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藤田 浩彦*; 藤田 佳孝*; 宇都野 穣; 吉田 賢市*; 足立 竜也*; Algora, A.*; Csatls, M.*; Deaven, J. M.*; Estevez-Aguado, E.*; Guess, C. J.*; et al.
Physical Review C, 100(3), p.034618_1 - 034618_13, 2019/09
被引用回数:12 パーセンタイル:76.08(Physics, Nuclear)大阪大学のリングサイクロトロンにてO(He,)F反応実験を行い、その荷電交換反応の断面積から、のガモフテラー遷移分布の励起エネルギー分布を測定した。その結果、Fの基底状態へのが3.1と非常に大きく、その他の励起状態への遷移強度は小さいことがわかった。この実験結果を大規模殻模型計算や乱雑位相近似計算と比較し、基底状態への強い遷移が理論計算によってよく説明されることがわかった。
松浦 直人*; 飯田 裕之*; 廣田 和馬*; 大和田 謙二; 野口 祐二*; 宮山 勝*
Physical Review B, 87(6), p.064109_1 - 064109_10, 2013/02
被引用回数:30 パーセンタイル:75.11(Materials Science, Multidisciplinary)(BiNa)TiOにおいては600K付近を最大とする誘電率の緩やかな温度変化の他、それに伴う圧電効果の減少が脱分極温度460K-480Kより上で観測される。その起源を中性子散乱を用いて調べた。その結果、点近傍で強く過減衰したwater-fall的ソフトフォノンが脱分極温度付近で観測されたほか、M点においては誘電率の温度依存性に対応する温度依存性を持つ超格子反射が観測された。これらは、正方晶/菱面体晶相が共存するなかでの強誘電クラスターのダイナミックな性質、これらは脱分極やwater-fallを与える、が重要であることを示している。
大和田 謙二; 福田 竜生; 水木 純一郎; 廣田 和馬*; 寺内 暉*; 筒井 智嗣*; Baron, A. Q. R.*; 大和 英弘*; 安田 直彦*
Journal of the Korean Physical Society, 59(3), p.2509 - 2514, 2011/09
被引用回数:2 パーセンタイル:20.07(Physics, Multidisciplinary)Pb(InNb)O(PIN)はペロヴスカイトBサイトの秩序度により反強誘電状態,強誘電状態,リラクサー状態を取りうる物質である。秩序PINは鉛複合ペロヴスカイトPb(B'B'')OにおいてBサイトランダムネスのない系であり、Bサイトランダムネスによる反強誘電状態/リラクサー状態の起源を探るには理想的な物質である。われわれはX線非弾性散乱実験を行った。準弾性散乱(QE)は臨界スローダウンを示し横波音響(TA)フォノンは反強誘電転移点()までソフト化を示す一方、横波光学モードは低温までソフト化を続けた。これらの結果は、反強誘電相転移はQEの起源とTAフォノンによるものであるが、強誘電相関は確固としてその背後に存在していることを示している。これらの結果を元に、Bサイトランダムネスの効果について議論する。
大和田 謙二; 水木 純一郎; 並河 一道*; 松下 三芳*; 下村 晋*; 中尾 裕則*; 廣田 和馬*
Physical Review B, 83(22), p.224115_1 - 224115_7, 2011/06
被引用回数:8 パーセンタイル:36.01(Materials Science, Multidisciplinary)コヒーレントX線回折法,X線散漫散乱法,通常のX線回折法,誘電率測定を相補利用した結果、Pb(ZnNb)O-9%PbTiOにおいてマクロスケール,ミクロスケール,ナノスケールといった多重距離スケールを考慮した取り扱いが可能になり、それぞれのスケール階層の物性への寄与が議論できるようになった。
広瀬 雄介*; 西村 尚人*; 本多 史憲*; 杉山 清寛*; 萩原 政幸*; 金道 浩一*; 竹内 徹也*; 山本 悦嗣; 芳賀 芳範; 松浦 直人*; et al.
Journal of the Physical Society of Japan, 80(2), p.024711_1 - 024711_12, 2011/02
被引用回数:7 パーセンタイル:47.06(Physics, Multidisciplinary)Magnetic and superconducting properties of CeRhGe and CePtSI have been investigated by bulk property measurements and neutron scattering experiments. CeRhGe was found to order antiferromagnetically with an ordered moment 1.3 /Ce along the -axis of the orthorhombic unit cell. High pressure resistivity measurements revealed a suppression of the antiferromagnetic transition with increasing pressure and the occurrence of superconductivity near the critical pressure where antiferromagnetism vanishes. Quantum-critical characteristics are expected to these compounds.
梶本 亮一; 佐賀山 基*; 佐々井 健蔵*; 福田 竜生; 筒井 智嗣*; 有馬 孝尚*; 廣田 和馬*; 三井 由佳利*; 吉澤 英樹*; Baron, A. Q. R.*; et al.
Physical Review Letters, 102(24), p.247602_1 - 247602_4, 2009/06
被引用回数:12 パーセンタイル:58.82(Physics, Multidisciplinary)TbMnO exhibits a spontaneous electric polarization along concomitantly with a spiral spin ordering modulated along below = 28 K. We have performed inelastic X-ray scattering measurements on a single crystal of TbMnO to clarify whether phonon anomalies related to the ferroelectricity exist. We measured transverse modes, especially the Mn-O-Mn bending mode polarized along and propagating along , which we expect is most relevant to the ferroelectricity. However, no anomaly was found in the phonon dispersion below 50 meV across . The present result suggests that the mechanism of ferroelectricity in TbMnO is different from that of a conventional displacive-type ferroelectric. The weak coupling between electric polarization and lattice in TbMnO strongly suggests that the ferroelectricity is mainly derived from the spiral spin ordering.
大和田 謙二; 廣田 和馬*; 寺内 暉*; 福田 竜生; 筒井 智嗣*; Baron, A. Q. R.*; 水木 純一郎; 大和 英弘*; 安田 直彦*
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 34(1), p.19 - 22, 2009/03
Pb(InNb)O(PIN)はBサイトの秩序度を変えることにより、反強誘電体(完全秩序化),強誘電体(部分秩序化),リラクサー(完全無秩序化)の状態を取りうる。筆者らがこれまでに行ったX線非弾性散乱の結果から、PINにおいては反強誘電,強誘電不安定性が共存しBサイトのランダムネスによってその不安定性が制御され、反強誘電からリラクサーまでの各相が現れるモデルを提案した。今回われわれは、このモデルの妥当性を調べるためにリラクサーPINのフォノン,反強誘電PINの散漫散乱に注目した。リラクサーPINのフォノンはゾーン境界で反強誘電相関を示す弱いソフト化を示した。一方、反強誘電PINにおいてはゾーン中心において散漫散乱が観測され強誘電相関の存在を示唆する結果を得た。これらの結果は、われわれの提案した反強誘電相関と強誘電相関の共存を示すものである。
大和田 謙二; 廣田 和馬*; 寺内 暉*; 福田 竜生; 筒井 智嗣*; Baron, A. Q. R.*; 水木 純一郎; 大和 英弘*; 安田 直彦*
Physical Review B, 77(9), p.094136_1 - 094136_8, 2008/03
被引用回数:18 パーセンタイル:59.74(Materials Science, Multidisciplinary)Pb(InNb)Oは、Bサイトのランダムネスの効果により反強誘電から強誘電リラクサーまで幅広い状態を取りうる。われわれは基底状態がBサイトイトランダムネスの影響で大きく変わることについての理由を探るべく、高分解能X線非弾性散乱を用いてBサイトランダムネスとフォノンの関係を調べた結果、反強誘電領域においても強い強誘電ソフトモードが存在することを明らかにし、次のようなストリーを提案した。PINにおいては反強誘電不安定性と強誘電不安定性が共存しており、perfectly ordered PINの場合反強誘電不安定性が優勢となっている。そこに、Bサイトランダムネスが導入されると反強誘電不安定性が真っ先に抑制される。一方、強誘電不安定性はランダムネスの影響を受けにくいため、Bサイトランダムネスが導入されても強誘電不安定性は残り、そこで初めて強誘電性が顔を出す。しかし、Bサイトが完全無秩序の場合は長距離秩序に至らないため、ナノスケール強誘電領域にとどまりリラクサー状態が発現する。
大和田 謙二; 並河 一道; 水木 純一郎; 下村 晋*; 中尾 裕則*; 伊藤 和輝*; 松下 三芳*; 米田 安宏; 村上 洋一*; 廣田 和馬*
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 32(1), p.7 - 10, 2007/03
第三世代放射光の登場によりコヒーレントX線回折(CXD)が現実的になってきた。その手法は固体物理に適用されることが期待されている。CXDによるX線スペックルパターンは物質内部の粒子やドメインの配列をよく反映する。そのような配列を理解することは誘電体,圧電体,フォトニック結晶など物質の機能発現を理解するうえで重要となる。われわれはスプリングエイトのBL22XUにおいてCXDができるように装置群を整備した。それらを使い、合金CuAu,誘電体PZN-9%PT,Sr-doped BaTiOのスペックルパターンの観測に成功した。それらの二次元フーリエ像は空間自己相関関数を与え、ミクロスケールのドメイン配列の情報を与える。
大和田 謙二; 廣田 和馬*; 寺内 暉*; 大和 英弘*; 安田 直彦*
Journal of the Physical Society of Japan, 75(2), p.024606_1 - 024606_6, 2006/12
被引用回数:6 パーセンタイル:41.74(Physics, Multidisciplinary)今回われわれはas-grown Pb(InNb)O(PIN)についてのX線・中性子散乱実験を行った。as-grown PINは既に大和らによって、その結晶内部の秩序度の大きなばらつきの存在が報告されている。X線と中性子線ではその透過率が違うため、その相補利用により表面からバルクまでの構造的情報を得ることができる。われわれは、室温においてPINからのフォノンブランチの観測に初めて成功した。その振る舞いは強誘電的と考えられる。また、逆空間をスキャンすることによって、反強誘電起源の(h/4, k/4, 0)反射を観測した。分解能に迫る半値幅を有することからマクロな反強誘電領域の存在が示唆される。一方、同じ結晶でX線散乱実験を行うとブラッグ散乱の裾に強い散漫散乱が観測された。リラクサー状態であるときに現れるこの特徴的な散漫散乱はプロファイルや温度変化が野村らの報告と矛盾しない。われわれの用いたX線(0.71)ではPIN結晶の表層数十ミクロンしか観測できないため、as-grown PIN結晶の表層はリラクサー的であることがわかった。このようなmulti-structureともいうべき結晶内部の構造分布はPb(ZnNb)Oなどでも既に報告されており、リラクサーの特徴の一つと言えるのではないか。
廣田 和馬*; 脇本 秀一; Cox, D. E.*
Journal of the Physical Society of Japan, 75(11), p.111006_1 - 111006_13, 2006/11
被引用回数:73 パーセンタイル:59.83(Physics, Multidisciplinary)本論文は白根元博士とその共同研究者らにより行われたリラクサー強誘電体の中性子及びX線散乱実験をレビューしたものである。彼らが1999年以降に発表した50編に及ぶ学術論文のなかでも、特に重要な3つの成果は、(1)PMN(PZN)-xPT系のmorphotropic phase boundaryにおけるモノクリニック相の発見,(2)リラクサーにおける横光学ソフトモードの存在とその役割の解明,(3)リラクサーの特異な性質の根源となる微小分極領域の、特に散漫散乱からの、詳細な研究である。本論文ではこれらの話題に焦点を当て、以上の研究がリラクサー強誘電体の理解にいかなるインパクトを与えたかを議論する。
阿曽 尚文*; 大和田 謙二; 綿貫 徹; 町田 晃彦; 大村 彩子; 稲見 俊哉; 本間 佳哉*; 塩川 佳伸*; 廣田 和馬*; 佐藤 憲昭*
Journal of the Physical Society of Japan, 75(Suppl.), p.88 - 90, 2006/08
強磁性超伝導体UGeにおいて、低温高圧下において理論的に予測されたCDWの探索を行った。実験は放射光を用いた振動写真法により行われたが、基本反射強度の10の範囲でCDWを示唆する反射を観測することはできなかった。
石井 賢司; 稲見 俊哉; 大和田 謙二; 葛下 かおり; 水木 純一郎; 村上 洋一; 石原 純夫*; 遠藤 康夫*; 前川 禎通*; 廣田 和馬*; et al.
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 66(12), p.2157 - 2162, 2005/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Chemistry, Multidisciplinary)LaSrMnO(x=0.2,0.4)についてMnのK吸収端での共鳴X線非弾性散乱法により電子励起の研究を行った。ホールドープで金属化したことによるギャップの消失がLaSrMnOにおいて観測できた。また、温度により金属絶縁体転移を示すLaSrMnOでは、散乱強度の温度変化に顕著な異方性が見られており、これはMn酸化物に特有の軌道自由度を反映した異方的な電子状態の変化を捉えたものと考えられる。
石井 賢司; 稲見 俊哉; 大和田 謙二; 葛下 かおり; 水木 純一郎; 村上 洋一; 石原 純夫*; 遠藤 康夫*; 前川 禎通*; 廣田 和馬*; et al.
Physical Review B, 70(22), p.224437_1 - 224437_6, 2004/12
被引用回数:19 パーセンタイル:64.23(Materials Science, Multidisciplinary)ホールドープしたマンガン酸化物(LaSrMnO、及び)の電子励起について共鳴非弾性X線散乱による研究を行った。強相関電子系におけるドーピング効果を初めて観測することができた。散乱スペクトルにはモットギャップの残存を示すピークが残っている。それと同時に、部分的にギャップが埋まっており、スペクトル強度は低エネルギーにシフトしている。スペクトルの運動量依存性はほとんどなく、ドープ前のLaMnOと同程度である。一方、の低エネルギー励起では散乱強度の温度依存性に異方性が見られ、それは磁気相互作用の異方性、及び、そのもととなる軌道の効果を示唆するものである。
大和田 謙二; 廣田 和馬*; Rehrig, P. W.*; 藤井 保彦*; 白根 元*
Physical Review B, 67(9), p.094111_1 - 094111_8, 2003/03
被引用回数:104 パーセンタイル:94.62(Materials Science, Multidisciplinary)高電場-高温度のもと、中性子回折実験を注意深く行った結果、PZN-8%PTの分極回転の経路に関する詳細な温度電場相図を完成させた。これによりPZN-8%PTの温度-電場経歴依存性が明らかになった。さらにゼロ電場中冷却で今まで菱面体相と考えられてきた相が、実はもっと対称性の低い相であることがわかった。われわれはこの相をX相と名づけた。
稲見 俊哉; 福田 竜生; 水木 純一郎; 石原 純夫*; 近藤 浩*; 中尾 裕則*; 松村 武*; 廣田 和馬*; 村上 洋一*; 前川 禎通*; et al.
Physical Review B, 67(4), p.045108_1 - 045108_6, 2003/01
被引用回数:56 パーセンタイル:87.91(Materials Science, Multidisciplinary)軌道整列したマンガン酸化物LaMnOを共鳴非弾性X線散乱で研究した。入射X線のエネルギーをMnのK吸収端近傍に持って行くと、スペクトルに3つのピークが現われ、その励起エネルギーは2.5eVと8eV,11eVであった。8eVと11eVのピークは、それぞれ、酸素の2pバンドからマンガンの3dと4s/4pバンドへの遷移と考えられる。一方、2.5eVのピークはモットギャップ間の軌道励起と考えられ、これは、との軌道対称性を持つ下部ハバードバンドからと の軌道対称性を持つ上部ハバードバンドへの電子励起である。この2.5eVの励起の弱い分散関係と特徴的な方位角依存性は軌道縮重と電子相関を考慮した理論でよく再現された。
稲見 俊哉; 福田 竜生; 水木 純一郎; 中尾 裕則*; 松村 武*; 村上 洋一*; 廣田 和馬*; 遠藤 康夫*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 467-468(Part.2), p.1081 - 1083, 2001/07
被引用回数:20 パーセンタイル:79.06(Instruments & Instrumentation)近年の固体物理における重要な課題の一つが強相関電子系である。特にその電子構造や素励起の研究から、これらの物質に内在する物理を理解するうえで不可欠な情報が得られると考えられる。われわれは、この目的のために、入射エネルギー6~10keVで、エネルギー分解能0.1~1eV、エネルギートランスファー~10eVというX線非弾性散乱装置の建設を行っている。装置は主として、高分解能モノクロメータ、集光ミラー、アナライザからなっている。入射X線は前置モノクで0.5eV程度に単色化された後、高分解能モノクロで0.1eV程度まで再び単色化され、その後、ミラーで水平方向に試料上に集光される。試料、アナライザ、及び検出器は直径2mのローランド円上に配置される。アナライザはヨハン型と呼ばれる球面に曲げたSiまたはGeの結晶を用いる。この分光器の特徴は、散乱面を水平に取ったことで、これにより、重量のあるアクセサリ、例えば、超伝導マグネット等を試料位置に置くことができる。われわれは、物性的に興味が持たれている物質に対し、共鳴及び非共鳴のX線非弾性散乱を、高磁場、極低温、高圧下等の極端条件下で行うことを目標としている。会議では、装置に関する詳細な情報と、性能を示すための幾つかの測定データを示す予定である。
大和田 謙二; 廣田 和馬*; 寺内 暉*; 大和 英弘*; 安田 直彦*
no journal, ,
ABO型ペロヴスカイト構造のリラクサーPb(InNb)O(PIN)は、Bサイトの化学的秩序度を熱処理によって制御でき、物性がリラクサーから、強誘電体,反強誘電体へ変化する。近年リラクサーの構造的な研究が進んできてBサイトの化学的秩序度との相関が改めて議論されるようになってきた。そこでわれわれはBサイトの化学的秩序度の制御可能なPINに関してX線中性子線を利用して構造的研究を行った。as-grown 結晶に関しては強誘電体の母相の中に反強誘電領域が点在し、表層付近にはリラクサー領域が存在する。つまり、一つの結晶の中に大きく異なる3種類の領域が存在するmulti-structureとも言うべき構造を取っていることがわかった。これはリラクサーの大きな特徴と言える。
大和田 謙二; 廣田 和馬*; 福田 竜生; 筒井 智嗣*; Baron, A. Q. R.*; 寺内 暉*; 安田 直彦*; 大和 英弘*; 水木 純一郎
no journal, ,
Bサイトに1:1で異種元素の入るリラクサーPb(InNb)O(PIN)は秩序度をアニールにより制御できる。フォノン分散に及ぼす化学的秩序度の影響を調べることは、Bサイトの化学的秩序度とリラクサー発現の相関関係を調べるうえで重要である。今回、初めてフォノンの秩序度依存性を室温において測定することができた。今回、点近傍のフォノンモードは弾性散乱の裾の影響で求められなかったが、両者の30meVまでの全体的な分散関係はよく類似していた。単純立方格子を単位胞に取ると、Disordered-, Ordered-PINともに強誘電モードである横波光学モード(TO1)が点に向けて5meV程度のソフト化傾向を示しており、反強誘電体といえども強誘電不安定性を内在していることがわかった。この結果はリラクサー発現プロセスを考えるうえで重要である。
大和田 謙二; 廣田 和馬*; 福田 竜生; 筒井 智嗣*; Baron, A.*; 水木 純一郎; 寺内 暉*; 大和 英弘*; 安田 直彦*
no journal, ,
Pb(InNb)O(PIN)は、Bサイトのランダムネスの効果により反強誘電から強誘電リラクサーまで幅広い状態を取り得る。われわれは基底状態がBサイトランダムネスの影響で大きく変わることについての理由を探るべく、高分解能X線非弾性散乱を用いてBサイトランダムネスとフォノンの関係を調べた結果、反強誘電領域においても強い強誘電ソフトモードが存在することを明らかにし、次のようなストーリーを提案した。PINにおいては反強誘電不安定性と強誘電不安定性が共存しており、perfectly ordered PINの場合反強誘電不安定性が優勢となっている。そこに、Bサイトランダムネスが導入されると反強誘電不安定性が真っ先に抑制される。一方、強誘電不安定性はランダムネスの影響を受けにくいため、Bサイトランダムネスが導入されても強誘電不安定性は残り、そこで初めて強誘電性が顔を出す。しかし、Bサイトが完全無秩序の場合は長距離秩序には至らないため、ナノスケール強誘電領域にとどまりリラクサー状態が発現する。