核セキュリティ分野の国際法; ソフト・ロー活用の一考察

International law in the field of nuclear security; Consideration for the use of soft law

福井 康人 

Fukui, Yasuhito

核セキュリティ分野の国際法は、核物質防護条約改正等の条約を、各国が原子力施設等の防護措置を定める際の指針となる核セキュリティ文書等のソフト・ローからなる文書等が補完する形態を取っている。その他に、将来の方向性を示す核セキュリティ・サミット文書のようなソフト・ローもある。本報告では、核セキュリティ分野の国際法が、なぜ条約をかかるソフト・ローが補完する法体系になっているのかの理由を考察する。その結果、ソフト・ローを含む核セキュリティ分野の国際法を概観すると関連分野を含め、ソフト・ローが条約等法的拘束力のある文書に併せて、補完的に使用されている事実がある。このようにソフト・ローは伝統的な法源論からは外れるものの、核セキュリティの分野の国際法の場合も、例えばその内容が国内法に反映され、国際法上はソフト・ローであっても国内法への編入、規制当局の行政指導等を通じて、より強い拘束力を有することとなり、特に核セキュリティ分野ではこうした現象も見られるなど、条約と同様に重要な役割を果たしている。

International law in the field of nuclear security is composed of not only treaties such as ammended Convention on the Physical Protection of Nuclear Material, but also soft laws such as Nuclear Securiry Series published by IAEA, which may provide the guidance to the Member States in order to construct the physical protection of muclear facilities. There are also the cases of soft laws to show the futute direction, for example, Nuclear security summits declaration. In this presentation, I would like to explain why the international law, especially soft laws, in the field of nuclear security plays a comprementary role to the related treaties.