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新里 忠史; 佐々木 祥人; 渡辺 貴善; 雨宮 浩樹*
地学雑誌, 134(5), p.475 - 489, 2025/10
Assessing the impact of human activities on the radioactive material transport in forested area provides an important scientific basis for resuming the use of radioactively contaminated forest in Fukushima. The morgan splash cups were installed in three observation plots with different forest floor cover conditions to monitor the amount of splashed particle by raindrop erosion in a deciduous broad-leaved forest in the Abukuma Mountains, approximately 35 km northwest of the TEPCO's Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant. No correlation between rainfall intensity and precipitation was found in the grains size distribution and parameters though rainfall intensity varied widely during the observation period. On the other hand, forest floor cover percentage was related to the grain size parameters. The amount of splashed particle normalized by precipitation tended to be a minor fluctuation in the N plot with forest floor cover close to 100% compared to the D and DL plots with forest floor cover of 50% or less. The minor fluctuation in the amount of splashed particle means a minor fluctuation in the amount of radiocesium transport. This indicates that the effect of forest floor cover on raindrop erosion is not a simple correlation, but the protective effect of forest floor cover is significantly higher at a certain point between 60 to 90%. In order to control the radiocesium transfer due to human activities such as decontamination in forests it is necessary to maintain the forest floor coverage between 60 to 90%.
長尾 郁弥; 大木 法子*; 沢田 憲良*; 蔀 雅章*; 丸山 廉太*; 上川 努*; 伊藤 聡美; 新里 忠史; 操上 広志
JAEA-Data/Code 2025-008, 60 Pages, 2025/09
平成23(2011)年3月11日に発生した東日本大震災とそれに伴って発生した津波により東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所の事故が発生し、その結果、環境中へ大量の放射性物質が放出された。そのため、日本原子力研究開発機構(以下、機構)は環境中の放射性物質の動態研究を開始し、機構のWebサイト「根拠情報Q&Aサイト(以下、QAサイト)」上で成果発信を行った。また、機構の環境動態研究に加え、種々の機関が取得・公開した環境中の放射性物質や空間線量率のモニタリングデータを収集・整形して集約したデータベースサイト「放射性物質モニタリングデータの情報公開サイト」を開設した。その後、研究により得られた知見と、実際のモニタリングデータを一体のものとして公開するため、ポータルサイト「福島総合環境情報サイト」(FaCE!S;フェイシス)として取りまとめて運用した。福島国際研究教育機構(F-REI)の発足に伴い、機構の環境動態研究は終了し、F-REIへ移管されることとなった。そのため、環境動態研究の情報公開サイトであるQAサイトも令和7(2025)年度以降F-REIへ移管されることとなった。本報告書は、令和6(2024)年度時点までのFaCE!Sに関する取り組みをまとめるとともに、令和6(2024)年度時点のQAサイトをアーカイブとして保存するものである。
加藤 弘亮*; 庭野 佑真*; 赤岩 哲*; Donovan, A.*; 高橋 純子*; 恩田 裕一*; 新里 忠史
Journal of Environmental Management, 390, p.126222_1 - 126222_11, 2025/08
This study aims to elucidate the hydrological processes of water outflow from forest slopes in Fukushima Prefecture, which received significant radiocesium deposition after the accident, and to examine their impact on the variability of dissolved radiocesium concentrations in surface water. This study provides that not only does radiocesium leach from organic matter near stream channels but that outflow of shallow groundwater within forest slope soils also promotes radiocesium from broader areas of the forested slopes to the streams.
佐々木 祥人; 大貫 敏彦; 板橋 康弘*; 鴫原 隆*; 操上 広志; 雨宮 浩樹*; 新里 忠史
Chemosphere, 379, p.144431_1 - 144431_8, 2025/06
放射性セシウムはきのこ(子実体)に移行しやすいことが知られているが、そのメカニズムは不明である。ここでは、菌糸の成長と子実体の発生における
Cs、
K、および水の移動を理解するために、放射性Csを含む木材のおがくずを主とする培地で腐生きのこのヒラタケを用いて培養試験を行った結果について報告する。子実体の
Csは培地全体から吸収されていた。
Csは培地から子実体に受動的に移行したが、
Kは能動的に移行した。ヒラタケ菌による有機物の分解により培地中の水分量が増加し、子実体の発達に伴い水が子実体に移行した。培地の固相から液相へ
Csが容易に溶解することが、子実体へ
Csが移行しやすい原因であると考えられた。
新里 忠史; 佐々木 祥人; 雨宮 浩樹*; 菅野 拓*
地学雑誌, 134(3), p.309 - 321, 2025/06
福島の山林において、数十年以上にわたる立木中の放射性セシウム放射能濃度の予測は、林産物の利用再開に向けた重要な課題の一つである。本論文では、樹木の最外部から中心部(外皮、内皮、辺材、心材)までの詳細な
Cs分布から、スギの樹木内における
Csの移行プロセスを考察した。2017年のCs-137濃度分布と2015年から2019年までの時間変化から、樹木内のCs-137分布は濃度勾配に従った自発的な受動輸送だけでなく、樹木の生理現象による勾配に逆らった能動輸送が組み合わさって形成されていることが示唆された。
新里 忠史; 上川 努*; 大木 法子*
情報地球学, 36(1), p.8 - 9, 2025/04
本研究では、福島での放射能汚染対策に係る現在のニーズを把握するため、2つの手法による分析を実施した。一つは、日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)が運営する「根拠情報Q&A」ウェブサイトへのアクセス状況の解析である。他方は、福島県の自治体の職員向けに原子力機構が毎年実施している調査研究成果の説明会における速記録データを対象としたテキストマイニングである。これら分析によりニーズを抽出し、今後の課題を検討した。その結果、福島第一原子力発電所(1F)事故から10年以上が経過した時点においても、依然として、環境の空間線量率や水産・林産物の放射性セシウム濃度および除染に対する関心・懸念の存在が明らかとなった。また、現在の放射能汚染状況に関わる調査やモニタリング、調査結果の情報提供に関するニーズの高さも示唆された。
新里 忠史; 上川 努*; 大木 法子*
情報地質, 35(4), p.99 - 108, 2024/12
本論では、原子力機構が運営する「根拠情報Q&Aサイト」を対象としたアクセス解析および原子力機構が自治体担当者を対象に実施した調査研究の説明会における速記録データを対象としたテキストマイニングを実施し、放射能汚染対策に係るニーズの抽出を試みた。その結果、アクセス解析については、福島第一原子力発電所(1F)事故から10年以上が経過しても、環境および農林水産物の放射性セシウム濃度、放射能汚染の程度の指標や避難難指示解除の基準として利用される空間線量率について、データや情報提供に係るニーズの示唆される結果が得られた。テキストマイニングでは、浜通り北部の自治体では水域と水産物、中通りの自治体では森林域と林産物に係るセシウム濃度と空間線量率、浜通り南部の自治体では、森林やため池に係る除染と空間線量率に係るデータ取得と調査、および除染後の空間線量率の変化に関する調査データ取得といったニーズが推測された。また、将来よりも現時点の放射能汚染の状況について、調査データに基づく情報提供に係るニーズが推測された。
新里 忠史; 佐々木 祥人; 雨宮 浩樹*
第32回社会地質学シンポジウム論文集, p.13 - 16, 2022/11
福島の森林斜面および渓流におけるセシウム137の流出観測に基づいて、河川のセシウム137流出における森林域に存在するセシウム137の寄与を検討し、土砂流出量およびセシウム137濃度の観点から、比較的寄与が低い可能性を指摘した。
漆舘 理之*; 依田 朋之; 大谷 周一*; 山口 敏夫*; 國井 伸明*; 栗城 和輝*; 藤原 健壮; 新里 忠史; 北村 哲浩; 飯島 和毅
JAEA-Review 2022-023, 8 Pages, 2022/09
日本原子力研究開発機構(JAEA)では、東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故を契機に、2012年に福島県福島市内に分析所を開設し、ゲルマニウム半導体検出器による環境試料の放射能測定を開始した。2015年10月にゲルマニウム半導体検出器を用いたガンマ線の放射性分析(
Cs、
Cs)の試験所として、公益財団法人日本適合性認定協会(JAB)からISO/IEC 17025規格の認定を受けた。試験所は、2022年3月末までに約60,000のさまざまな環境サンプルを測定した。試験所の品質管理および測定技術は、JABの定期的な監視によって認定されており、2019年9月に放射能分析研究機関として認定を更新した。
新里 忠史; 佐々木 祥人; 渡辺 貴善; 雨宮 浩樹*
第31回社会地質学シンポジウム論文集, p.19 - 22, 2021/11
福島の山地森林における林床状況とセシウム137(
Cs)流出量の関連を把握するため、除染地,未除染地および林野火災の延焼跡地において3年間の長期観測を実施した。除染や延焼により失われた林床被覆が回復するのに伴い
Cs流出量は減少し、除染地では除染直後の3.24%から0.61%へ、延焼跡地では延焼直後の2.79%から0.03%へと低下した。林床被覆が60%を超えると未除染地や非延焼地と同程度の流出量となり、林床被覆60%は、観測地における流出影響の閾値と考えられる。延焼跡地では林床被覆の回復に伴い、流出物の主体が土壌粒子からリター片に変化したことも、
Cs流出量の低下に寄与した。山地森林の林床が本来有する土壌侵食に対する保護機能は、
Cs流出抑制に効果的である。
Cs outflow from forest floor adjacent to a residential area; Comparison of decontaminated and non-decontaminated forest floor新里 忠史; 渡辺 貴善
Global Environmental Research (Internet), 24(2), p.129 - 136, 2021/06
降雨期の福島県の森林において、土壌侵食に伴うセシウム137流出量の3年間にわたるモニタリングを除染地および未除染地において実施した。その結果、除染地でのセシウム137流出量は未除染地の10から14倍多いものの、除染地からのセシウム137流出率は林床被覆の回復に対応して3.24%から0.61%に減少した。林床被覆が60%以上に達すると、除染地でのセシウム137流出量は変動が小さくなり、流出率は未除染地と同レベルとなった。林床被覆の回復に伴うセシウム137流出量の減少は、雨滴衝撃に対する林床の保護効果の回復および流出物に含まれるセシウム137濃度の比較的高い土壌成分の割合が減少することによると考えられる。
Cs and
Cs radioactivity measurementsMalins, A.; 今村 直広*; 新里 忠史; 高橋 純子*; Kim, M.; 佐久間 一幸; 篠宮 佳樹*; 三浦 覚*; 町田 昌彦
Journal of Environmental Radioactivity, 226, p.106456_1 - 106456_12, 2021/01
被引用回数:7 パーセンタイル:27.69(Environmental Sciences)Understanding the relationship between the distribution of radioactive
Cs and
Cs in forests and ambient dose equivalent rates (
*(10)) in the air is important for researching forests in eastern Japan affected by the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant (FDNPP) accident. This study used a large number of measurements from forest samples, including
Cs and
Cs radioactivity concentrations, densities and moisture contents, to perform Monte Carlo radiation transport simulations for
*(10) between 2011 and 2017. Calculated
*(10) at 0.1 and 1 m above the ground had mean residual errors of 19% and 16%, respectively, from measurements taken with handheld NaI(Tl) scintillator survey meters. Setting aside the contributions from natural background radiation,
Cs and
Cs in the organic layer and the top 5 cm of forest soil generally made the largest contributions to calculated
*(10). The contributions from
Cs and
Cs in the forest canopy were calculated to be largest in the first two years following the accident. Uncertainties were evaluated in the simulation results due to the measurement uncertainties in the model inputs by assuming Gaussian measurement errors. The mean uncertainty (relative standard deviation) of the simulated
*(10) at 1 m height was 11%. The main contributors to the total uncertainty in the simulation results were the accuracies to which the
Cs and
Cs radioactivities of the organic layer and top 5 cm of soil, and the vertical distribution of
Cs and
Cs within the 5 cm soil layers, were known. Radioactive cesium located in the top 5 cm of soil was the main contributor to
*(10) at 1 m by 2016 or 2017 in the calculation results for all sites.
長尾 郁弥; 新里 忠史; 佐々木 祥人; 伊藤 聡美; 渡辺 貴善; 土肥 輝美; 中西 貴宏; 佐久間 一幸; 萩原 大樹; 舟木 泰智; et al.
JAEA-Research 2020-007, 249 Pages, 2020/10
2011年3月11日に発生した太平洋三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震とそれに伴って発生した津波により、東京電力(現東京電力ホールディングス)福島第一原子力発電所の事故が発生し、その結果、環境中へ大量の放射性物質が放出された。この事故により放出された放射性核種は、その大部分が森林に沈着している。これに対し、面積が広大であり大量の除去土壌などが生じる、多面的な森林の機能が損なわれる可能性があるなどの問題があり、生活圏近傍を除き、汚染された森林の具体的な除染計画はない。そのため、未除染の森林から放射性セシウムが流出し、既に除染された生活圏に流入することで空間線量率が上がってしまうのではないか(外部被ばくに関する懸念)、森林から河川に流出した放射性セシウムが農林水産物に取り込まれることで被ばくするのではないか、規制基準値を超えて出荷できないのではないか(内部被ばくに関する懸念)などの懸念があり、避難住民の帰還や産業再開の妨げとなる可能性があった。日本原子力研究開発機構では、環境中に放出された放射性物質、特に放射性セシウムの移動挙動に関する「長期環境動態研究」を2012年11月より実施している。この目的は、自治体の施策立案を科学的側面から補助する、住民の環境安全に関する不安を低減し、帰還や産業再開を促進するといった点にある。本報告書は、原子力機構が福島県で実施した環境動態研究におけるこれまでの研究成果について取りまとめたものである。
Cs from forests to freshwater fish living in mountain streams in Fukushima, Japan操上 広志; 佐久間 一幸; Malins, A.; 佐々木 祥人; 新里 忠史
Journal of Environmental Radioactivity, 208-209, p.106005_1 - 106005_11, 2019/11
被引用回数:20 パーセンタイル:54.23(Environmental Sciences)本報告では、セシウム137の森林内での循環と河川への流出、渓流に生息する淡水魚への移行を考慮したコンパートメントモデルを構築し、福島の環境に基づいて一般化した流域を対象に解析を行い、淡水魚へ移行するセシウム137の森林内の流出源を推定した。その結果、セシウム137の流出源は、落葉の河川への直接流入、落葉層からの側方流入、土壌層からの側方流入の3つからなることがわかった。また、森林内のセシウム137の循環は事故後10年程度で平衡状態に近づき、それに伴って河川水や淡水魚のセシウム137濃度は物理減衰程度になると推測された。
伊藤 聡美; 佐々木 祥人; 新里 忠史; 渡辺 貴善; 三田地 勝昭*
KEK Proceedings 2019-2, p.132 - 137, 2019/11
東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の事故により、環境中に放出された放射性物質は現在、福島県内の森林,表層土壌に多く沈着している。この影響により、食用林産物は、福島県の一部地域で出荷制限されているものも存在する。新芽を食用とするウコギ科のコシアブラは広い地域で出荷が制限されている山菜である。本発表では、山菜採取の対象となりやすい若木を対象として土壌の放射性セシウム深度分布、コシアブラ若木の地上部(葉,樹幹)と地下部(根)における植物体量および、放射性セシウム量について調査した結果、土壌中の放射性セシウムが多く分布する深度0-10cmに根の90%以上が存在することが分かったため、これらの調査結果について報告する。
渡辺 貴善; 佐々木 祥人; 新里 忠史; 三田地 勝昭*; 伊藤 聡美
KEK Proceedings 2019-2, p.114 - 119, 2019/11
森林の除染作業では、森林の地面に堆積している落葉がすべて取り除かれて、土砂が露出した状態になる場合がある。その後、土砂が露出した地面が下草や落葉で覆われるようになると、雨による地面の侵食の大きさが変化し、放射性セシウムの流出量も変化すると考えられる。本件は、森林の除染後の放射性セシウムの流出と地面の被覆率の変化を調べたものである。除染された福島県内の落葉広葉樹林において、観測区画を設定し、除染後の3年間にかけて放射性セシウムの流出を観測した。観測の結果、沈着した放射性セシウムに対する流失した放射性セシウムの流出率は、年々減少していくことがわかった。対して、森林の地面の被覆率は年ごとに増加する傾向にあった。以上から、森林の除染後、下草や落葉による地面の被覆が増えるにつれて、放射性セシウムの流出率が低下していくことが確認された。
investigation of radioactive Cs mobility around litter zone in contaminated forest using spent mushroom substrata大貫 敏彦*; 坂本 文徳; 香西 直文; 山崎 信哉*; 佐々木 祥人; 新里 忠史
Journal of Nuclear Science and Technology, 56(9-10), p.814 - 821, 2019/09
被引用回数:3 パーセンタイル:24.14(Nuclear Science & Technology)食用きのこを栽培した後の副産物である廃菌床(SMS)を利用して、福島県の森林地帯のリター層における放射性セシウム移動の現地調査を行った。粉末状のSMSを0.35
0.55mのプラスチックバックに詰め、およそ六ヶ月間森林に設置した。その際、バックをそのまま(No treatment)、バックを木製の箱で覆う(With box)、バックを置いた土壌の山側にゼオライトを設置(With zeolite)の3条件を試験した。SMSバックの下の土壌とリターからSMSへの移行係数(TF)を評価した。その結果、設置六ヶ月の「No treatment」と「With zeolite」のTFはおよそ0.01から0.05であった。一方、「With box」のそれは「No treatment」と「With zeolite」の二ヶ月と四ヶ月設置のTFより一桁低いが、六ヶ月ではほぼ同じ値であった。このことは、SMSへの放射性セシウムの濃集は林間雨によるものが主であることを示唆している。さらに、たとえ放射性セシウムが土壌に強固に結合していても、数ヶ月の設置では真菌がリター層の放射性セシウム濃集に関与していることが示唆された。
長尾 郁弥; 新里 忠史; 佐々木 祥人; 伊藤 聡美; 渡辺 貴善; 土肥 輝美; 中西 貴宏; 佐久間 一幸; 萩原 大樹; 舟木 泰智; et al.
JAEA-Research 2019-002, 235 Pages, 2019/08
2011年3月11日に発生した太平洋三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震とそれに伴って発生した津波により、東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生し、その結果、環境中へ大量の放射性物質が放出され、その大部分が森林に沈着している。これに対し、面積が広大であり大量の除去土壌等が生じる、多面的な森林の機能が損なわれる可能性があるなどの問題があり、生活圏近傍を除き、汚染された森林の具体的な除染計画はない。そのため、未除染の森林から放射性セシウムが流出し、既に除染された生活圏に流入することに対する懸念があり、避難住民の帰還や産業再開の妨げとなる可能性があった。原子力機構では、環境中に放出された放射性物質、特に放射性セシウムの移動挙動に関する「長期環境動態研究」を2012年11月より実施している。この目的は、自治体の施策立案を科学的側面から補助する、住民の環境安全に関する不安を低減し、帰還や産業再開を促進するといった点にある。本報告書は、原子力機構が福島県で実施した環境動態研究におけるこれまでの研究成果について取りまとめたものである。
大貫 敏彦; 坂本 文徳; 香西 直文; 難波 謙二*; 根田 仁*; 佐々木 祥人; 新里 忠史; 渡辺 直子*; 小崎 完*
Environmental Science; Processes & Impacts, 21(7), p.1164 - 1173, 2019/07
被引用回数:14 パーセンタイル:47.28(Chemistry, Analytical)福島第一原子力発電所事故により降下した放射性セシウム(以下、Csとする)の挙動及び関連する放射線学的影響は、表層土壌から森林生態系へのCsの移動性に大きく関係する。本研究では、福島県飯舘の森林で採取した野生きのこ子実体へのCs蓄積量を測定した。土壌から野生きのこ子実体へのCs移行係数(TF)は10
から10
の間であった。この範囲は、チェルノブイリ事故後にヨーロッパのきのこについて報告された値、及び核実験降下物に対する日本のきのこについて報告された値の範囲と類似していた。野生きのこのTF値と、704種類のきのこ菌糸をCsを含む栄養寒天培地で生育したときのTF値とを比較したところ、野生きのこのTF値の方が低かった。寒天培地に1重量%の鉱物(ゼオライト等)を加えたところTFは0.1以下になった。添加した鉱物がきのこによるCs吸収を低下させることが明らかとなった。
佐久間 一幸; 新里 忠史; Kim, M.; Malins, A.; 町田 昌彦; 吉村 和也; 操上 広志; 北村 哲浩; 細見 正明*
環境放射能除染学会誌, 6(3), p.145 - 152, 2018/09
開発した森林を考慮したPHITSを用いて、森林内放射性Cs動態を考慮した空間線量率計算を実施した。その結果、2015年10月時点の観測データを用いると、樹木に放射性Csがほとんど存在しないため、樹冠からリター層へ移行してもほとんど地上1m空間線量率は変化しなかった。一方、2011年8-9月時点の放射性Cs濃度を用いると、樹冠に放射性Csが多く存在し、樹冠近傍や地上200m程度まで空間線量率が高い傾向が見られ、樹冠からリター層へ移行すると、地上1m高さの空間線量率は、線源からの距離が近くなったことにより3倍程度大きくなった。いずれの入力データにおいても、樹冠から土壌層へ放射性Csが移行することで、土壌の遮蔽効果により地上1m高さの空間線量率は3分の1から2分の1程度減少した。