グラフト捕集材によるホタテ加工残渣からのカドミウム除去装置の開発

Development of equipment to remove cadmium from waste of scallop processing by graft adsorbent

中居 久明*; 天間 毅*; 玉田 正男; 沢村 利洋*; 齊藤 貴之*; 本間 哲雄*; 佐藤 康士*

Nakai, Hisaaki*; Temma, Tsuyoshi*; Tamada, Masao; Sawamura, Toshihiro*; Saito, Takayuki*; Homma, Tetsuo*; Sato, Yasushi*

ホタテ貝の加工に伴い廃棄される中腸腺(ウロ)は、有害金属であるカドミウムイオンを蓄積しているため、ほとんどが産業廃棄物として焼却処分されている。しかし、ウロは、タンパク質や脂肪のほかに、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)などの有価物を含んでおり、その利用価値は非常に高い。カドミウムイオンを除去して、ウロを資源として有効利用するため、リンゴ酸によるウロからのカドミウムイオン溶出処理と放射線グラフト重合捕集材による溶出したカドミウムイオの除去を組合せることにより、中腸腺20kg程度の処理が可能な処理装置を試作した。粉砕していないボイル中腸腺15kg(湿潤重量)に0.1Mリンゴ酸溶液150Lを加えて、30Cに保ち、ポンプにより通液速度3L/min(空間速度SV=36h)で捕集材カラムに通液し、カドミウムイオンを除去した結果、25mg/kgであったウロ中のカドミウムは、24時間後には1.0mg/kg以下まで減少し、ビーカスケール実験と比べ、ほぼ同じ結果が得られた。

Removal technology for cadmium ion (Cd) from the mid-gut gland in the scallop processing was developed by combining the Cd leaching process with malic acid solution and Cd adsorption with iminodiacetic acid adsorbent synthesized with radiation-induced graft polymerization. Experimental equipment was assembled for removal of the Cd from 20-40 kg of mid-gut gland. The Cd in the mid-gut gland was reduced from 25 mg/kg to 1 mg/kg after 24 h treatment.