北海道北部,幌延地域の新第三紀堆積岩における浸透率・間隙率に対する変形の影響

The Effect of deformation on permeability and porosity of the Neogene sedimentary rocks in the Horonobe area, northern Hokkaido, Japan

岡崎 啓史*; 嶋本 利彦*; 上原 真一*; 新里 忠史  

Okazaki, Keishi*; Shimamoto, Toshihiko*; Uehara, Shinichi*; Niizato, Tadafumi

地下の岩石の浸透率や間隙率などの水理特性データは、地層処分で重要となる地下深部での流体移動を推定するうえで必要不可欠な情報である。特に、褶曲や断層帯の形成に伴う変形作用は岩石の水理特性に大きな影響を与えるが、これまで変形作用と水理特性との関連性にかかわる研究例は少ない。幌延深地層研究計画では、地下水流動の長期的な変化を予測するための調査・解析技術に関する研究として、地質構造と水理特性の関連性の調査を進めている。これまでの研究から、幌延地域では衝上断層褶曲帯の地質構造が発達し、褶曲や断層帯の形成及び地層の圧密などの変形作用と岩石の水理特性とに強い関連性のあることが示唆されている。そこで、岩石の水理特性に対する変形の影響を確認するため、幌延町内に分布する新第三紀堆積岩のボーリングコア試料を用いて地下深部の圧力条件下で三軸圧縮変形試験を行った。その結果、勇知・声問層は変形に伴い圧密が進行し流体が通りにくくなり、稚内層は変形による破断面の形成で流体が通りやすくなることがわかった。これらの結果を地下水流動解析に反映することにより解析の不確実性が減少するものと考えられる。

Permeability and porosity are essential physical properties for analyzing of underground fluid flow. We have examined the effect of deformation on permeability and porosity of the Neogene sedimentary rocks (Yuchi, Koetoi, and Wakkanai Formations in the descending order) by laboratory experiments. Wakkanai Formation can be fluid conduit due to deformation, whereas Yuchi and Koetoi Formations do not necessarily become fluid-flow passes even with deformation. The deepest part of Koetoi Formation seems to have the highest seal capacity among the three formations.