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池内 宏知; 小山 真一; 逢坂 正彦; 高野 公秀; 中村 聡志; 小野澤 淳; 佐々木 新治; 大西 貴士; 前田 宏治; 桐島 陽*; et al.
JAEA-Technology 2022-021, 224 Pages, 2022/10
燃料デブリ試料の核種・元素量の分析に向けて、酸溶解を含む一連の分析技術を確立する必要がある。本事業では、分析精度の現状レベルの把握と不溶解性残渣発生時の代替手法の確立を目的として、ブラインド試験が実施された。模擬燃料デブリ(特定の組成を持つ均質化された粉末)を対象に、日本国内の4分析機関においてそれぞれが有する溶解・分析技術を用いて、全体組成の定量値が取得された。各技術の特徴(長所・短所)を評価した結果に基づき、燃料デブリの暫定的な分析フローを構築した。
小山 真一; 中桐 俊男; 逢坂 正彦; 吉田 啓之; 倉田 正輝; 池内 宏知; 前田 宏治; 佐々木 新治; 大西 貴士; 高野 公秀; et al.
廃炉・汚染水対策事業事務局ホームページ(インターネット), 144 Pages, 2021/08
令和2年度に原子力機構が補助事業者となって実施した「廃炉・汚染水対策事業費補助金(燃料デブリの性状把握のための分析・推定技術の開発(燃料デブリの分析精度の向上及び熱挙動の推定のための技術開発))」の成果概要を、最終報告として取りまとめた。本報告資料は、廃炉・汚染水対策事業事務局ウェブサイトにて公開される。
Tang, T. L.*; 上坂 友洋*; 川瀬 頌一郎; Beaumel, D.*; 堂園 昌伯*; 藤井 俊彦*; 福田 直樹*; 福永 拓*; Galindo-Uribarri, A.*; Hwang, S. H.*; et al.
Physical Review Letters, 124(21), p.212502_1 - 212502_6, 2020/05
被引用回数:14 パーセンタイル:72.90(Physics, Multidisciplinary)中性子過剰核Fの構造が()反応で調査した。軌道の分光学的因子は1.00.3と大きいが、一方で残留核であるOが基底状態である割合は約35%,励起状態は約0.65%であることが明らかになった。この結果は、Fのコア核Oは基底状態とは大きく異なり、Oの軌道に陽子がひとつ加わることでOとFの中性子軌道が相当に変化していると推測される。これは酸素同位体ドリップライン異常のメカニズムである可能性がある。
Wang, H.*; 大津 秀暁*; 千賀 信幸*; 川瀬 頌一郎*; 武内 聡*; 炭竃 聡之*; 小山 俊平*; 櫻井 博儀*; 渡辺 幸信*; 中山 梓介; et al.
Communications Physics (Internet), 2(1), p.78_1 - 78_6, 2019/07
被引用回数:8 パーセンタイル:55.27(Physics, Multidisciplinary)陽子(あるいは中性子)過剰核の効率的な生成経路を探索することは、原子核反応研究の主な動機のひとつである。本研究では、Pdに対する核子当たり50MeVの陽子および重陽子入射による残留核生成断面積を逆運動学法によって測定した。その結果、重陽子入射ではAgやPd同位体の生成断面積が大きくなることを実験的に示した。また、理論計算による解析から、この生成断面積の増大は重陽子の不完全融合反応に起因することを示した。これらの結果は、陽子過剰核の生成において重陽子のような弱束縛核の利用が有効であることを示すものである。
Cho, S.*; 兵藤 哲雄*; 慈道 大介*; Ko, C. M.*; Lee, S. H.*; 前田 沙織*; 宮原 建太*; 森田 健司*; Nielsen, M.*; 大西 明*; et al.
Progress in Particle and Nuclear Physics, 95, p.279 - 322, 2017/07
被引用回数:94 パーセンタイル:89.92(Physics, Nuclear)RHICやLHCでの検出器の性能向上により、高エネルギー重イオン衝突において基底状態だけでなく励起状態のハドロンも測定できるようになった。そこで、重イオン衝突はハドロン分子状態やマルチクォーク状態などのエキゾチックハドロンの新しい手法となる。エキゾチックハドロンの構造は量子色力学の基本的性質と関連しているので、これらを研究することはハドロン物理の最も精力的な話題の一つである。本レビューでは、重イオン衝突で測定できるようなエキゾチックハドロン候補の幾つかに対して、現在の理解をまとめる。
福士 圭介*; 長谷川 優介*; 前田 耕志*; 青井 裕介*; 田村 明弘*; 荒井 章司*; 山本 祐平*; 青才 大介*; 水野 崇
Environmental Science & Technology, 47(22), p.12811 - 12818, 2013/11
被引用回数:28 パーセンタイル:60.30(Engineering, Environmental)Eu(III)の花崗岩への収着について、巨視的、微視的な手法を組み合わせた研究を行った。花崗岩の薄片と10MのEu(III)溶液とを反応させ、EPMAおよびLA-ICP-MSにより分析した。その結果、多くの黒雲母粒子では、最大で6wt.%までEuが増加した。黒雲母中でEuが付加された部分ではKが減少しており、黒雲母へのEuの収着様式は層間の陽イオン交換反応であることが示唆される。また、花崗岩および黒雲母の紛体を利用したEu(III)のバッチ収着試験を実施した。この試験により得られた黒雲母に対するEu(III)の巨視的な収着挙動は、花崗岩に対する収着挙動と一致した。得られた収着エッジはシングルサイトの陽イオン交換反応を考慮したモデルにより、合理的に再現することが可能である。以上のことから、花崗岩は複雑な鉱物の集合体であるが、巨視的および微視的な手法を組み合わせることによって、複雑な鉱物集合体全体を代表する一つの基本となる収着反応を明らかにすることができた。
吉井 賢資; 池田 直*; 西畑 保雄; 真栄田 大介*; 福山 諒太*; 永田 知子*; 狩野 旬*; 神戸 高志*; 堀部 陽一*; 森 茂生*
Journal of the Physical Society of Japan, 81(3), p.033704_1 - 033704_4, 2012/03
被引用回数:10 パーセンタイル:55.18(Physics, Multidisciplinary)磁性と誘電性が共存するマルチフェロイックFeO(=Y, Er, Tm, Yb, Lu and In)の交換バイアスを観測した。小さいイオンの場合(=Tm, Yb, Lu and In)、100-150K以下で交換バイアス磁場は1kOe以上の大きな値を示した。この性質は、強磁性的相互作用と反強磁性相互作用の競合に由来する磁気的グラス状態により発現する。交換バイアス磁場は、イオンを小さくすると大きくなる傾向を示した。すなわち、サイト元素を置換することにより交換バイアスを制御できる可能性が示され、応用的にも興味深い結果が得られた。
榊 泰直; 西内 満美子; 堀 利彦; Bolton, P.; 余語 覚文; 小倉 浩一; 匂坂 明人; Pirozhkov, A. S.; 織茂 聡; 近藤 公伯; et al.
Proceedings of 7th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (DVD-ROM), p.312 - 315, 2010/08
原子力機構・関西光科学研究所(関西研)では、文部科学省の「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成プロジェクト」に採択され、平成19年度より「レーザー駆動型粒子線治療装置」の実用化を目指している。このプロジェクトは、高強度・短パルスのレーザーによる、従来のRF加速よりも高い100GeV/mという電界勾配を利用した加速手法にて、既存のシンクロトロン型粒子線治療装置を小型化するというものである。そこでレーザー駆動型粒子線に対して、これまで単体性能試験が行われた位相回転空洞,PMQ及び偏向電磁石を組合せたプロトタイプビーム輸送系を開発し、PARMILAを用いて空間電荷効果評価を行い装置の標準設計手法の確立を目指した。
西内 満美子; 榊 泰直; 堀 利彦; Bolton, P.; 小倉 浩一; 匂坂 明人; 余語 覚文; 森 道昭; 織茂 聡; Pirozhkov, A. S.; et al.
Physical Review Special Topics; Accelerators and Beams, 13(7), p.071304_1 - 071304_7, 2010/07
被引用回数:25 パーセンタイル:79.26(Physics, Nuclear)1.9MeVレーザー駆動陽子線のビームライン中に伝送した。ビームラインは、PMQ, RF cavity,monochrometerからなり、伝送の様子をPARMILAのシミュレーションによって再現した。このような試みは世界初のことである。ビームラインの最終端において、6nsのバンチ幅を道、5%のエネルギースプレッドを持つビームが10%の効率で検出された。この様子はPARMILAにより再現でき、PARMILAコードがレーザー駆動陽子線のビームラインの構築に使用できることを証明した。
西内 満美子; 榊 泰直; 堀 利彦; Bolton, P.; 小倉 浩一; 匂坂 明人; 余語 覚文; 森 道昭; 織茂 聡; Pirozhkov, A. S.; et al.
Proceedings of 1st International Particle Accelerator Conference (IPAC '10) (Internet), p.88 - 90, 2010/05
レーザー駆動陽子線の研究の発展により、加速器の小型化が期待されるようになってきている。ここでは、日本原子力研究開発機構、関西光科学研究所内のPMRCセンターにおけるレーザー駆動陽子線加速器開発の現状について述べる。われわれは、医療用のレーザー駆動陽子線加速器開発の一環として、レーザー駆動陽子線のトランスポートラインを構築し、伝送実験を行った。
山本 将博*; 本田 洋介*; 宮島 司*; 内山 隆司*; 小林 正則*; 武藤 俊哉*; 松葉 俊哉*; 坂中 章悟*; 佐藤 康太郎*; 斉藤 義男*; et al.
Proceedings of 6th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (CD-ROM), p.860 - 862, 2009/08
ERL実証機となるコンパクトERL(cERL)の建設準備がKEK東カウンターホールにて進められている。cERL早期運転実現のため、開発要素の多い電子銃部については実機開発の他、バックアップ及びR&D機として原子力機構及び高エネルギー加速器研究機構それぞれにおいて同時に開発を進めることとなった。現在原子力機構で先行して立上げが行われている1号機に対し、今後高エネルギー加速器研究機構にて立上げる2号機では、1号機との互換性を持たせつつも、(1)透過型光陰極の採用,(2)光陰極複数同時活性化及びその保存機能を持つ準備システムの開発,(3)電子銃の極高真空化のための真空系及び600kV絶縁セラミック管の開発・改良に力点を置き、現在設計を進めている。
道内 尊正*; 横田 祐輔*; 小松 拓磨*; 早川 弘毅*; 黒田 朋子*; 真栄田 大介*; 松尾 祥史*; 森 茂生*; 吉井 賢資; 花咲 徳亮*; et al.
Ferroelectrics, 378(1), p.175 - 180, 2009/00
被引用回数:18 パーセンタイル:59.44(Materials Science, Multidisciplinary)鉄イオンの電荷秩序により強誘電体となる標記物質LuFeOにつき、合成条件を変えることにより酸素量を変えた試料に対する磁性と誘電性について報告する。試料作成はCO-CO混合ガスフロー中で行い、COとCOの比を変えることで酸素量を変えた。CO:COのフロー比が1:5付近において、磁気転移温度が最高の240250K近傍となったことから、この試料が最良のものと判断される。本試料の誘電率は、室温で10000近傍であった。誘電率の虚数部分から求めた活性化エネルギー0.40.5eV程度であり、これまでLuFeOにおいて報告されていた0.3eVよりも大きい傾向が見られた。今後さらに測定を行い、物性の詳細のわかっていないLuFeOの性質とその起源を明らかにする予定である。
登倉 明雄*; 前田 文彦*; 寺岡 有殿; 吉越 章隆; 高木 大輔*; 本間 芳和*; 渡辺 義夫*; 小林 慶裕*
Carbon, 46(14), p.1903 - 1908, 2008/11
被引用回数:18 パーセンタイル:49.92(Chemistry, Physical)その場放射光内殻光電子分光とラマン分光を用いて、垂直に揃ったカーボンナノチューブの原子状水素吸着が研究された。C1s内殻光電子スペクトルから単層カーボンナノチューブの炭素原子のCH結合に由来する成分を同定した。さらに、プラズモン励起が抑制されることも見いだした。これは水素吸着が結合を改質することを示唆している。単層カーボンナノチューブのラマンスペクトルからは、ラジカル呼吸モードの強度が水素吸着誘起結合改質によって減少することがわかった。さらに、小さな直径の単層カーボンナノチューブの方がその減少がより大きい。これらの結果から、水素吸着はspからspへの結合改変をもたらし、また、それは単層カーボンナノチューブの直径に依存することがわかった。
吉井 賢資; 米田 安宏; 真栄田 大介*; 横田 祐輔*; 道内 尊正*; 小松 拓磨*; 池田 直*; 松尾 祥史*; 森 茂生*
Japanese Journal of Applied Physics, 47(9), p.7599 - 7602, 2008/09
被引用回数:8 パーセンタイル:33.18(Physics, Applied)新規強誘電体RFeO(R=Y,Ho-Lu)の性質を明らかにするため、標記酸化物の物性を調べた。RFeOのうち、物性の報告例のないHoFeOを合成し、磁性と誘電性を調べた。誘電率は室温で1000程度であり、ほかのRFeOと類似であるが、誘電応答における系の乱れと磁気転移温度は明瞭な違いが見られた。この違いは、酸素量の違いに由来すると推測される。また、希土類サイトの置換を行い、物性を調べた。最もイオン半径の異なるYとLuの間で混晶が作成でき、その物性が非混晶系と類似であることから、R=Y,Ho-Luの間で混晶が作成でき、物性も非混晶系と本質的に同じと推測された。さらに、LuFeOのLuの一部を、希土類の中で最も小さいScに置換した。X線回折からは、20%ほどのSc置換が上限であることがわかった。誘電性はLuFeOと類似であったが、磁気転移温度はSc置換により、250Kから200Kへと大幅に下がった。このことは、希土類サイトの置換により、物性コントロールが可能なことを示唆する。
向井 雅之; 上田 正人; 稲田 大介; 湯川 和彦; 前田 敏克; 飯田 芳久
Proceedings of International Symposium NUCEF 2005, p.219 - 224, 2005/08
地層処分の安全評価における、より定量的な放射性核種移行の理解のため、原研では、地質媒体中のTRUの収着・拡散挙動に及ぼす腐植物質,高アルカリ環境,コロイドの影響について、実験及びモデル両面で研究を進めている。腐食物質の一成分であるフルボ酸が共存しない場合、凝灰岩試料を透過したAmの拡散は検出されなかった。フルボ酸を共存させた場合、凝灰岩を透過拡散したことを示すAmが下流側セル中に認められた。セメント材に起因する高アルカリ環境は、地質媒体を化学的・物理的に変質させながら広がる可能性がある。花崗岩中のアルカリ成分透過拡散試験から、セメント平衡水のCa及びOHの有効拡散係数は、NaOH溶液のNa及びOHと比較してほぼ2桁高いことがわかった。コロイドは放射性核種の移行を促進するとされ、放射性核種移行へのコロイドの影響を評価できる計算コードが求められている。
余語 覚文; 佐藤 克俊; 錦野 将元; 前田 拓也; 西内 満美子; 榊 泰直; 堀 利彦; 森 道昭; 小倉 浩一; 織茂 聡; et al.
no journal, ,
レーザー駆動加速装置が治療に用いられることを想定して、レーザー駆動による陽子線を用いた細胞生物学実験を実施した。実験では、機構のJ-KAREN装置からの超短パルスレーザー(パルス幅:40fs,エネルギー:1.8J,中心波長:800nm)を510W/cmの集光強度で厚さ12.5mのポリイミド薄膜に照射し、最大エネルギー4MeVの連続スペクトルを持つ陽子線を発生させ、磁場分析器でエネルギーを選別した後、薄膜窓を介して培養状態のヒト肺腺がん細胞株に照射した。陽子線バンチの時間幅は20ns、ビームフラックスは10cms、1バンチによる吸収線量は約1Gyであった。この結果、吸収線量あたりの2本鎖切断収量を測定して、生物効果を示す指標である、生物学的効果比(RBE: Relative Biological Effectiveness)を、レーザー駆動粒子線として初めて評価することができた。
長谷川 優介*; 山本 祐平; 青才 大介; 水野 崇; 前田 耕志*; 福士 圭介*
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分にかかわる安全評価において、地下環境における元素の挙動を定量的に表す指標として固液分配係数(Kd)が用いられている。ただし、既存のKdは原位置において直接的に取得されたものではないため、実際の地下環境への適用妥当性の検証が求められている。本研究では、原位置においてKdを直接的に取得し、既存のKdとの比較を行うため、原位置Kd測定システムの構築を目的とした検討を行った。
前田 耕志*; 長谷川 優介*; 福士 圭介*; 山本 祐平; 青才 大介; 水野 崇
no journal, ,
元素の岩盤への吸着は、地下環境中での元素の挙動を予測するうえで評価が必要なプロセスの一つである。吸着プロセスを定量的に取り扱う方法として表面錯体モデリングがあるが、表面錯体モデリングは単一鉱物を対象にした手法であり、花崗岩のような鉱物集合体への適用方法は確立されていない。本研究では、さまざまな水質条件における元素の吸着挙動を表面錯体モデリングに基づいて予測する手法の構築を目的とし、花崗岩をモデル吸着体、Euをモデル溶質として、吸着予測モデルの構築を試みた。花崗岩試料として、瑞浪超深地層研究所の深度300, 400mの研究坑道から掘削したボーリング孔より採取した岩石コアを利用した。吸着等温線の測定結果から、本実験に用いた花崗岩の最大吸着量は0.21mol/gであった。花崗岩によるEuの吸着率はpH2.5以下では0%であるが、pHの増加とともに上昇し、pH3.5以上では100%に達した。この結果を表面錯体モデリングで解析し、吸着反応の平衡定数を得た。花崗岩は複雑な鉱物集合体であるが、従来の表面錯体モデリングにより吸着特性をパラメータ化することができた。得られたパラメータに基づき、花崗岩によるEuの吸着挙動の予測を行った結果、Eu=10M以下、固液比が1g/L以上、pH4以上の条件では、地下水中のEuのほとんど花崗岩に吸着されることがわかった。今後は炭酸イオンなどの共存配位子の影響を考慮した条件での検討を進めていく。
西内 満美子; 榊 泰直; 堀 利彦; Bolton, P.; 小倉 浩一; 余語 覚文; Pirozhkov, A. S.; 匂坂 明人; 織茂 聡; 森 道昭; et al.
no journal, ,
医療用レーザー駆動陽子線加速器の実現には、(1)レーザー,(2)陽子線源,(3)ビーム伝送・照射系の開発が必要である。本講演では、(3)「ビーム伝送・照射系の開発」の項目における現状報告を行う。レーザー駆動陽子線は、既存加速器におけるビームとは全く異なる特徴:短パルス・超高電流・低エミッタンスを持つ。これらの類稀なパラメータを活かした加速器を設計するには、既存の加速器において使用されている伝送・照射系をそのまま適応するのではなく、固有の設計をする必要がある。設計のためには信頼のおける粒子線伝送コードが必要不可欠であるが、レーザー駆動陽子線に対するベンチマーク済みの粒子線伝送コードは存在しない。そこでわれわれは、J-PARCの設計にも用いられている汎用粒子コードPARMILAを選択、ベンチマーク実験のためのテストビームラインを設計、ベンチマーク実験を行った。原子力機構関西光科学研究所におけるJ-KARENレーザーを用いて2.0MeVのレーザー駆動陽子線を1Hzで安定に発生させ、テストビームラインに導いた。陽子源において100%のエネルギー広がりを持ち半角10度以上の広がり角を持って発生する陽子線を永久四重極磁石からなる収束系で空間的に収束、さらに位相回転空洞と偏向電磁石によって2.0MeV付近にバンチングさせ単色化を行い収束点へ導き、空間分布と時間波形を計測した。結果はPARMILAによるシミュレーションと非常によく一致し、PARMILAコードがレーザー駆動陽子線に対しても適応可能であり、実機の設計に使用可能であることを示す。
登倉 明雄*; 前田 文彦*; 寺岡 有殿; 吉越 章隆; 高木 大輔*; 本間 芳和*; 渡辺 義夫*; 小林 慶裕*
no journal, ,
垂直配向SWNTを用いて原子状水素照射実験を行った。水素吸着の影響は内殻準位光電子分光とRaman散乱分光を用いて評価した。光電子分光では、C1sピークの半値幅の増加が観察された。ピーク分離による解析結果は、水素化を強く示唆している。プラズモンロスピークの変化に着目した解析では、吸着による構造変化を示唆するプラズモンの抑制が観察された。Raman散乱分光の結果は、照射の影響として細い直径のSWNTからの優先的な半径方向ブレスモード(RBM)信号の減少とGバンド/Dバンド比(GD比)の悪化を示した。これらの結果は、細いSWNTに水素化が起こりやすいという直径依存性を示唆している。