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小澤 達也; 前田 敏克; 水野 大; 馬場 恒孝; 中山 真一; 堀田 克敏*
JAEA-Technology 2006-001, 11 Pages, 2006/02
TRU廃棄物のうち、金属や非金属といった不燃性の雑固体廃棄物を対象とした処理方法の一つとして、溶融固化処理法が有望視されている。TRU廃棄物のうち、フィルタや金属類については、その仕様から概略の組成を把握することが比較的容易であり、溶融時における組成調整が可能である。しかし、焼却灰の組成は焼却対象物や焼却条件などに依存するため、組成調整が困難である。そこで、TRU廃棄物に区分される焼却灰を単独で溶融固化処理する可能性について検討するため、原子力施設から発生した焼却灰組成を参考として模擬焼却灰を調合し、溶融固化試験を実施した。その結果、いずれの試料についても、大きな気泡や分相が存在せず、割れのない固化体が得られること、並びに焼却灰の組成によっては難溶性の析出物が生成するものの、その分布は一様で均質な固化体となることを確認した。これらの結果から、焼却灰を単独で溶融固化することにより、核種閉じ込め性能の評価が可能な均質な固化体とすることが可能であり、その固化体には耐浸出性についても優れた性能を期待できるとの見通しを得た。
土谷 邦彦; 河村 弘; 中道 勝
JAEA-Technology 2006-002, 36 Pages, 2006/02
日本が提案しているトリチウム増殖ブランケットは、直径1mm程度の微小球形状のトリチウム増殖材料及び中性子増倍材料を多層に充填した構造を有している。このため、微小球の製造調査及びその基本的特性評価を行うことが、材料選定のために必要不可欠である。なお、微小球形状のトリチウム増殖材料の製法としては、押出し造粒法,機械プレス法,転動造粒法,湿式造粒法等が考えられている。本報告書は、セラミック微小球の一般的製造法として最も実績が多いこと、比較的高密度で少量の微小球製造が容易である転動造粒法に着目し、LiZrO微小球製造試験を行い、本法で製造したLiZrO微小球の基本的特性結果をまとめたものである。
井田 瑞穂; 中村 博雄; 山村 外志夫*; 杉本 昌義
JAEA-Technology 2006-003, 89 Pages, 2006/02
国際核融合材料照射施設(IFMIF)ターゲット系ループでは、ビーム入射時の沸騰を防止するために液体リチウムは250C程度の低温で循環される。しかしながら、それに先立つ装荷時に液体リチウムが凝固しないようにターゲットアセンブリの温度を200C程度以上に維持することが必要である。このターゲットアセンブリが設置されるテストセル室の条件としては真空,アルゴン又はヘリウム雰囲気が考えられている。また、ターゲットアセンブリの背面壁はリチウム融点(180C)より低い外壁温度を有する垂直型テストアセンブリに近接している。そこで、このような条件下で要求されるターゲットアセンブリ保温構造仕様を定めるための熱解析を行った。その結果、セラミックファイバー製の保温層よりもステンレス鋼製の熱遮蔽体のほうがコンパクトであること,真空条件ではその輻射率を0.05以下にすることにより熱遮蔽板の数は5枚で十分であることが明らかになった。また、保温構造体が施工できない背面壁の場合、真空条件では機器の輻射率を0.1以下にすること、及びヘリウム条件では背面壁に9kWのヒーターを取り付けることによって要求を満たすことを明らかにした。
勝山 幸三; 豊田 裕昌*; 永峯 剛
JAEA-Technology 2006-004, 30 Pages, 2006/02
高速炉燃料の被覆管は、高温,高速中性子下で照射され、その使用期間にわたって健全性を確保する必要がある。このためには被覆管の寿命予測が不可欠であり、特に熱過渡時の被覆管破損限界を見極める必要がある。本研究では、高速炉で照射した燃料ピンを対象とした熱過渡試験装置のホットセルでの実現性等について検討するとともに、実際に装置の実現性を見極めるためにモックアップ試験を実施した。その結果、本装置の加熱系には、高周波誘導加熱方式が最も有望であり、これにより加熱系を水冷却することなく、炉内を想定した燃料ピンの軸方向温度分布が再現できる見通しが得られた。さらにモックアップ試験結果から、加熱系に冷却機構を付加しない状況においても、急速加熱試験により被覆管表面の温度が最高で1100Cまで到達することを確認した。また、被覆管表面温度を850Cの一定にして、1時間保持する高温保持試験も可能であることが確認できた。
栃尾 大輔; 渡辺 周二; 七種 明雄; 小山 直; 根本 隆弘; 濱本 真平; 篠原 正憲; 磯崎 実; 中川 繁昭
JAEA-Technology 2006-005, 83 Pages, 2006/02
定格熱出力30MWの高温工学試験研究炉(HTTR)では、原子炉で発生した熱を主冷却系を構成する加圧水冷却器,中間熱交換器による熱交換を経て、最終的に加圧水空気冷却器により大気に放散している。HTTRの主冷却系熱交換器は原子炉出口冷却材温度850C/950Cの条件下で原子炉で発生した30MWの除熱を行うための伝熱性能を有していなければいけない。本報では、HTTRにおいてこれまで実施してきた出力上昇試験,供用運転のデータから、主冷却系に設置されている熱交換器のうちの2次加圧水冷却器(SPWC)について伝熱性能を評価した。また、設計時におけるSPWCの伝熱性能との比較を行い、SPWCが設計時に要求された伝熱性能を有していることを確認した。
佐藤 和義; 橋本 正義*; 永松 伸英*; 薬研地 彰; 関谷 重樹*; 高橋 英雄*; 本橋 啓一*; 荻野 俊治*; 片岡 敬博*; 大橋 祐則*; et al.
JAEA-Technology 2006-006, 587 Pages, 2006/03
本報告書は、ITER施設の国内誘致に備え、その中心的な役割を担うトカマク建家内の配置について検討した結果をまとめたものである。配置計画を策定するにあたり、非サイト依存設計で主要機器を中心に設計がなされている最終設計報告書をもとに、サイトに適合できるようITERを構成する設備を系統立てて分類するとともに補足設計が必要と思われる箇所について検討を行った。また、国内立地にあたり、日本の安全確保の考え方に適合した安全確保上評価が必要な項目について追加の検討を行った。その結果、トカマク建家とホットセル建家を複合化し一体として免震建家とすることを新たに提案し、建設から運転を通した人・機器の動線や保全計画についても併せて考慮した配置計画案を作成した。本配置案は、最終的にはITER国際事業体にて決められるべきものであるが、建設時のベースとなる基本設計の有力な候補に位置付けられるものと考える。
西沢 英俊; 深谷 洋行; 薗田 暁; 坂爪 克則; 清水 香織; 芳賀 孝久; 境 裕*; 圷 英之*; 新妻 泰; 井上 猛; et al.
JAEA-Technology 2006-007, 24 Pages, 2006/03
燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)の分析設備では、定常臨界実験装置(STACY),過渡臨界実験装置(TRACY)及び燃料調製設備の運転にあたって、STACY及びTRACYの溶液燃料である硝酸ウラニル溶液に関する分析を実施している。平成16年度は、STACY及びTRACYにおける臨界実験前後の硝酸ウラニル溶液の性状分析,硝酸ウラニル溶液調整のための分析を行うとともに、核燃料物質の計量管理のための硝酸ウラニル溶液の分析も行った。また、MOX燃料溶解液からのウラン(U)/プルトニウム(Pu)の抽出分離試験で発生した抽出廃液の処理にかかわる分析を行った。平成16年度における総分析試料数は、160試料であった。本報告書は、平成16年度に実施した分析等の業務についてまとめたものである。
中野 政尚; 小沼 利光*; 竹安 正則; 武石 稔
JAEA-Technology 2006-008, 26 Pages, 2006/03
日本原子力研究開発機構東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所では、昭和30年代(原子燃料公社,動力炉・核燃料開発事業団,核燃料サイクル開発機構)から、気象観測を継続して実施している。昭和49年には、再処理施設からの大気放出される放射性廃棄物の環境影響評価に使用する目的で、気象観測塔を設置した。昭和52年のホット試験以降は、観測データを大気拡散計算など用いてきている。本報告書は、1996年8月に報告された「大気拡散計算に関連する気象観測データの解析(PNC TN8420 96-017)」以降、1995年(平成7年)から2004年(平成16年)までの10年間に実施した大気拡散計算に関連する気象統計結果を取りまとめるとともに、気象要因に関連する大気拡散の特性について考察したものである。
岩井 孝; 菊地 啓修; 荒井 康夫
JAEA-Technology 2006-009, 31 Pages, 2006/03
日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター(旧日本原子力研究所大洗研究所)の燃料研究棟101号室(調製室)に設置されていた金相観察用のグローブボックス121-D及び122-Dの2台は、設置後27年間使用してきた。新しい研究テーマに着手するにあたり、同スペースに新たな研究設備を装備したグローブボックスの設置を計画し、当グローブボックスを解体撤去することとした。本報告書は、グローブボックス解体撤去作業における、技術的知見,評価及び作業内容をまとめたものである。
小野澤 淳; 原田 晃男; 本田 順一; 安田 良; 仲田 祐仁; 金沢 浩之; 西野 泰治
JAEA-Technology 2006-010, 19 Pages, 2006/03
スウェーデン・スタズビック社によって開発された反射電子像法は、走査型電子顕微鏡によって撮影された反射電子像(BEI)によりジルカロイ被覆管中の水素化物を同定し、母材と水素化物の面積比から水素濃度を評価する手法であり、被覆管中の局所的な水素濃度測定に対して非常に有効な手法である。このBEI法を照射後試験に適用するにあたり、試料調製法とBEI撮影条件,画像解析手法について改良を行った。また、改良BEI法の有効性を確認するため、未照射試料を用いて高温抽出法と比較を行った結果、本手法が高温抽出法による水素濃度測定と同程度の信頼性を持つことが確認できたため、照射後試験への適用性についても期待ができる。
林 光二; 大橋 弘史; 稲葉 良知; 加藤 道雄; 会田 秀樹; 森崎 徳浩; 武田 哲明; 西原 哲夫; 高田 昌二; 稲垣 嘉之
JAEA-Technology 2006-011, 132 Pages, 2006/03
本報告は、HTTR水素製造実規模単一反応管試験装置の平成14年度試験運転について述べたものである。平成14年5月に試験装置の改修工事を実施した。平成14年6月から第2回試験運転を実施し、改修部の性能向上を確認した。平成14年7月末から定期点検を実施し、ボイラ設備並びに高圧ガス設備の整備作業と保安検査を終了した。平成14年10月から第3回試験運転を実施し、(a)起動停止試験、(b)プロセス変動試験、(c)化学反応停止試験、並びに(d)改質器特性試験を行った。試験の結果、水蒸気改質器で生じるヘリウムガス温度変動は、蒸気発生器により目標値以内に緩和できることが確認できた。また、平成15年2月に保守点検を実施した。本報告では、これらの試験の概要、結果、保守・点検、並びに運転記録についてまとめた。
林 光二; 森崎 徳浩; 大橋 弘史; 加藤 道雄; 会田 秀樹; 武田 哲明; 西原 哲夫; 稲葉 良知; 高田 昌二; 稲垣 嘉之
JAEA-Technology 2006-012, 98 Pages, 2006/03
本書は、HTTR水素製造実規模単一反応管試験装置の平成15年度試験運転報告である。平成15年5月から第4回試験運転を、また平成15年10月から第5回試験運転を実施し、(a)起動停止試験、(b)プロセス変動試験、(c)水素連続製造試験、(d)化学反応停止試験を行った。その結果、水素製造システムの長期安定性の確認,化学反応停止時における蒸気発生器と放熱器による冷却システムの挙動把握等の成果が得られた。また、平成15年7月末から定期点検を実施し、ボイラ設備並びに高圧ガス設備の整備作業と保安検査を終了した。本報告では、これらの試験の概要、結果、保守・点検、並びに運転記録についてまとめた。
林 光二; 大橋 弘史; 森崎 徳浩; 加藤 道雄; 会田 秀樹; 武田 哲明; 西原 哲夫; 稲葉 良知; 高田 昌二; 稲垣 嘉之
JAEA-Technology 2006-013, 73 Pages, 2006/03
本書は、HTTR水素製造実規模単一反応管試験装置の平成16年度試験運転報告である。平成16年5月に後処理設備の触媒粉塵用フィルタの改修工事を実施した。平成16年6月に第6回試験運転を実施し性能の改善を確認した。平成16年7月に定期検査を実施し、ボイラ設備並びに高圧ガス設備の整備作業と保安検査を終了した。また平成16年10月から第7回試験運転を実施し、化学反応停止試験を行った。その結果、化学反応停止時における蒸気発生器と放熱器による冷却システムの挙動等を確認した。本報告では、これらの試験の概要、結果、保守・点検、並びに運転記録についてまとめた。
高橋 才雄*; 寺田 敦彦
JAEA-Technology 2006-014, 60 Pages, 2006/03
熱化学法ISプロセスにおいては、腐食性の高い硫酸やヨウ化水素水溶液を取り扱うので、温度センサーを溶液中に直接設置することは困難である。このような場合には、構造物の温度を計測することにより、接液する機器の表面温度を推定する逆問題手法が有効である。本報告書では、衝突噴流による冷却を伴う2次元的な円筒体系内の定常温度場を逆問題により解析し、工学的な精度の観点から必要な評価関数の次数を明らかにした。
小川 宏明; 杉江 達夫; 勝沼 淳*; 河西 敏
JAEA-Technology 2006-015, 119 Pages, 2006/03
ダイバータ不純物モニターは、ダイバータ部における不純物,重水素及びトリチウムのスペクトル線の強度分布を測定し、不純物制御及びダイバータプラズマ制御にフィードバックするデータを提供するための計測装置で、昨年度より本システムの設計検討を実施している。光学設計に際しては、製作性と光軸調整用光学系等他の光学系を容易に組込むことができる利点を考慮して、集光光学系を補正レンズと球面鏡を使用したカセグレンテレスコープへ変更することとした。さらに、トロイダル方向の測定視野を拡げて入射光量の増大を図るため、光ファイバー前面にマイクロレンズアレイを設置する構造とした。以上の変更と真空窓有効径(150mm)との整合性を取り、ポート内での有効径を120mmとして光学設計を行った。その結果、各測定視野においてITERで要求されている空間分解能50mmを満たすことができた。さらに、光軸調整機構及びマイクロリトローリフレクターアレイを使用した感度較正機構についても光学設計を行い、プラズマ測定系と組合せ可能な光学系を構築することができた。本システムで使用する検出器の検討を併せて行い、市販されている2次元検出器とデータ収集系を組合せることにより、ITERで要求されている時間分解能を満たす検出系を構築できることがわかった。なお、本研究は、ITER移行措置活動(ITA)の一環として実施したタスクに基づくものである。
菊池 勝美; 秋野 昇; 池田 佳隆; 薄井 勝富; 梅田 尚孝; 大賀 徳道; 河合 視己人; 藻垣 和彦
JAEA-Technology 2006-016, 25 Pages, 2006/03
500keV負イオンNBI加熱装置は1996年からJT-60のプラズマ加熱,電流駆動用に運転してきた。負イオン源は負イオンビームを500keVまで加速する設計であるが、過去10年間の運転では、加速部の絶縁破壊により負イオンビームの加速電圧は400kVに留まっている。今回、絶縁破壊の解明に向けて、ビーム引出のない場合のイオン源の絶縁耐力を調べた。この結果、絶縁破壊がない場合でも、高圧印加を行うとM/e=28を主成分とするガス放出があることが明らかとなった。また絶縁破壊時のガス放出も、同様なガス種成分であった。コンディショニングはガス放出を低減し、その結果、絶縁耐力を改善した。一方、イオン源内部では絶縁破壊がなくても、発光現象が起きる。イオン源の重水素ガス圧を10Paから0.5Paの範囲で制御したところ、発光強度は加速部のガス圧を上げると減少した。絶縁耐力も同様に、重水素ガス圧を上げると改善したことから、絶縁破壊と発光現象には相関があると考えられる。本報告は、ビーム引出がない場合の加速部高圧印加時におけるガス放出と発光現象挙動の初期的な測定結果に関するものである。
大森 順次; 中平 昌隆; 武田 信和; 柴沼 清; 佐郷 ひろみ*; 小野塚 正紀*
JAEA-Technology 2006-017, 134 Pages, 2006/03
核融合実験装置(ITER)の真空容器の製作性を向上させるため、真空容器の外壁と、補強リブあるいはブランケット支持用ハウジングの溶接に、プラグ溶接を適用できる可能性を、プラグ溶接部のクラック進展解析を行って評価した。ITERの真空容器は、内壁と外壁からなる二重壁で構成され、二重壁間にはリブやハウジングが設けられる。真空容器の製作では、内壁にリブとハウジングを溶接した後、これらを外壁と溶接するため、多数の溶接部の位置合わせが必要である。プラグ溶接は、通常の突き合わせ溶接に比べて溶接部の位置ずれを許容することができる。しかしながら、プラグ溶接は溶接部に外壁表面に沿った、非溶け込み部を生ずるので、ITER真空容器製作にプラグ溶接を適用するためには、許容非溶け込み長さを評価する必要がある。評価は、非溶け込み部を保守的に亀裂とみなし、溶接部にかかる荷重条件に対し亀裂進展解析を行って許容非溶け込み長さを求めた。インボード側の代表的直線部と、ハウジングの応力が最大となるインボード側上部曲線部について行った解析の結果、溶接部の非破壊検査による誤差を4.4mmと仮定して、真空容器のリブに許容される初期亀裂長さは8.8mm、ハウジングは38mmとなり、外壁の溶接部にプラグ溶接を適用することができる。
鈴木 崇史; 北村 敏勝; 甲 昭二; 外川 織彦; 木下 尚喜; 天野 光
JAEA-Technology 2006-018, 40 Pages, 2006/03
日本原子力研究開発機構むつ事業所には1997年に加速器質量分析装置(JAEA-AMS)が設置された。この加速器質量分析装置は炭素同位体比測定用とヨウ素同位体比測定用の独立したビームラインを有している。ヨウ素測定について、2000年7月に行われたアクセプタンステストの結果では精度が2.01.5%、再現性が1.50.7%であった。その後、マルチチャンネルプレート(MCP)の交換や再アライメントを行い、現在では精度0.6%,再現性0.26%に達した。さまざまなヨウ素同位体比(I/I)を持つ標準物質を測定した結果、I/Iが10から10の間で理論値と測定値がよく一致したことから、測定値の信頼性が確認された。Iをほとんど含まない市販試薬を用いてこのヨウ素ラインの検出限界を見積もった結果、実質的にはI/Iで10以下であることが確認された。現在、市販されている低レベルのI標準試料はNIST SRM 3230がAMS用として利用できるが、高価であり少量しか使用できない。そこで2次標準物質を作製しNIST SRM 3230で規格化した。2次標準物質のI/Iは、Iso Trace Lab.の標準物質で(1.210.01)10, Standard No. 3Kで(7.220.03)10, Standard No. 3iで(2.770.03)10であった。
若井 栄一; 大塚 英男; 松川 真吾*; 安堂 正己; 實川 資朗
JAEA-Technology 2006-019, 58 Pages, 2006/03
放射性廃棄物量の低減と国際核融合材料照射施設(IFMIF)用コンポーネントの材料評価などのために、微小破壊靭性試験片を用いた強度特性評価及び、このための破壊靭性試験装置の開発を実施した。本報告書では、核融合炉用構造材料として開発したF82H鋼(Fe-8Cr-2W-0.1C系マルテンサイト鋼)を用いて、微小破壊靭性試験片作製法やこの微小試験片の靭性評価に及ぼす試験片サイズの効果、さらに、動的及び静的な試験方法による延性脆性遷移温度に関する研究成果と開発した試験装置の性能などをまとめたものである。また、これら微小破壊靭性試験片を用いて、2005年に約2dpaまでJMTR炉で中性子照射した試料リストを記載した。
本田 敦; 岡野 文範; 大島 克己; 秋野 昇; 菊池 勝美; 棚井 豊; 竹之内 忠; 沼澤 呈*
JAEA-Technology 2006-020, 20 Pages, 2006/03
JT-60中性粒子ビーム入射装置(NBI)は臨界プラズマ試験装置(JT-60U)の主加熱装置の1つである。NBIは14基の正イオンNBIビームユニット(2イオン源/ユニット)と1基の負イオンNBIビームユニット(2イオン源/ユニット)があり、プラズマ源と中性化のためには、1基あたり35Pam/sの重水素ガスを導入する必要がある。一方、中性ビームが再電離を起こさないように、導入した重水素ガスを素早く排気するために、排気速度20000m/sの大容量クライオポンプが設置されている。クライオポンプの冷却は2.4kWの冷凍能力を有するヘリウム冷凍設備で行っている。このヘリウム冷凍設備の制御は、1985年以来、DCS計算機システム(総制御ループ数:約400)で行っていた。しかし、近年DCS機器の高経年化等による故障頻度が著しく高くなってきたため、PLC計装を用いて制御システムの更新を実施した。本更新は、エンジニアリングメーカーに頼らず日本原子力研究開発機構の職員が独自に設計・製作したものである。本報告書は、これらの改造への取り組み及び成果についてまとめたものである。
波多江 仰紀; 久保村 浩之*; 松岡 伸一*; 草間 義紀
JAEA-Technology 2006-021, 22 Pages, 2006/06
ITERの周辺トムソン散乱計測装置では、高い出力エネルギー(5J)で高繰り返し(100Hz)のレーザーシステムが求められている。YAGレーザー(Nd:YAGレーザー)は、これらの性能を満たすレーザーシステムの第一候補である。このような高出力レーザーを実現するためには、高いビーム品質と単一縦モードのレーザー発振器の開発が重要である。そのため、レーザーヘッドと共振器の設計,単一縦モードレーザーの出力パワーの評価,単一縦モード発振のための制御の検討,最終性能(5J, 100Hz)を達成するための増幅器などのインターフェース、の検討を行った。ここで設計した半導体励起の単一縦モードレーザーシステムが、繰り返し100Hz,出力エネルギー10mJ,パルス幅10ns,単一縦モード,TEMの横モード,発散角は回折限界の4倍以下、エネルギー安定度は5%以内の性能を実現できる見通しを得た。
末岡 通治; 鈴木 隆博; 細山 博己
JAEA-Technology 2006-022, 44 Pages, 2006/03
JT-60では、プラズマ位置・形状などの平衡制御,中性子発生率・プラズマ電子温度・プラズマ電子密度などの粒子供給・加熱制御等のさまざまな実時間制御に加え、新たにプラズマ内部の分布量を実時間で制御することが計画された。この分布量帰還制御を実施するためには放電条件設定において、これまでの制御量時系列データと異なり、空間点(r, z)それぞれに対応した制御量の時系列となる分布量プレプログラムのデータ設定が必要となる。この分布量データは、放電条件データ量の増大をもたらすため、放電条件設定上の工夫を必要としていた。また、実時間制御の面では、分布量帰還制御ロジックが開発途上であり、今後さまざまな改良・追加が行われることが容易に予想できること、及び既存プラズマ制御系への影響を最小限に抑えることなどに配慮しなければならない。そこで、(1)放電条件作成のために専用GUI(Graphical User Interface)システム,(2)既存実時間制御計算機システムから独立した分布量実時間制御専用システムを開発する方針とした。その結果、昨年実験での供用を開始し、既にフィードバック制御実験としての結果を得る段階まで到達した。本報告では、分布量実時間帰還制御システムのGUI機能,ハードウェア構成,制御アルゴリズム,実験結果データのデータベース化、及び初期の実験成果等について報告する。
小原 建治郎; 角舘 聡; 八木 敏明; 森下 憲雄; 柴沼 清
JAEA-Technology 2006-023, 38 Pages, 2006/03
国際熱核融合実験炉(ITER)の真空容器内に取り付けられるブランケットやダイバータの保守・交換作業には専用のITER保守装置が使用される。作業時の真空容器内は高線量率のガンマ線雰囲気となるため、ITER保守装置には長期間(1年程度)の使用が可能な耐放射線性が求められる。耐放射線モータ駆動装置は、ITER保守装置の耐放射線駆動源の開発を目的としたもので、耐放射線レベルの異なる各種の機器・部品を使用し、ITER保守装置の駆動源を模擬して設計、製作、8kgfの重り(模擬負荷)を指令信号によりモータで回転,制御する装置である。ガンマ線照射下での連続動作試験は、平均線量率を3.6kGy/h、目標積算線量を30MGy以上とし、2000年3月から開始した。試験では、動作時のモータ電流及び主要部の温度データの取得,故障事象の把握,個々の機器・部品の外観変化を観察した。試験は途中に分解点検をはさみ、2段階に分けて実施した。その結果、第1, 第2各段階での装置停止時までの積算線量は47.6MGyと23.9MGy、運転時間はそれぞれ13,200時間と6,640時間となり、ITER真空容器内線量率(0.5kGy/h)から求められる保守装置の耐放射線性を十分に満たすことがわかった。なお、停止の原因は、第1段階では減速機に充填したグリースの硬化、第2段階では電線の絶縁劣化に起因した。本報告書では、耐放射線モータ駆動装置の設計条件、基本仕様をはじめ、照射試験、分解点検の結果等について述べる。
佐藤 和義; 上原 正晴*; 田村 耕作*; 橋本 正義*; 荻野 俊治*; 薬研地 彰; 永松 伸英*; 関谷 重樹*; 高橋 英雄*; 本橋 啓一*; et al.
JAEA-Technology 2006-024, 114 Pages, 2006/03
国際熱核融合実験炉(ITER)の誘致に向け、2001年の最終設計報告書の取りまとめ以降、我が国の六ヶ所サイトに固有の条件を考慮したサイト依存の検討を実施してきた。このうち、青森県六ヶ所村の弥栄平地区を想定したトカマク施設等の主要施設の構内配置について、ITER施設計画の必要施設及び施設規模の最新情報並びにトカマク複合建家予定地付近の最新地盤情報をもとに、配置案の検討を行った。その結果、(1)トカマク複合建家を支持岩盤が高く、建家の基礎掘削コストの低減及び基礎工事の工程が短縮できる。(2)敷地造成工事の取扱い土量が最も少なくコストを低減でき、2段造成のため敷地利用の裕度が高い。(3)人及び物のアクセス性,騒音・振動の影響回避並びに主要配管・ダクト延長の短縮が可能であることを満たすトカマク複合建家の最適配置案を構築し、六ヶ所サイトにおける構内配置の成案を作成することができた。
武田 信和; 角舘 聡; 中平 昌隆; 柴沼 清
JAEA-Technology 2006-025, 52 Pages, 2006/03
国際熱核融合実験炉(ITER)では、DT反応によって生じる中性子が構造物を放射化するため、真空容器内は高線環境下にある。したがって、ブランケット等の真空容器内機器の保守は遠隔機器によって実施される。本報告書では、ITERブランケット遠隔保守機器(ビークル/レール式マニピュレータ)の小型化について述べる。真空容器内でのブランケットの交換保守時におけるブランケットと遠隔保守機器との干渉を回避するためには、遠隔保守機器の小型化が必要となる。このため、マニピュレータが搭載されたビークル及びビークルが真空容器内を走行するためのレールの断面形状の寸法縮減を目的に、機構解析を含めて小型化設計を実施した。設計においては、レール断面形状の小型化,ビークル走行機構の単純化,回転機構用歯車の小径化、の3点に着目した。小型化設計の結果、マニピュレータは11.2トンから8トンにまで約30%軽量化された。また、ビークル/レール式マニピュレータの小型化設計に基づいてレールの構造解析及びブランケット交換時の機構解析を行い、ブランケットが干渉なく交換できることを確認した。
小澤 隆之; 安部 智之
JAEA-Technology 2006-026, 300 Pages, 2006/03
新型転換炉(ATR)MOX燃料の過渡時挙動及びMOX燃料要素の破損限界を把握するため、ハルデン炉(HBWR)でIFA-591出力急昇試験を実施した。出力急昇試験に先立ち、ATR原型炉ふげんにおいて燃焼度18.4GWd/tまでベース照射した。ベース照射後及び出力急昇試験前の非破壊試験で、燃料ピン又は燃料集合体の健全性に問題のないことを確認した。マルチステップ試験とシングルステップ試験からなる出力急昇試験に供したすべてのセグメントには被覆管長さもしくは内圧計装が装備されており、最大到達線出力58.368.4kW/mまで破損はなかった。出力急昇試験の主な結果は以下のとおりである。(1)Zry-2被覆管及びZrライナー管でPCMI挙動に違いは観られなかった。(2)被覆管伸び及び内圧の計算結果は計装による炉内測定値より若干低めとなったが、出力保持期間における被覆管伸びの緩和はほぼ一致し、また、炉内測定で観察されたFPガス放出挙動とほぼ一致した傾向を有する計算結果が得られた。(3)最大到達線出力がUO燃料ピンの破損しきい値を超えていたにもかかわらず、出力急昇試験中に燃料破損はみられなかった。(4)マルチランプ試験の各出力レベルにおいて、高温でのMOX燃料のクリープ変形による被覆管リラクゼーションを確認することができた。(5)ランプ試験後の出力低下時に、PCMI拘束の解除に伴うFPガス放出が観察された。(6)FPガス放出しきい線出力の燃焼度依存性が確認された。
中林 弘樹; 栗坂 健一; 佐藤 浩司; 丹羽 元; 青木 和夫*
JAEA-Technology 2006-027, 119 Pages, 2006/03
本報告書は、電力中央研究所及び旧核燃料サイクル開発機構の共同研究である「金属燃料リサイクルシステムの設計評価」の内容に基づき、大型電解精製槽の臨界安全設計について検討したものであり、2003年に報告した「金属燃料リサイクルシステムの臨界安全設計検討, 1」の続編となるものである。検討では、「金属燃料リサイクルシステムの臨界安全設計検討, 1」で提案した「化学形態管理併用質量管理」概念に基づいて、より具体的な臨界安全管理設計及び核的制限値の素案を提示し、その設定の考え方を示した。次に、実際のプロセスにおいて臨界安全性に影響を及ぼす可能性のある異常事象の要因を抽出し、それらに基づいた解析モデルを構築し臨界安全性の解析を行った。その結果、ここで提示した臨界安全設計の下では、抽出された大部分の異常事象に対して十分な安全裕度を確保できることが示された。さらに、これまで明確化されてこなかったが本システムにおける臨界安全を確保するために重要な工程間物質移送についても検討を行い、その管理方法及び手順を示した。複雑な物質管理及び移送管理が必要な金属電解法システムにおいて誤装荷や誤移送などのヒューマンエラーを排除するために、完全に電子化・自動化されたプラント制御・運転システムである「オペレーション・バイ・ワイヤ」の概念を提示した。
平根 伸彦; 石黒 裕大; 永冨 英記; 横尾 健司; 堀口 洋徳; 根本 工; 山本 和喜; 八木 理公; 新井 信義; 渡辺 終吉; et al.
JAEA-Technology 2006-028, 115 Pages, 2006/03
JRR-4は、高濃縮ウラン板状燃料を用いた軽水減速・冷却スイミングプール型の研究用原子炉として、1965年から1996年まで運転した。その後、燃料の低濃縮ウランシリサイド化に伴う改造工事を1996年から1998年までの2年間かけて行い、改造後には各種特性試験を実施した。その結果、過剰反応度,原子炉停止余裕及び最大反応度付加率等が、原子炉設置許可申請書の核的制限値を満足していること等から、低濃縮ウランシリサイド化を適切に実施したことを確認した。さらに、運転に必要な核的特性,熱流動特性及び運転制御特性等のデータを取得した。本報告書はこれらの特性試験の結果及び特性試験以降に実施した試験の結果について報告する。なお、JRR-4の低濃縮ウランシリサイド燃料炉心による初臨界は1998年7月14日に達成し、1998年10月6日より施設共用運転を実施している。
茂木 利広; 飯垣 和彦; 齋藤 賢司; 澤畑 洋明; 平戸 洋次; 近藤 誠; 澁谷 英樹; 小川 悟; 篠崎 正幸; 水島 俊彦; et al.
JAEA-Technology 2006-029, 67 Pages, 2006/06
HTTRの制御系のうち、中間熱交換器ヘリウム流量制御系,1次加圧水冷却器ヘリウム流量制御系,2次ヘリウム流量制御系,原子炉入口温度制御系,原子炉出力制御系及び原子炉出口温度制御系については、系統別総合機能試験及び出力上昇試験でその性能が明らかにされてきた。これらの試験では、各制御系に外乱を与えても安定に制御できることを確認した。また、原子炉出力30%100%までの自動運転においても、原子炉出力,温度,流量を安定に制御できることを確認した。本報告書は、これらの制御系の概要と試験結果について報告する。
濱本 真平; 飯垣 和彦; 清水 厚志; 澤畑 洋明; 近藤 誠; 小山 直; 河野 修一; 小林 正一; 川本 大樹; 鈴木 尚; et al.
JAEA-Technology 2006-030, 58 Pages, 2006/03
日本原子力研究開発機構が所有する高温工学試験研究炉(HTTR)の反応度制御設備は、制御棒系と後備停止系の、動作原理の異なる二つの独立した系統で構成されている。通常運転時、原子炉の反応度を制御するとともに、運転時の異常な過渡変化時及び事故時に安全かつ確実に原子炉を停止させるものである。後備停止系は、万一制御棒系のみで原子炉を停止できない場合に、中性子吸収材である炭化ホウ素ペレットを炉心内に重力落下させ、いかなる運転状態からも原子炉を停止する機能を有するものであり、炭化ホウ素ペレットと、ペレットを収めるホッパ,電動プラグ,後備停止系駆動機構,ガイドチューブ等で構成されている。HTTRでは、平成16年7月26日から平成17年3月4日までの計画で、施設定期検査を実施してきたところ、2月21日の後備停止系の作動試験時に、本装置の16基のうち1基が正常に動作しないことがわかった。調査の結果、後備停止系が正常に動作しなかった原因は、後備停止系を駆動するモータの上部のオイルシールが変形したことによってグリースから分離した油がブレーキに到達し、ブレーキの磨耗した粉と混合することによって粘着物となり、粘着物がブレーキの解除を阻害したことによって、モータの駆動を妨げたことがわかった。
北川 修; 鈴木 快昌; 黒沢 明; 綿引 優; 檜山 敏明
JAEA-Technology 2006-031, 29 Pages, 2006/03
溶液の導電率が酸濃度と相関があることを利用して、蒸留水で希釈した試料の導電率を測定し、ウラン及びプルトニウムに起因する導電率を多変量解析法で補正することにより、溶液の酸濃度を算出する導電率測定法について検討を行い、以下に示すような良好な結果が得られた。(1)硝酸プルトニウム溶液等を用いたアルカリ中和-電位差滴定法との比較分析の結果、10%以内で良好に一致した。(2)硝酸プルトニウム溶液及び硝酸プルトニウム・硝酸ウラニル混合溶液の25.0Cにおける導電率測定の並行精度及び室内再現精度は、それぞれ0.52%, 1.53%以下であった。(3)硝酸プルトニウム溶液等に含まれるアメリシウム,鉄等の不純物は、その総量がプルトニウム及びウラン量の1%以下であれば、導電率の測定には影響を及ぼさなかった。以上の結果から、プルトニウム転換技術開発施設で取扱われる高濃度のプルトニウム,ウランを含む硝酸溶液の酸濃度分析へ導電率測定法を適用した。さらに、再処理工程中の硝酸プルトニウム溶液等の酸濃度分析へ本法を適用することが期待できる。
佐藤 聡; 山内 通則; 西谷 健夫; 伊尾木 公裕; 飯田 浩正; 片岡 良之
JAEA-Technology 2006-032, 91 Pages, 2006/03
国際熱核融合実験炉ITERでは、NBIダクトの構造及び熱水力設計のために、プラズマ近傍に設置されるNBIダクト内壁の熱負荷分布が重要である。その熱負荷は、NBIダクト壁中の核発熱とプラズマからの制動輻射やライン輻射によるNBIダクト内壁表面の表面熱流束からなり、MCNP-4CコードとFENDL-2ライブラリーを使用して3次元モンテカルロ輸送計算によりその分布を評価した。その結果、中性子及び線による核発熱率は、プラズマに面する壁,プラズマに面しない壁ともに最大で57MW/m、プラズマからの制動輻射及びライン輻射による表面熱流束は、プラズマに面する壁で0.170.18MW/m、プラズマに面しない壁で0.020.03MW/mとなった。一方、真空容器内圧力抑制系の真空境界として取り付けられている圧力逃し用破裂盤は、圧力抑制系の中性子ストリーミングにより放射化し、ITER停止時の保守作業を困難にする恐れがある。簡易ストリーミング計算と放射化計算によりその放射化レベルを評価した結果、圧力抑制系の構造を1辺1.2m以上の矩形断面とし、圧力抑制系の第1脚が3m以上、配管の屈曲数が1回以上あれば、保守作業時に破裂盤周辺の空間線量率を制限値である10Sv/hより低くできることがわかった。
平川 康; 吉田 英一; 郡司 茂*
JAEA-Technology 2006-033, 22 Pages, 2006/06
高速炉では金属ナトリウム(Na)を冷却材として使用しているため、Na冷却系の機器配管等の点検や補修あるいは廃止措置時には、放射性物質を含む残留Naの洗浄が必要となる。本試験では、効率的なNa洗浄条件を把握するために、容器下部に残留するNaや狭隘部(隙間)に残存するNaを模擬し、湿り窒素ガスによる定量的なNa洗浄速度(反応速度)を検討した。実験では、被洗浄物であるNaの温度,キャリアガスの窒素ガスに含ませる湿分濃度,Naの洗浄面積などをパラメータとした。試験の結果は以下のように要約される。(1)湿式洗浄法の影響因子を把握し、定量的なNa洗浄速度データを取得した。(2)被洗浄物となるNaの温度が80150Cの場合、Na洗浄速度は温度やNa相の影響はほとんど受けずにほぼ一定の値を示したが、Na温度が180CになるとNa洗浄速度は鈍化する傾向にあった。(3)Na洗浄速度は供給する窒素ガス中の湿分濃度の影響を大きく受け、湿分濃度の増加とともに速くなる傾向が見られた。(4)Na洗浄速度に対するNa洗浄面積の影響を調査した結果、0.1200mmの範囲では有意な差は認められなかった。(5)湿り窒素ガスによるNa洗浄の進行過程で、条件によっては燃焼現象にも似た発光現象を伴う不安定な反応挙動が観察された。
小原 建治郎; 角舘 聡; 柴沼 清; 佐郷 ひろみ*; 上 弘一*; 清水 克祐*; 小野塚 正紀*
JAEA-Technology 2006-034, 85 Pages, 2006/06
核融合炉心の実証と核融合発電炉に必要な炉工学技術の開発を目的とした国際熱核融合実験炉(ITER)は、単体寸法と重量が十数メートル,数百トンもの大型・大重量の各種機器によって構成され、組立後のトカマク本体の概略形状寸法は直径26m,高さ18m,総重量は16,500tにもなる。一方、トカマク本体の位置・組立精度については3mm程度の高精度が要求されている。このため、大型・大重量機器としての取扱いはもとより、高度な組立精度を考慮したトカマク本体の組立手順と組立技術について検討する必要がある。本報告では、ITER国際チーム(IT)が中心となってまとめた従来設計をより実現可能な方法に改善するために、これまでの大型・大重量機器の組立・据付の知見をもとに、次に示す各作業ごとに必要な冶工具,専用ツール,計測方法を含めた組立方法・手順について検討した。(1)トロイダルコイルの組立・芯出し作業,(2)組立作業の簡易化と誤差を少なくするための手順と組立ツールの検討,(3)真空容器の溶接歪を小さくするための手順の検討,(4)作業中、トロイダルコイルに変形を与えない真空容器の支持方法,(5)要求位置・組立精度を確保するために必要な基準点・基準線の設定・検討。その結果、大型で大重量機器から構成されるITERトカマク本体の高精度な組立について現実的な組立方法・手順を提示することができた。
齋藤 浩介; 前田 誠一郎; 樋口 真史*; 高野 光弘*; 中沢 博明
JAEA-Technology 2006-035, 76 Pages, 2006/06
耐スエリング性に優れた酸化物分散強化型フェライト鋼(ODS鋼)を炉心材料に適用し、太径中空ペレットを用いた燃料を取替燃料として装荷し、実用化段階で想定される炉心・燃料像(取出平均燃焼度約150GWd/t,長期運転サイクル)を高速増殖原型炉「もんじゅ」で実証する構想の検討を進めている。2003年度に実施した設計検討時点からODS鋼の材料強度基準案が改訂されたことを踏まえ、その影響を把握するとともに核・熱・燃料設計の成立性に関して改めて確認した。ODS鋼の材料強度の低下に対応して被覆管強度評価の成立性が確保できるように被覆管肉厚と外径との比を増加させるように燃料仕様を見直した。これに伴って被覆管外径,運転サイクル期間等の炉心・燃料に関する基本仕様を再設定した。なお、本検討では現行の原子炉出力を維持できる127本バンドル炉心案を対象とした。核設計検討では、燃料仕様変更による燃料体積率の低減に伴う影響を受けるものの、最大線出力,燃料反応度等の主要な評価項目について設計目標を満足し、成立性が確保される見通しを確認した。熱・燃料設計では、被覆管強度評価を満足する被覆管最高温度を把握するとともに炉内出力分布を踏まえ、この被覆管最高温度を満足するように冷却材流量配分設計が可能な見通しであることを確認した。
宮地 紀子; 永峯 剛; 勝山 幸三
JAEA-Technology 2006-036, 41 Pages, 2006/06
照射された高速炉用燃料ピン被覆管の健全性を非破壊にて確認するために、渦電流探傷技術の開発を行っている。本試験では、15Ni-15Cr-Ti鋼非照射模擬燃料被覆管及び「常陽」で照射した同仕様の燃料ピンを対象に、被覆管内面腐食探傷を目的として、渦電流探傷試験を実施した。非照射模擬燃料被覆管の腐食探傷の結果、周波数32kHzを用いて腐食箇所を探傷できる結果を得た。また、被覆管肉厚と渦電流信号には相関があり、肉厚が小さくなると信号は大きくなる傾向を示した。「常陽」で照射した燃料ピンの渦電流探傷試験の結果、腐食が小さく、渦電流信号からは腐食箇所を確認することはできなかった。しかし本試験では、冷却材であるナトリウムによる被覆管外面の腐食が信号に影響を及ぼしていることが示唆された。また、照射による被覆管の電磁気的特性の変化に加えて、FPガスやPCMI(ペレットと被覆管の機械的相互作用)による被覆管内圧も信号に影響を及ぼす可能性が高いことが示唆された。
成田 脩; 岩田 昇; 礒部 芳弘; 関 正和; 門坂 英盛; 二之宮 和重; 佐藤 治
JAEA-Technology 2006-037, 102 Pages, 2006/06
日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構は、「環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律」(1)(以下「環境配慮促進法」という。)に基づき、他の89の法人とともに特定事業者として各事業年度の環境配慮活動の結果を環境報告書として当該年度終了後六月(6か月)以内に作成・公表することが義務づけられた。両法人は、2005年10月1日の独立行政法人日本原子力研究開発機構の発足に伴い解散し、同年9月30日に17事業年度を終了した。業務を引き継いだ原子力機構は、6か月以内の2006年3月末までに両法人の環境報告書を作成することになった。当該報告書の作成は、環境配慮促進法に基づく最初の報告であり、また、他の法人に先駆けて報告書をまとめることになり、参考とする先例がなかったことから、データ収集から報告書の作成まで、手探り状態の試行錯誤が続けられた。この間、環境報告書の公表に耐える正確なデータの収集と整理の方法,収集したデータの解析と環境活動の評価,これらの材料から環境報告書に仕上げるための問題点の整理と解決方法,毎年繰り返される今後の作業への効率化方策等の知見が得られた。これらの知見,環境配慮活動のデータを整理することは、環境報告のダイジェスト版である公表した環境報告書のバックデータ集となるだけでなく、今後、環境報告書を作成することになる他の機関にも参考になることが考えられることから、技術資料として取りまとめることとした。
角舘 聡; 武田 信和; 中平 昌隆; 柴沼 清
JAEA-Technology 2006-038, 38 Pages, 2006/06
ITERホットセル内における修理用炉内構造物の移動は天井クレーンと床走行台車の2種類の搬送機器によって行われる。これらの搬送機器のホットセル内での移動範囲は現在の設計では重複しているため、ホットセルの合理化を進めるためにはこれら2種類の搬送機器の役割分担を明確にする必要がある。このため、天井クレーンは、容易に着脱可能なエンド・エフェクタの交換用アダプタを備える設計とした。床走行台車は、床上移動用の車輪を備えることにより、床上を単純な直線移動のみでホットセル内の部屋間の移動を可能とした。ホットセル内での機器の故障時におけるレスキューは、レスキュー用クレーンにより行われる。本レスキュー用クレーンは、天井クレーンのレスキューと炉内構造物の修理用遠隔機器のレスキューのために2つの機能を持つ。特に、炉内構造物の修理用遠隔機器のレスキューに関しては、修理中の放射化した炉内構造物を移動し隔離するために、故障した駆動部に直接アクセスできる冗長機構を修理用遠隔機器に備え、さらに伸縮型マニピュレータをレスキュー用クレーンに備え付けることにより故障部の応急修理を可能とした。
平尾 法恵*; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖
JAEA-Technology 2006-039, 39 Pages, 2006/08
本報告書は、高エネルギー加速器研究機構放射光科学研究施設(KEK-PF)の放射光ビームラインBL-27に設置された放射光軟X線光電子分光装置の概要をまとめたものである。同装置は、KEK-PFに建設された放射光ビームラインBL-27のうちの、軟X線ビームラインBL-27Aに1992年に付設された。それ以来、表面化学の研究を中心とした軟X線放射光利用実験に使用されてきたが、現在までにビームライン光学系及び光電子分光装置本体に数々の改造,改良を重ねてきた。また2005年に、本装置のビームライン下流側に顕微X線吸収微細構造(顕微XAFS)測定のための光電子顕微鏡及びその分析チェンバーを設置した関係で、光電子分光装置周辺の大幅な改造を行った。そこで本報告書には、今後X線光電子分光装置を使用するユーザーの参考となるように、装置の概要,操作法,関連データをまとめた。
田口 茂郎; 駿河谷 直樹; 佐藤 宗一; 黒沢 明; 綿引 優; 檜山 敏明
JAEA-Technology 2006-040, 76 Pages, 2006/07
東海再処理施設において、使用済み核燃料を再処理する際に発生する高放射性廃液中に含まれる、微量プルトニウム(10M)の核物質管理のための分析法として、ネオジムを内標準物質とした吸光光度法による定量手法を開発した。本法は、測定試料に内標準物質のネオジムを既知量添加した後、プルトニウムをPu(VI)に酸化し、Nd(III)とPu(VI)の吸光度比とモル吸光係数比の関係からプルトニウム濃度を算出するものである。本法で用いるネオジムは、内標準物質として用いるほか、測定装置の健全性を確認する指標としても活用できる。さらに本法は、比較的迅速な測定が可能であることから、保障措置上の適時性を確保できることが特徴である。プルトニウム濃度が173mgLの高放射性廃液試料に対する評価として、分析結果の不確かさ(n=5)は15mgL(信頼区間95%)であり、定量下限は6mgL(10)であった。また、本法と同位体希釈質量分析法による比較分析を行った結果、両者の分析値は良好に一致し、東海再処理施設において査察側が現場で行う高放射性廃液中のプルトニウムの検認分析法として適用が可能であることを確認した。
田口 茂郎; 駿河谷 直樹; 佐藤 宗一; 黒沢 明; 綿引 優; 檜山 敏明
JAEA-Technology 2006-041, 58 Pages, 2006/06
東海再処理施設において、使用済み核燃料を再処理する際に発生する高放射性廃液中に含まれる、微量プルトニウム(10M)の核物質管理のための分析法として、ネオジムを内標準物質とした吸光光度法による定量手法を開発した。本法は、測定試料に内標準物質のネオジムを既知量添加した後、プルトニウムをPu(VI)に酸化し、Nd(III)とPu(VI)の吸光度比とモル吸光係数比の関係からプルトニウム濃度を算出するものである。本法で用いるネオジムは、内標準物質として用いるほか、測定装置の健全性を確認する指標としても活用できる。さらに本法は、比較的迅速な測定が可能であることから、保障措置上の適時性を確保できることが特徴である。プルトニウム濃度が173mgLの高放射性廃液試料に対する評価として、分析結果の相対拡張不確かさ(n=5)は8.9%(包含係数2)であり、定量下限は6mgL(10)であった。また、本法と同位体希釈質量分析法による比較分析を行った結果、両者の分析値は良好に一致し、東海再処理施設において査察側が現場で行う高放射性廃液中のプルトニウムの検認分析法として適用が可能であることを確認した。
毛利 憲介; 鈴木 哲; 榎枝 幹男; 角舘 聡; 柴沼 清; 秋場 真人
JAEA-Technology 2006-042, 72 Pages, 2006/08
国際核融合実験装置(ITER)に設置される分離第一壁型遮蔽ブランケットの第一壁には、プラズマ消滅時の多大な電磁力に耐えうる強固な構造が必要とされているが寿命中2回以上の第一壁交換が可能な構造も要求されているため、第一壁交換時にホットセル内で使用する遠隔保守機器の施工性・アクセス性の観点からの遮蔽ブランケット構造概念の構築が、強く求められている。本研究では、第一壁支持脚の切断方法として、数多くの切断手法の中から、中径管規模の円管切断に特化し数多くの優位性(切削時に切子の発生がなく冷却材も不要のため清掃等の後処理が容易、また再溶接にそのまま切断面を適用できるため開先加工も不要)を有するDick-Cutter切断技術に着目し、この機器が適用可能となる遮蔽ブランケット構造概念の検討を行った。その結果、ITERにおいて課題となっているホットセル内で交換可能な第一壁支持脚の連結部の構造及び機器のアクセス性を考慮した遮蔽体部の内部構造等に対して、シンプルで整合性のある構造を提案するとともにこの第一壁支持脚構造の切断に適用可能な小型化Dick-Cutter装置を設計し、実用化への高い可能性を示した。
今泉 浩文; 伴 康俊; 朝倉 俊英; 森田 泰治
JAEA-Technology 2006-043, 45 Pages, 2006/09
PUREX法による使用済燃料の再処理において、溶解,分離・抽出後に発生した劣化溶媒中のリン酸ジブチル(DBP)・金属イオンを洗浄する手法として、無塩で焼却処分,電気分解が可能なシュウ酸ブチルアミンによる洗浄法の研究を実施してきた。これまで洗浄後の有機相・水相中のリン酸ジブチル(DBP)濃度を、イオンクロマトグラフィにより分析してきたが、DBP分析ピークが小さく、波形へのノイズの悪影響,分析精度・再現性の悪さから、分析作業の信頼性低下をきたしていた。この問題を解決するべく、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS分析装置と称す)を用いた分析法を検討し、TMS誘導体化処理(シリル化)を施すことによって、高精度でDBPの分析を実施できることを確認した。また、GC-MS分析装置による分析検討の過程で、リン酸トリブチル(TBP)を含む実劣化溶媒中にDBPとともに生成するリン酸モノブチル(MBP)についても、分析中の同一時間軸上に分析に耐えうるピークとして検出されたことから、1サンプルでのTBP中のDBP, MBPの同時分析も可能である見通しを得た。
井田 瑞穂; 中村 博雄; 山村 外志夫*; 杉本 昌義
JAEA-Technology 2006-044, 39 Pages, 2006/10
国際核融合材料照射施設(IFMIF)のターゲットアセンブリの背面壁は強い中性子照射を受けるため、アセンブリとの接合部をリップ構造として溶接により交換する構造となっている。中性子照射下での背面壁の熱応力と変形を低減するうえで重要である背面壁の押し付け圧力を、限られた配置スペース内で機械式クランプによりどれだけ実現できるか検討し、背面壁の内外圧力差0.4MPaまで可能であることを明らかにした。また、液体リチウムが装荷時に凝固しないようにアセンブリの温度を維持するための保温材として熱伝導が小さいものを調査し、その保温材がアセンブリ温度300C程度まで熱伝導率0.008W/mKを維持できるとすると、必要な保温材厚さは8.2mm,重量は32kgで済むことを明らかにした。保温材が施工できない背面壁の温度維持のための高発熱密度ヒーターも調査し、配置・施工を検討した結果、窒化珪素ヒーターを用いて必要発熱量8.4kWを達成できることを明らかにした。さらに、アセンブリをリチウムループから分離・結合する際の揺れ止めと位置決めのための遠隔操作機器の構造も検討した。
栃尾 大輔; 亀山 恭彦; 清水 厚志; 猪井 宏幸; 山崎 和則; 清水 康則; 新垣 悦史; 太田 幸丸; 藤本 望
JAEA-Technology 2006-045, 43 Pages, 2006/09
高温工学試験研究炉(HTTR)の冷却設備の一つに補機冷却水設備がある。この補機冷却水設備は種々の機器の冷却だけでなく、工学的安全設備の一つである炉容器冷却設備のヒートシンクとなる機能を有している。そのため、補機冷却水設備は設計時に想定された除熱性能を有していなければならない。本報では、HTTRにおいてこれまで実施してきた出力上昇試験,供用運転のデータから、補機冷却水設備に設置されている最終ヒートシンクである冷却塔について伝熱性能を評価した。また、設計時における冷却塔の伝熱性能との比較を行い、冷却塔が設計時に要求された伝熱性能を有していることを確認した。
羽沢 知也; 永堀 和久; 楠 剛
JAEA-Technology 2006-046, 44 Pages, 2006/10
減速材容器は液体水素を貯留するためのステンレス鋼製の容器で、中性子照射脆化により、その寿命が約7年と定めている。研究炉利用課では国内での製作も視野に入れながら調査を開始、国内で減速材容器を製作し、2006年2月に交換作業を終了した。交換作業終了後、中性子特性測定を行い、従前のフランス製の減速材容器と同等な性能を有していることを確認し、減速材容器の国産化に成功した。
土谷 邦彦; 河村 弘
JAEA-Technology 2006-047, 18 Pages, 2006/10
チタン酸リチウム(LiTiO)微小球は、低い温度(約300C)における容易なトリチウム放出及び化学的安定性の観点から核融合炉のためのトリチウム増殖材料の候補材料として考えられている。本研究では、直径1mmのLi濃縮LiTiO微小球の試作試験を脱水反応を利用した湿式法(脱水型ゲル化法)により行い、試験炉を用いた高Li燃焼照射試験の準備のために、Li濃縮LiTiO微小球の特性を評価した。96at%のLi濃縮度を有するLiTiO粉末を固相反応により調整し、TiOの無添加のものとTiOを添加したものの2種類のLiTiO微小球を湿式法により製作した。微小球製造試験の結果に基づき、目標値(焼結密度: 80-85%T.D.,結晶粒径: 5m以下,直径: 0.851.18mm)を有する2種類のLi濃縮LiTiO微小球を製造することに成功した。また、これら2種類の物理的,化学的及び機械的特性を評価し、これらのLiTiO微小球の真球度が約1.05、微小球の接触強度が約6300MPa等の特性データを取得した。
角田 淳弥; 柴田 大受; 塙 悟史; 石原 正博; 伊与久 達夫; 沢 和弘
JAEA-Technology 2006-048, 19 Pages, 2006/10
原子炉級微粒等方性黒鉛であるIG-110黒鉛は、耐放射線性,耐腐食性及び高強度を有しており、高温工学試験研究炉(HTTR)の燃料体,制御棒案内ブロック,サポートポスト等に使用されている。HTTRの炉内黒鉛構造物の設計・製作にあたり、日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)では、HTTR用の黒鉛構造設計方針を策定し、それまでの研究開発の結果に基づいて設計用データを定めている。本報は、HTTR炉内構造物について高速中性子照射,酸化等による物性値,強度等の経年変化を調べるサーベイランス試験の基礎データとして活用することを目的として、HTTRの炉内に装荷されたIG-110黒鉛の特性値についてまとめるとともに、黒鉛構造設計方針で規定されている設計用データと比較検討したものである。比較検討の結果、炉内に装荷されたIG-110黒鉛の強度特性が良好で、黒鉛構造設計方針で規定される応力制限値に対して十分な安全性が確保されることを示した。
加藤 正人; 森本 恭一; 米野 憲; 中道 晋哉; 鹿志村 元明; 安部 智之; 宇野 弘樹*; 小笠原 誠洋*; 田村 哲也*; 菅田 博正*; et al.
JAEA-Technology 2006-049, 32 Pages, 2006/10
本研究では、燃料の熱設計で特に重要である融点と熱伝導率について、広範囲の組成のMOXについて測定を実施し、測定データの信頼性を向上させるとともに、Amの影響を評価した。融点測定は、タングステンカプセル中に真空封入して実施したが、30%Pu以上のMOXの測定では、測定中にMOXとタングステンの反応を防ぐため、レニウム製の内容器を用いて評価した。その結果、MOXの融点は、Pu含有率の増加で低下し、O/Mの低下でわずかに上昇することが確認できた。また、Amの融点に及ぼす影響は、3%までの含有では大きな影響はないことが確認できた。熱伝導率は、Amの含有によって、900C以下でわずかに低下し、フォノン伝導による熱伝導メカニズムに不純物として扱うことによって評価できることを確認した。本測定結果から温度,O/M,Am含有率及び密度を関数とした熱伝導率評価式を導き、文献値を含めて実験データをよく再現できることを確認した。得られた融点及び熱伝導率の測定結果によって、「もんじゅ」長期保管燃料に蓄積したAmの影響を評価することができた。燃料の熱設計へ及ぼすAmの影響はわずかである。
小澤 達也; 宮本 泰明; 須藤 誠; 青山 佳男; 山口 大美
JAEA-Technology 2006-050, 88 Pages, 2006/11
TRU廃棄物のうち、金属や非金属といった不燃性の雑固体廃棄物を対象とした減容処理プロセスの一つとして、溶融固化処理技術が挙げられる。溶融固化処理技術は、これまでに発電所から発生する低レベル放射性廃棄物などを対象として適用された例があるものの、種々の技術的課題を未だ有している。溶融固化処理技術や関連工程について、これまでに行ってきた既存設備の調査及び概念設計の結果から抽出された技術的課題に関して、模擬廃棄物を使用した確証試験としてデータの取得や対策の検討を実施した。本書はその試験結果についてまとめるとともに、技術的課題の検討状況について示したものである。
小澤 隆之
JAEA-Technology 2006-051, 278 Pages, 2006/11
IFA-514照射試験は、軽水炉用MOX燃料の照射特性を把握することを目的として、ノルウェー国ハルデン炉(HBWR)で実施した。燃料要素の仕様はBWR 88燃料に準じ、PuO富化度を5.8wt.%としたMOX燃料を用いた。本照射試験では、ペレットの形状(中実/中空)や表面粗さ(研磨/未研磨)をパラメータとした6本の燃料要素が集合体平均燃焼度約45GWd/tまで照射され、その間の炉内挙動データ(被覆管伸び,燃料スタック伸び,燃料中心温度,燃料要素内圧)を取得するとともに、燃料要素に顕著な腐食,変形等は認められなかった。IFA-565照射試験は、IFA-514照射試験で用いた6本の燃料要素のうち3本を集合体平均燃焼度約56GWd/tまで継続照射したものであり、燃料要素に顕著な腐食,変形等は認められなかった。一連の照射後試験結果から、FPガス放出挙動はBWR UO燃料及びATR MOX燃料のそれと類似しており、FPガス放出挙動に差は認められなかった。また、中空ペレットのFPガス放出率(約13%)は中実ペレット(約16%)より低かった。さらに、金相試験結果及び燃料スタック伸び量から、いずれの燃料要素でも顕著なPCMIは生じておらず、ペレット形状(中実/中空)がPCMI挙動に及ぼす影響に明確な差は認められなかったが、中空ペレットの方が中実ペレットに比べて被覆管外径変化率はやや小さく、外径変化の抑制効果があるものと考えられる。
松井 裕哉; 佐々木 学*
JAEA-Technology 2006-052, 101 Pages, 2006/11
日本原子力研究開発機構(旧サイクル機構、以下原子力機構と称す)は、平成12年度より北海道幌延町において、地下施設の建設を伴う研究プロジェクト(幌延深地層研究計画)を進めている。幌延深地層研究計画は、全体で約20年間のプロジェクトであり、地上からの調査研究段階,地下施設建設時の調査研究段階,地下施設での調査研究段階の3つの段階で構成されている。平成12年度から開始した地上からの調査研究段階においては、北海道幌延町において調査対象領域(研究所設置地区)を設定すること及び、その領域に分布する新第三紀堆積層中の地質環境を深度1000mまでの範囲で3次元的に把握することを主目的として、計11孔のボーリング調査を実施した。本報告は、新第三紀堆積岩を対象としたボーリング孔掘削を通して得られた知見をとりまとめ、今後地層処分事業の実施にあたって地上から行うボーリング調査の計画の立案及び調査の実施に資する目的で作成したものである。
馬場 信一; 柴田 大受; 石原 正博; 沢 和弘
JAEA-Technology 2006-053, 84 Pages, 2006/12
本報告書は原子力分野への応用を目指した超塑性材料としてのジルコニア(3Y-TZP)の熱特性(比熱,熱伝導率,熱膨張率など)について、その照射効果を調べるための中性子照射試験の概要及び同材料の熱拡散率測定結果を述べるとともに、熱遮蔽被覆材料(Thermal Barrier Coating)やイナートマトリックス燃料(Inert Matrix Fuel)分野に適用されている3Y-TZP関連材料の熱物性についても概略した。熱拡散率の測定はレーザーフラッシュ法(L/F法: Laser Flash Method)により行った。得られた測定データの解析法はJISの規定では3手法が採用されている。すなわち、ハーフタイム法(t1/2),対数法及び回帰分析法である。これら3手法の原理・利害得失について述べるとともに、3手法を使用して参照材料の等方性黒鉛及び3Y-TZPの熱拡散率を求め、熱損失補正について検討した。また、両材料の熱特性(比熱,熱拡散率,熱伝導率)についても比較検討した。その結果、ハーフタイム法による解析では高温測定データの熱損失補正は必須であることが明らかとなった。
松井 裕哉
JAEA-Technology 2006-054, 68 Pages, 2007/02
原子力機構は、平成12年度より北海道幌延町において新第三紀堆積岩を対象とした幌延深地層研究計画と称する地下施設建設を伴う研究プロジェクトを実施している。同プロジェクトは、岐阜県瑞浪市において結晶質岩を対象として実施中の瑞浪超深地層研究所計画と対をなすものであり、地上からの調査研究段階,坑道掘削中の調査研究段階,坑道を利用した調査研究段階、の3つの段階から構成された全体として約20年間のプロジェクトである。本報告は、平成17年度まで実施した地上からの調査研究段階における各種の調査研究のうち、特に重要となる深層ボーリング調査計画及びその実績をとりまとめたものである。具体的には、原子力機構の地上からの調査予測段階の目標,研究実施にあたっての制約条件,社会的条件を考慮し、年度ごとに実施した検討作業及び実績を時系列的に示し、その結果からさまざまな制約条件のもとで目標を達成するために重要と考えられる事項を抽出・整理している。
岡野 正紀; 久野 剛彦; 高橋 一朗*; 白水 秀知; Charlton, W. S.*; Wells, C. A.*; Hemberger, P. H.*; 山田 敬二; 酒井 敏雄
JAEA-Technology 2006-055, 38 Pages, 2006/12
使用済燃料のせん断及び溶解時に発生するオフガス成分の1つであるXeの同位体比は、おもに原子炉内での核反応の進行度に依存し、燃料の特性と相関を持つことが知られている。ロスアラモス研究所では、再処理施設から大気中に放出されたオフガス中のXe同位体比を測定することにより、燃料特性(炉型,燃焼度,核種組成等)に関する情報を算出できる解析コード(NOVA)を開発してきた。Xe同位体比測定とNOVAにより、処理した使用済燃料の炉型,燃焼度及びPu量を評価する技術が確立できれば、再処理施設の遠隔監視等が可能となり、保障措置技術の一つのオプションとして期待できる。しかしながら、再処理工程内のオフガス中のXe同位体比の実測データによるNOVAの検証はなされていない。本件では、東海再処理施設の溶解オフガス中のXe同位体比を測定し、NOVAを用いて、使用済燃料の燃焼度及びPu量の評価手法としての可能性を確認した。この結果、BWR燃料であることが推定され、発電所側から示された燃焼度と-3.8%7.1%で一致した。Pu量は、燃焼度からORIGENコードを用いて計算した値と-0.9%4.7%の差で一致した。
桐山 幸治; 三井 隆也
JAEA-Technology 2006-056, 28 Pages, 2006/12
日本原子力研究開発機構・量子ビーム応用研究部門・放射光科学研究ユニットでは、SPring-8の放射光を利用して行う高エネルギー分解能を要する特殊な実験に必要な結晶を製作するための技術的方法を確立させた。結晶の製作にあたっては、成形のための結晶加工装置と結晶面を測定するためのX線回折計を利用した。この製作法を用いて0.01度程度の角度精度を持って高分解能分光結晶やビームコリメーターなどを製作することができるようになったことで、ナノテクノロジー研究のような特殊な実験条件を必要とする放射光実験で利用できる環境が整備された。
高井 俊秀; 中桐 俊男; 稲垣 嘉之
JAEA-Technology 2006-057, 40 Pages, 2006/12
1Nl/h(2.810Nm/s)規模の水素製造を目標としてハイブリッド熱化学法水素製造試験装置(1Nl/h規模試験装置)を製作した。水素製造量を増加させるにあたり、SO電解器及び亜硫酸電解器の性能向上を図るため、以下の機器開発を行った。SO電解器に使用する白金電極を取り付けたイットリア安定化ジルコニア(YSZ)製固体電解質管では、従来機用より長尺化したYSZ管7本を束状に配置することにより、コンパクト化かつ大電極面積化した。亜硫酸電解器については、新たに流動タイプの電解セルを採用し、電極面への亜硫酸供給量を増加させ、固体高分子膜に電極を接合した膜電極接合体(MEA)を用いて、単位体積あたりの電極表面積を増加させ高い電流密度が得られるようにした。本報告は、製作した1Nl/h規模試験装置の概要,性能評価試験結果及び今後の試験計画についてまとめたものである。
馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵*
JAEA-Technology 2006-058, 43 Pages, 2007/01
高エネルギー加速器研究機構放射光科学研究施設(KEK-PF)の放射光ビームラインBL-27Aに設置された軟X線顕微X線吸収微細構造(顕微XAFS)測定装置の概要をまとめた。本装置は、固体表面のミクロンからナノメートルオーダーの局所領域における形状,凹凸,元素分布,化学結合状態分布のマッピングを行うことを目的として設置された。報告書では、装置の概要,仕様,操作法について述べた後、紫外光源を用いたSiマイクロパターンの観察と分解能測定及び放射光軟X線を用いたSi-SiOマイクロパターンの測定結果を記す。
広瀬 彰; 和田 茂; 笹島 文雄; 楠 剛; 亀山 巌*; 会澤 良二*; 菊池 直之*
JAEA-Technology 2006-059, 122 Pages, 2007/01
中性子核変換ドーピングSi半導体(NTD-Si)は高性能のパワーデバイスとしての高品位特性を有しており、最近のハイブリッド車の増産状況等を反映し、その需要が急激に増大するものと見込まれる状況にある。このような需要増大に対応するため、JRR-3を用いたNTD-Si増産の技術的課題の検討が進められている。本書は、その検討の一環として提案されたJRR-3均一照射設備における外部冷却法対応設備の製作に関するものである。JRR-3均一照射設備では、長尺なSiインゴット全体に対し均一に中性子照射を行うためSiインゴットを軸方向に上下反転して2度照射する方式が採用されており、反転作業を人為的に行っている。このため許容線量率を下回るまでの間、Si照射設備内で放射能が減衰するのを待つ必要から長い待機が余儀なくされていた。照射設備の運転稼働率を高めSi生産量の増量を図るためには、待機時間を短縮することが有効と考え、この待機時間を改善する優れた方法として外部冷却法を考案し、今回その製作と実用試験を実施した。この外部冷却法対応設備を有効に活用することにより、増産を見込んでいる。
高田 弘; 加藤 崇; 神永 雅紀; 夏目 弘昭; 星野 吉廣
JAEA-Technology 2006-060, 103 Pages, 2007/02
大強度陽子加速器計画(J-PARC)の物質・生命科学実験施設に設置する1MW核破砕中性子源ステーションを構成する機器・設備は重量機器で構成し、ミリメートルレベルの高い設置精度,千分の1の水平度を確保することが求められることが特徴である。このような要件を考慮した据付工程を立案するとともに、実際に、重量が50トンを超え、車両積載幅が10m以上で高さが10mに近い大型機器の搬入・据付を実施し、手順の妥当性の見通しを得た。この大型重量機器の搬入に際しては、輸送用道路の構造条件を満足させ、かつ周辺の干渉物を一時的に退避させる処置を講じる必要が生じたため、事前に綿密に搬入方法を検討した。本書は搬入計画立案と据付実施の記録について報告するものである。
高須 民男*; 前川 恵輔
JAEA-Technology 2006-061, 34 Pages, 2007/02
高レベル放射性廃棄物の地層処分においては、安全評価上地下深部の地下水の挙動を適切に把握することが必要である。沿岸地域などに見られる淡水である地下水と塩水である海水とが混在した領域では、地下水の挙動は複雑であると考えられている。また、人工バリアの一つとして考えられているベントナイトは海水系地下水においては降水系地下水に比べ膨潤せず、自己シール性が十分に発揮されないことも懸念されている。そのため、地下深部に塩分濃度の高い地下水が存在する場合の塩水の挙動を把握することが重要となっている。多孔質媒体中水理・物質移行現象可視化装置(以下「小型MACRO」と呼ぶ)は、淡水である地下水と塩水との密度差により生じる塩水楔の進展過程を把握するため、地層をガラスビーズにより模擬した媒体層中に食紅で着色した塩水により塩水楔を再現するものである。同装置は、既存の多孔質媒体水理試験設備(以降「MACRO装置」と呼ぶ)の1/4スケールの寸法の媒体槽を有し、装置の分解・組み立て作業の合理化,試験効率の向上を図るとともに、本体を透明板で構成することで、試験の経過観察,試験結果の可視化によるデータ取得を十分行える装置である。本報告書は小型MACROの整備内容やその考え方及び塩水楔予察試験の結果をまとめ、今後の本装置による試験の効率的な実施に資するものである。
村尾 裕之; 村松 靖之; 大河原 正美; 柴田 功
JAEA-Technology 2006-062, 32 Pages, 2007/02
原子炉安全性研究炉NSRR(Nuclear Safety Research Reactor)の炉内実験は実験燃料を専用の照射カプセルに封入し、炉心へ挿入して行われる。NSRRではこれまでに17種類の大気圧水カプセルを製作しており、そのうちX-IV型大気圧水カプセルは設計及び工事の方法の認可を6回取得し、平成18年6月に第7回目の設工認申請を行った。第7回目の申請に際しては設計の強度評価に用いる規格を通商産業省告示501号の廃止に伴い、日本機械学会発電用原子力設備規格、設計・建設規格(JSME S NC1-2005)に変更した。JSME S NC1-2005では、新たに「負荷荷重」の状態を示す供用状態が導入されており、今回の申請書では許容応力強さを供用状態に応じて算出した。また、JSME S NC1-2005では、クラス1支持構造物に対して、組合せ応力に関する評価を求めていることから、今回の申請書で同評価を追加し許容応力を超えないことを確認した。