線虫の行動における生存戦略について; 走性に着目して

Survival strategy in based on taxis

坂下 哲哉

Sakashita, Tetsuya

モデル生物として知られる線虫の一種である(以下線虫)は、約1000個の細胞からなる体長が約1mmの微小生物である。この線虫には、機械刺激, 光, イオン, 温度, 酸素, 餌などの多彩な外的刺激に対して興味深い応答(行動)を示すことが知られている。また、遺伝情報の解析により、これらの応答には、インシュリン様物質の情報伝達系や特定の神経細胞が大きく関与していることが示唆されている。本発表では、これらの応答の中の、いくつかの代表的な例を紹介するとともに、われわれが調べてきた化学走性学習と放射線との関係について説明する。線虫は、生来NaClに対して誘因される性質を示すが、飢餓と同時にNaClに暴露されると、このNaClに対する走化性が抑制される。この走化性の変化が、化学走性学習と呼ばれている。最近の研究成果から、放射線は、この化学走性学習を、ある特定の条件下においてのみ変化させることが分かってきた。また、一部ではあるが、この放射線応答に関連する遺伝情報も明らかになっている。本発表では、線虫という小さな生き物を通して、行動と放射線との関連について議論する。

show the unique behavior against various stimuli, e.g. mechanical, ionic, thermal, oxgenic and food signals. It is well known that these behavior is related to the specific signaling pathway or neurons. On the other hand, we have studied on the effects of ionizing radiation on the salt chemotaxis learning in , and found a specific gene related to the radiation responses. In this presentation, I will discuss on the relation between behavior, survival and ionizing radiation.