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新刊紹介: 腐植物質分析ハンドブック第2版; 標準試料を例にして

Book review "Handbook of humic substances"

土肥 輝美   

Dohi, Terumi

「腐植物質」と聞くと、「構造が複雑でよく分からないもの」「試料の取扱いや分析が難しそう」などの"とっつきにくさ"をイメージされる方が多いのではないか。けれども、環境中の放射性物質の移行挙動や物質循環の理解を進めようと土壌や堆積物に目を向けると、腐植物質は無視できない存在になる。本書の特徴を一言で表すと、「腐植物質の研究室を訪問し、先生や先輩から分析話を聞いてきたような錯覚を覚える本」である。初版は、日本の代表的な土壌とされる褐色森林土と黒ボク土から調整された日本腐植物質学会公認の標準試料(フミン酸・フルボ酸)を用いて、分析を行う人向けに企画されたガイドブックとして出版されたらしい。この第2版では、土壌由来の物とは構造が異なる水圏環境由来のフルボ酸の標準試料の分析データについても可能な限り追加され、腐植物質に関わる研究のより広範な理解・活性化が願われ改訂されている(「まえがき」より)。内容は、腐植物質の抽出・精製、定量法、分光学的分析、元素分析などの分析種別に項目立てられ、分析法の特徴や長所・短所が端的に記されている。特筆すべきは、試料量の目安や詳細な分析条件だけでなく、「留意点」で読み手が最も知りたい"試料調整や分析時の注意点、データが得られにくくなる要因、その対策"など、恐らく研究室で先生や先輩から分析時(失敗時)に"ちょっとしたコツ"として教わるようなことが書かれている点である。さらに全ての項目で標準試料の測定結果例と解説が記されている点も、初めて腐植物質を分析する人にとって心強い。これから腐植物質の研究に取り組んでみよう、という勇気を与えてくれる1冊になるのではないだろうか。

no abstracts in English

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