中性子照射した改良SUS316鋼における組織と機械強度のミクロ-マクロ相関,3

Microstructure-mechanical properties correlation in neutron-irradiated modified SUS316 steels, 3

山下 真一郎   ; 窪田 知宜*; 岡 弘*   ; 橋本 直幸*; 大貫 惣明*

Yamashita, Shinichiro; Kubota, Tomoki*; Oka, Hiroshi*; Hashimoto, Naoyuki*; Onuki, Somei*

本研究では、高速炉燃料被覆管材料として中性子照射データの豊富な改良SUS316鋼(以下、PNC316鋼と称する)を対象に、照射挙動のモデル化のための組織と機械強度のミクロ-マクロ相関評価を実施した。本発表では、硬さ及び引張強度の変化と微細組織変化の相関関係について総合考察した内容を報告する。組織と機械強度のミクロ-マクロ相関評価は、照射温度範囲400700C,照射量27.710n/m程度までの引張試験データ,硬さ測定データ,金相組織データ,TEM組織データ等の照射後試験データを使用した。照射後強度試験データの比較から、(1)硬さに対する中性子照射の影響は、低温域(500C近傍),中温域(600C前後),高温域(700C)で識別できること、(2)引張強度に対する中性子照射の影響は、低温(500C近傍)では大きくないが、中温以上(600C)では高温ほど差分(照射後-照射前)が大きくなる傾向が示された。一方、微細組織観察から、硬さや引張強度特性の変化は、フランクループ形成,転位密度変化,キャビティ(バブル及びボイド)形成,析出物の分布状況変化(主なものとして、リン化物や炭化物の数密度,大きさ及び形成サイト),結晶粒径分布変化に密接に関係し、照射温度域ごとに分けて各微細組織パラメータの寄与を考慮して定量化することの有意性が示された。当日の発表では、照射温度域ごとに分けて各微細組織パラメータの寄与を検討しモデル化した結果についても報告する。

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