する手法を例示することを目的として、幌延深地層研究センターの地下施設の坑道掘削の実工程を反映した逐次掘削解析を行い、10年間の気液二相流解析を実施した。地下施設からの地下水とガスの湧出量の解析結果はそれぞれ、2017年1月の時点で約100$$sim$$300m$$^{3}$$ d$$^{-1}$$と250$$sim$$350m$$^{3}$$ d$$^{-1}$$であり、それぞれの観測値(100m$$^{3}$$ d$$^{-1}$$および300m$$^{3}$$ d$$^{-1}$$)と近い値が得られた。飽和度分布の解析結果は、250m調査坑道周辺において相対的に高く、350m調査坑道周辺において相対的に低くなっており、各調査坑道における観測結果と整合的であることが確認された。このことから、地下水の坑道壁面からの排水条件やグラウト影響の取扱方法に関する課題が残るものの、数値計算は概ね妥当であったと判断された。坑道掘削に伴う飽和度分布については、定量的な評価には及ばないものの、定性的な観点では概ね妥当な解析結果が得られた。

報告書

キャビティーリングダウン法による携帯型装置の車載測定に基づくメタン漏出の効率的な検出手法の検討

丹羽 正和; 下茂 道人*; 島田 耕史; 後藤 翠

JAEA-Research 2022-004, 38 Pages, 2022/06

JAEA-Research-2022-004.pdf:2.86MB
JAEA-Research-2022-004-appendix(CD-ROM).zip:0.41MB

地下貯留層の天然ガスは、断層や割れ目に沿った移流によって地表に到達するので、天然ガス資源探査の初期段階においては、地表でのメタンの漏出を検出するための調査がしばしば行われる。一方、沈み込み帯に沿ったスラブの脱水に由来する流体も溶存ガスとしてメタンを豊富に含むことが多いが、これらはしばしば高温、かつ塩分に富むなど特徴的な化学的特徴を有することから、放射性廃棄物の地層処分における重要な評価対象として指摘されている。本研究では、高精度(ppbレベル)かつ短い測定間隔(約1秒)でメタンガス濃度が測定できる波長スキャンキャビティーリングダウン分光法(CRDS法)による携帯型分析装置を採用し、スラブ脱水起源の深部流体の湧出を検出するための車載測定の適用性について検討した。事例対象とした紀伊半島南東部の本宮地域での車載測定では、メタン含有温泉である川湯温泉および湯の峰温泉において、バックグラウンド濃度を超える明らかなメタンアノマリ($$>$$2ppm)が検出された。ガウスプルームモデルに基づく大気中のメタン拡散の推定結果は、車載測定の結果と調和的である。本研究で適用したCRDS法による車載測定は、資源探査などにおいて、地表でのメタン漏出を迅速かつ容易に特定するのに有効な手法となる可能性がある。本報告書では、車載測定の実施事例に加え、測定装置の使用方法についても併せて取りまとめた。

報告書

研削により測定した天然交差亀裂を含む50cmスケールの岩体中の亀裂の形状特性

鐵 桂一*; 高山 裕介; 澤田 淳

JAEA-Research 2022-005, 84 Pages, 2022/08

JAEA-Research-2022-005.pdf:10.32MB
JAEA-Research-2022-005-appendix(CD-ROM).zip:35.68MB

高レベル放射性廃棄物の地層処分における安全性の評価として、核種移行の評価が行われている。亀裂性岩盤を対象とした核種移行評価では、亀裂を平行平板で近似した解析モデルが主に使われている。しかし実際の岩盤中の亀裂は平行平板とは異なり、亀裂表面の粗さや亀裂内の充填物等の存在などの複雑な形状を呈している。このように不均質な形状を持つ亀裂を平行平板のモデルに近似するにあたり、透水量係数や亀裂開口幅などのパラメータ値をどのように設定するかが課題となっている。このような課題の解決策のひとつとして、実際の岩盤中の亀裂の幾何学的な特徴を調査することが挙げられる。本研究では、交差亀裂を含む亀裂の幾何学的な特徴の理解を目的とし、天然の交差亀裂を有する50cmスケールの花崗閃緑岩に対して平面研削する手法を用い、内部の亀裂形状を詳細に測定した。これより亀裂の亀裂幅(亀裂内の充填物を含む亀裂表面間の距離)、亀裂開口幅(亀裂内の充填物を含まない空隙のみの幅)、亀裂表面の形状(亀裂幅と亀裂幅の位置座標より算出した亀裂表面の位置座標)を取得した。また得られたデータより、亀裂幅の平均値や亀裂表面の粗さ、亀裂開口幅の分布などの特性を評価した。その結果、亀裂交差部近傍の亀裂の一つが、亀裂交差部を含む他の亀裂部に比べ亀裂幅、亀裂開口幅が特に大きいことが確認できた。これらのことから、本研究で用いた岩体試料では、最も透水性の高い透水経路は亀裂交差部そのものではなく、亀裂交差部近傍の亀裂開口幅が特に大きい特定の亀裂であると推測した。

報告書

原子力施設耐震設計における福島・茨城県境を震源とする長周期地震動評価の高度化研究

桐田 史生; 冨永 昌宏; 山崎 敏彦; 瀬下 和芳; 瓜生 満

JAEA-Research 2022-006, 61 Pages, 2023/02

JAEA-Research-2022-006.pdf:6.24MB

核燃料サイクル工学研究所(以下、サイクル研)では、1990年代より地震観測を行っている。内陸地殻内地震について、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(以下、3.11地震)までは、茨城県北部$$sim$$福島県において発生頻度が低い状況であったが、3.11地震後、この地域で余震が頻発するようになり、福島県浜通り付近で発生した地震(2011年4月11日福島県浜通りの地震等)では、サイクル研の地震観測記録に顕著な長周期成分が観測された。この地震の震源付近の観測地点の記録には長周期成分は含まれておらず、サイクル研までの伝搬過程で、長周期成分が生成されたものと考えられる。敷地周辺の地下構造探査結果から深部の地震基盤には、盆地状構造が確認されており、この基盤形状を起因とした長周期成分の生成と評価した。原子力施設の耐震設計に用いる地震動評価では、敷地で得られた観測記録を要素地震に用いた経験的グリーン関数法により評価を行っており、サイクル研の観測記録を要素地震に用いて地震動評価を行った場合、震源ではわずかな長周期成分を伝搬過程で増幅したものを震源に戻し波形合成することとなり、長周期成分が過度に増幅される結果となる。このため本検討では、地震動の長周期成分の評価を精緻化するために、震源及び敷地周辺を含む広域の深部地盤の形状を反映できる三次元地盤構造モデルによる地震動評価を実施した。モデルは、浜通り地震の震源域付近から茨城県北部沿岸域を範囲(幅約80km$$times$$長さ約110km)とし、本研究における長周期地震動評価を適切に行えるよう2秒以上の周期帯の精度を担保するようなメッシュサイズを調整した。三次元地盤構造モデル構築にあたっては、複数の観測記録や震源モデルを用いて、最適な三次元地盤構造モデルを作成し、複数の地震のシミュレーション解析、分析等を行い、その適切性、有用性を確認した。これらの研究成果を実際の許認可業務の基礎資料として活用した。

報告書

Experimental and numerical study on energy separation in vortex tube with a hollow helical fin (Joint research)

呉田 昌俊; 山形 洋司*; 宮腰 賢*; 増井 達也*; 三浦 義明*; 高橋 一憲*

JAEA-Research 2022-007, 28 Pages, 2022/09

JAEA-Research-2022-007.pdf:8.17MB

ボルテックスチューブにおけるエネルギー分離を促進するために、新たに設計した中空螺旋状フィンを管内に挿入した。本報では、3種類の管を用いて、フィンがエネルギー分離に及ぼす影響を実験的に調べ、次に、数値流体力学(CFD)シミュレーションを行い、実験結果と中空螺旋状フィン付き管内の流動構造との関係を研究した。実験データから、フィンがエネルギー分離を促進し、管長を短くできることがわかった。入口空気圧が0.5MPaのとき、入口から出口までの最大温度差は62.2$$^{circ}$$Cであった。レイノルズ応力モデル(RSM)乱流モデルを組み込んだCFDコードを用いて流体解析をした結果、フィン無とフィン有の場合とで淀み点の位置が大きく変わり、流動構造が全く異なることを確認した。中空螺旋状フィンによって、低温側フィン端と淀み点との間に小さな循環渦構造を持つ強い反転渦流が形成され、乱流運動エネルギーが大きな領域が生成されることによってエネルギー分離が促進されたと考えられる。

報告書

軟X線領域のXAFS測定によるホウケイ酸ガラスの構造評価,2(共同研究)

永井 崇之; 岡本 芳浩; 山岸 弘奈*; 小島 一男*; 猪瀬 毅彦*; 佐藤 誠一*; 畠山 清司*

JAEA-Research 2022-008, 37 Pages, 2022/10

JAEA-Research-2022-008.pdf:5.27MB

ホウケイ酸ガラス中のガラス成分や廃棄物成分の局所構造は、その化学組成によって変化する。本研究は、原料ガラスや模擬廃棄物ガラスを対象に軟X線領域のXAFS測定を実施し、原料ガラス成分のホウ素(B)やケイ素(Si)、廃棄物成分の鉄(Fe)やセシウム(Cs)の化学的状態等を評価した。模擬廃棄物ガラスの化学的安定性を把握するため、浸出試験に供した模擬廃棄物ガラス表面を対象に、FeのL$$_{3}$$、L$$_{2}$$吸収端及びCsのM$$_{5}$$、M$$_{4}$$吸収端XANESスペクトルを測定した。その結果、浸出時間の経過とともにガラス試料重量の減少や浸出液中の溶出元素濃度の増加が確認された状況と同様、CsのM$$_{5}$$、M$$_{4}$$吸収端XANESスペクトルが消失し、FeのL$$_{3}$$、L$$_{2}$$吸収端スペクトル形状が変化することを確認した。また、浸出試験後の模擬廃棄物ガラスは、ラマン分光測定でも観察されたように表面に化合物層を形成するため、明瞭なBのK吸収端XANESスペクトルは得られないことが分かった。Na$$_{2}$$O濃度によるSi局所構造への影響を確認するため、Na$$_{2}$$O濃度が異なる原料ガラスを対象に、全電子収量法(PEY)でSiのK吸収端XANESスペクトルを測定した。その結果、Na$$_{2}$$O濃度が高くなるとSiのK吸収端ピークエネルギーは低下し、7wt%Na$$_{2}$$O前後でピーク強度が高くなることを確認した。

報告書

先進ループ型ナトリウム冷却高速炉の炉心出口部における高サイクル熱疲労の防止に関する実験研究; 炉上部構造下部における温度変動の特徴と温度変動緩和方策

小林 順; 相澤 康介; 江連 俊樹; 長澤 一嘉*; 栗原 成計; 田中 正暁

JAEA-Research 2022-009, 125 Pages, 2023/01

JAEA-Research-2022-009.pdf:29.22MB

先進ループ型ナトリウム冷却高速炉の設計研究が日本原子力研究開発機構で実施されてきた。炉心出口部では、燃料集合体からの高温ナトリウムが制御棒チャンネルや径ブランケット集合体からの低温ナトリウムと混合するために温度変動が生じる。この温度変動によって、炉心上部に位置する炉内構造物の底部周辺に高サイクルの熱疲労が引き起こされる可能性がある。このため、先進ループ型ナトリウム冷却炉の上部プレナムを1/3スケール60度セクタで模擬した試験体を使用した水実験を実施し、炉内構造物の下部で発生する大きな温度変動への対策を検討した。本報告では、炉内構造物下部で発生する温度変動を緩和させる対策構造の効果について確認するとともに、対策構造のRe数依存性や制御棒表面における温度変動の特徴など、得られた知見についてまとめた。

報告書

令和3年度福島県近沿岸海域等における放射性物質等の状況調査

御園生 敏治; 中西 貴宏; 眞田 幸尚; 尻引 武彦; 卜部 嘉*; 鶴田 忠彦

JAEA-Research 2022-010, 134 Pages, 2023/02

JAEA-Research-2022-010.pdf:8.45MB

東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所(1F)の事故が発生し、多量の放射性物質が1F周辺に沈着した。日本原子力研究開発機構では、事故後、放射性物質の動態研究を継続して実施している。本報告書は、令和3年度における、近沿岸海域等における放射性物質の状況調査を実施した成果をまとめたものである。具体的には、福島沿岸域57地点において柱状試料を採取し、海底土への放射性セシウムの蓄積状況を示した。さらに海底地形・海底土分布調査を実施し、地形と堆積物の分布状況を把握した。また、河川前面における海底土表層の放射性セシウム濃度の水平分布を計測した。放射性物質の水産物への影響の基礎情報として、魚類の分布状況を調査した。さらに、無人観測船を使用した採水及び採泥の実証試験を実施した。得られた結果より1F前面海域における海底土に含まれる放射性物質の分布と動態について推定を行った。

報告書

再処理施設の高レベル廃液貯槽蒸発乾固事故解析のための廃液沸騰模擬計算プログラム; SHAWEDの整備

吉田 一雄; 玉置 等史; 桧山 美奈*

JAEA-Research 2022-011, 37 Pages, 2022/12

JAEA-Research-2022-011.pdf:2.88MB

再処理施設の過酷事故の一つとして高レベル放射性廃液貯槽の冷却機能喪失による蒸発乾固事故が想定される。再処理廃液の沸騰段階での放射性物質の気相部への移行のメカニズムは、沸騰によって生成される飛沫のうち比較的小さい粒径の液滴のエアロゾル化と、揮発性化学種の温度上昇に伴う気化である。気相に移行した放射性物質は、沸騰により発生する硝酸-水混合蒸気や硝酸塩の熱分解による脱硝反応で生じるNO$$_{2}$$などとともに貯槽から流出し、施設内を移行し一部は施設外に放出されると想定される。当該事故で生じるこれらの諸事象は、すべて貯槽内の廃液の沸騰を起源とするため、それによって生じるリスクを精度良く評価するには、汎用性のある計算プログラムを用いた貯槽内の熱水力的及び化学的挙動の定量的な模擬が不可欠である。これを目的として再処理廃液の沸騰を模擬する計算プログラム: SHAWED ($$underline{rm S}$$imulation of $$underline{rm H}$$igh-level radio$$underline{rm A}$$ctive $$underline{rm W}$$aste $$underline{rm E}$$vaporation and $$underline{rm D}$$ryness)を開発した。本報では、当該事故のリスク評価に資するために、模擬対象とする事象の特徴をもとに沸騰及びそれに伴う諸事象の模擬に必要な主要な解析モデルを説明するとともに、具体的な模擬事例を示す。

報告書

国内軽水型原子炉圧力容器を対象とした確率論的破壊力学に基づく健全性評価に関する標準的解析要領

Lu, K.; 勝山 仁哉; 高見澤 悠; Li, Y.

JAEA-Research 2022-012, 39 Pages, 2023/02

JAEA-Research-2022-012.pdf:1.72MB

供用年数の増加に伴い、発電用軽水型原子炉圧力容器(RPV)では炉心からの中性子照射により破壊靭性が低下する、いわゆる中性子照射脆化が生じる。国内では、RPVの非延性破壊を防止するため、この中性子照射脆化や、健全性評価上最も厳しい事象の1つである加圧熱衝撃事象(PTS)を考慮して、日本電気協会規程等に基づく決定論的手法により健全性評価が行われている。一方、欧米においては、近年確率論的手法の規制への導入が進んでいる。例えば米国では、PTS評価において、確率論的手法に基づく関連温度に関するスクリーニング基準が規定されており、またそのスクリーニング基準を満足しない場合には確率論的手法に基づく亀裂貫通頻度(TWCF)を指標とした評価の実施が認められている。また、供用期間中検査の試験程度や検査間隔の緩和の検討等にも確率論的手法が適用されている。ここで、確率論的手法とは具体的には確率論的破壊力学(PFM)に基づく健全性評価手法であり、長期供用に伴う機器の経年劣化に関連する様々な因子の不確実さ等を考慮して、合理的に機器の破損確率や破損頻度等を算出できる方法である。こうした背景を踏まえ、国内のRPVに対するPFMに基づく健全性評価の実施を念頭に、国内外の最新知見や専門家の意見等を反映するとともに、主として加圧水型原子炉のRPVを対象に開発が進められたPFM解析コードPASCALの整備、及びPASCALによる感度解析等により得られた知見を取りまとめて、2017年に標準的解析要領を整備し、JAEA-Research2016-022として公開した。この標準的解析要領では、破壊力学に関する知識を有する解析担当者がこれを参照することでPFM解析を実施し、TWCF等の確率論的数値指標を算出できることを目的としている。2017年以降、PFMに基づく健全性評価の更なる実用化に向けて、日本原子力研究開発機構において、沸騰水型原子炉のRPVに対するPFM解析を可能にするため、PASCALの機能を拡充するとともに、標準的解析要領の充実化を図った。本報告はその成果をまとめたものである。本報告は、以下の5つの章で構成される。まず第1章で、本報告の背景及び概要について述べる。次に第2章で、標準的解析要領の枠組みと対象範囲について述べた後、第3章にて標準的解析要領の詳細について記述する。PASCALに対する信頼性確認事例についても同章で記す。第4章では、標準的解析要領を満足し、国内の現状の代表的事例として適切と考えられる手法

報告書

熱-水-応力-化学連成解析モデルを用いた海水系地下水環境下における緩衝材の浸潤挙動評価(受託研究)

鈴木 英明*; 高山 裕介; 佐藤 久*; 綿引 孝宜*; 佐藤 大介*

JAEA-Research 2022-013, 41 Pages, 2023/03

JAEA-Research-2022-013.pdf:3.99MB

高レベル放射性廃棄物の地層処分における過渡期のニアフィールド状態は、熱的作用(熱輸送、熱膨張)、水理的作用(地下水浸透、温度勾配による水分移動)、力学的作用(応力変形、膨潤圧の発生)および化学的作用(物質移行、間隙水の濃縮希釈、鉱物の溶解沈澱など)などが相互に影響を及ぼし合って変化する複合的な現象が生じると考えられている。このような過渡期における複雑なニアフィールド環境を把握することを始めとして、安全評価における核種移行の初期状態の設定や、オーバーパックの腐食寿命評価に必要となるニアフィールド環境条件に関する情報の提供を目的として、熱-水-応力-化学(THMC)連成解析コード(Couplys)の開発が進められてきている。本研究では、海水系地下水環境下におけるニアフィールドの再冠水挙動の評価を適切に行うため、海水系地下水を想定した溶液を緩衝材材料に浸潤させた室内試験結果に基づき、不飽和浸透流解析と物質移行解析および地球化学解析を連成させる手法により、緩衝材の透水性が間隙水中の塩濃度に依存して変化するとした水理モデルを設定した。また、廃棄体の発熱によってオーバーパック近傍で緩衝材の水分が低下し乾燥する現象について、気液二相流解析コード(TOUGH2)を用いて、廃棄体の発熱を想定した人工バリア体系での気相の流れと水蒸気量の勾配によって生じる水蒸気移動を含む緩衝材の浸潤挙動評価を実施した。そして、得られた浸潤プロファイルに基づき、温度および間隙水飽和度の依存性を考慮した温度勾配による水分移動モデルの設定を行った。さらに、これら設定したモデルをCouplysに適用し、幌延深地層研究計画に基づき実施された人工バリア性能確認試験を対象とした解析評価を実施した。そして、原位置で計測された緩衝材の浸潤挙動に関するデータとの比較を通じてモデルの適切性を確認した。

報告書

ラマン分光測定による模擬廃棄物ガラス凝固表面の構造評価

永井 崇之

JAEA-Research 2022-014, 84 Pages, 2023/02

JAEA-Research-2022-014.pdf:22.26MB

物性評価に供する模擬ガラス固化体試料の多くは、溶融ガラスを室温まで徐冷したガラス塊から測定手法に適した形状に加工しているが、実際のガラス固化体は、溶融炉から流下したガラスをキャニスター内で冷却凝固させる。そこで、溶融状態の模擬廃棄物ガラスを凝固させた表面を深さ方向にラマン分光測定し、凝固表面近傍のSi-O架橋組織の状況を評価した。溶融した模擬廃棄物ガラスカレットを大気下で凝固させたガラス表面近傍のラマンスペクトルは、表面からの深さ方向に対して変化し、スペクトル解析の結果、ガラス凝固表面のSi-O架橋組織は架橋酸素数の少ない構造の割合が高くなる傾向が認められた。一方、原料に用いたガラスカレットやArガス雰囲気で凝固させたガラス表面は深さ方向に対するスペクトル変化は小さく、ガラス表面近傍のSi-O架橋組織はほぼ同等であった。また、ガラス切断面も深さ方向に対するスペクトル変化は小さく、破損したガラス破断面も深さ方向に対するスペクトルの変化が小さいことを確認した。表面近傍の深さ方向に対するラマンスペクトル変化が大きいガラスは、大気雰囲気のマッフル炉内で溶融状態から室温まで冷却したガラスであり、溶融状態から凝固するまでの時間が長いほど深さ方向に対するスペクトル変化が大きくなると考えられる。ガラス凝固表面でSi-O架橋組織の架橋酸素数が少ない構造の割合が高くなる理由を確認するため、凝固表面と切断面を対象にSiのK吸収端及びCeのL$$_{3}$$吸収端をXAFS測定した。その結果、凝固表面のSiのK吸収端ピークが切断面のピークより高く、凝固する過程で表面近傍にアルカリ金属酸化物の濃度が高まる可能性が認められた。また、凝固表面と切断面のCeのL$$_{3}$$吸収端XAFSスペクトルを比較すると、凝固表面近傍のCeが切断面より4価状態にあることを確認した。

報告書

SPring-8 JAEA専用ビームラインBL22XUの設計

塩飽 秀啓; 丸下 元治*

JAEA-Research 2022-015, 39 Pages, 2023/05

JAEA-Research-2022-015.pdf:2.74MB

大型放射光施設SPring-8日本原子力研究所専用ビームライン(現在は、日本原子力研究開発機構(JAEA)専用ビームライン)である硬X線アンジュレータビームラインBL22XUの設計を行った。BL22XUは、主に放射性廃棄物処理に係る分離抽出材の設計及び化学的挙動解明を行うためのXAFS(X-ray Absorption Fine Structure)解析実験、回折計を用いた磁性研究実験、高圧プレスやダイヤモンドアンビルセルを用いた極限環境下実験等を行うためのビームラインである。利用可能なX線エネルギー範囲を3$$sim$$70keVに設定した。ビームラインの光学系を設計するために、ミラーの反射率、分光結晶の回折幅、Be窓材の吸収率等を計算した。また、光線追跡を行い、各光学素子の材料、寸法、設置場所等を最適化した。さらに、放射性物質利用上の安全確保のため音響遅延管ADL(Acoustic Delay Line)の遅延時間についても検討を行った。BL22XU「重元素科学研究I」は、2002年にビームラインの建設を終え、立ち上げ調整期間を経て、既に運用している。軟X線アンジュレータを光源とするもう一つのJAEA専用ビームラインBL23SU「重元素化科学究II」と共に、2つのビームラインを相補的に利用することによって、原子力科学が直面する多くの問題を解決する放射光ビームラインとして発展することが期待されている。2018年から2019年に分光器の高度化を実施したため、ビームライン建設当時の設計、特徴と性能を改めてここに記録することとした。

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