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軟X線磁気円二色性分光によるC$$_{60}$$-Co共蒸着薄膜のスピン状態解析

X-ray magnetic circular dichroism spectroscopy of codeposited C$$_{60}$$-Co films

松本 吉弘; 境 誠司; 圓谷 志郎; 中川 剛志*; 高木 康多*; 横山 利彦*; 永松 伸一*; 島田 敏宏*; 楢本 洋*; 三谷 誠司*; 高梨 弘毅; 前田 佳均

Matsumoto, Yoshihiro; Sakai, Seiji; Entani, Shiro; Nakagawa, Takeshi*; Takagi, Yasumasa*; Yokoyama, Toshihiko*; Nagamatsu, Shinichi*; Shimada, Toshihiro*; Naramoto, Hiroshi*; Mitani, Seiji*; Takanashi, Koki; Maeda, Yoshihito

C$$_{60}$$-Co化合物中にCo結晶粒が分散したグラニュラー構造を持つC$$_{60}$$-Co共蒸着薄膜において、巨大なトンネル磁気抵抗(TMR)効果の発現が明らかとなっている。本研究では、Coの組成比が異なるC$$_{60}$$-Co共蒸着薄膜(C$$_{60}$$Co$$_{x}$$)に対してX線磁気円二色性(XMCD)分光解析を行い、TMR効果発現にかかわるスピン状態情報の獲得を行った。結果としてC$$_{60}$$-Co化合物中の吸収スペクトル中に複数の構造が検出された。またC$$_{60}$$-Co化合物が磁気円二色性を示すことも明らかとなった。この結果は、C$$_{60}$$-Co化合物に局在するスピン偏極状態の存在を示している。さらにTMR効果の理論モデルに、磁場に対して常磁性的に振る舞う局在スピンが、Co粒子間をトンネルする伝導電子のスピン偏極率に影響を及ぼす過程を考慮すると、伝導電子のスピン偏極率が100%に近い場合に、磁気抵抗率の理論値が実験で得られた磁気抵抗率と一致することがわかった。以上の結果から、C$$_{60}$$-Co化合物の局在スピンの影響により伝導電子のスピン偏極率が著しく増大することが、C$$_{60}$$-Co薄膜で生じるTMR効果の原因であることが明らかとなった。

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