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口頭

強光子場中にあるN$$_{2}$$分子のenhanced ionization

乙部 智仁

no journal, , 

分子のイオン化過程で現在重要な概念となっているのがenhanced ionizationである。これまで1電子系に対する計算や実験がなされ、平衡核間距離の倍程度でCharge Resonance Enhanced Ionization(CREI)が起きることがわかっている。しかし、多電子系におけるenhanced ionizationの計算は系をモデル化した近似計算があるのみである。本研究は時間依存Kohn-Sham方程式(TD-KS)を実時間実空間法により解き、強光子場中にある原子分子のイオン化過程を調べることを目的としている。その一つとしてさまざまな核間距離でのN$$_{2}$$分子のイオン化過程の第一原理シミュレーションを行った。計算は波長800nm,パルス幅8fs,ピーク強度4$$times$$10$$^{13}$$[W/cm$$^{2}$$]のレーザーがあたった後のN$$_{2}$$分子からのイオン化過程を核間距離を変えて計算した。その結果イオン化率は1.9$AA $付近でピークを持つことがわかった。多電子の効果を確認するために、電子相関によるスクリーニングを無視した計算との比較をしたところ、長い核間距離でのスクリーニングによるイオン化抑制効果が非常に大きいことがわかった。これによりCREIが起こる核間距離はさらに長くなることが予想される。またイオン化率はCREIが起こるより短い核間距離でピークを持つため、1.9$AA $付近でのイオン化率の促進はCREIとは異なる機構によるものである。基底状態の計算からこの核間距離付近で分子が2原子分子的性質から二つの原子の系にシフトしていく中間状態にあることがわかった。

口頭

分子動力学法によるクォーク物質の粘性の研究

秋村 友香; 丸山 敏毅; 初田 哲男*; 吉永 尚孝*; 千葉 敏

no journal, , 

RHICで生成された物質は気体的な物質ではなく粘性がほとんどゼロの完全流体のクォーク物質であるというプレス発表がなされた。系が気体的に振る舞うか、液体的に振る舞うかをみるよい指標がずれ粘性をエントロピー密度で割った比であり、この値が小さい場合、系は液体的に振る舞う。われわれは、分子動力学法を用いてクォーク物質のずれ粘性について調べ、転移温度付近でその比が小さいことを示した。

口頭

未知中性子過剰核種$$^{163-165}$$Euの同定

佐藤 哲也; 長 明彦; 浅井 雅人; 市川 進一; 塚田 和明; 柴田 理尋*; 林 裕晃*; 小島 康明*

no journal, , 

日本原子力研究開発機構タンデムオンライン同位体分離装置を用いて、ウランの陽子誘起核分裂によって生成する中性子過剰未知ランタノイド核種の探索を行った。ウラン標的が装着可能な表面電離型イオン源を新たに開発し、炭化物標的を使用することで、新核種$$^{163-165}$$Euを同定した。さらにそれぞれの核種について半減期を決定した。

口頭

蓄積イオンビームの超低エミッタンス化の限界について

岡本 宏巳*; 百合 庸介

no journal, , 

理想的な散逸力によって超低エミッタンス化され、空間電荷限界に達した荷電粒子ビームは、「クーロン結晶化」することが知られている。本発表では、このクーロン結晶状態(クリスタルビーム)を実現するために必要な諸条件について考察する。実際の実験環境や散逸力を想定した場合、空間電荷限界が近づくにつれて不可避的なビーム加熱が起こり、到達可能なエミッタンスが制限されてしまうことを分子動力学シミュレーションに基づいて示す。運動量分散の影響が無視できない限り、3次元クリスタルビームの生成は現状ではほとんど不可能であると考えられる。

口頭

重・超重中性子過剰核領域における核分障壁の系統的計算

小浦 寛之; 橘 孝博*; 千葉 敏

no journal, , 

講演者のグループが開発を進めている自発核分裂障壁の計算を拡張した。これまでは核分裂エネルギーの液滴エネルギー部分については、ルジャンドル関数展開による、変形度の多項式で表して計算していたが、今回4重数値積分で計算する方法に改良した。これにより大変形計算が可能となり、中性子過剰超重核の核分裂障壁を系統的に計算することが可能となった。今回の計算により、速中性子捕獲過程(r過程)元素合成における中性子誘発核分裂の影響や、$$beta$$崩壊遅発核分裂の影響について、変形度の外挿をすることなく調べ、その結果、$$beta$$崩壊遅発核分裂がr過程元素合成による超重核合成を妨げる効果が大きいことがわかった。

口頭

反射高速陽電子回折によるSi(111)-$$sqrt{21}timessqrt{21}$$-Ag表面構造解析,2

深谷 有喜; 河裾 厚男; 一宮 彪彦

no journal, , 

Si(111)-$$sqrt{21}timessqrt{21}$$-Ag表面は、低温に保たれたSi(111)-$$sqrt{3}timessqrt{3}$$-Ag表面上に微量のAg原子を追加蒸着することにより作成される。この$$sqrt{21}timessqrt{21}$$超構造は、他の貴金属やアルカリ金属元素を吸着させた場合にも共通して見られる構造であり、電気伝導度の急激な増大など非常に興味深い物性を示す。これまで走査型トンネル顕微鏡,X線回折等、さまざまな表面構造解析手法を用いて構造の解明が試みられているが、その構造は報告によってまちまちであり、統一的な見解に至っていない。本研究では、反射高速陽電子回折(RHEPD)を用いて、Si(111)-$$sqrt{21}timessqrt{21}$$-Ag超構造の決定を行った。特に、蒸着量が問題となるため、原子数も解析のパラメーターに加え、動力学回折理論を用いて詳細に解析を行った。ロッキング曲線の測定と解析から、3原子モデルが実験結果をよく再現できることがわかった。続いて、RHEPDパターンの解析を行った結果、$$sqrt{21}$$-Ag超構造に特有な超格子スポット強度に注目すると、3原子モデルにおいて、面内でAg原子がジグザグ状に配列した場合が実験値との一致が良いことがわかった。以上の結果から、新たな構造モデルである3原子モデルを提唱することができた。

口頭

超高圧下の水の第一原理分子動力学シミュレーション

池田 隆司

no journal, , 

隙間の多い疎な構造を持つ水は、加圧により密な構造へと変化することが期待される。高温高圧下の高密度水に関しては、2.0g/cm$$^{3}$$以上の高密度領域での第一原理分子動力学シミュレーションの結果が既に報告されており、超イオン伝導相が出現すると予測されている。一方、放射光を用いた高密度水の回折実験が片山らにより開始されている。これらを背景として、本研究では、常温常圧状態から加圧により超イオン伝導相へと至る過程の詳細を第一原理分子動力学シミュレーションにより調べた結果を報告する。

口頭

炉心級トカマクプラズマにおける斜め伝搬ECEスペクトルの評価と電子温度測定への適用

佐藤 正泰; 諌山 明彦

no journal, , 

磁場閉じ込め装置の高温プラズマにおける電子サイクロトロン放射(ECE)の相対論的効果を明らかにするために数値計算を行っている。炉心級プラズマにおけるECEの電子温度測定においては、磁場に直交な視線の場合、相対論的効果の影響を考慮する必要があることはよく知られている。視線を直交から斜めにした場合、ドップラー効果が大きくなるが、相対論的効果が少なくなることが期待される。それぞれの影響を評価するために、ECEの放射輝度の数値計算を行っている。まず、球対称相対論的Maxwell分布に対する斜め伝搬ECEのEmissivityの式を導出した。この式は、視線が磁場に直交する場合のTrubnikovの式の拡張にあたる。この式をもとに放射輸送の式を解いて、斜め伝搬のECEスペクトルを評価した。伝搬方向を磁場に直交な視線から斜めに変えて行くと、高い周波数領域の放射が少なくなる。スペクトルの2倍高調波ECEから導出した電子温度分布について、伝搬方向角度を直交の90$$^{circ}$$から60$$^{circ}$$程度に変えると、Emissivityのピークが影響を与える領域では、相対論的効果の影響が薄れ、電子温度の真値に近づく。伝搬方向を変えることで、相対論的効果の影響が少なくなる領域があることを明らかにした。

口頭

放射光によるneV分光法の開発,1; 放射光メスバウアー分光への応用

三井 隆也; 瀬戸 誠; 増田 亮*; 小林 康浩*; 北尾 真司*; 平尾 直久*

no journal, , 

$$^{57}$$Feを富化した高品質の反強磁性体$$^{57}$$FeBO$$_{3}$$単結晶をネール温度直前で純核共鳴ブラッグ反射させると、放射光の優れたビーム特性(狭発散角,微小サイズ,偏光性,パルス性)を維持したまま、neV程度のバンド幅を持つシングルラインの超単色X線を高出力で取り出すことが可能になる。これをプローブ光に利用すれば、新奇な放射光neV分光法の研究が可能となる。このような物性研究法の一例として、われわれは、高品質$$^{57}$$FeBO$$_{3}$$単結晶を核モノクロメーター,核アナライザーに利用したX線光学系によるエネルギー領域の放射光メスバウアー分光法を提案し、微小ビームを利用した局所メスバウアー分析実験を初めて実施した。本発表では、核アナライザー結晶を用いた放射光メスバウアー分光法について詳述し、アモルファス試料の局所的な磁気異方性やダイアモンドアンビルセルによる鉄化合物の圧力誘起磁気相転移などの幾つかの測定例の紹介を通して、各測定法の特徴,利点とその相違点を明らかにする。

口頭

$$mu$$SRから眺めたPuCoGa$$_5$$の準粒子励起

大石 一城; Heffner, R. H.; 髭本 亘; 伊藤 孝; Morris, G. D.*; Bauer, E. D.*; Morales, L. A.*; Sarrao, J. L.*; Fluss, M. J.*; MacLaughlin, D. E.*; et al.

no journal, , 

PuCoGa$$_5$$はPu化合物で初めて超伝導を示す物質として注目を集めている。この物質の超伝導転移温度は$$T_c$$=18.5Kと既存で同様のHoCoGa$$_5$$型結晶構造を持つCe-115系超伝導体に比べ、約1桁大きい値を示すことが特徴として挙げられる。本系の超伝導発現機構に関する研究は、理論及び実験の双方から行われており、理論からはスピン揺らぎ起源の超伝導であることが、また最近のNMR及び$$mu$$SRの結果から本系は$$d$$波超伝導体であることが示唆されている。また、$$^{239}$$PuCoGa$$_{5}$$では$$^{239}$$Puの$$alpha$$崩壊による自己照射効果のために-0.21K/月の割合で$$T_c$$が減少することが知られている。したがって、本超伝導体では自己照射によるaging効果を考慮する必要がある。われわれはこの超伝導体において、自己照射効果に対する超伝導秩序変数の知見を得るため、前回の$$mu$$SR実験で使用した単結晶試料(作成後25日の試料:試料1)と同じもの(作成後400日の試料:試料2)を用いて$$mu$$SR実験を行い、磁場侵入長の温度依存性及び磁場依存性を測定した。その結果、試料2では$$T_c$$が減少し、これまでに磁化率測定から報告されている結果と良い一致を示した。また興味深いことに、経時変化を示している試料2においても試料1と同様に、磁場侵入長が温度に線形な振る舞いを示すことが明らかとなった。このことは、自己照射効果により$$T_c$$には強い影響が現れているにもかかわらず、依然として$$d$$波超伝導体の特徴がみられることを示唆している。

口頭

液体Rbの圧力誘起構造変化と電子転移,2

服部 高典; 金原 康浩*; 辻 和彦*

no journal, , 

典型的な単純金属であるRbは、約13GPaまで加圧すると対称性の高い構造(bcc,fcc)から、低い構造(Rb-III)へと転移する。この原因として、加圧に伴うs軌道からd軌道への電子の遷移(s-d電子転移)が考えられている。一方、液体においても同様の電子転移が起こることが期待され、これまで実験がなされてきた。その結果、約6.1GPaにおいて液体Rbが非一様に収縮するのが観察され、電子転移の可能性が示唆された。他方、計算機シミュレーションからは、この実験結果を支持する報告や、否定する報告がなされている。また、支持するという結果についても、より詳細な計算をやり直した結果、実験のなされた圧力範囲では、電子転移に伴う顕著な構造変化は見られないと報告されている。われわれはこれまで、この是非を明らかにし、電子状態変化の液体構造への影響,電子転移の様子の結晶相におけるものとの違いを明らかにするために、高温型ダイヤモンドアンビルセルの開発を行い、放射光実験によって、液体の構造変化を調べてきた。その結果、約6GPaから、電子転移に伴う構造変化(液体の回折パターンにおける第一ピークの半値幅の増大)が始まることを確認した。これらは、理論計算の結果と調和的である。現在、さらに解析を進めS(Q), g(r), 配位数の導出を行っている。

口頭

NpO$$_2$$における多極子転移

徳永 陽

no journal, , 

f電子系化合物の示す複雑で豊かな物性の背後には、f電子が持つ多極子の自由度が隠されている。この多極子の自由度が最も顕著に現れるのが多極子秩序と呼ばれる現象である。通常、多極子秩序と言った場合、電気的な四極子モーメントによる秩序を指すことが多い。ところが最近、二酸化ネプツニウムにおいて、四極子よりもさらに高次の多極子である八極子に起因する新しい磁気秩序の可能性が指摘され注目を集めている。講演では現在われわれが行っている核磁気共鳴(NMR)を用いた研究の最新の成果を中心に、この新奇な秩序相について紹介する。

口頭

Pb(In$$_{1/2}$$Nb$$_{1/2}$$)O$$_{3}$$のX線・中性子散乱

大和田 謙二; 廣田 和馬*; 寺内 暉*; 大和 英弘*; 安田 直彦*

no journal, , 

ABO$$_{3}$$型ペロヴスカイト構造のリラクサーPb(In$$_{1/2}$$Nb$$_{1/2}$$)O$$_{3}$$(PIN)は、Bサイトの化学的秩序度を熱処理によって制御でき、物性がリラクサーから、強誘電体,反強誘電体へ変化する。近年リラクサーの構造的な研究が進んできてBサイトの化学的秩序度との相関が改めて議論されるようになってきた。そこでわれわれはBサイトの化学的秩序度の制御可能なPINに関してX線中性子線を利用して構造的研究を行った。as-grown 結晶に関しては強誘電体の母相の中に反強誘電領域が点在し、表層付近にはリラクサー領域が存在する。つまり、一つの結晶の中に大きく異なる3種類の領域が存在するmulti-structureとも言うべき構造を取っていることがわかった。これはリラクサーの大きな特徴と言える。

口頭

JT-60Uにおけるプラズマ回転速度分布のトロイダル磁場リップル依存性の研究

吉田 麻衣子; 小出 芳彦; 竹永 秀信; 浦野 創; 大山 直幸; 坂本 宜照; 神谷 健作; 垣内 秀人*; 鎌田 裕; JT-60チーム

no journal, , 

プラズマ回転速度分布は圧力分布や電流分布とともに、輸送特性及びMHD安定性を決定する重要なパラメータであり、プラズマ回転の駆動機構と制御性の解明はプラズマの高性能化にとり重要な研究課題である。プラズマ回転駆動機構の一つとして、トロイダル磁場リップルによる高速イオン損失に起因した負の径電場生成が考えられる。負の径電場はプラズマ電流と逆方向の回転を引き起こし、特にトロイダル磁場リップルの大きいJT-60Uでは、運動量入力のない垂直中性粒子ビーム(NB)入射の場合にも逆方向の回転が観測されている。本研究の目的は、JT-60Uにおいてフェライト鋼設置により低減したトロイダル磁場リップルのトロイダル回転速度(Vt)への影響を明らかにすることである。フェライト鋼設置によるトロイダル磁場リップルの減少で、NB入射時のプラズマ周辺部での逆方向回転は緩和し、順方向への回転制御が可能になった。リップル損失が多い条件では逆方向のトロイダル回転が観測され、同プラズマにおいて垂直NBによる変調実験を行った結果、Vtの逆方向への変化はリップル損失がおもに起こる周辺部で大きく、回転の変化も周辺部から始まることがわかった。以上のことは、リップルによる高速イオン損失が、径電場形成を介してプラズマ回転の一つの駆動機構となっていることを示している。

口頭

$$f$$電子系における多極子秩序の微視的理論

久保 勝規

no journal, , 

最近、軌道自由度のある$$f$$電子系において、通常の軌道秩序や磁気秩序とは異なる秩序状態の可能性が議論されている。それは八極子の秩序であり、Ce$$_x$$La$$_{1-x}$$B$$_6$$やNpO$$_2$$に対してその可能性が議論されている。本講演では、これらの系の現象論的な理解とともに、最近われわれが行った多極子秩序の微視的な理論研究の成果を紹介する。多極子秩序を微視的な観点から理解するためには、まず軌道縮退のある$$f$$電子モデル、特に$$f$$電子の波動関数の対称性を取り入れた微視的なモデルに立脚する必要がある。そこで、われわれは$$j$$-$$j$$結合描像に基づいた軌道縮退モデルを用いることにした。そして、NpO$$_2$$を念頭に置き、$$j$$-$$j$$結合描像に基づいた面心立方格子上の強束縛モデルを構築した。このモデルに対し、$$f$$電子の跳び移り積分に関する2次摂動論を用いて、有効多極子モデルを導出した。この有効モデルを解析した結果、triple-$$q$$の周期を持つ、$$Gamma_{5u}$$八極子秩序状態が得られた。この八極子秩序状態はNpO$$_2$$に対して現象論的に提案されていた秩序状態である。このような解析は他の結晶構造に対しても適用でき、単純立方格子では$$Gamma_{3g}$$の反強四極子秩序、体心立方格子では$$Gamma_{2u}$$の反強八極子秩序が得られた。

口頭

イジングスピングラス模型のカクタス近似

横田 光史

no journal, , 

イジングスピングラス模型について、平均場近似からの揺らぎを取り入れたカクタス近似を用いて、相転移近傍のスピングラス秩序関数及び外場中でレプリカ対称性の破れがおきるAT線を求めた。

口頭

修正粗視化粒子-分子動力学ハイブリッドシミュレーション法のナノスケールシステムへの応用

五十嵐 誉廣; 尾形 修司*; 家富 洋*

no journal, , 

材料の破壊や損傷などの諸現象は、さまざまなスケールでの材料の化学的・機械的性質からなる特性や周囲の環境の効果などが複合された複雑な現象であると考えられるため、諸解析から得られた結果を総合的に議論をしなければならない。しかし、ミクロスケールにおける実験解析では、近年のナノ分析技術の発展をもってしても取り扱えるサイズに限界があり、破壊現象の機構の解明を困難としている要因の一つとなっている。ミクロスケール解析を行う方法の一つとしてあげられるのが計算機解析である。原子モデルを用いることで、実験では観測しにくい詳細な物質変化を明らかにすることができるため、き裂進展の基本原理を解明するための指針を与えることができると考えられる。しかし、計算機解析では扱える原子数に限界があるため、現実と比較可能な大きさの系を取り扱うことが難しいという欠点がある。本研究では、計算機解析の時間を削減するため、原子系と粗視系とのハイブリッドシミュレーション法の開発を行い、開発したハイブリッドシミュレーション法を用いて$$alpha$$-Fe系の対応粒界近傍のシミュレーション解析を行った。特に引張・せん断応力の影響に注目し、原子論的な視点から議論を行う。

口頭

UCu$$_2$$Ge$$_2$$の純良単結晶育成と物性

松田 達磨; 芳賀 芳範; 池田 修悟; 山本 悦嗣; 大貫 惇睦

no journal, , 

正方晶ThCr$$_2$$Si$$_2$$型の結晶構造を持つUCu$$_2$$Ge$$_2$$は、Curie温度約110Kの強磁性体である。これまでの研究ではCurie温度以下で、さらに反強磁性的異常を示すことが報告される一方、磁気ドメインの効果によるものとする報告など、低温の秩序状態は明確ではない。これらの研究はいずれも多結晶を用いた研究であるが、組成元素に蒸気圧の高いCuが含まれるため、引き上げ方による単結晶育成が困難なことがその理由と考えられる。最近われわれは、Sn-flux法により単結晶育成を試み、単結晶を得ることに成功した。この単結晶を用いて磁化測定を行った結果、T$$_{rm C}$$=109KにCurie温度を持ち、強磁性状態では非常に大きな異方性を示すことが初めて明らかとなった。磁化容易軸はc-軸で、飽和磁気モーメントは約1.8$$mu_{rm B}$$/Uである。

口頭

フェルミ原子ガスにおける渦糸構造とダイナミクス

町田 昌彦; 大橋 洋士*; 小山 富男*

no journal, , 

フェルミ原子ガスをレーザーを使って回転させると、渦糸の量子化と複数の同一量子化渦糸の三角格子が観察される。この現象は、磁場中超伝導体が示す磁束の量子化と三角格子の形成といった現象と共通で理論的同一性を持つことが知られている。本講演では、原子ガスの渦糸を研究することで磁場中超伝導体の磁束のダイナミクスをより系統的に理解可能であることを示した後、数値シミュレーション結果と原子ガスの実験結果を比較し、超伝導が室温にまで至った場合(超強結合)の渦糸の構造とそのダイナミクスを予測する。

口頭

f電子系物質の$$mu$$SR

髭本 亘

no journal, , 

希土類元素やアクチノイド元素は内殻に4fあるいは5f電子を持ち、総称してf電子系と分類される。多くのf電子系化合物では電子相関による興味深い現象が見られる。例えば幾つかの系では比較的よく局在していたf電子が低温において伝導電子との混成により遍歴し、有効質量の大きな準粒子としてフェルミ面に大きな状態密度を生じて「重い電子」状態を形成する。またそのような重い準粒子による超伝導も通常のBCS理論の枠組みでは説明がつくものでなく、d波あるいはp波など異方的な超伝導状態を示す。磁気的にも小さなモーメントによる反強磁などを示し、多極子秩序なども含めて他の系では見られないさまざまな現象が起きることから盛んに研究がなされている。またこれまでの研究はCe, PrなどのランタノイドとUがおもに対象となっていたが、近年Np, PuあるいはAmといったいわゆる超ウラン元素の化合物の研究も盛んに行われるようになってきている。$$mu$$SRはf電子系物質の研究に多くの貢献をしている。小さな磁気モーメントによる磁性を精度よく決定する、あるいは異方的超伝導状態に関する知見を得るなどあらゆるf電子系化合物を対象とした研究がなされている。ここではわれわれが行っている研究を中心に述べる。

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