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相原 純; 後藤 実; 稲葉 良知; 植田 祥平; 角田 淳弥; 橘 幸男
Proceedings of 8th International Topical Meeting on High Temperature Reactor Technology (HTR 2016) (CD-ROM), p.814 - 822, 2016/11
原子力機構(JAEA)は、耐酸化性向上のため高温ガス炉(HTGR)の燃料要素へのSiC/C混合母材の適用に関するR&Dを開始している。このR&Dの一部として、SiC/C混合母材燃料コンパクトを使ったHTGRの核熱設計を行った。核熱設計は、途上国用の小型HTGRであるHTR50Sをベースに行った。日本における製造実績を考慮し、ウランの濃縮度の上限は10wt%とし、濃縮度と可燃性毒物(BP)の種類はベースとしたHTR50Sと等しい(各々3及び2種類)とした。以上の制限内で、我々は本来のHTR50Sと同等の性能を持つ炉心の核熱設計に成功した。この核熱設計に基づき、通常運転時の被覆燃料粒子の内圧に対する健全性は保たれると評価された。
寺田 敦彦; 岩月 仁; 大田 裕之; 野口 弘喜; 石倉 修一*; 日野 竜太郎; 平山 俊雄
高温学会誌, 32(1), p.63 - 68, 2006/01
日本原子力研究所では、熱化学ISプロセス法による水素製造技術の研究開発を進めており、現在、パイロット試験を計画している。パイロット試験の研究課題として、(1)高温のヘリウムガスを熱源とする工業材料製パイロットプラント試験装置による水素製造試験の実証、(2)HTTR-ISシステムを設計するための「解析的な設計体系」の構築と運転制御及び安全評価用動特性コードの検証、(3)機器構造健全性とシステム経済性(熱効率)を向上させる先進的要素技術開発、(4)HTTR-ISシステムの概念検討を抽出した。本報では、パイロット試験の概要を報告する。
椎名 保顕; 西原 哲夫
JAERI-Tech 2004-057, 51 Pages, 2004/09
本研究では、昨年(2002年)に引き続き水素とDMEに着目し、高温ガス炉の核熱をトータルに利用してそれらを製造するシステムを検討して経済性評価を行い、商用プラントで生産する場合との比較を行った。その結果、水素製造に関しては、高純度ガスを生産するPSAの段数を増やして回収率を高めること等により、商用プロセスと比べて高純度水素ガスの製造単価を約17%、また、間接法によるDMEの生産の場合にも高純度水素を回収する等の工夫を加えることにより、商用プロセスに比べて約17%安く生産できることが示された。しかし、DME生産に関しては産油国で生産する方が安価であり、現在のところ核熱を用いても国内で生産する経済的優位性はない。本評価から、天然ガスからの水素製造に関しては核熱を利用すると経済的であること、さらにCO削減効果も併せると核熱の有効性はさらに高まることが示された。
石山 新太郎; 丸山 茂樹*
Journal of the Ceramic Society of Japan, Supplement, Vol.112, No.1 (CD-ROM), p.S159 - S166, 2004/05
ISプロセス用セラミックス硫酸蒸発器実機の設計検討を行うことにより、下記結論を得た。(1)ブロック型セラミックス製熱交換器のほうが、シェルインチューブ型よりセラミックス製造法の特異性並びにコンパクト性から有利である。(2)ブロック型セラミックス硫酸蒸発器熱交換部のセラミックスブロック実寸法の試作を行い、製作が可能であることを実証した。(3)セラミックス製熱交換部用セラミックス材の硫酸腐食選定試験の結果、炭化ケイ素のほうが窒化ケイ素より優れていることがわかった。(4)セラミックス製熱交換部用セラミックス素材において新規開発した反応焼結型炭化ケイ素は、平均強度が1200MPaの世界最強値を達成した。(5)同上の素材の接合試験を実施した結果、接合強度が500MPaの世界高強度接合強度を達成するとともに、硫酸蒸発器構造体の発生応力レベルに対して十分の接合強度を有していることがわかった。以上の結果から、ブロック型セラミックス製熱交換器実機の製作が近い将来において可能であるとの見通しを得た。
椎名 保顕; 西原 哲夫
日本原子力学会和文論文誌, 2(4), p.418 - 427, 2003/12
環状流路の内管と外管の間に相変化媒体(PCM)を配すると、PCMの相変化潜熱により内管を流れる伝熱流体温度の変動を低減化することができる。そこで、入口流体温度が周期的に変動する場合の伝熱流体温度変動の低減効果を、近似解析及び数値解析により求めた。その結果、ステップ状温度変化に対する近似解を得るとともに、PCMの熱伝導率を高くすると、低減効果が高くなることがわかった。この結果を用いて、核熱利用システムが、カスケード式に高温ガス炉に接続された場合の上流側システムの熱負荷変動を吸収する装置の実現可能性について検討した。10MWの熱を利用するシステムで、最大100Kの温度変動が発生した場合に、それに対処できる時間を3時間とすると、その間の熱負荷吸収に必要なPCMの量は約15m程であり、IHXと同じ寸法の伝熱管を用いると配管長さが約7mあれば温度変動を5K以内に低減化できることから、十分実現可能であることが示された。
椎名 保顕; 桜木 洋一*; 西原 哲夫
JAERI-Tech 2003-076, 52 Pages, 2003/09
水素エネルギーは2020年頃の普及を目標に開発が行われている。しかし、水素の利用が社会の隅々まで普及するには長い時間がかかると考えられ、それまでの間、液体燃料と水素が併行して使われるものと考えられる。近年、そのような見地から、DME等の石油代替燃料が注目されてきている。それらは、水蒸気改質法により製造される合成ガスから作ることができるため、水素とともに高温ガス炉の核熱を利用した化学プロセスの候補になりうると考えられる。そこで、本研究では、水素とDMEを取り上げ、それらを商用プラントで生産する場合と熱源として核熱を利用して生産する場合について経済性評価を行った。その結果、一般産業による製品に比べて核熱を用いて生産した方が、水素の場合には約7%程度、また、DMEの場合は約3%程度安くなることが示された。CO削減効果を評価すると、核熱の有効性はさらに高くなる。
小貫 薫
化学装置, 45(4), p.114 - 119, 2003/04
核熱を用いた水からの水素製造技術の研究開発の現状を概説した。まず、熱化学サイクルを構成することにより、水の直接熱分解に必要な温度より低温の熱のみを用いて水を分解できる熱化学水素製造法の原理を述べた。次いで、高温ガス炉を熱源として熱化学水素製造プロセスを駆動することにより、水素エネルギーシステムにおける大量の水素需要に応え得る炭酸ガスフリーの水素製造システムが構築できることを述べるとともに、これまでの熱化学サイクル研究の概要を紹介した。最後に、高温ガス炉-熱化学法による水素製造システムを具体化するための技術課題である原子炉技術,接続技術,熱化学サイクルについて総合的な研究開発を進めている原研のHTTR計画を紹介した。
石山 新太郎
日本原子力学会誌, 44(12), p.879 - 881, 2002/12
原研入所から現在に至るまでの著者の研究の紹介を行った。主に、ガスタービンシステムに関する研究と電力水素併産システムに関する研究が主な内容である。(1)ガスタービンシステムに関する研究では、主に再生熱交換器の開発経緯について、主にその苦労話を中心に紹介した。(2)電力水素併産システムに関しては、その原理をわかりやすく紹介するとともに、最近のナノ薄膜合成の成功について紹介を行った。
川崎 幸三
原子力年鑑2003年版, p.150 - 158, 2002/00
高温ガス炉開発をはじめとする高温工学試験研究について、平成13年4月から14年5月頃までの活動状況を中心にまとめた。本稿は、高温ガス炉開発の意義,高温工学試験研究炉(HTTR)の状況,出力上昇試験,所内関連部門の活動及び海外における高温ガス炉開発の動向と国際協力について記述している。
萩原 正紀
原子力年鑑2001/2002年版, p.164 - 170, 2001/11
高温ガス炉開発をはじめとする高温工学試験研究について、平成12年4月から13年5月頃までの活動状況を中心にまとめた。本稿は、高温ガス炉開発の意義、高温工学試験研究炉(HTTR)の状況,出力上昇試験,所内関連部門の活動及び海外における高温ガス炉開発の動向と国際協力について記述している。
渡辺 博典; 井口 正; 木村 守; 安濃田 良成
JAERI-Research 2000-043, 77 Pages, 2000/11
筆者らは核熱結合を模擬したBWR熱流動安定性試験を実施している。この試験では高温高圧条件下でのロッドバンドル内気液二相流平均ボイド率を瞬時に計測することが必要である。しかしながら、これらの条件を満たす実用的なボイド率計が見あたらなかった。そこで新たに実用的なコンダクタンス型ボイド率計を開発した。本ボイド率計では、流路内の二相流ボイド率と二相流電気伝導度との相関関係を利用し、流路断面平均ボイド率の非定常計測を行う。本ボイド率計では、金属製流路容器自体を一方の電極とし、流路中心に設置した中心電極(L型線電極)を他方の電極とし、両電極間の電流を計測する。この電極配置により模擬燃料棒のような金属製内装物のある複雑な流路でも流路内の断面平均ボイド率を瞬時に計測することが可能になった。本ボイド率計を用いて、空気・水2相流による校正試験を行った結果、ボイド率は電流比I/I(Iは、満水時の電流)を用いて、=1-I/Iで近似できることがわかった。この関係は、ボイド率が0%~70%の広い範囲で成立した。両者の差は最大で約10%であった。この差の理由は、ボイド分布や中心電極が気泡で覆われることによる電気的絶縁などによる。本ボイド率計は構造・原理ともに簡明なため、多くの気液二相流研究に適用が可能である。
藤川 正剛
原子力年鑑2000/2001年版, p.209 - 214, 2000/10
高温ガス炉の開発をはじめとする高温工学試験研究について、平成11年4月から12年5月頃までの活動状況を中心にまとめた。本稿は、高温ガス炉開発の意義・高温工学試験研究炉(HTTR)の状況、出力上昇試験、所内関連部門の活動及び海外における高温ガス炉開発の国際協力について記述している。
研究評価委員会
JAERI-Review 2000-020, 28 Pages, 2000/09
研究評価委員会は、「日本原子力研究所における研究開発評価の基本指針」等に基づき、高温工学専門部会を設置し、高温工学試験研究炉開発部及び核熱利用研究部の研究開発課題について、平成12年度からの5年間の計画事前評価を実施した。高温工学専門部会は平成11年12月27日に開催された。評価は、事前に提出された評価用資料及び専門部会における被評価者の説明に基づき、研究評価委員会によって定められた評価項目、評価の視点、評価の基準に従って行われた。同専門部会がとりまとめた評価結果は、研究評価委員会で審議され、妥当と判断された。本報告書はその評価結果である。
将来型炉研究グループ; 炉物理研究グループ; 熱流体研究グループ
JAERI-Research 2000-035, 316 Pages, 2000/09
原研と原電は、低減速スペクトル炉心に関する主要な特性を評価するとともに同炉心に関する基礎基盤的研究を実施することを目的に、平成10年度より共同研究「低減速スペクトル炉心の研究」を開始、平成11年度に第1フェーズの研究を終了した。炉心概念の検討では、高転換比、長期サイクル運転あるいはプルトニウムの多重リサイクルが可能な炉心として、BMW型炉心3炉心、PWR型2炉心の概念を構築した。核計算手法の研究では、モジュラー型核熱結合炉心解析コードシステムの開発、及びモンテカルロ摂動計算手法の高精度化を行った。熱水力設計手法の研究では、炉心の熱工学的成立性を評価した。また、臨界実験の予備調査として、燃料棒本数、プルトニウム富化度等の概略値を求めるとともに、実験施設の改造方法を検討した。
宮本 喜晟; 塩沢 周策; 小川 益郎; 稲垣 嘉之; 片西 昌司; 西原 哲夫; 清水 三郎
Hydrogen Energy Progress 13 (Proceedings of the 13th World Hydrogen Energy Conference), p.297 - 302, 2000/06
高温ガス炉の核熱を発電以外の用途において利用するための研究開発の一環として、高温ガス炉の高温のヘリウムガスの熱により液化天然ガスから水素を製造するシステムの開発を進めている。将来はHTTRに接続して、システムの安全性、安定性、水素製造能力等を実証する予定であるが、現在はそれに先立って1/30規模の炉外試験装置により、諸特性の把握を行うことにしており、装置の製作を進めている。炉外試験では、システムの運転開始及び停止の手法を確立すること、水素製造システムにおけるヘリウム温度等の変化が原子炉に外乱として伝わらないようシステム内で十分抑えられることを確認すること、天然ガスの水蒸気改質反応が起こる水蒸気開発器等の高温機器の諸特性の把握等を目的として、試験を行う予定である。
塩沢 周策; 小川 益郎; 稲垣 嘉之; 片西 昌司; 武田 哲明; 西原 哲夫; 清水 三郎; 大橋 弘史; 宮本 喜晟
Proceedings of 12th Pacific Basin Nuclear Conference (PBNC 2000) (CD-ROM), 10 Pages, 2000/01
特会委託研究として進めているHTTR水素製造システムの設計、炉外技術開発試験、要素技術開発試験(水素透過試験,触媒管健全性試験等)、熱化学法ISプロセス閉サイクル試験等の研究開発課題の選択、進め方、現状、今後の計画について報告する。水素の潜在的需要について概観し、核熱による水素製造が重要であることを示す。また、研究開発の効率的推進を図るため、水素製造コストの概算値から、水蒸気改質ではエネルギー費、資本費、原料費がほぼ同じ割合を占め、それぞれ対応する研究課題である高効率化、熱利用施設の非原子力級化、高転化率化に関する研究をほぼ均等に進めること、一方ISプロセスではエネルギー費が水素製造コストの70~80%を占めることから、閉サイクル試験及び高効率化に関する研究課題が材料研究課題に比べ水素製造コストに大きく影響することを示した。
稲垣 嘉之; 大内 義弘; 藤崎 勝夫; 加藤 道雄; 宇野 久男; 林 光二; 会田 秀樹
JAERI-Tech 99-074, p.63 - 0, 1999/10
HTTR熱利用系として、天然ガスの水蒸気改質(反応式:CH+HO=3H+CO)による水素製造システムが計画されている。HTTRと水蒸気改質システムの接続の前に、安全性及び制御性の実証、水素製造性能の確認等を目的として、HTTR水銀製造システムの1/30スケールモデルである炉外技術開発試験装置の製作を進めている。炉外技術開発試験装置は、中間熱交換器から下流の主要機器を模擬したもので、原子炉の代わりに電気ヒーターを使用して110Nm/hの水素を製造する能力を有する。水蒸気改質器は、水蒸気改質により水素を製造する主要な機器である。炉外技術開発試験装置の水蒸気改質の製作においては、ヘリウムガスからの熱の有効利用並びにコンパクトな構造を目指して、バイヨネット型触媒管の採用、触媒管外表面に設けた直交フィンによるヘリウムガスの伝熱促進等の工夫を行った。また、伝熱促進を行うためには触媒管の肉厚を10mm程度にする必要があるため、触媒管の設計においては、ヘリウムガスとプロセスガスの全圧を考慮する全圧設計ではなく、両者の差圧をもとに触媒管の肉厚を定める差圧設計を適用した。この設計方法は、高圧ガス保安協会より初めて認可された。また、水蒸気改質器は可燃性ガスと電気ヒーターを内蔵することから防爆構造とした。本報告書は、炉外技術開発試験装置の水蒸気改質器の構造、触媒管差圧設計及び防爆構造の認可にかかわる内容について述べたものである。
文沢 元雄; 緒方 寛*; 山田 誠也*
エネルギー・資源, 20(1), p.87 - 92, 1999/01
本検討は、核熱利用システム構築の一環として、大気中に放出される二酸化炭素(CO)の低減と化石燃料の有効利用を目指して行った研究である。すなわち、CO原単位を改善するシステムについて検討した。CO発生量低減化の評価指標として、CO原単位比を用い、改質原料・製品を組み合わせた10種類のシステムを検討した。その結果、核熱を用いて石炭をメタンやメタノールに改質するシステムが他のシステムに比べて、CO放出量低減に効果的であることがわかった。
Zimin, V. G.; 浅香 英明; 安濃田 良成; 榎本 雅己*
9th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-9) (CD-ROM), p.16 - 0, 1999/00
MOX燃料や高燃焼度燃料の導入に伴い、高精度な原子炉安全解析の必要性が高まっている。特に、BWR安定性や反応度事故時の燃料温度挙動を定量的に評価するための高性能な核熱水力解析コードの開発が求められている。このような要請に応えるために、3次元核熱水力解析コードTRAC/SKETCH(PWR版)を開発した。TRAC/SKETCHは、3次元熱水力解析コードTRAC-PF1(J-TRAC)と3次元動特性解析コードSKETCH-Nを並列計算用ソフトウェアPVM(Parallel Virtual Machine)で結合したものである。TRACK/SKETCHコードの性能評価を目的として、国際標準問題(OECD/NEACRPPWR)の解析を行った。この標準問題は、PWRの制御棒引抜事故で、3次元炉心の核熱水力数値計算を目的としたものである。解析では粗メッシュモデルを用いたが、解析結果は、参照値(PANTHERコードの解析結果)と良く一致した。これは、TRAC/SKETCHコードの高い予備精度による結果である。
藤川 正剛; 萩原 正紀
原子力年鑑1999/2000年版, p.173 - 177, 1999/00
高温ガス炉開発をはじめとする高温工学試験研究について、平成10年4月から11年5月頃までの活動状況を中心にまとめた。本稿は、高温ガス炉開発の意義、高温工学試験研究炉(HTTR)の状況、初臨界、所内関連部門の活動及び海外における高温ガス炉開発の動向と国際協力について記述している。