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石川 法人; 園田 健*; 澤部 孝史*; 須貝 宏行*; 左高 正雄*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 314, p.180 - 184, 2013/11
被引用回数:20 パーセンタイル:82.43(Instruments & Instrumentation)UO中の高エネルギー核分裂片の通過に伴う照射損傷形態を予測するために、イオン加速器を利用した照射実験及び損傷寸法解析を行った。具体的には、イオントラックと呼ばれるイオンの軌跡に沿って形成される柱状の欠陥領域の寸法が、電子的阻止能(入射イオンからターゲットの電子系に伝達されるエネルギー密度)に対してどのように依存するかを解析した。これまで、10MeV/u程度の高いエネルギー領域のイオンが形成するイオントラックの寸法データは存在したが、核分裂片エネルギーに相当する約1MeV/uのエネルギー領域でのイオントラック寸法のデータは存在しなかった。そこで、本研究では、約1MeV/uのエネルギー領域で系統的なイオン照射実験を行い、透過型電子顕微鏡観察によって数nmオーダーのイオントラック寸法のデータを取得することができた。また、既存の理論モデルである熱スパイクモデル(イオンの通過による融解を想定したモデル)から予測される寸法より、明らかに小さいことがわかった。従来のモデルで想定してこなかった(融解直後の)再結晶化プロセスを考慮することで、従来モデルをUOにも拡張できる可能性を指摘した。
松波 紀明*; 福島 純一*; 左高 正雄; 岡安 悟; 須貝 宏行; 垣内田 洋*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 268(19), p.3071 - 3075, 2010/10
被引用回数:13 パーセンタイル:65.03(Instruments & Instrumentation)原子力科学研究所タンデム加速器からの高エネルギー重イオン照射に特徴的に起こる固体中の電子励起過程を用いて、太陽電池電極の電極材などに用いられる透明半導体であるインジウム(In)ドープのZnOの照射改質の研究を行った。その結果Ne, Xeイオン照射によるイオン照射による伝導度の増加を見いだした。また、これはイオン照射に伴う固体中の電子励起効果により、ZnサイトをInが置換した結果であることを解明した。
Jeong, S.-C.*; 片山 一郎*; 川上 宏金*; 渡辺 裕*; 石山 博恒*; 今井 伸明*; 平山 賀一*; 宮武 宇也; 左高 正雄; 須貝 宏行; et al.
Japanese Journal of Applied Physics, 47(8), p.6413 - 6415, 2008/08
被引用回数:5 パーセンタイル:22.7(Physics, Applied)非破壊的方法によるリチウムイオン伝導体中でのオンライン拡散計測法を確立した。トレーサーとして、短寿命核Liのパルスビームを用い、LiGa中に注入した。インプラントされたLiからの粒子放出強度の時間依存性を調べることで精度の高いリチウムイオンの拡散測定が行える。今回の測定によりLiGaのリチウム欠乏相中でのリチウム空孔の秩序化を、拡散係数の変化から初めて見いだすことができた。
須貝 宏行; 左高 正雄; 岡安 悟; 市川 進一; 西尾 勝久; 光岡 真一; 仲野谷 孝充; 長 明彦; 佐藤 哲也; 橋本 尚志; et al.
Defect and Diffusion Forum, 273-276, p.667 - 672, 2008/00
A non-destructive and on-line diffusion tracing in Li ionic conductors has been successfully conducted by using the short-lived -emitting radiotracer of Li. The radiotracers produced as an energetic and pulsed ion beam are implanted into the Li ionic conductor of NaTl-type intermetallic compounds (-LiAl, -LiGa, and -LiIn). The -particles survived on their passage from the position emitted by the diffusing Li to the surface of the specimen are measured as a function of time. The diffusion coefficients of Li obtained for the NaTl-type intermetallic compounds with different Li compositions are quantitatively discussed in terms of the interaction between the structural defects in the specimen and Li.
須貝 宏行; 前田 裕司*; 松本 徳真*; 加藤 輝雄; 春名 勝次*; 左高 正雄; 小野 文久*
Physica Status Solidi (C), 4(8), p.2963 - 2966, 2007/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Engineering, Electrical & Electronic)人工ダイヤモンドは、高温や放射線等の過酷な環境に耐えうる有望な耐環境素子材料の一つである。ここでは、100MeV炭素イオン照射した人工ダイヤモンド単結晶中の格子欠陥をX線による格子定数測定とX線散漫散乱により調べた。イオン照射及びX線測定は、室温で行った。格子定数は照射量に比例して増加した。われわれが従来から行ってきた不純物濃度の異なる天然及び人工ダイヤモンド単結晶に関する結果との比較から、照射によって生成した格子間原子及び原子空孔は、(100)面に転位ループをつくることが明らかとなった。
今井 誠*; 左高 正雄; 川面 澄*; 高廣 克己*; 小牧 研一郎*; 柴田 裕実*; 須貝 宏行; 西尾 勝久
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 256(1), p.11 - 15, 2007/03
被引用回数:6 パーセンタイル:45.63(Instruments & Instrumentation)重イオンの照射効果においてはイオン電荷により効果が異なる。そのためイオン電荷は重要なパラメーターであるが、その電荷は物質内で変化する。物質内の重イオンの電荷状態変化を研究するためタンデム加速器からの高エネルギー多価硫黄イオンを炭素薄膜に通過させ、イオンの電荷分布と炭素薄膜の厚さによる電荷変化の進展を測定した。入射イオンの電荷は6+から14+まで、薄膜の厚さは電荷が平衡に達する厚さよりも薄い0.9, 1.1, 1.5, 2.0, 3.0, 4.7, 6.9, 10.0g/cmについてそれぞれ測定した。一電子移行のrate方程式に基づくETACHAコードによりそれぞれの膜厚での出射イオンの電荷の平均値と電荷の分布幅についてはよく一致することがわかった。
須貝 宏行; 松波 紀明*; 福岡 修*; 左高 正雄; 加藤 輝雄; 岡安 悟; 志村 哲生*; 田沢 真人*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 250(1-2), p.291 - 294, 2006/09
被引用回数:15 パーセンタイル:70.41(Instruments & Instrumentation)AlドープZnO(AZO)半導体薄膜は、電気伝導性及び可視光透過性に優れ、低コストで環境負荷の軽い透明電極材料として応用研究が行われている。熱的過程では限界があるAZO薄膜の電気特性向上を試みて、高エネルギー重イオン照射を行った。RFマグネトロンスッパター法により作製したAZO薄膜は、Al/Zn組成比4%,膜厚0.3mであった。フルーエンス410/cmまで100MeV Xeイオンを照射すると、電気伝導度は1.510から810S/cmまで単調に増加した。このような電気伝導度の増加は、100keV Neイオン照射の場合にも観測しているが、100keV Neイオン照射の場合には、フルーエンス310/cm(深さ0.1mのレンジ付近で、7dpa)で電気伝導度が最大となった。100MeV Xeイオン照射の場合、フルーエンス410/cmにおけるdpaは0.008となるので、100MeV Xeイオン照射における電気伝導度の増加は、電子励起効果によると考えられる。
福岡 修*; 松波 紀明*; 田沢 真人*; 志村 哲生*; 左高 正雄; 須貝 宏行; 岡安 悟
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 250(1-2), p.295 - 299, 2006/09
被引用回数:24 パーセンタイル:82.92(Instruments & Instrumentation)AlドープZnO(AZO)半導体薄膜は、電気伝導性及び可視光透過性に優れ、低コストで環境負荷の軽い透明電極材料として応用研究が行われている。熱的過程では限界があるAZO薄膜の電気特性向上を試みて、高エネルギー重イオン照射を行い、光学特性の変化を調べた。RFマグネトロンスッパター法により作製したAZO薄膜は、Al/Zn組成比4%,膜厚0.3mであった。フルーエンス410/cmまでの100MeV Xeイオン照射により、電子励起効果によると考えられる電気伝導度の増加(1.510から810S/cm)を観測したが、照射前後の吸光度測定及びX線回折測定によると、可視光透過率及び結晶性に大きな変化はなかった。
Jeong, S.-C.*; 片山 一郎*; 川上 宏金*; 渡辺 裕*; 石山 博恒*; 今井 伸明*; 平山 賀一*; 宮武 宇也; 左高 正雄; 岡安 悟; et al.
Journal of Phase Equilibria and Diffusion, 26(5), p.472 - 476, 2005/09
放射性トレーサーによる固体中拡散の新しい方法を確立した。テスト実験では、Li(T=0.84s)を用いてLiAlでのリチウムの拡散係数を求めた。Liの崩壊により放出される粒子強度の時間分布から拡散係数が得られることを確かめた。次にリチウムイオン伝導体中での原子欠陥がリチウムイオンの拡散に与える影響を調べるために、LiGa中での自己拡散計数を測定した。
前田 裕司*; 松本 徳真; 加藤 輝雄; 須貝 宏行; 大塚 英男*; 左高 正雄
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 232(1-4), p.312 - 316, 2005/05
被引用回数:1 パーセンタイル:14.4(Instruments & Instrumentation)本研究は原子力材料での照射効果の機構を理解するために、重要な研究課題の一つであるカスケード損傷の構造を明らかにすることを目的としている。照射欠陥の生成や回復などの過程はこれらを凍結することでその素過程を調べることができるため、極低温での実験が不可欠である。しかし、このような低温での研究の報告例は少ない。また、微小サイズの照射欠陥を調べるには電子顕微鏡でも困難であり、最も有力な測定方法としてX線散漫散乱法がある。X線散漫散乱はブラック角近傍のX線の散乱である。本報告は低温のままで重イオン照射とX線回折ができるクライオスタットを開発し、これを用いてX線散漫散乱の測定による照射欠陥の解析をしたものである。実験はNi単結晶試料にタンデム加速器の127MeVのヨウ素イオン(I)を16Kの温度で照射し、35K以下の温度でX線散漫散乱の測定を行った。その結果、散漫散乱強度はqをブラック角からのずれとして、q乗及びq乗の依存性が観測された。これは、生成された欠陥は点欠陥だけではなく、クラスターも形成していることを示すことから、カスケード損傷の形成を示唆するものである。また、室温までの焼鈍により、クラスターは格子間原子型では成長し、空孔型では変化しないことがわかった。
今井 誠*; 左高 正雄; 川面 澄*; 高廣 克己*; 小牧 研一郎*; 柴田 裕実*; 須貝 宏行; 西尾 勝久
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 230(1-4), p.63 - 67, 2005/04
被引用回数:8 パーセンタイル:52.8(Instruments & Instrumentation)高速重イオンの高速の固体中での挙動を調べるため重イオンビームの極薄い炭素フォイルにより電荷変換させたイオンの電荷分布を測定した。イオン電荷はイオンの電離,励起,荷電変換,阻止能、など放射線と物質の相互作用を研究するための基本的パラメターの一つであり重要である。本研究は従来ある平衡電荷測定ではなく、平衡に達する前の電荷分布の測定であることが特徴である。実験は東海研タンデム加速器からSイオンを加速し、重イオンスペクトロメータENMAを用いて行った。炭素フォイルの厚さは10g/cm-0.9g/cmの8種類、入射イオンは64MeVのSイオンを用いた。電荷6+から13+までのイオンを入射させ出射イオンは電荷6+から13+まで各々のフォイルにつき測定した。測定結果は測定結果をEikonal近似に基づくBesenbacherらの計算と比較した結果、入射イオン電荷が11+の場合以外はよく合わなかった。
Jeong, S.-C.*; 片山 一郎*; 川上 宏金*; 渡辺 裕*; 石山 博恒*; 宮武 宇也*; 左高 正雄; 岡安 悟; 須貝 宏行; 市川 進一; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 230(1-4), p.596 - 600, 2005/04
被引用回数:6 パーセンタイル:45.52(Instruments & Instrumentation)短寿命核ビームを固体内拡散係数測定に用いる手法を開発し、イオン伝導体中の拡散係数を測定した。本方法は秒単位の高速拡散粒子の移動を直接観察できることが特徴である。東海研タンデム加速器からの24MeVのLiイオンをBeに衝突させ、レコイルマスセパレーターにより短寿命不安定核Li(寿命0.84秒)を分離し実験を行った。Liを固体中に照射し、Liから放出される線の固体中でのエネルギー損失量を測定することにより高速拡散係数を測定した。リチウム電池の電極材として利用されているLi含有Siガラス,LiCoOにおけるLiの拡散については本手法の検出限界(10cm/s)以下であった。リチウム電池電極材の一つである超イオン伝導体LiAl(48.5at.%Li)について室温から300Cの温度範囲で測定した結果はNMRスピンエコー法で測定した結果とよく一致した。
Jeong, S.-C.*; 片山 一郎*; 川上 宏金*; 石山 博恒*; 宮武 宇也*; 左高 正雄; 岩瀬 彰宏; 岡安 悟; 須貝 宏行; 市川 進一; et al.
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 42(7A), p.4576 - 4583, 2003/07
長寿命の線放出核をトレーサーとして用いて物質の拡散現象を研究することは確立された研究手法である。ここでは、寿命1秒程度で線や線を放出する同位元素を用いた高速拡散現象を研究することを目的として、金属間化合物LiAl中のLi(寿命0.8秒, emmiter)を考えシミュレーション手法の開発を行った。その結果を東海研タンデム加速器を利用した実験結果と比較し、実験結果と良い一致を得た。シミュレーションではTRIMコードに基づき入射核種の運動エネルギー幅,物質中でのstragring,放出放射線の自然幅などを考慮している。発表ではF(寿命1.8時間,+emmiter)の拡散についても考察した。
Jeong, S.-C.*; 片山 一郎*; 川上 宏金*; 石山 博恒*; 宮武 宇也*; 左高 正雄; 岩瀬 彰宏*; 岡安 悟; 須貝 宏行; 市川 進一; et al.
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 42(7A), p.4576 - 4583, 2003/07
被引用回数:14 パーセンタイル:50.33(Physics, Applied)寿命1秒程度の短寿命核をトレーサーとし物質中の原子の高速拡散を研究するための実験手法とその解析のためのシミュレーション法を開発した。その実験とシミュレーションの比較の結果、拡散係数が110cm/secより大きい場合について精度10%以下で決定できることがわかった。シミュレーションは加速器で注入された短寿命核からの放出線のスペクトルを、Trimコードに基づき、入射核のエネルギー分布,飛程,阻止能など固体中のイオンの挙動を考慮し、線スペクトルを再現したものである。実験は東海研タンデム加速器で加速したLiを核反応でLi(寿命0.84秒,線放出核)に変換しLiAlに照射し固体中から放出される線の時間依存スペクトルを測定したものである。
今井 誠*; 左高 正雄; 北澤 真一; 小牧 研一郎*; 川面 澄*; 柴田 裕実*; 俵 博之*; 東 俊行*; 金井 保之*; 山崎 泰規*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 193(1-4), p.674 - 679, 2002/06
被引用回数:5 パーセンタイル:34.51(Instruments & Instrumentation)タンデム加速器で得られた高速イオウイオンを炭素薄膜に衝突させ、薄膜通過後に放出される電子のエネルギを測定した。Sイオンは核外に数個の電子しか持たない12+と13+イオンを入射し、標的の薄膜は1~10g/cmの各種の厚さのものを用いた。2s-2p遷移に基づくコスタークロニッヒ電子に着目すると、電子の放出量は薄膜の厚さにより系統的に変化した。これは入射イオンが固体中で電子を放出するが、その電子はイオンと同速度でイオンとともに運動していながら多重散乱して角運動量を変化していることを表している。
左高 正雄; 今井 誠*; 川面 澄*; 小牧 研一郎*; 俵 博之*; Vasilyev, A.*; Safronova, U. I.*
Physical Review A, 65(5), p.052704_1 - 052704_11, 2002/05
被引用回数:13 パーセンタイル:52.42(Optics)タンデム加速器から得られたSイオンをHeガス及び炭素薄膜を通過させることにより励起し、放出される電子のスペクトルを測定した。その結果をZ展開法とハートリーフォック法による計算結果と比較した。スペクトルは2s-2p遷移に基づくリドベルグ状態からのコスタークロニッヒ電子から成ることがわかった。この実験と理論の比較において固体通過後のイオンの電荷分布によるS,S,Sイオンからの電子放出強度を考慮する必要がある。この比較を利用して固体通過中のイオンの電荷分布の推定が可能であることがわかった。
左高 正雄; 今井 誠*; 川面 澄*; 小牧 研一郎*; 俵 博之*; Vasilyev, A.*; Safronova, U. I.*
Journal of Physics B; Atomic, Molecular and Optical Physics, 35(2), p.267 - 281, 2002/01
被引用回数:3 パーセンタイル:19.71(Optics)タンデム加速器から得られるSiイオンを炭素薄膜で励起し多価Siイオンの高励起状態を作った。そこから放出される電子スペクトルを解析した。またZ-展開法(MZコード)とハートリーフォック法(Cowan-コード)の2つの理論計算を行った。実験と理論を比較することにより、2s-2p遷移の関与する多くのエネルギ準位と遷移確率,電子放出率を決定するとともに多価Siイオンの配置間相互作用を決定した。
北澤 真一; 左高 正雄; 俵 博之*; 今井 誠*; 柴田 裕実*; 小牧 研一郎*; 東 俊行*; 川面 澄*; 金井 保之*
Atomic Collision Research in Japan, No.25, p.65 - 67, 1999/00
われわれは原研のタンデム加速器を用いて、高エネルギー(2MeV/u程度)のO(q=3,4,5)多価イオンと、炭素薄膜及び気体原子との衝突を、多価イオンから放出される電子を観測することにより、その機構を解明する研究を行っている。45MeV O+Heによって生成したO(1s2pnl)2電子励起状態を、低エネルギー領域の2電子移行過程120keV O+He→O(1s2pnl)と比較することにより解析した。また、36MeV O+Heによって1s2pnl nl=5p,5d,6d,7d状態が生成していることを、観測した。
今井 誠*; 左高 正雄; 川面 澄*; 高廣 克己*; 小牧 研一郎*; 柴田 裕実*; 須貝 宏行; 西尾 勝久
no journal, ,
重粒子を照射すると、弾性的散乱による弾き出しの影響に比べて、非弾性散乱を介して数桁強い照射効果(原子変位)が生じ得ることが知られている。この効果の強さや現れ方は粒子の電荷に依存するので、固体を通過中の高速重粒子の状態に関する知見を得ることは重要である。本研究は東海開発センタータンデム加速器からの高エネルギー重イオンを用いて固体通過後のイオン電荷を測定し、高速重粒子の固体通過中のイオン電荷を推定するものである。イオンエネルギー,イオン種は2.0MeV/u(64MeV),硫黄イオンである。電荷6+のイオンから電荷13+までのイオンについて、それぞれ厚さ0.9g/cmから10.0g/cmまでの8種類の炭素薄膜で電荷分布の測定を行った。その結果、入射粒子の電荷によらず、薄膜通過後の電荷分布と電荷分布幅については6.0g/cm付近でほぼ平衡値(それぞれ、12.4と1.03)に達した。
須貝 宏行; 左高 正雄; 岡安 悟; 市川 進一; 西尾 勝久; 光岡 真一; 仲野谷 孝充; 長 明彦; 佐藤 哲也; 橋本 尚志; et al.
no journal, ,
放射性トレーサーによる拡散実験は、注目している元素のマクロな拡散係数を、直接正確に求められるという特徴がある。しかし、Liに関しては適当なトレーサー実験手法がなかったため、放射性トレーサー実験が行われてこなかった。そこで、われわれはLi放射性同位体Li(半減期: 0.8秒)をトレーサーとして固体試料に打ち込み、Liの崩壊の際放出される粒子の測定により、非破壊的にオンラインでLiの拡散係数を求める新しい実験手法を確立した。ここでは、Li短寿命核トレーサーによりNaTl型金属間化合物-LiGa中のLiの拡散係数を求めて、-LiGa中のLi原子空孔濃度との関係を議論する。