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励起一重項状態の芳香族ジエノンとプロトン性溶媒との相互作用

Interaction between protic solvent and aromatic dienones in the excited singlet state

村上 洋; 太田 哲郎; 一ノ瀬 暢之*; 中山 敏弘*

Murakami, Hiroshi; Ota, Tetsuro; Ichinose, Nobuyuki*; Nakayama, Toshihiro*

本研究では、励起状態において断熱的に分子間でプロトン移動を起こす分子の探索と、そのような分子を用いたタンパク疎水ポケット中のプロトン供与性の超高速時間分解蛍光法による評価を行った。時間分解蛍光スペクトルは、フェムト秒蛍光アップコンバージョン法を用いて測定した。その構造から励起状態において分子の両末端にある4-ジメチルアミノフェニル基からカルボニル基への分子内電荷移動状態(CT状態)を与えることが期待される共役エノンである1,5-ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ペンタ-1,4-ジエン-3-オン(DAPO)のエタノール溶液で、プロトン化されたDAPOの電子励起状態と帰属される620nm付近の蛍光強度が時間とともに増大することがわかった。このような変化は、ベンゼンやアセトニトリル中では見られなかったことからも誘電緩和-プロトン化がこの溶液では起こっていると結論できる。また、この変化は、タンパク(牛血清由来アルブミン)中において、非常にゆっくり起こった。タンパク中では誘電緩和は溶液中より遅いが、プロトン化の反応速度は、プロトンの濃度を考慮すると非常に速いと考えられる。

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