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塚田 祐貴*; 白木 厚寛*; 村田 純教*; 高屋 茂; 小山 敏幸*; 森永 正彦*
Journal of Nuclear Materials, 401(1-3), p.13 - 16, 2010/06
被引用回数:4 パーセンタイル:30.46(Materials Science, Multidisciplinary)304オーステナイト鋼に関して、MC炭化物近傍での欠陥エネルギーをマイクロメカニクスに基づいて評価することにより、クリープ試験中の炭化物近傍における強磁性相の析出と欠陥エネルギーの相関について調べた。欠陥エネルギーのひとつである析出エネルギーは、MC炭化物を球状析出物とみなすことにより求めた。もう一方の欠陥エネルギーであるクリープ転位エネルギーについては、クリープ試験片の透過型電子顕微鏡観察によって得られた転位密度データに基づき評価した。強磁性相が析出するクリープの初期過程において、転位エネルギー密度は、析出エネルギー密度に比べ非常に大きく、クリープ転位エネルギーが強磁性相析出の主な駆動力となっていると考えられる。
塚田 祐貴*; 白木 厚寛*; 村田 純教*; 高屋 茂; 小山 敏幸*; 森永 正彦*
Journal of Nuclear Materials, 401(1-3), p.154 - 158, 2010/06
被引用回数:6 パーセンタイル:40.12(Materials Science, Multidisciplinary)フェーズフィールド法を用いて、304鋼のクリープ過程におけるMC炭化物及び強磁性相である相の析出・成長シミュレーションを実施した。炭化物近傍のクリープ転位による欠陥エネルギーは、クリープ変形中に増加し、蓄積して、相析出の駆動力となる。本研究で実施したシミュレーションは、各析出物の量の経時的変化を正確に模擬していた。さらに、相析出に対する転位密度の影響を評価し、フェーズフィールド法が、相変態の確率的及び動力学的現象の評価に有効であることを示した。
澁谷 秀雄*; 東島 隆浩*; 江崎 尚和*; 森永 正彦*; 菊池 圭一
Electrochimica Acta, 43(21), p.3235 - 3239, 2002/00
遷移金属基合金の水素過電圧に及ぼす合金元素の影響について提案されている理論を、Zr合金についても系統的な実験と電子構造の計算より確証した。3d、4d、5d遷移金属を3mol%添加したZr二成分系合金の水素過電圧は、合金元素Mとともに大きく変化した。この変化は、Mが純金属のときの水素過電圧の変化とよく似ていた。これらの結果は、DV-Xクラスター法より求めたZr中の合金元素Mのイオン性を用いて説明できる。つまり、Hfを除く大部分の合金元素は負のイオン性であり、そのため、母金属であるZrから合金元素Mへ電子の移行が生じる。このようにして負に帯電した合金元素は水素発生反応サイト、つまり、プロトンに電子を与えるサイトとして作用する。このため、合金の水素過電圧は合金元素によって大きく変化すると考えられる。なお、本件は、大学への委託研究として実施したものの成果である。
斉藤 淳一; 加納 茂機; 古井 光明*; 森永 正彦*
Journal of Nuclear Materials, 264, p.216 - 227, 1999/00
被引用回数:5 パーセンタイル:40.62(Materials Science, Multidisciplinary)高融点金属であるNb及びMoは液体アルカリ金属冷却FBRの構造材料として有望ば材料である。液体Liに対する耐食性は,これまでよく知られていなかった。そこで,本研究では合金設計の指針を得るために,基本的な2元系Nb基及びMo基合金の1200での液体Li中腐食試験をおこなった。試験後の表面状態の観察から,Nb基合金の腐食形態には3種類あり,腐食生成物も2種類(ZrO,Nb2C)あることがわかった。また,EPMA分析の結果,Ta,W添加Nb合金で表面での合金元素濃度が高くなっており,Nbが優先的にLi中に溶解していること,Ru,Hf添加Nb合金では合金濃度が低下しており,合金元素がLi中に溶解していることが明らかになった。Mo基合金の試験後の表面にもZr系の腐食生成物が観察された。また,Hf添加Nb基及びMo基合金ではHfが優先的にLi中に溶解していることがわかった。2元素系Nb基合金元素より,大きな違い
斉藤 淳一; 森永 正彦*; 加納 茂機
PNC TN9410 98-072, 97 Pages, 1998/07
高温アルカリ金属のフロンティア領域を開拓するために、高温液体Liの過酷な環境下で使用できる構造材料の研究開発を推進してきている。その条件下で使用される材料としてNbおよびMoの高融点金属を基とした超耐熱合金に着目した。液体リチウム中の腐食特性、クリープおよび引張強度等の高温での機械的特性は最も重要な特性の一つであり、高温(1473K)でのリチウム耐食性と機械的特性の多くの実験や解析により、NbおよびMo基合金の設計開発を進めてきた。本報告書は、これまで実施してきたNb基およびMo基超耐熱合金のLi腐食試験結果を系統的にまとめ、解析結果より腐食機構を提案するとともに、表面の腐食生成物の生成機構とNb基合金の表面クラックの生成機構を解明したものである。主な結果は下記のとおりである。(1)腐食生成物の生成機構は、溶出金属とLi中の窒素の間で最初に反応が起こり、腐食生成物(窒化物)が表面に析出し、その後、溶出金属どうしの反応が生じ腐食生成物(金属間化合物)が表面に析出する。これらの生成機構により、腐食生成物の成分を予測できることがわかった。(2)クラック生成メカニズムでは、化学ポテンシャル図を用いることによりクラック発生の原因となる3元系酸化物の形成を理解することができた。その結果、合金中の固溶酸素だけでなく試験中に表面から侵入してくるLiの濃度も3元系酸化物の形成に重要であることが明らかになった。
澁谷 秀雄*; 森永 正彦*; 東島 隆浩*; 松下 健一*; 菊池 圭一
日本原子力学会誌, 40(6), p.501 - 508, 1998/06
被引用回数:2 パーセンタイル:24.46(Nuclear Science & Technology)ジルコニウムのヤング率とビッカース硬さに及ぼす合金元素の影響について、Zr-2.0mol%M二成分系合金を用いて系統的に調べた。その結果、合金のヤング率は3d遷移金属を除き、周期表の中の元素Mの位置に従って系統的に変化することがわかった。また、それはMが純金属のときのヤング率ともよく対応していた。ビッカース硬さも同様な周期的な変化をしたが、合金効果は試験温度とともに少し変化する傾向がみられた。さらに、本結果とオートクレーブ腐食試験の結果、並びに純金属の熱中性子吸収断面積を基にして、合金特性に及ぼす個々の影響を表す5種類の特性指標図を作製した。この指標図は、ジルコニウム合金の設計と開発を行う上で有用であると思われる。なお、本件は、大学への委託研究として実施したものの成果である。
森永 正彦*; 山内 貴司*; 小田 雅章*
PNC TJ9603 98-002, 48 Pages, 1998/03
現在までに高温液体金属技術のフロンティア領域の開拓のために液体アルカリ金属腐食環境下での使用に耐える超高温材料としてNb基およびMo基合金の設計と開発を行なってきた。本研究ではNb基選定合金の強度特性を実験的に評価するとともに、Nb基合金の1073K脆化機構の解明を試みた。また、本委託研究では、これまでの研究の総括として、Nb基およびMo基選定合金の各種特性評価を総合的に行うことを目的とした。
澁谷 秀雄*; 森永 正彦*; 菊池 圭一
日本原子力学会誌, 40(1), p.70 - 78, 1998/00
被引用回数:4 パーセンタイル:38.63(Nuclear Science & Technology)合金開発に有用な情報を得ることを目的として、h.c.p.-Zr並びにb.c.c.-Zrの電子構造に及ぼす合金元素の影響を検討した。電子構造の計算は、分子軌道法の一つであるD-Xクラスター法を用いて計算した。そして、合金効果を表すパラメータである結合次数、Boとd軌道エネルギーレベル、Mdを求めた。その結果、二成分系の状態図や化合物の結晶構造は、Bo-Mdマップ上で整理できることがわかった。さらに、ジルコニウム中の不純物金属元素の拡散の活性化エネルギーは結合次数とともに増加していく傾向があった。なお、本件は、大学への委託研究として実施したものの成果である。
澁谷 秀雄*; 森永 正彦*; 菊池 圭一
日本金属学会誌, 62(6), p.534 - 541, 1998/00
近年、軽水炉では燃料の高燃焼度化と長寿命化が要請されている。このため、燃料被覆管では使用環境下での耐食性が、特にBWRではノジュラー腐食と呼ばれる局部腐食が問題となっている。ノジュラー腐食に関しては、これまでに数多くの研究が行われているが、詳細については、未だ不明である。しかし、最近、腐食試験後の表面酸化皮膜に関する研究が幾つか行われ、ジルコニウム合金の腐食を解明するうえで有益な情報が得られるとこがわかってきた。そこで本研究では、Zr-M二成分系合金を用いて773Kの腐食試験を行い、表面に形成した酸化皮膜をX線光電子分光法により分析した。その結果、均一腐食酸化皮膜では合金元素は比較的均一に存在していた。一方、ノジュラー腐食酸化皮膜では合金元素は最表面にのみ存在しており皮膜内部ではほとんど存在していなかった。このように、均一腐食部とノジュラー腐食部とでは酸化皮膜中の溶質元素の分布状態が異
森永 正彦*; 野田 賢二*; 古井 光明*; 小田 雅章*
PNC TJ9603 97-001, 95 Pages, 1997/03
【目的】 高温液体アルカリ金属技術のフロンテイア領域を開拓するため、高温(最高1200)液体金属リチウム中で優れた特性を有するNb基およびMo基合金の開発を行ってきた。本年度の研究ではMo基選定合金について、その強度特性および液体Li耐食性を評価することを目的とした。また本年度選定を行う予定のNb基合金については、液体Li耐食性を試験した。【実験方法】(1)高温引張試験:Mo基選定基合金の引張試験を、1473Kアルゴン雰囲気中において行った。比較材としてTZM合金を用いた。(2)高温クリープ試験:Mo基選定合金の高温クリープ試験を、1473Kアルゴン雰囲気中で行った。(3)加工性試験:Mo基選定基合金の加工性を評価するため、常温において3点曲げ試験を行った。(4)液体Li腐食評価:Nb基およびMo基選定合金の1473Kでの液体Li腐食試験の重量変化と表面分析結果を基に耐食性を評価した。【結果および考察】(1)高温引張試験:Mo基選定合金は実用TZM合金と比較して約1.5倍の引張強度、2.3倍の降伏強度を示した。また、2種類のMo基選定合金において顕著な強度の違いは見られなかった。(2)高温クリープ試験:Mo基選定合金のクリープひずみ速度は、他のMo基固溶強化型合金よりも小さかったが、析出強化型合金であるTZMに比べれば大きかった。(3)加工性試験:加工性の向上に有効であるTiの添加に関わらず、Mo基選定合金は最大曲がり角度まで破断することなく曲がった。(4)液体Li腐食評価:腐食試験後のNb-Hf合金の重量変化は添加したHf量の増加に伴って大きくなり、同時に亀裂の発生が著しくなる傾向が見られた。このため、Hf量が少ないNb-1Hf合金が最も優れていると思われた。Mo基選定合金ではTiを添加した合金が大きな重量変化を示したが、Tiを添加していない合金では粒界腐食が見られた。したがって、腐食表面が健全なMo-15Re-0.1Zr-0.1Ti合金がより優れた耐食性を有するものと考えられる。【結論】(1)引張強度:Mo基選定合金は実用TZM合金よりも優れた引張特性を示した。(2)高温クリープ強度:Mo基選定合金は優れた高温クリープ特性を有していた。(3)加工性:Mo基選定合金はTi添加の有無に関わらず、優れた加工性を示した。(4)液体Li耐食性:Nb基選定合金では、Nb-
森永 正彦*; 古井 光明*; 真鍋 勝也*; 野田 賢二*; 井上 聡*
PNC TJ9603 96-001, 79 Pages, 1996/03
(目的)高温液体アルカリ金属技術のフロンティア領域を開拓するため,高温(最高1200)液体金属リチウム中で優れた特性を有するNb基およびMo基耐熱合金を創製する必要がある。本研究では,それら合金を開発するため,d電子合金理論に基づく材料設計と設計合金の諸特性評価を行う。(実験方法)(1)加工性:Mo基合金の延性を改善するために,一次選定合金に粒界強化元素を添加した材料を用いて3点曲げ試験を行った。(2)液体Li耐食性:暫定的Nb基一次選定合金を用いて1200の液体Li腐食試験を最長300時間実施し,腐食変化重量を測定した。また,SEMおよびEPMAによって腐食表面を解析した。加えて,2元系Nb基およびMo基合金を用いた同様の解析を併せて行った。(3)800脆化:800および1200でクリープ試験したNb-1Zr合金をいて,硬さ試験,X線回析および組織観察を行った。また,クリープ試験をしていない試料も併せて試験した。(結果および考察)(1)加工性:Mo基合金へのTiの微量添加により加工性が著しく改善した。Moの脆化は粒界に偏析する酸素が原因であるとされている。このことから,Tiの添加により,Mo中の酸素との無害なTi酸化物を形成し,加工性の向上が得られたと考えられる。しかしながら,B,CおよびHfの微量添加は逆に加工性を悪化させる結果となった。(2)液体Li耐食性:暫定的Nb基一次選定合金には,液体Li耐食性に有効なHfが添加されているにも関わらず,その腐食表面には多数のき裂が観察された。特にWの添加に伴うき裂進展が著しかった。すなわち,液体Li耐食性を改善するためにはW量を減少させる必要があることを見出した。一方,Mo基2元系合金は優れた液体Li耐食性を示し,表面のき裂は観察されなかった。なかでもHfおよびTaを添加した合金は表面に粒状物を形成することなく,良好な液体Li耐食性を有することが明らかになった。(3)800脆化:800と1200のクリープ試験材で明瞭な硬さの違いが認められた。しかしながら,X線回析ではいずれの試料においても析出物は検出されなかった。(結論)(1)加工性:Mo基合金の加工性は,Tiの微量添加により著しく改善されることがわかった。(2)液体Li耐食性:Nb基合金の液体Li耐食性は,Wの添加により著しく低下した。一方,Mo基合
斉藤 淳一; 舘 義昭; 加納 茂機; 森永 正彦*; 古井 光明*; 井上 聡*
動燃技報, (97), p.57 - 66, 1996/03
高速炉の高熱効率化や液体アルカリ金属領域の開拓のために、高温で高強度、優れた液体リチウム耐蝕性を有する新しい構造材料の開発が望まれている。本研究では厳しい原子力環境下に耐えうる材料として、高融点金属であるNbおよびMoを候補とし、超高温(1200)で高強度、高耐蝕性を有する新しい合金の設計開発を行った。合金設計には分子軌道法を利用したd電子合金理論を初めてこの合金系に適用した。d電子合金理論により求められる、合金パラメータを用いることにより合金の特性を整理、評価した。常温および高温強度は、Nb基合金では平均Mdや合金硬さから予測できることがわかった。更に、クリープ特性についても融点を予測することにより、その優劣が判断できることがわかった。2元合金系NbおよびMo基合金の液体Li中腐食試験から、両合金系においてHfは耐蝕性向上に有効な元素であることがわかった。
森永 正彦*; 斉藤 淳一*; 村田 純教*; 加納 茂機; 古井 光明*; 舘 義昭; 井上 聡*
PNC TY9623 95-001, 165 Pages, 1995/03
次世代原子力システムの構造材料には、高温強度特性に優れ、しかも比重が他の高融点金属よりも小さいNbおよびMoが有望視されている。最近の高温液体金属技術の進歩に伴い、これら超耐熱合金の開発は、原子力プラントの高性能化のために不可欠であると思われる。これまでの共同研究によって耐熱合金の設計とその特性評価を行い、暫定的第1次選定合金を選択した。本研究では、暫定的第1次選定合金の加工性、液体Li耐食性ならびに溶接性を明らかにし、原子力システムの要求特性を満たす合金系ならびに添加量の最適選定を行うことを目的とする。(1)加工性:暫定的第1次選定合金を含む種々の実験合金を用いて3点曲げ試験を行い、加工性の予測法を検討した。(2)液体Li耐食性:最長500時間の液体Li腐食試験を実施し、変化重量,腐食解析ならびに成分分析を行った。また純金属の試験も併せて行った。(3)溶接性:暫定的第1次選定合金のTIG溶接を初めて行い、溶接の可否を調査した。(1)加工性:Nb基合金の曲げ降伏応力および曲がり角度は、硬さを介してd軌道エネルギーレベル差(Md)によって予測できる。すなわちNb基合金の加工性に対する設計指針は、合金のデルタMdを0.05以下に設定することである。また、Mo基合金の加工性を良好に保つためには、Reの添加が有効であることを明らかにした。(2)液体Li耐食性:Nb基合金では長時間の腐食により深さ40ミューmの亀裂が観察された。Mo基合金はNb基合金に比べて優れた耐食性を示した。両合金の表面には試料カプセルからの元素移行による粒状晶出物が確認された。液体Li耐食性を向上させるためには、変化重量および1200度Cの液体Liに対する高融点金属の溶解度の観点から、酸化物生成自由エネルギーが大きい元素の添加が有効であることを見い出した。(3)溶接性:暫定的第1次合金は十分に溶接が可能であることを明らかにした。また、NbへのW添加は溶接性を向上させることを示した。対象合金中ではMo-15Re-0.5Zr合金が最も優れた溶接性を有することがわかった。得られた設計指針を用いて、トータルバランスに優れるMo基1次選定合金を以下のように決定した。・Mo基合金・・・・・・Mo-15Re-0.1Zr,Mo-15Re-0.5Zr Nb基合金については、液体Li腐食に伴う亀裂の発生の問題がある。今
森永 正彦*; 加納 茂機; 井上 聡*; 斎藤 淳一*; 舘 義昭; 湯沢 利勝*; 真鍋 勝也*
PNC TY9623 94-004, 87 Pages, 1994/03
【目的】液体Li冷却高速炉用の構造材料として、Nb基およびMo基合金を候補材料として選択し、その材料設計と特性評価を行い昨年度までに暫定的第1次選定合金を選択した。本研究では、これらの合金の硬さ、曲げ加工性ならびにLiに対する耐食性に関する実験を行い、暫定的第1次選定合金の特性評価を行うことを目的とする。【実験および評価方法】暫定的第1次選定合金と数多くの実験合金を用いて硬さ試験を行い、強度特性を評価した。また暫定的第1次選定合金の3点曲げ試験を行い、加工性を評価した。Nb基合金では暫定的第1次選定合金以外にも数種の合金を用いて同様の試験を行い、加工性に関する合金設計上の指針について検討した。暫定的第1次選定合金については、従来の液体Na腐食試験に代わり液体Li腐食試験を初めて実施し、腐食量の変化の測定、腐食表面の観察ならびに成分分析を行った。【結果および考察】(1)硬さ試験:Nb基合金の硬さは、d軌道エネルギーレベル差により精度良く予測できることを明らかにした。しかしながらMo基合金では、d軌道エネルギーレベル差による合金硬さの予測は適用できなかった。(2)3点曲げ試験:暫定的第1次選定Nb基合金は良い曲げ加工性を示した。これに対しMo基合金の曲げ加工性は著しく低く、改善の必要があることを示した。また、Nb基合金の曲げ加工性は、合金の硬さから十分予測できることを確認した。(3)液体Li腐食試験:Nb基およびMo基合金の暫定的第1次選定合金は、1200、100時間における腐食量は少なく、粒界腐食は全くみられない良好な腐食性を示した。しかしながら、Nb基合金では腐食増量、Mo基合金では腐食減量と異なる重量変化挙動を示した。また腐食表面には粒状物が生成されていたが同定には至らなかった。【結論】最適成分合金の選定にあたり、硬さ試験、3点曲げ試験ならびに液体Li腐食試験を実施した。しかしながら明瞭な設計指針が得られず、本年度末に予定されていた第1次選定には至らなかった。
加納 茂機; 斉藤 淳一*; 森永 正彦*
Journal of Physics; Condensed Matter, 6(27), p.5081 - 5096, 1994/00
被引用回数:12 パーセンタイル:62.88(Physics, Condensed Matter)本論文はフロンティア材料研究の一環としてNb基およびMo基耐熱合金の創製に関する研究について、動燃と豊橋技術科学大学の間で実施した委託研究及び共同研究により得られた成果の一部をJournal ofPhysicsに発表するものである。NbおよびMoの電子構造に対する添加合金元素の効果をd電子合金理論により計算し、2つのd電子パラメータを求めた。合金元素の拡散の活性化エネルギーがBoと相関性を有することおよびBo-Md指標図上で各合金元素を2元系状態図をもとに分類出来ることを見出した。また、他のbcc元素と化学結合、融点等についてBoにより比較検討し、BoとNbおよびMoの合金化特性を表すのに有効であることを明らかにした。
森永 正彦*; 井上 聡*; 斉藤 淳一*; 一色 泰志*; 湯沢 利勝*; 加納 茂機; 舘 義昭
PNC TY9623 93-005, 134 Pages, 1993/03
本研究では液体リチウム冷却カリウムタービン高速炉用の構造材料として有望なニオブ基およびモリブデン基合金について、その材料設計ならびに特性評価を行うことを目的としている。本年度は、数種のニオブ基およびモリブデン基候補合金を溶製し、現在、試験可能な液体ナトリウム中での耐食性試験および加工性の評価のために三点曲げ試験を行うとともに、液体リチウム中での耐食性の文献調査を行った。そして、これらの結果を基に、液体リチウム用のニオブ基およびモリブデン基合金の設計を行い、それぞれの有望候補合金を選定した。昨年度の結果を基にして、設計合金として数種のNb-W-V-Zr系合金およびMo-Re-W-Zr系合金を選定した。その試料をトリアーク炉で溶製し、組織観察、923Kでの液体ナトリウム中浸漬試験および常温、大気中での三点曲げ試験を行った。これらの試験結果を基に、両合金系の特性を評価するとともに、それらの予測法について考察を加えた。液体ナトリウム中浸漬試験の結果より、ニオブ基設計合金の重量減少量は既存のニオブ基合金よりも少なく、耐食性のための合金元素の選択は妥当であることがわかった。また、ニオブ基合金に比べて、モリブデン基候補合金の重量変化量はたいへん小さく、どれも満足のいく結果であった。三点曲げ試験の結果、難加工性材であるといわれていた純モリブデンは曲がり角度が大きく、加工性は良好であった。一方、ニオブ基及びモリブデン設計合金は、既存合金に比べて加工性が低下していた。また、合金の降伏応力はピッカース硬さと相関があることがわかった。興味深いことには、ニオブ基合金では原子間の結合力の変化を示すパラメータである結合次数差が、材料の降伏応力と曲がり角度に関係していることがわかった。これより、結合次数差を用いてニオブ基合金の曲がり角度を予測することが可能となった。液体リチウム中の耐食性に関する文献を調査・検討した結果、液体リチウム中でのニオブおよびモリブデンの腐食を抑制するために有効な添加元素を見いだした。昨年度までの設計指針と、本研究で得られた設計指針を基に、液体リチウム用のニオブ基の暫定的一次選定材を以下のように設計した。ニオブ基合金 Nb-(1,3,5at%)W-1at%Zr モリブデン基合金 Mo-(7.5,15at%)Re-0.5at%Zr
加藤 真人*; 加納 茂機; 井上 聡*; 一色 泰志*; 斉藤 淳一*; 吉田 英一; 森永 正彦*
日本金属学会誌, 57(2), p.233 - 240, 1993/00
原子力システム用構造材料として新しいモリブデン基合金を設計した結果について論文発表する。設計は高温引張強度、クリープ強度、密度、液体金属に対する耐食性の各項目について、23元素、多元素及び実用合金を用いて行った。その結果、高温硬さと高温引張強度の相関及びクリープ強度と融点の相関を明らかにし、引張強度、クリープ強度、密度の予測法を開発した。これらの予測法に基づく候補合金系の設計を行った。
森永 正彦*; 斉藤 淳一*; 加藤 真人*; 一色 泰志*; 脇山 博文*; 加納 茂機; 吉田 英一
PNC TY9623 92-001, 73 Pages, 1992/04
Li冷却高速炉用の構造材料として、これまでの研究でNb基およびMo基合金を候補材料として選択し、その材料設計および特性評価を行ってきた。これらの合金の中から候補材の成分を更に絞るため、本年度は3元系合金について引張強度の簡易的予測手法、密度の予測手法の検討および2元系および3元系合金についてナトリウムに対する耐食性評価手法の検討を行った。3元系のNb基合金およびMo基合金をトリアーク炉で溶製し、高温硬さ試験、923K、1000hのナトリウム中腐食試験、密度測定、組織観察を行った。さらにNb基2元系合金についてナトリウム中腐食試験を行い、腐食に対する合金効果を検討した。(1)前年度導出した2元系合金に関する引張強度の簡易的予測手法(成分元素間の原子半径差およびヤング率差に基づく)が3元系合金に拡張できることを明らかにした。(2)密度の予測が合金元素の密度の組成平均で予測できることを明らかにした。(3)ナトリウムに対する腐食に関し、合金効果を明らかにし、耐食性を予測するため新たに耐食性係数を導出した。この他に1373KにおけるMo-Re-W系の部分状態図を作成した。上記の結果をもとに、最も有望な候補合金系としてNb-W-V-Zr系合金およびMo-Re-W-Zr系合金を選択した。
湯川 夏夫*; 森永 正彦*; 斉藤 淳一*; 加藤 直人*; 一色 泰志*
PNC TJ9623 92-001, 81 Pages, 1991/07
(目的)開発中の高温Li用材料であるNb基合金及びMo基合金について、簡便な方法で高温引張強度の類推が可能な方法を開発すると共に、液体金属中での耐食性等を明らかにする。(実験方法) 高温引張強度については、始めに実用合金に関する文献で室温高温の硬さと引張強度を調べ、次に新たに溶製した合金を用いて1200度Cまでの硬さを測定した。 液体金属中での耐食性については、昨年度の設計合金に対する650度CでのNa浸漬試験を行い、試験前後の重量変化、組織変化、成分変化ならびに文献からの合金元素の酸化物とナトリウムの酸化物との生成自由エネルギーなどから、腐食量、Na浸漬中の溶出元素等を調べ、また初めての試みとして、Li、K、Naなど液体金属中の原子状の溶出元素の電子構造、イオン性などの解析をd電子論に基づいて行った。(結果) 実用合金の調査から、室温1200度Cで硬さと引張強度の間には良好な直接関係があることをまず明らかにし、次にこの関係を利用して測定で得た硬さから高温時の引張強度の簡易的予測が可能な式を導出した。 液体金属中の耐食性については、Na中ではNb基合金はその合金元素であるNbとTaが酸化されるために腐食され易いが、Mo基合金はその合金元素の酸化が起こらないために腐食され難く優れた耐食性を示した。d電子論に基づく解析からは、Li、K、Naの各液体金属の中ではLiが溶出した原子状の元素と最も強く結合するなどの新たな知見を得た。 これらの他に、合金の硬さは母金属と添加元素の原子半径差またはヤング率差に依存すること、合金の密度は添加元素の純金属の密度で整理が可能なこと、昨年の設計合金は1200度Cで良好な相安定性を示すこと、などを明らかにした。
村田 純教*; 國枝 知徳*; 中矢 一平*; 森永 正彦*; 高屋 茂
no journal, ,
オーステナイト系ステンレス鋼であるSUS304及びSUS316鋼のクリープ試験片についてひずみエネルギーをX線回折を利用して求めたところ、ひずみエネルギーは、定常クリープ域ではほぼ一定であるが、その後加速クリープ域において上昇する結果が得られた。今後、測定点を増やすなどして検証する必要があるが、この結果はクリープ寿命とクリープ中に蓄積されるひずみ量とを定量的に関係づけられる可能性を示している。