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鈴土 知明; 海老原 健一; 都留 智仁; 森 英喜*
Journal of Applied Physics, 135(7), p.075102_1 - 075102_7, 2024/02
被引用回数:0体心立方(bcc)金属および合金では延性脆性遷移温度以下において脆性的破壊が起きる。この事象は、脆性破壊を起こすき裂先端の臨界応力拡大係数が塑性変形を起こす臨界応力拡大係数よりも小さく塑性変形よりも脆性破壊が優先的に選択されるという考え方によって理論的に説明されている。この考え方は巨視的には正しいが、このような脆性破壊は常にき裂先端近傍での小規模な塑性変形、すなわちき裂先端塑性変形を伴う。この論文では、最近開発された-Feの機械学習原子間ポテンシャルを用いて原子論的モデリングを行い、この塑性の発現メカニズムを解析した。その結果、高速なき裂進展によってき裂先端位置の原子群が動的に活性化され、それがき裂先端塑性の前駆体になっていることが判明した。
鈴土 知明; 海老原 健一; 都留 智仁; 森 英喜*
材料, 73(2), p.129 - 135, 2024/02
FeやWのようなBCC遷移金属は{100}面に沿ってへき開する。このメカニズムを明らかにするために、人工ニューラルネットワーク(ANN)技術によって作成された原子間ポテンシャルを用いて0KにおけるBCC鉄の曲線き裂先端の原子論的シミュレーションを行った。その結果、{110}クラック面に沿ったき裂先端では転位が放出されへき開が抑制されることを発見し、{100}面に沿ってのみへき開が観察される理由を説明できることがわかった。さらに、有限温度での{100}へき開シミュレーションでは、塑性変形を伴いより現実的な破壊が再現された。
森 英喜*; 都留 智仁; 奥村 雅彦; 松中 大介*; 椎原 良典*; 板倉 充洋
Physical Review Materials (Internet), 7(6), p.063605_1 - 063605_8, 2023/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Materials Science, Multidisciplinary)析出物などの障害物を導入して転位の動きを制御することは、金属の機械的強度を設計するための有力な方法である。転位コアのサイズは1nm以下とナノスケールであるため、転位と障害物の相互作用を調べるには、原子レベルのモデリングが必要である。しかし、従来の経験的ポテンシャルでは十分な精度が得られなかったため、転位と障害物の相互作用の原子レベルでの詳細が解明されていない。そこで、本研究では、人工ニューラルネットワーク(ANN)の枠組みを用い、第一原理計算の高精度を生かした原子ポテンシャルを構築した。構築したANNポテンシャルを用いて、BCC鉄における刃状転位と障害物の動的相互作用を調査した。転位が空隙を横切ると、Bow-out転位では超平滑で対称的な半ループが観察された。らせん転位を除き、ANNを用いて予測されたすべての転位のパイエルス応力は100MPa以下であった。さらに重要なことは、剛体球と転位の相互作用において、オロワンループが形成されることを確認したことである。さらに、オロワンループが剛体球と転位の相互作用の中で、2つの小さなループに分解する現象を発見した。
鈴土 知明; 海老原 健一; 都留 智仁; 森 英喜*
Scientific Reports (Internet), 12, p.19701_1 - 19701_10, 2022/11
被引用回数:5 パーセンタイル:48.81(Multidisciplinary Sciences)体心立方(bcc)遷移金属である-FeやWは、{110}面の表面エネルギーが最も低いにもかかわらず、{100}面に沿ってへき開割れが起きる。この奇妙な現象のメカニズムを解明するため、人工ニューラルネットワークの手法で作成した原子間ポテンシャルを用いて-Feの曲線のへき開き裂先端の大規模原子シミュレーションと直線のき裂先端の応力拡大係数解析を実施した。その結果、以下の新しい知見が得られた。{110}に沿ったへき開面のき裂先端から転位放出が観測され、そのことは{100}面が実際に起こるへき開面であることを示唆した。しかしながら、単純な直線状のき裂先端解析では、同じ結論は得られなかった。よって、機械的な強度を正しく予測するためには、高精度なポテンシャルを用いて、材料固有の複雑さを十分に捉えた原子論的なモデリングが必要であることが示唆された。本研究で採用した方法は、bcc遷移金属・合金のへき開問題に一般的に適用可能である。
椎原 良典*; 金澤 良亮*; 松中 大介*; Lobzenko, I.; 都留 智仁; 香山 正憲*; 森 英喜*
Scripta Materialia, 207, p.114268_1 - 114268_4, 2022/01
被引用回数:13 パーセンタイル:71.72(Nanoscience & Nanotechnology)本研究では、最新の人工ニューラルネットワーク(ANN)ポテンシャルに基づく分子力学を使用した鉄中の46種類の対称傾角粒界の粒界(GB)エネルギーを評価した。粒界エネルギー計算の精度の検証のため、密度汎関数理論(DFT)に基づく第一原理計算、および古典的な経験ポテンシャルである、埋め込み原子法(EAM)、および修正EAM(MEAM)との比較を行った。その結果、EAMとMEAMはDFTの結果(平均約27%)とは大きく異なっていた一方、ANNポテンシャルによる結果はDFTの結果(平均5%)と非常によく一致していることを確認した。GBの一軸引張計算では、EAMとMEAMにおける延性挙動のアーティファクトが改善され、ANNポテンシャルではDFTで観察されたGBの脆性破壊傾向を再現した。これらの結果は、需要の高い鉄におけるANNポテンシャルの有効性を示している。
森 英喜; 平尾 敏雄; Laird, J. S.; 小野田 忍; 伊藤 久義
JAERI-Review 2002-035, TIARA Annual Report 2001, p.14 - 16, 2002/11
高集積メモリデバイスへのイオン1個の入射により時多数のメモリ情報が同時に反転するマルチプルビットアップセットの発生機構解明を目的として、イオンの入射角度が誘起電荷の伝搬に及ぼす影響を調べた。試験試料として、不純物濃度が51015cmのn型シリコン基板上に接合面積が100m2mの金電極を4mの間隔で3本配置したショットキーダイオードを作製した。試料への照射は18MeVの酸素イオンを使用した。各電極での誘起電荷の測定はTIBIC(Transient Ion Beam Induced Current)システムを使用し、イオン入射角度は0°(垂直入射)から45°,印加電圧は0Vから5Vの範囲で変化させた。この結果、イオンが入射した時に発生するシングルイベント過渡電流波形のピーク値は入射角度の増加に伴い高くなること,電荷収集量は入射角度の逆余弦に比例することがわかった。また、発表会ではイオン照射位置を変えた時の各電極での過渡電流波形の変化についても報告する。
小野田 忍; 平尾 敏雄; Laird, J. S.; 森 英喜; 阿部 浩之; 伊藤 久義
JAERI-Review 2002-035, TIARA Annual Report 2001, p.3 - 4, 2002/11
100MeV級の高エネルギー粒子を用いてシングルイベント現象の発生機構を探るため、AVFサイクロトロンで加速したイオンビームをマイクロメータで微小化し、半導体素子に照射して発生する微弱過渡電流の計測を行った。試料としてトップシリコン層厚が3.5mのn/p型 SOI(Silicon on insulator)ダイオードを用い、320MeVのKrイオンを照射した。その結果、過渡電流波形の立ち下がり時間160ps、ピーク電流630A、収集電荷量として1.10.1pCが得られた。この収集電荷量はトップシリコン層で発生する電荷量の計算値と良く一致しており、トップシリコン層の下に設けた埋め込み酸化膜により電荷の収集が抑制されていることがわかった。
松田 秀雄*; 大村 一郎*; 崎山 陽子*; 浦野 聡*; 家坂 進*; 大橋 弘通*; 平尾 敏雄; 阿部 浩之; 伊藤 久義; 森 英喜; et al.
JAERI-Review 2002-035, TIARA Annual Report 2001, p.11 - 13, 2002/11
高電圧電力半導体素子の宇宙線による破壊メカニズムを解明し、高性能化及び高信頼性化のための素子設計に資することを目的に、各種素子の実使用電圧での破壊確率をプロトン照射を行って評価した。電圧印加中の試験素子にプロトンを照射することにより、素子が突然絶縁破壊し、実環境での宇宙線による破壊と極似な現象を確認することができた。さらに、破壊確率が照射エネルギーに依存しており、電界増加に対する破壊確率上昇の傾きは、自然界宇宙線での破壊確率や中性子による破壊確率と同傾向であった。これより、プロトン照射により自然界宇宙線による破壊を模擬できたと考えられる。さらに、重イオン照射で取得した破壊箇所の特異性と発生電荷量のデータから破壊メカニズムを議論する。
平尾 敏雄; Laird, J. S.; 森 英喜; 小野田 忍; 若狭 剛史; 山川 猛; 阿部 浩之; 伊藤 久義
Proceedings of 5th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Applications, p.161 - 166, 2002/10
日本原子力研究所のTIARA施設を利用して行っているシングルイベント現象の研究について報告する。われわれは、集束型マイクロビーム及びコリメート型マイクロビームをSi, GaAs, InGaAsダイオードに照射し、発生したシングルイベント過渡電流を測定している。非常に高速な現象であるシングルイベント過渡電流を測定するために、40GHz及び3GHzのオシロスコープを用いた測定システムを構築した。本報ではこれらのシステムを用いて測定したSOIダイオードの過渡電流波形, サイクロトロンからの高エネルギーイオンによるSOIダイオードの過渡電流波形, イオン損傷の影響等の典型的な事例及び解析結果を示した。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍*; 森 英喜*; 伊藤 久義
Proceedings of 5th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Applications, p.155 - 160, 2002/10
近年の情報化社会の急速な発展に伴って、高速応答光デバイスの需要が高まってきている。特に、InGaAsに代表されるIII-V族化合物半導体素子は、その高速応答性から非常に注目されている。これらの半導体素子を宇宙環境で使用する際、宇宙放射線による高速応答特性の劣化することは深刻な問題である。われわれは、代表的な宇宙放射線の1つである電子線をInGaAs素子に照射し、その高速応答特性の劣化を調べた。2MeV電子線の照射量が1E15/cmを超えると、高速応答特性が急激に劣化することがわかった。高速応答特性の劣化原因は、半導体素子中のキャリア移動度及び電界強度の劣化で説明することができた。
森 英喜*; 平尾 敏雄; Laird, J. S.; 小野田 忍*; Lee, K. K.; 阿部 浩之; 伊藤 久義; 岡本 毅*; 小泉 義晴*
JNC TN7200 2001-001, p.55 - 57, 2002/01
宇宙環境で使用される集積回路素子では、1個のイオン入射で多数のメモリ内容が同時に反転するマルチブルアップセット(MBU)現象の発生が大きな問題となっている。このMBU発生パターンは、入射粒子の角度に依存することが実験で示されている。われわれはこの入射角度依存性究明を目的として、高崎研タンデム加速器に接続されている重イオンマイクロビームのシングルイオンヒット装置とTIBIC(Transient Ion Beam Induced Current)システムを用い、入射イオン1個でpn接合ダイオードに誘起される過渡電流波形の計測を行った。その結果、イオンの入射角度の増加に伴いダイオード電極に収集される電荷量が増加することさらにその増加が1/cosに比例することを見いだした。
平尾 敏雄; Laird, J. S.; 森 英喜; 小野田 忍; 伊藤 久義
Proceedings of 6th European Conference on Radiation and its Effects on Components and System (RADECS 2001) (CD-ROM), 5 Pages, 2002/00
シングルイベント発生機構の解明を目的として、TIARA照射施設のタンデム加速器に設けられている重イオンマイクロビームを用い、重イオン入射により半導体に発生する電荷の伝搬挙動を調べている。この研究の一環として、シリコンpn接合ダイオード及びSOIダイオードに15MeVの炭素及び酸素イオンを照射し、発生するシングルイベント過渡電流を計測した。イオンで誘起される電荷の空乏層内での収集(ドリフト成分)と空乏層外での収集(ドリフト及びファネリング成分)とを比較した結果、ドリフト成分による収集時間は空乏層外での収集時間の半分であることを見出した。SOIダイオードにおいては、収集電荷がトップシリコンの厚さに依存することなどを明らかにしシングルイベントの機構解明に要する基礎データを蓄積した。さらに、イオン入射角度及び照射試料温度と収集電荷との関係,電荷収集に寄与する電荷移動時間に関する最近の成果を報告する。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍; 森 英喜; 伊藤 久義
Proceedings of 6th European Conference on Radiation and its Effects on Components and System (RADECS 2001) (CD-ROM), 7 Pages, 2002/00
15MeV酸素イオンによりシリコンエピpn接合ダイオードに誘起される過渡電流の観測を80Kから300Kの温度範囲で行った。照射時温度80Kでは300K(室温)と比較した場合、過渡電流波形のピーク高さは約2.5倍,立下り時間は約1ns短くなっていることがわかった。一方、収集電荷量は温度によらずほぼ一定である結果が得られた。また、TCADシュミレーションにわれわれ独自の温度効果モデルを取り入れることで実験で得られた過渡電流の温度依存性を再現できることが確認できた。
小野田 忍; 平尾 敏雄; Laird, J. S.; 森 英喜; 岡本 毅*; 小泉 義晴*; 伊藤 久義
Proceedings of 6th European Conference on Radiation and its Effects on Components and System (RADECS 2001) (CD-ROM), 5 Pages, 2002/00
pinフォトダイオードの放射線劣化を電子線と線照射で比較した。照射には1MeV電子線(照射量: 2.6E13cmから1.3E15cm)と線(照射量:0.083Mradから71Mrad)を用いた。電子線及び線とも照射量増加に伴い検出ピーク波長の位置が低波長側へシフトし、かつ強度が低下することを確認できた。また、このシフトを非イオン化エネルギー損失(NIEL)の式を用いて解析した結果、少数キャリア拡散長の損傷係数として7.0E-9g/KeVcmが得られ、電子線,線照射によるダイオード特性の劣化は、ともにNIELの概念で説明できる。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 森 英喜*; 小野田 忍*; 神谷 富裕; 伊藤 久義
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 181(1-4), p.87 - 94, 2001/07
被引用回数:65 パーセンタイル:96.68(Instruments & Instrumentation)半導体デバイスに高エネルギー荷電粒子が入射すると、シングルイベント現象と呼ばれるデータ反転や故障が発生する。われわれは、シングルイベント発生の機構解明を目的として、入射イオン1個で半導体中に誘起される電荷の伝搬挙動を明らかにするため、イオンマイクロビームを用いた計測技術TIBIC(Transient Ion Beam Induced Current)、レーザを用いた計測技術TLBIC(Transient Laser Beam Induced Current)、並びに専用のデータ収集システムを新たに開発した。本報告では、開発した計測技術の概要に加え、TIBICシステムを用いて取得した15MeV炭素及び酸素イオン照射時のシリコンダイオード、ガリウム砒素ダイオード及びシリコントランジスタ(MOSFET)におけるシングルイベント過渡電流波形と電荷収集マッピングデータについても紹介する。
平尾 敏雄; Laird, J. S.; 森 英喜*; 小野田 忍*; 伊藤 久義
Solid State Phenomena Vol.78-79, p.395 - 400, 2001/07
シングルイベント発生機構の解明を目的として、TIARA照射施設のタンデム加速器に設けられている重イオンマイクロビームを用い、重イオン入射により半導体に発生する電荷の伝搬挙動を調べている。この研究の一環として、われわれはイオン1個で誘起される電流波形を観測できる新たな測定システムを開発し、これを用いて、SOI構造を備えたダイオードに15MeVのエネルギーの酸素イオンを照射し、発生する過渡電流波形を計測した。伝導型の異なる基板(p,n)で作製したダイオードで測定を行った結果、正孔の方が電子と比較して収集時間が約2倍長いことが確認された。さらに、発生電荷量は印加電圧の増加により飽和する傾向が得られた。この結果は、高電界領域でのキャリアのドリフト速度の飽和に起因すると考えられる。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍*; 森 英喜*; 伊藤 久義
Solid State Phenomena Vol.78-79, p.401 - 406, 2001/07
われわれはシングルイベント発生の機構を解析し耐シングルイベント素子開発の指針となるデータを蓄積し、シミュレーション解析を実施している。さらに、入射イオン1個で半導体中に誘起される電荷の伝搬挙動を明らかにするために、イオンマイクロビームとレーザを用いた新たなデータ収集システムを開発をした。本国際会議では、開発した計測技術の概要に加え、TIBIC(Transient Ion Beam Induced Current)システムを用いて取得した15MeV酸素イオン照射時のシリコンダイオードに対するシングルイベント過渡電流波形の温度の影響、さらにガリウム砒素ダイオード及びMOSFETにおけるシングルイベント過渡電流波形と電荷収集マッピングデータ、レーザを用いて得られたシリコンダイオードの接合部マッピング等について紹介し、議論を行う。
小野田 忍*; 森 英喜*; 岡本 毅*; 平尾 敏雄; 伊藤 久義; 岡田 漱平
Radiation Physics and Chemistry, 60(4-5), p.377 - 380, 2001/03
被引用回数:8 パーセンタイル:52.3(Chemistry, Physical)宇宙環境で使用される半導体デバイスは、線や電子線によって電気特性が劣化することが知られている。半導体デバイスの中でも光デバイスは高速通信や機器間の信号伝達に有用であることから、人工衛星への積極的な搭載が図られている。このような光デバイスの耐放射線性を向上させる指針を得るために、シリコンフォトダイオード及びガリウム砒素LED(Light Emittng Diode)に線及び電子線を照射し、照射前後のI-V特性の変化を半導体直流パラメータ解析装置(YHP製、4145A)を用いて測定した。線量率効果を調べるため、8.8Gy(Si)/hから8800Gy(Si)/hの広い線量率範囲で線照射を行った。また、電子線照射では線量率を8.310Gy(Si)/hとした。線及び電子線の吸収線量は最大8.010Gy(Si)まで照射した。その結果、シリコンフォトダイオードの場合、動作点での暗電流は照射前に数十pA程度であるが8.010Gy(Si)まで照射すると約2桁増加することがわかり、暗電流が照射線量の約1/2乗に比例して増加することがわかった。一方、ガリウム砒素LEDは、動作点での電流の増加量が1.5倍にとどまった。さらに、線量率依存性はほとんど見られず、シリコンフォトダイオード及びガリウム砒素LEDともに、吸収線量率が異なっても吸収線量が同じであれば電流の増加量はほぼ等しいという結果が得られた。本実験で得られた光デバイスに対する電気特性の劣化を欠陥生成過程に基づき議論する。
森 英喜*; 平尾 敏雄; 小野田 忍*; 伊藤 久義; 岡田 漱平; 岡本 毅*; 小泉 義晴*
Radiation Physics and Chemistry, 60(4-5), p.273 - 276, 2001/03
被引用回数:1 パーセンタイル:11.99(Chemistry, Physical)人工衛星に搭載する半導体素子のシングルイベント耐性強化には、素子を構成する要素回路の耐性を個々に調べ、耐性が低い回路を選別して改善を図るのが有効である。このためには、宇宙線と同等なLETを有する高エネルギー重イオンを微小化し、目的とする素子要素回路に照射する必要がある。そこでわれわれは、マイクロコリメータを用いた高エネルギー重イオンマイクロビームの形成を試みた。直径が100m及び20mのマイクロコリメータ通過後のビーム形状を16M bit DRAMを用いたビームプロファイルモニタで、エネルギースペクトルを半導体検出器(SSD)で評価した結果、20mコリメータ使用時は散乱成分が多いものの、100mコリメータでは散乱成分がほとんどない良質の微小ビームの形成が確認できた。
平尾 敏雄; Laird, J. S.; 森 英喜*; 小野田 忍*; 伊藤 久義
JAERI-Conf 2000-019, p.90 - 92, 2001/02
人工衛星の需要と長寿命化への要求が高まる中、それらに搭載されている半導体素子の放射線環境下での影響を詳細に調べ、対策を施すことはますます重要な課題となっている。現在、我々は、TIARA照射施設のタンデム加速器に設置されている重イオンマイクロビームを用いてシングルイベント発生機構の解明を目的として、入射イオンと半導体中に発生する電荷量との関係を求める実験を行っている。本研究会では、これまでの実験から取得した結果の内、イオンが入射したときに発生する電荷量が、LETと印加電圧に依存すること、さらにシングルイベントの耐性を強化において、SOI構造を備えたデバイスが有効であることなどを述べる。また、重イオンの入射によって生じる放射線損傷の影響を軽減するために開発した新たな測定システム(TIBIC)の説明と、TIBICを用いた実験結果について報告を行う。