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塩ノ平断層-車断層の破砕帯にみられる熱水変質作用

Geothermal alteration of the fault zone along the Shionohira and Kuruma Faults, Northeast Japan

亀高 正男*; 田中 由美子*; 岩崎 悦夫*; 青木 和弘 ; 田中 遊雲; 吉田 拓海; 瀬下 和芳 

Kametaka, Masao*; Tanaka, Yumiko*; Iwasaki, Etsuo*; Aoki, Kazuhiro; Tanaka, Yukumo; Yoshida, Takumi; Seshimo, Kazuyoshi

2011年4月11日に発生した福島県浜通りの地震に伴い地表地震断層が出現したいわき市の塩ノ平断層の塩ノ平地域と,その南方延長にあたる車断層の水上北地域において,破砕帯の性状比較などを行っている。ボーリング調査の結果などから,塩ノ平断層及び車断層が古第三系堆積前に活動を開始したことが示唆された(亀高ほか,2016)。そこで,地質調査及びコア分析により破砕帯の分布や性状を把握し,熱水変質作用の実態を明らかにした。塩ノ平断層の塩ノ平地点では,破砕帯の断層中軸部は断層ガウジ及び断層角礫からなり,その東側にカタクレーサイト化した熱水変質岩が分布する。カタクレーサイト化した熱水変質岩は結晶片岩を原岩とし,石英の再結晶化,炭酸塩鉱物(主に方解石)脈の貫入と破砕を繰り返し受けている。破砕帯近傍の結晶片岩には,特徴的に電気石片岩が認められ,ホウ素に富む流体の関与が疑われる。車断層の水上北地点では,断層通過位置付近にのみ断層角礫やカタクレーサイト化した熱水変質岩が認められる。断層中軸部は断層ガウジ及び断層角礫からなり,断層の東側にはカタクレーサイト化した熱水変質岩が伴われる。カタクレーサイト化した熱水変質岩は,塩ノ平地点と良く似た性状を示している。ボーリングコアのXRD分析では,地表部の古第三系の試料には風化の影響が認められる。断層ガウジの粘土鉱物は緑泥石, スメクタイト及びイライトを含む。破砕帯には熱水変質起源の鉱物が伴われ,塩ノ平では炭酸塩鉱物として方解石やドロマイトが含まれる。水上北では炭酸塩鉱物は方解石が多い。鉱物脈及び脈起源の炭酸塩鉱物の同位体分析の結果から,塩ノ平断層及び車断層の破砕帯にはマントル由来のCO$$_{2}$$の関与が示唆される。このほか,水上北地点では有機物の分解によるCO$$_{2}$$が酸化した炭酸イオンの関与が示唆される。石英及び方解石の流体包有物分析では,水上北の方解石中の流体包有物の均質化温度が約220-230$$^{circ}$$Cと見積もられた。調査結果から,御斎所変成岩のなかで熱水変質を受けている部分は断層近傍に限られることが明らかになった。塩ノ平断層と車断層はともに,地下深部において活動を開始した古い破砕帯を起源としていることが示された。その活動開始時期は,断層に接する古第三系が熱水変質を受けていないことから古第三系の堆積以前まで遡り,電気石片岩の存在から変成時に既に水みちが形成されていた可能性まで考えられる。

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