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多田 浩幸*; 熊坂 博夫*; 齋藤 亮*; 中谷 篤史*; 石井 卓*; 藤田 朝雄; 杉田 裕; 中間 茂雄; 真田 昌慶*
土木学会論文集,F2(地下空間研究)(インターネット), 73(1), p.11 - 28, 2017/03
本論文では、低アルカリ性モルタルを用いた岩石利用セグメント支保工の力学特性、支保工としての成立性について室内試験や要素試験を行い検討した。検討結果より、従来の吹付けコンクリートを主体とした支保工に対して、低アルカリ性モルタルを用いた岩石利用セグメント支保工は、セメント使用量を大幅に低減し、かつ低アルカリ性モルタルを利用することにより、セメント影響のさらなる低減化が期待できること、地層処分施設の支保工として地山の安定性を確保することが可能であることを示した。
尾崎 裕介; 松井 裕哉; 桑原 和道; 多田 浩幸*; 櫻井 英行*; 熊坂 博夫*; 郷家 光男*; 小林 伸司*
JAEA-Research 2016-007, 125 Pages, 2016/06
瑞浪超深地層研究所では、これまでクラックテンソルモデルを用いた掘削解析を行ってきた。現在、瑞浪超深地層研究所では深度500mにおいて再冠水試験が実施されている。本研究では、クラックテンソルモデルを用いて坑道が冠水する過程における亀裂および掘削損傷領域を含む岩盤挙動の評価を行う。坑道が冠水する過程での応力状態の変化を評価するために、冠水坑道内の水位が異なる場合の解析を行った。また、冠水後に坑道内に地下水の流入が継続した場合の応力状態を推定するために、冠水坑道内の水圧が深度相当の水圧と同程度まで上昇した場合の解析も行った。これら坑道の冠水過程における解析において、最大の応力が岩盤に作用した場合の状況を推定するため、地下水の岩盤への浸透を無視して解析を実施した。これらの解析に加えて、冠水後に長時間経過した場合における岩盤の応力状態を予測するため、地下水の岩盤への浸透を考慮した場合の解析も実施した。解析の結果、これら坑道の冠水過程において、岩盤にかかる応力は、冠水坑道壁面付近で坑道内の水圧程度まで達することが予測された。
高山 裕介; 佐藤 稔紀; 真田 祐幸; 多田 浩幸*; 熊坂 博夫*; 福田 毅*; 小林 伸司*
JAEA-Research 2015-003, 102 Pages, 2015/07
日本原子力研究開発機構では、結晶質岩を対象とした深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤の整備と、深地層における工学技術の基盤の整備を目標として、岐阜県瑞浪市において超深地層研究所計画を進めている。超深地層研究所計画における岩盤力学分野の研究では、地上からの調査予測研究段階において、研究坑道の掘削に伴い周辺岩盤中に生じる掘削影響の評価方法の構築を課題の一つとして設定している。本報告では、深度500mの換気立坑連接部、研究アクセス北坑道の地中変位計設置断面周辺、および斜坑部・冠水坑道の3箇所を対象として、クラックテンソルを算定し、掘削解析を実施した。研究アクセス北坑道の地中変位計設置断面周辺の解析結果については計測データとの比較を行った。また、換気立坑連接部の掘削解析においては、第1段階および第2段階で取得したクラックテンソルや初期応力測定結果を用い、第1段階と第2段階の解析結果の差異を比較・検討した。
真田 祐幸; 佐藤 稔紀; 丹野 剛男*; 引間 亮一*; 多田 浩幸*; 熊坂 博夫*; 石井 卓*; 櫻井 英行*
JAEA-Research 2014-006, 124 Pages, 2014/06
日本原子力研究開発機構では、結晶質岩を対象とした深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤の整備と、深地層における工学技術の基盤の整備を目標として、岐阜県瑞浪市において超深地層研究所計画を進めている。超深地層研究所計画における岩盤力学分野では、地上からの調査段階において、研究坑道の掘削に伴い周辺岩盤中に生じる掘削影響の評価方法の構築を課題の一つとして設定している。本報告では、深度500mまでの立坑および水平坑道の研究坑道の壁面観察や力学試験データ等を使用してクラックテンソルの算定を行った。そして、深度500mにおけるクラックテンソルを用いて、換気立坑の深度500mおよび深度500m予備ステージの2次元掘削解析を行った。また、第1段階の調査(MIZ-1号孔)結果に基づいて算出した深度500mのクラックテンソルの検証を本報で算定したクラックテンソルを基に行った。さらに、換気立坑の深度170から500mおよび深度500m予備ステージを対象に、基準領域および観察領域を設定し、クラックテンソルの相対誤差を算出するとともに、観察領域の大きさに伴う相対誤差の変動の様子を調べた。
真田 祐幸; 引間 亮一; 丹野 剛男; 佐藤 稔紀; 郷家 光男*; 多田 浩幸*; 熊坂 博夫*
Proceedings of ITA-AITES World Tunnel Congress 2013 (WTC 2013)/39th General Assembly, p.855 - 860, 2013/05
本報では、瑞浪超深地層研究所の研究坑道掘削時の変形挙動予測及び第1段階の解析結果の検証のために等価連続体解析の一種であるクラックテンソル(岩盤中の割れ目の密度,大きさ,方向などの幾何学特性を表現するテンソル)理論を用いたモデル化方法や解析結果について記した。対象深度のクラックテンソルの推定のために、各深度のボーリングデータ及び壁面観察による割れ目の統計量の関係性から、各深度のクラックテンソルのトレース(割れ目の密度とトレース長から算出される岩盤の剛性に対応するパラメータ)の比率やテンソルの変換マトリクスを求めた。推定の結果、第1段階でモデル化した解析結果と比較して、岩盤のヤング率の低減と支保工の応力の増加が認められた。研究坑道掘削時の調査により、地表からの調査で捉えることが難しかった高角度割れ目の情報を追加したことによりモデルが改善された。今後、瑞浪超深地層研究所の研究坑道を利用した研究段階においてモデル化及び解析結果の検証を実施する。
多田 浩幸*; 熊坂 博夫*; 齋藤 亮*; 中谷 篤史*; 石井 卓*; 真田 昌慶; 野口 聡*; 岸 裕和*; 中間 茂雄; 藤田 朝雄
第13回岩の力学国内シンポジウム講演論文集(CD-ROM), p.133 - 138, 2013/01
高レベル放射性廃棄物の地層処分施設に関し、セメント系材料の使用を極力抑えた坑道の新しい構築方法の開発に取り組み、低アルカリ性モルタルを用いた岩石利用セグメント支保工の成立性や有効性を示すための研究開発を進めている。本研究では、低アルカリ性モルタルを用いた岩石利用セグメント支保工と裏込め材の力学特性値を室内試験により取得し、得られた物性値を用いて坑道の安定性に関する検討を実施した。検討結果より、従来の吹付けコンクリートを主体とした支保工に対して、セメント使用量を大幅に低減し、かつ低アルカリ性モルタル利用することにより、セメント影響のさらなる低減化を図った支保工の力学的な成立性,有効性を確認した。
丹野 剛男; 佐藤 稔紀; 真田 祐幸; 引間 亮一; 熊坂 博夫*; 多田 浩幸*
第13回岩の力学国内シンポジウム講演論文集(CD-ROM), p.109 - 113, 2013/01
割れ目を多く含む岩盤の場合、変形特性は、岩盤中に内在する割れ目の幾何学的な分布特性に大きく影響を受ける。岩盤中の割れ目の幾何学的な分布特性を把握する場合、それが調査位置や調査領域のスケールで変化するため、これに基づいて設定される岩盤の物性も調査位置や領域のスケールにより変動する。そこで、本研究では、岩盤中の割れ目の幾何学的な分布を定量的に表現できるクラックテンソルに着目し、研究坑道において基準区間と観測区間長を変化させ、基準区間に対する観測区間長ごとのクラックテンソルの相対誤差(RE)の変動の様子を調べた。さらに、REの変動の様子からREV(Representative Elementary Volume: 代表要素体積,不連続性岩盤を等価な連続体に置換して、変形解析・評価することが可能な体積の意味)の基礎的検討を試みた。その結果REの収束は換気立坑よりも深度300m研究アクセス坑道のほうが速いことがわかった。
丹野 剛男; 佐藤 稔紀; 真田 祐幸; 引間 亮一; 松井 裕哉; 多田 浩幸*; 郷家 光男*; 熊坂 博夫*; 石井 卓*
JAEA-Research 2012-002, 86 Pages, 2012/03
日本原子力研究開発機構では、超深地層研究所計画(以下、MIU計画)の岩盤力学研究の一環として、結晶質岩を対象とし、坑道の掘削に伴って周辺岩盤中に生じる掘削影響の評価を地上からの調査段階で実施する方法の構築を課題の一つとして設定している。この課題を達成するために、岐阜県瑞浪市の瑞浪超深地層研究所において、割れ目の力学特性やその幾何学的分布が岩盤の変形に支配的な影響を及ぼす結晶質岩について、クラックテンソルモデル(等価連続体モデルの一つ)による研究を進めている。あわせて、クラックテンソルによる相対誤差に基づいたREV(Representative Elementary Volume: 代表要素体積,寸法効果を定量的に表現する指標であり、不連続体を等価な連続体とみなして解析・解釈する際の最小体積の意味)の検討を実施し、第3段階における試験計画の策定や、モデル化の際の要素の大きさの設定にREVの検討結果を適用することを試みている。2010年度は、クラックテンソルモデルに基づき、REVの検討を実施した。また、クラックテンソルのトレースと電中研式岩盤等級との関係を調査し、設計時に設定した岩盤等級に基づく物性分布評価の妥当性を検討した。
丹野 剛男; 佐藤 稔紀; 松井 裕哉; 真田 祐幸; 熊坂 博夫*; 多田 浩幸*
第41回岩盤力学に関するシンポジウム講演集(CD-ROM), p.185 - 190, 2012/01
日本原子力研究開発機構では地層処分技術に関する研究の一環として、超深地層研究所計画を進めている。超深地層研究所計画における岩盤力学分野では、研究坑道の掘削に伴い周辺岩盤に生じる掘削影響の評価方法の構築を課題の一つとして設定して調査研究を行っている。その中で本報では、瑞浪超深地層研究所において研究坑道を利用し、等価連続体モデル化手法の一つであるクラックテンソルによるモデル化領域設定のための検討結果を報告する。クラックテンソルの算出では、坑道壁面などの曲面状の壁面に現れる割れ目のトレース長の算出が必要であり、本研究では、その算出方法を新たに提案した。また、算出されたクラックテンソルについて、岩盤等級との関係を検討した。
林 克彦; 野口 聡; 岸 裕和; 小林 保之*; 中間 茂雄; 藤田 朝雄; 内藤 守正; 多田 浩幸*; 熊坂 博夫*; 郷家 光男*; et al.
JAEA-Research 2010-057, 101 Pages, 2011/03
高レベル放射性廃棄物の地層処分施設において支保工やグラウトに用いられるセメント系材料は、地下水に溶出し高アルカリ環境を生じさせる。このような高アルカリ環境は、緩衝材や埋め戻し材に使用されるベントナイトや周辺岩盤に変質を生じさせ、処分システムの長期的な性能の確保に不確実性を増大させる結果になることが懸念されている。本研究は、セメント系材料の高アルカリ影響に対するセメント量の低減化の観点から、処分システムの長期的な性能に配慮した材料を主体とする支保構造の技術的成立性について、原子力機構及び清水建設の双方が所有する知見を最大限に活用し、検討・評価するものである。それに基づき、将来の高レベル放射性廃棄物処分施設への適用に向けた実現可能性について課題を取りまとめた。
松井 裕哉; 丹野 剛男; 平野 享*; 郷家 光男*; 熊坂 博夫*; 多田 浩幸*; 石井 卓*
JAEA-Research 2010-043, 87 Pages, 2010/12
予察的解析の妥当性評価を目的として、壁面観察結果に基づきクラックテンソルを算定し、地中変位計測と比較して、その妥当性を評価し、立坑内から実施したパイロットボーリング調査や地表からの調査段階で設定したクラックテンソルの比較を行った。(1)2004年度の予察的解析で設定されたクラックテンソルを用いた換気立坑の深度350mの変形解析値は地中変位計測値よりも小さい値を示した。一方、壁面観察結果から設定されたクラックテンソルを用いた換気立坑の深度350mの変形解析の結果、計算された最大値は計測値に近い値を示した。(2)これは、2004年度の評価で十分考慮できていない非常に連続性の高いNE系の割れ目の情報が新たに考慮されたためである。換気立坑より掘削したパイロットボーリング調査結果に基づきクラックテンソルを求めて両者と比較した結果、パイロットボーリング調査で把握された割れ目の方向分布は壁面観察の方向分布と近いこと、求められたクラックテンソルは両者の中間に位置することがわかった。(3)パイロットボーリングデータにおける深度350mと深度500m間の割れ目の統計量の関係より深度500mにおけるクラックテンソルを推定した。推定されたクラックテンソルを用いて深度500mにおける換気立坑と水平展開坑道の変形解析を行った結果、2004年度の結果よりも岩盤のヤング率は低減し、支保工に作用する応力は増加した。
瀬野 康弘; 中間 茂雄; 佐藤 稔紀*; 郷家 光男*; 多田 浩幸*; 櫻井 英行*
JAEA-Research 2007-081, 120 Pages, 2008/01
本報告書は、第2段階以降の調査・研究計画策定のための基礎情報を得ることを目的とし、研究坑道の深度500m付近の立坑と水平坑道の連接部を対象に、クラックテンソルモデルにより掘削損傷を考慮した3次元応力解析を行い、その応力状態を用いて仮想割れ目モデルによる透水性変化解析を行った結果について報告するものである。解析検討により得られた知見は以下のとおりである。(1)岩盤等級が下がると、立坑及び水平坑道の内空変位,支保工部材の応力は増加した。ただし、最大せん断応力,安全率,平均透水係数の増加領域の分布には変化がほとんど見られなかった。(2)連接部における立坑の内空変位は一般部の1.1倍に増加した。連接部の影響範囲は、水平坑道の代表径の2倍程度であった。また、連接部における水平坑道の内空変位は一般部の1.92.2倍に増加した。(3)掘削損傷領域の存在を考慮すると、立坑及び水平坑道とも、内空変位や支保工部材の応力は増加し、平均透水係数の最大増加率は大幅に増加した。(4)3次元的な亀裂分布に基づく岩盤挙動をより適切に表現するには2次元モデルより3次元モデルが有効である。
郷家 光男*; 多田 浩幸*; 瀬野 康弘; 中間 茂雄; 佐藤 稔紀
トンネル工学論文集, 16, p.35 - 45, 2006/11
本研究では、不連続性岩盤を対象とした掘削損傷領域のモデル化について検討し、掘削損傷領域を考慮した掘削影響解析を行い、発破掘削時に形成される掘削損傷領域の影響について検討した。掘削損傷領域のモデル化に際しては、坑道周辺岩盤の変形挙動に対してはクラックテンソルモデルを、透水性変化に対しては仮想割れ目モデルを拡張し、これらのモデルを超深地層研究所計画の研究対象となっている土岐花崗岩に適用して、研究坑道の掘削影響解析を行った。研究の結果、不連続性岩盤の掘削損傷領域での剛性低下は、新規の割れ目が発生することにより生じるとの解釈のもと定式化が可能なこと,掘削損傷領域を考慮した解析の結果、坑道周辺岩盤の変位は増加するものの、局所安全率にはほとんど影響しないこと,水理学的影響は非常に大きく、坑道周辺岩盤の透水係数が著しく増加することがわかった。
佐藤 稔紀; 見掛 信一郎; 中間 茂雄; 瀬野 康弘; 森 孝之*; 岩野 圭太*; 郷家 光男*; 多田 浩幸*
Proceedings of 7th International Conference on Analysis of Discontinuous Deformations (ICADD-7) (CD-ROM), p.245 - 256, 2005/12
日本の二つの深地層の研究施設のうち,瑞浪超深地層研究所の建設や研究の現状を紹介するとともに、MBCモデルやクラックテンソルモデルなどの連続体モデルと、クラックプロパゲーションコードを用いた不連続体モデルによる坑道掘削解析の結果を紹介する。
郷家 光男*; 堀田 政國*; 多田 浩幸*
JNC TJ7400 2004-007, 102 Pages, 2004/02
核燃料サイクル開発機構東濃地科学センターでは,地質環境の調査・解析・評価技術の基盤整備と,深地層における工学技術の基盤整備を目的として,瑞浪市において超深地層研究所計画を進めている。本業務では,掘削影響領域の予測解析手法の整備・高度化に資するために,掘削損傷領域のモデル化の考え方を示し,それに基づき掘削損傷領域を考慮したクラックテンソル・仮想割れ目モデルによる応力解析と透水性変化解析を行った。検討の結果,以下のような知見を得た。1) 掘削損傷領域を考慮したクラックテンソルモデルによる応力解析の結果,掘削損傷領域を考慮しない場合に比べ,立坑および横坑とも,壁面変位は増加し,主応力の最大値は減少する。ただし,安全率分布に変化はほとんど現れなかった。2) 掘削損傷領域を考慮した仮想割れ目モデルによる透水性変化解析の結果,掘削損傷領域を考慮しない場合に比べ,立坑および横坑とも,透水係数の最大増加率は大幅に増加する。3) 掘削損傷領域の剛性が低下すると,壁面最大変位は増加,主応力の最大値は減少,透水係数の最大増加率は大幅に増加する。さらに,透水性変化解析では,剛性の低下以外にも割れ目の方向分布が解析結果に影響を与えた。特に,壁面平行に割れ目が発生する場合には,5000倍以上の増加を示したケースもあった。4) 横坑の支保工については,掘削損傷領域を考慮しない場合に比べ,変位抑制効果や支保部材に発生する応力は増加する。これは,掘削損傷領域を考慮することによって地山の剛性が低下したことによるものである。
郷家 光男*; 多田 浩幸*; 堀田 政國*; 若林 成樹*
JNC TJ7400 2003-003, 93 Pages, 2003/02
核燃料サイクル開発機構東濃地科学センターでは、地質環境の調査・解析・評価技術の基盤整備と、深地層における工学技術の基盤整備を目的として、瑞浪市において超深地層研究所計画を進めている。本業務では、モデル化手法の評価に資するために、これまでに取得された土岐花崗岩のデータに基づき、クラックテンソルモデルによる応力解析を行い、その解析で得られた応力状態を用いて仮想割れ目モデルによる透水性変化予測に関する2次元解析を行った。検討の結果、以下のような知見を得た。(1)クラックテンソルモデルによる2次元応力解析の結果、立坑および横坑とも、岩盤が堅硬なケースでは、内空変位は微小であった。ただし、断層部では、大きな変位が発生した。(2)仮想割れ目モデルによる透水性変化予測解析の結果、立坑および横坑とも、岩盤が堅硬なケースでは、掘削壁面から約1mの範囲で10倍以上の透水係数の増加を示し、最大で100倍以上に増加した。ただし、断層部では、掘削壁面から約4mの範囲で10倍以上の増加を示した。(3)横坑において、同一深度でも坑道展開方向が変化すると、割れ目の方向や初期応力の影響により、透水係数の増加領域は変化した。例えば、GL-945mの横坑の壁面では、透水係数の最大増加率は110倍から670倍まで変化した。(4)横坑の支保については、周辺岩盤が堅硬であるため、明瞭な支保効果は見られなかった。
齋藤 亮*; 中谷 篤史*; 多田 浩幸*; 熊坂 博夫*; 小林 保之
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分施設におけるセメントの使用を極力抑えた坑道支保工として提案している岩石利用セグメントに関して、低アルカリ性モルタルを用いた複合材料の強度・変形,pHの各特性について実験的な検討を行った。その結果、普通ポルトランドセメントを使った普通モルタルに比べ、低アルカリ性モルタルを使った場合は、複合材料としての強度・変形特性が多少低下するものの、支保工仕様を満足しており、pHについては低く、材齢の経過に伴い漸減する傾向にあることがわかった。
齋藤 亮*; 郷家 光男*; 中谷 篤史*; 多田 浩幸*; 林 克彦; 野口 聡; 岸 裕和; 中間 茂雄
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分施設におけるセメントの使用を極力抑えた支保工として岩石を低アルカリ性モルタルで接合した岩石利用セグメントを提案している。組み上げたときの自重によりこのセグメントに発生する曲げモーメントの力学的特性を把握するため、セグメントを試作し、曲げ試験を実施した。その結果、正曲げ117kN,負曲げ44kNの自重による曲げモーメントに相当する荷重の最大値に対し、試作したセグメントの最大荷重は、中詰モルタルの圧壊と鋼製枠縦リブの曲げ座屈が発生した正曲げでは自重による荷重の約2倍以上の値を示したが、中詰モルタルが引張破壊しモルタルと鋼製枠の付着が剥離した負曲げでは自重による荷重とほぼ同等であり、荷重の正負で異なる挙動を示すことを確認した。今後、セグメントのひび割れの発生及び負曲げ時の剥離の抑制、及び組み立て時の施工方法等を改善したい。
熊坂 博夫*; 齋藤 亮*; 中谷 篤史*; 多田 浩幸*; 林 克彦; 野口 聡; 岸 裕和; 中間 茂雄
no journal, ,
地層処分の支保材料等に用いられるセメントは地下水とともに高アルカリ環境を生じさせるため、バリア性能に悪影響を及ぼすことが懸念されている。そのため、著者らはセメントの使用を極力抑えた岩石利用セグメントの活用を提案してきている。本報では、裏込め材として用いる砕石の変形特性試験を実施し物性値を求め、これを用いた坑道の空洞安定性評価を実施した。砕石の変形特性試験は、高い拘束状態に近い載荷条件で載荷・徐荷の繰り返し載荷試験を行った。軸対称解析及び初期載荷時の載荷板応力と変位の勾配から求めた弾性係数等の物性と複合材料試験から得られた岩石利用セグメントの弾性係数を用いて、第2次取りまとめの地山条件における安定性を検討した。その結果、地山壁面のひずみは既往の検討での壁面ひずみよりも小さく、坑道周辺地山の安定性が確保できる結果が得られた。また、岩石利用セグメントに生じる軸応力は、複合材料試験で得られた材料強度の1/2程度で、支保構造として安定している結果が得られた。また、初期載荷時の変形量は砕石の粒度分布によって大きく異なることも明らかになった。今後、砕石の粒度分布の改良と締め固め技術の導入を検討したい。
多田 浩幸*; 齋藤 亮*; 中谷 篤史*; 熊坂 博夫*; 林 克彦; 野口 聡; 岸 裕和; 中間 茂雄
no journal, ,
HLWの地層処分施設のセメント使用を極力抑えた支保工として岩石を低アルカリ性モルタルで接合した岩石利用セグメントを提案。組立時の自重及び偏地圧によりセグメントには曲げモーメントが発生する。その力学的特性把握のため、セグメントを試作し、曲げ試験を実施した。既往の試験では、セグメントに中詰めする岩石ブロックを並列に配列した場合の曲げ特性を把握した。本検討では岩石ブロックを千鳥に配列した試験体を作製して曲げ試験を行い、並列配列の試験結果と比較した。その結果、千鳥配列の正曲げ試験は130-210kNで最大荷重に達し、並列配列の最大荷重210-270kNよりも小さくなった。一方、負曲げ試験は30-40kNで最大荷重に達し、並列配列の最大荷重40kNよりも小さくなり、ばらつく結果となった。試験体に発生したひび割れは、並列配列の正曲げ試験では3-4本、負曲げ試験では中央部に1本のひび割れが岩石ブロックとモルタルの境界面に沿って発生していたが、千鳥配列の正曲げ試験では2本、負曲げ試験では1本のひび割れが載荷点近傍の岩石ブロックとモルタルの境界面と岩石ブロック内を貫いて発生し、ひび割れの発生状況に違いがあることを確認した。