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大崎 弘貴; 島崎 洋祐; 角田 淳弥; 柴田 大受; 小西 隆志; 石原 正博
Proceedings of 23rd International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-23) (DVD-ROM), 8 Pages, 2015/05
超高温ガス炉(VHTR)黒鉛構造物の設計では、高強度で、かつ耐酸化性の高い黒鉛材の使用が望まれる。IG-430(黒鉛材)は、VHTR黒鉛構造物の有望な候補材のひとつであるが、高温ガス炉の設計のための十分なデータベースが存在しない。そこで、本研究では、IG-430の設計データとして最も重要な強度の一つである圧縮強度を測定結果を統計的に評価した。また、IG-430黒鉛構造物の信頼性をHTTRの黒鉛設計基準で用いられている安全率をもとに評価し、VHTR黒鉛構造物としての適用性を検討した。その結果、IG-430は、高温ガス炉で使われている従来の黒鉛材の一つであるIG-110よりも高強度(約11%)で、かつ、低い標準偏差(約27%)を持つことが示された。これは、IG-430中のき裂の伝播が、IG-110中と比較して容易でないためと推定される。また、評価したIG-430の破壊確率が低いことから、IG-430を用いることで黒鉛構造物の信頼性の向上が達成できることが分かった。以上より、IG-430がVHTRの黒鉛構造物に適用できる見通しを得た。
角田 淳弥; 柴田 大受; 藤田 一郎*; 國本 英治*; 山地 雅俊*; 衛藤 基邦*; 小西 隆志*; 沢 和弘
Nuclear Engineering and Design, 271, p.314 - 317, 2014/05
被引用回数:11 パーセンタイル:64.16(Nuclear Science & Technology)本研究では、材料特性評価手法の開発及び重照射下でのIG-430の照射による特性変化を評価することを目的として、IG-430の弾性係数に及ぼす酸化及び緻密化の効果を調べた。また、X線CT画像に基づくIG-430の微細構造と材料特性の関係を調べた。その結果、緻密化した黒鉛の弾性係数は開気孔のみに依存すること及びX線CTを用いた材料特性評価が可能であることが分かった。しかし、高酸化度及び照射した材料を均質化法で評価する場合には、結晶粒中の閉気孔の数や形状を考慮する必要がある。
藤田 一郎*; 衛藤 基邦*; 大崎 弘貴; 柴田 大受; 角田 淳弥; 小西 隆志; 山地 雅俊; 國本 英治
JAEA-Research 2013-004, 20 Pages, 2013/07
高温ガス炉や第四世代の超高温ガス炉(VHTR)の炉心構造物には黒鉛が使用される。黒鉛は高温において炉内の冷却材ヘリウムガス中の不純物や空気侵入事故時の酸素ガス等により酸化する恐れがある。このため、黒鉛の酸化特性及びそれに伴う機械的特性の変化を評価しておくことが重要である。本研究では、高温ガス炉(VHTRを含む)用の材料であるIG-110及びIG-430黒鉛の520-900Cにおける空気酸化特性及び酸化に伴う圧縮強度の変化について調べ、以下の結論を得た。(1)IG-430の酸化速度はIG-110の半分以下であるが、活性化エネルギーはほぼ同じ176kJ/molである。(2)酸化による密度分布と圧縮強度の変化には相関があり、同一の酸化重量変化においては、均一酸化が生じる600C以下で強度が最も小さくなる。(3)酸化の進行過程においては、黒鉛試験片内のバインダー由来の結晶性の悪い部分から優先的に酸化が進行する。そのため、酸化消耗については、ガス化以外に、コークス粒子が脱離する影響も考慮する必要がある。
角田 淳弥; 柴田 大受; 藤田 一郎*; 國本 英治*; 山地 雅俊*; 衛藤 基邦*; 小西 隆志*; 沢 和弘
Proceedings of 6th International Topical Meeting on High Temperature Reactor Technology (HTR 2012) (USB Flash Drive), 6 Pages, 2012/10
本研究では、材料特性評価手法の開発及び重照射下でのIG-430の照射による特性変化を評価することを目的として、IG-430の弾性係数に及ぼす酸化及び緻密化の効果を調べた。また、X線CT画像に基づくIG-430の微細構造と材料特性の関係を調べた。その結果、緻密化した黒鉛の弾性係数は開気孔のみに依存すること及びX線CTを用いた材料特性評価が可能であることがわかった。しかし、高酸化度及び照射した材料を均質化法で評価する場合には、結晶粒中の閉気孔の数や形状を考慮する必要がある。
角田 淳弥; 柴田 大受; 國本 英治*; 山地 雅俊*; 小西 隆志*; 沢 和弘
IOP Conference Series; Materials Science and Engineering, 18(16), p.162012_1 - 162012_4, 2011/09
被引用回数:1 パーセンタイル:52.46(Materials Science, Ceramics)炭素繊維強化炭素複合材料(C/Cコンポジット)は、その強度及び耐熱性が優れていることからVHTR制御棒要素の候補材の一つである。2次元C/Cコンポジットの特性評価モデルの開発は、C/Cコンポジット製制御棒の設計において最も重要な課題の一つである。2次元C/Cコンポジットの特性は、繊維/マトリックス等の微細構造に強く依存するので、その微細構造から特性を評価することが可能であると考えられる。本研究では、2次元C/Cコンポジットの微細構造をもとにした特性予測開発モデルを開発することを目的として、X線CT像を用いて気孔分布を調べ、微細構造に基づくモデルを開発した。また、圧縮強度を測定するとともにモデルを用いて評価した。その結果、X線CT像から2次元C/Cコンポジットの気孔分布を視覚的に確認し、その容積や形状を評価することができた。また、本モデルを用いて2次元C/Cコンポジットの応力分布傾向を摸擬することが有用であることを示した。しかしながら、正確に応力の大きさを評価するためには、2次元C/Cコンポジットの特性評価及び適切なメッシュの設定が必要である。
角田 淳弥; 柴田 大受; 國本 英治*; 山地 雅俊*; 小西 隆志*; 沢 和弘
Journal of Nuclear Science and Technology, 47(4), p.411 - 420, 2010/04
被引用回数:4 パーセンタイル:30.41(Nuclear Science & Technology)2次元炭素繊維強化炭素複合材料(2D-C/Cコンポジット)は、高温下でも高い強度を維持するなど優れた機械的・熱的特性を有しており、超高温ガス炉(VHTR)の炉内構造物、例えば制御棒要素等の候補材の一つである。VHTRの炉内構造物として適用するうえで、2D-C/Cコンポジットの異方性がその特性に与える影響を明らかにしておくことが重要である。特に、2D-C/Cコンポジットの熱特性はその微細構造に強く依存するため、特性変化と微細構造変化の関係を明らかにするためには内部の微細構造を調べる必要がある。本研究では、X線トモグラフィーを用いて酸化した2D-C/Cコンポジットの層間ボイドやトランスバースクラックを明瞭に観察し、酸化した2D-C/Cコンポジットの熱伝導率変化及び熱膨張率変化と酸化率の関係が、繊維の向きごとに経験式を用いて表すことができることを明らかにして、異方性による特性の違いが黒鉛の結晶構造の向きと2D-C/Cコンポジットの微細構造の変化により説明できることを示した。
柴田 大受; 國本 英治; 角田 淳弥; 山地 雅俊*; 小西 隆志*; 沢 和弘
no journal, ,
第4世代原子力システムにおける超高温ガス炉(VHTR)は炉外に約950Cの高温のヘリウムガスを供給できる高温ガス炉である。日本の高温工学試験研究炉(HTTR)の炉内構造物には、微粒等方性のIG-110黒鉛(東洋炭素製)が使われており、高温ガス炉への応用が実証された黒鉛であり、VHTRの炉内黒鉛の主要な候補である。HTTRのための日本の黒鉛設計方針等ではIG-110黒鉛を炉内構造物に応用するうえでの基準が示されており、特性データ,酸化効果,照射効果等が含まれている。また、IG-110黒鉛の構造物試験の結果を反映している。したがって、IG-110黒鉛に対する黒鉛設計方針等は、必要な修正を行うことでVHTRの炉内黒鉛構造物へ適用可能であり、そのためにはVHTR条件におけるIG-110黒鉛の設計データの確立が重要な課題の一つである。VHTRの黒鉛構造物はHTTRよりも高照射量にさらされるため、高温・重照射における照射データの取得が重要であるが、照射データの内外挿方法の開発により、設計データの構築に役立てることが可能である。本研究は、IG-110黒鉛のVHTR炉内構造物への応用のための研究開発課題について取りまとめた結果を発表する。
角田 淳弥; 柴田 大受; 藤田 一郎; 國本 英治; 山地 雅俊; 衛藤 基邦*; 小西 隆志; 沢 和弘
no journal, ,
高温のヘリウムガスを炉外に取り出すことができ、固有の安全性を有する超高温ガス炉(VHTR)は、第4世代原子力システムの有力な候補である。VHTRの炉内構造物には黒鉛が用いられるため、空気浸入事故においては黒鉛が十分な耐酸化性を有していることが重要である。HTTRで用いられているIG-110黒鉛と、新たなIG-430黒鉛は、高い強度と耐酸化性を有しており、VHTRの炉内黒鉛構造物に用いる有力な候補材である。X線CT法は、黒鉛の微細構造(結晶粒,気孔)を測定することができるため、黒鉛の酸化による微細構造の変化を調べることで、酸化損傷を評価することが可能である。本研究では、IG-110黒鉛及びIG-430黒鉛の酸化速度を測定し、酸化後の黒鉛についてX線CT法を用いて黒鉛の微細構造を観察するとともに、ヤング率,熱膨張係数データを取得した。その結果、IG-430黒鉛がより優れた耐酸化性を有することを示すとともに、X線CT法が黒鉛の材料特性の評価に有効であり今後照射特性を評価するうえで有効であることを明らかにした。
角田 淳弥; 柴田 大受; 藤田 一郎; 山地 雅俊; 衛藤 基邦*; 小西 隆志; 沢 和弘
no journal, ,
超高温ガス炉(VHTR)は、高温のヘリウムガスを炉外に取り出すことができ、固有の安全性を有しており、第4世代原子力システムの有力な候補である。VHTRの制御棒要素には優れた耐熱性及び安定性が要求されるため、炭素繊維強化炭素複合材料(C/C複合材)は、金属材料に代わる候補材料である。しかし、C/C複合材製の制御棒は、原子炉の運転時に1次冷却材ヘリウムガス中の極微量の不純物により徐々に酸化の影響を受け、また、空気侵入事故には短時間で酸化するため、C/C複合材の材料特性に対する酸化効果を評価することが重要である。本研究では、2次元C/C複合材であるCX-270G(東洋炭素製)を対象とし、引張強度,曲げ強度,層間せん断強度及びヤング率に及ぼす酸化の影響を評価した。その結果、酸化によるCX-270Gの材料特性の変化は、酸化による重量減少率を用いて指数関数的に表せることを明らかとした。また、CX-270Gの取得したデータを用いてVHTR制御棒構造の応力解析を実施した結果、発生する熱応力の最大値は材料強度より十分小さく、強度の観点からC/C複合材製の制御棒の成立性に見通しを得た。
國本 英治; 小西 隆志; 衛藤 基邦*; 藤田 一郎; 柴田 大受; 沢 和弘; 加藤 雄大*
no journal, ,
IG-110黒鉛は微粒等方性で高純度の原子力用黒鉛であり、HTTR(日本)やHTR-10(中国)などの炉内構造物に使用されている。日本では高温ガス炉黒鉛構造物の規格原案が策定され、VHTRの候補材としてIG-110の各種物性や照射挙動が示されている。しかし、実用炉の黒鉛構造物はHTTRよりも厳しい条件で使用されるため、重照射領域における黒鉛の照射挙動を明らかにする必要がある。規格原案では合理的な内・外挿方法によってIG-110黒鉛の照射挙動を説明しているが、実際に照射試験を行うことでその方法の妥当性を確認し、さらに内外挿方法の精度を向上させる必要がある。本研究では、規格原案に基づき高温ガス炉黒鉛構造物の設計を行ううえで必要となる、IG-110黒鉛の設計用データの拡張計画について示す。さらに、次期の原子力用黒鉛として有望な高性能IG-430黒鉛について、その特性を示す。
國本 英治; 小西 隆志; 衛藤 基邦*; 角田 淳弥; 柴田 大受; 沢 和弘; 黒田 雅俊*; 加藤 雄大*
no journal, ,
黒鉛の強度は、かさ密度や電気抵抗率等の特性と比較して試験片間のばらつきが大きいため、より多くの試験片を用いて評価する必要がある。現在IG-110黒鉛とIG-430黒鉛の高温・重照射試験を実施する計画であるが、照射キャプセルの容積には限りがあるため、装荷する試験片をできるだけ小さくする必要がある。本研究では、微粒等方性黒鉛であるIG-110黒鉛とIG-430黒鉛の照射試験を実施するにあたり、圧縮試験片を小型化することによる妥当性を評価した。その結果、ASTMで推奨されている圧縮試験片の寸法よりも小さい試験片を用いた場合でも、同等な圧縮強さを得ることができることが明らかとなった。微粒等方性黒鉛は、一般的に物理特性のばらつきが小さいが、本研究においても微粒等方性黒鉛の圧縮強さは、予想通りばらつきが小さいことを確認した。これは、高温ガス炉の材料として、設計上の安全裕度を高くできることを示している。
角田 淳弥; 柴田 大受; 大崎 弘貴*; 衛藤 基邦*; 小西 隆志*
no journal, ,
黒鉛は、減速材に黒鉛、冷却材にヘリウムガスを用いた高温ガス炉(HTGR)の炉内構造物として使用される。HTGRは高温のヘリウムガスを取り出すことが可能であり、固有の安全性を有する魅力的な原子炉である。その中で、超高温ガス炉(VHTR)は、第4世代原子炉の中でも有望な原子炉である。IG-110黒鉛は、高強度で耐酸性を有する黒鉛であり、原子力機構の高温工学試験研究炉(HTTR)や中国の高温ガス炉HTR-PMで使用され、VHTRで使用される黒鉛の有力な候補の一つである。IG-430黒鉛は、IG-110よりもさらに高強度で耐酸化性を有する黒鉛であり、先進型VHTR用黒鉛である。本研究では、これらの黒鉛の弾性係数及び熱膨張係数を測定し、圧縮強度と微細構造の関係を評価した。また、材料特性に与える密度の緻密化の影響をX線CTによる測定した黒鉛内部の微細構造をもとに評価した。
柴田 大受; 角田 淳弥; 植田 祥平; 大崎 弘貴; 國本 英治; 衛藤 基邦*; 小西 隆志
no journal, ,
原子力機構では、公衆・社会・環境に有害な影響を与えない本質的に安全な高温ガス炉の研究開発を進めている。高温ガス炉の炉内に使用される黒鉛にとって、照射クリープ特性の評価は特に重要な課題であり、微粒等方性黒鉛(IG-110及びIG-430)の照射クリープ特性を評価した。他の黒鉛の照射クリープデータを活用して整備した予測評価式が、IG-110の照射クリープ特性を表すうえで有効であることを明らかにし、またIG-430の照射クリープ特性も表現できる見込みを得た。
柴田 大受; 角田 淳弥; 永田 寛; 斎藤 隆; 土谷 邦彦; 坂場 成昭; 大崎 弘貴*; 加藤 秀樹*; 藤塚 公仁弘*; 武藤 剛範*; et al.
no journal, ,
高温ガス炉(HTGR)における空気侵入事故では、被覆粒子燃料の機械的な損傷を避けるため、酸化に対して炉内の黒鉛構造物の形状を維持することが重要である。高温ガス炉のさらなる安全性向上のためには、SiCで表面を被覆した耐酸化黒鉛の開発が重要であり、日本の主要な黒鉛メーカ4社と共同で、耐酸化黒鉛の開発を進めている。日本の技術である耐酸化黒鉛について早期に高温・中性子照射環境下での成立性を明らかにするため、HTGR開発に大きな興味を持っているカザフスタンと協力し、高温での照射試験が可能な核物理研究所(INP)のWWR-K炉を用いた照射試験計画を進めている。照射温度は1200Cを目標とし、照射試験は2014年4月から開始する予定である。カザフスタンでは、将来にHTGRを建設する場合に、本研究で得られた知見を設計に反映することが可能となる。
大崎 弘貴; 小西 隆志*; 衛藤 基邦*; 柴田 大受; 角田 淳弥
no journal, ,
黒鉛材料は黒鉛減速ヘリウムガス冷却炉である高温ガス炉(HTGR)の内部構造材として使用されている。高温ガス炉は、高温のヘリウムガスを取り出すことができ、また固有の安全特性を有することが大きな特徴である。そして、超高温ガス炉(VHRT)はGeneration-IV核原子炉システムとして最も有力な候補の一つである。IG-110黒鉛は高い品質安定性と長期に渡る安定的な供給が可能なことからVHTRの内部構造材の主要な候補でもある。また、IG-110よりも高強度と耐酸化性を有するIG-430は、VHTRのための先端的候補材料である。しかし、新しい材料であるIG-430は、IG-110の様な高温ガス炉の設計に用いられる十分なデータベースがあるとは言えない。そこで、設計に必要な機械的強度特性,熱特性,照射特性についてデータベースの整備を行っている。本研究では、IG-430黒鉛のデータ取得を目的として、IG-110とIG-430の圧縮強度と酸化消耗率について比較・検討した。その結果、IG-430の優れた物理特性を明らかにした。さらにマイクロインデンテーション法を用いた破壊靭性値を簡便に評価する方法について検討した。
大崎 弘貴*; 角田 淳弥; 柴田 大受; 小西 隆志*
no journal, ,
耐酸化性能を有する黒鉛として、黒鉛にボロンを添加した材料(GB材)が候補の一つとして挙げられる。これまで、GB材の耐酸化特性について、酸化時に三酸化二ホウ素(BO)膜が生成することで酸化の進行を抑制することが報告されているが、GB材を高温ガス炉の炉心支持黒鉛構造物へ適用するためには、高温ガス炉の使用条件において酸化したGB材の機械・熱的特性を調べる必要がある。本研究では、酸化したGB材の曲げ強度を調べるため、東洋炭素製GB材(GB-210)を用いて実施した酸化試験、曲げ試験及び表面観察の結果を報告する。
角田 淳弥; 大崎 弘貴*; 國本 英治*; 山地 雅俊*; 小西 隆志*
no journal, ,
黒鉛材料は、黒鉛減速ヘリウムガス冷却高温ガス炉(HTGR)の炉内構造物使用される。高温ガス炉は、高温のヘリウムガスを取り出すことが可能で、固有の安全性を有する魅力的な原子炉である。高温ガス炉の炉心を支える炉心支持黒鉛構造物は、高温ガス炉で最も苛酷事象である空気(水)侵入事故において、高い安全性を確保する観点から、炉心の形状を維持し、炉心の冷却を可能にするため、耐酸化性が要求される。そのため、耐酸化性能に優れた黒鉛を開発することにより、高温ガス炉の安全性をさらに高めることが可能になる。ボロン添加黒鉛は、耐酸化性を向上させた黒鉛の候補材料であり、これまで酸化時にBCからBOに変化し、酸化の進行を防ぐことが報告されているが、ボロン添加黒鉛を炉心支持黒鉛構造物に使用するためには、その酸化メカニズムを理解する必要がある。本研究では、ボロン添加黒鉛(GB-210)について、酸化試験, 曲げ強度及び表面観察の結果から、酸化のメカニズムを定性的に評価した結果を報告する。
國本 英治*; 角田 淳弥; 大崎 貴士*; 大崎 弘貴*; 山地 雅俊*; 小西 隆志*
no journal, ,
黒鉛材料は黒鉛減速ヘリウムガス冷却炉である高温ガス炉(HTGR)の内部構造材として使用されている。高温ガス炉は、高温のヘリウムガスを取り出すことができ、また固有の安全特性を有することが大きな特徴である。そして、超高温ガス炉(VHTR)はGeneration-IV核原子炉システムとして最も有力な候補の一つである。IG-110黒鉛は、高強度で耐酸化特性に優れていることから、原子力機構のHTTR、中国のHTR-10で使用されている。さらに、IG-110黒鉛は高い品質安定性と長期にわたる安定的な供給が可能なことからもVHTRの内部構造材の主要な候補とされている。黒鉛構造部材の安全性を高めるためには、より高強度で耐酸化特性に優れた黒鉛が要求される。IG-430はIG-110よりも高強度で耐酸化特性に優れているため、次期候補材料と考えている。しかし、新材料であるIG-430は、原子炉設計に用いられる十分なデータベースが整っていない。そこで、設計に必要な機械的強度特性、熱特性、照射特性についてデータベースの整備を行っている。本研究では、IG-430の引張強度、圧縮強度及び疲労強度について統計的に評価を行い、高温ガス炉用黒鉛としての適性を検討した。さらに、IG-430の引張強度に対して、基準強度(Su値)を設定し、IG-430とIG-110のSu値と比較・検討することで、IG-430の優れた物理特性を明らかにした。