福島県浜通り地方における河川敷の空間線量率分布

Distribution of air dose rates at flood plains in eastern Fukushima

中西 貴宏   

Nakanishi, Takahiro

福島県浜通り地方を流れる5河川(小高川, 請戸川, 熊川, 富岡川, 木戸川)の下流河川敷において、河川敷断面における空間線量率分布を測定した。測定は、2013年1月より2016年12月までの期間に、約1年間隔で計5回、出水期後に実施した。低水路・高水敷・堤防敷それぞれの場によって、空間線量率およびその経時変化は異なった。出水の影響を受けていない堤防敷の空間線量率は、周辺環境の空間線量率と同程度の値を示し、放射性セシウムの物理的減衰に近似した減衰傾向だった。高水敷の空間線量率は、2013年1月時点で堤防敷や周辺環境より顕著に高い値を示した。事故後から2013年1月までの出水時に、集水域から輸送された比較的高放射性セシウム濃度の土砂が堆積したためと考えられる。しかし、その後の線量率の減衰速度は物理的減衰より速く、変動の大きい環境場であることが示された。低水路の空間線量率は低いが、減衰傾向は認められなかった。

Air dose rate distribution was measured at several flood plains in eastern Fukushima. Air dose rates in flood channels were higher than those at the edges of the river channels. Based on these heterogeneity and hydrological events, the deposition and transport mechanisms of the radiocesium due to water discharge at rivers were interpreted.