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鈴木 俊夫*; 千葉 敏; 岩本 修; 梶野 敏貴*
AIP Conference Proceedings 847, p.479 - 481, 2006/07
元素の起源を理解するために、超新星爆発時に発生するニュートリノと軽い原子核の反応の計算を行った。まず、スピン・アイソスピン相互作用の重要な側面を適切に考慮したp-殻原子核の殻模型ハミルトニアンを用いて、He及びCの、ニュートリノによる荷電交換及び中性カレント励起スペクトルと励起確率の計算を行った。励起された原子核からの崩壊確率は、Hauser-Feshbachの統計模型を用いて、角運動量,パリティー及びアイソスピンの保存を考慮して計算した。これにより、従来宇宙線起源とされてきたLiやB等の軽元素が超新星爆発におけるニュートリノによる反応で生成された可能性,超新星爆発機構や、ニュートリノ振動パラメータを決定する可能性を議論する。
Das, S. K.*; 福田 共和*; 溝井 浩*; 石山 博恒*; 宮武 宇也*; 渡辺 裕*; 平山 賀一*; 田中 雅彦*; 吉川 宣治*; Jeong, S.-C.*; et al.
AIP Conference Proceedings 847, p.374 - 376, 2006/07
軽い中性子過剰核を含む(,n)反応は速い中性子捕獲過程やビッグバン元素合成中で重要な役割を担う。特にLi(,n)B反応は安定核の存在しない質量数8のギャップを越えて重い元素を生成する反応の一つとして注目を集めている。今回、Li(,n)B 反応の重心系で0.45-1.75MeVのエネルギー領域での直接測定を行った。このエネルギー領域は110Kでのガモフピークに相当する。LiビームはBe(Li,Li)反応を用いて生成し、反跳核質量分析器(RMS)を用いて一次ビームや同時に生成される核種とわけた。検出器系はビーム飛行時間測定装置,Multiple-Sampling and Tracking Proportional Chamber(MSTPC)と中性子検出器からなる。ビームの飛行時間でLiビームのエネルギーをイベントごとに決定した後、MSTPCに直接打ち込む。MSTPC内にはHe+CO(10)の混合ガスが140torrの圧力で封入されており、このガスは検出器ガスとターゲットの両方の役割を果たす。反応で放出された中性子はMSTPCの周りを取り囲んだ中性子検出器で検出される。MSTPC内で反応が起こった場合、エネルギー損失シグナルの急激な変化が測定され、反応位置とエネルギーを決定できる。中性子検出器からの情報を加えて、反応の運動学的条件を満たすものを本物のイベントとした。本実験の結果はわれわれのグループが過去に測定した結果とエネルギーの重なる範囲で一致した。本講演では得られた実験結果について報告する。
Smith, M. S.*; Lingerfelt, E. J.*; Scott, J. P.*; Nesaraja, C. D.*; Hix, W. R.*; Chae, K.*; 小浦 寛之; Meyer, R. A.*; Bardayan, D. W.*; Blackmon, J. C.*; et al.
AIP Conference Proceedings 847, p.470 - 472, 2006/07
インターネット上で利用可能な天体核物理に関するコンピュータシステムのサイトを再構築した。これは、天体物理のシミュレーションを最新の原子核物理の結果を用いて行うように作成されたシステムで、URL: nucastrodata.orgから無料で利用可能である。Java言語を用いて作成されたシステムであり、Windows, Macintosh, Unixといったプラットホームに依存せず、数回のマウス操作で中性子捕獲反応率、原子核質量等といった核データの可視化や、p過程やr過程といった元素合成計算の結果をアニメーション動画として表示することを平易に行うことが可能である。今回の再構築で特に原子核質量の可視化及びr過程元素合成の動画化のシステムを新たに開発した。
岩本 信之; 梅田 秀之*; 野本 憲一*; 冨永 望*; Thielemann, F. K.*; Hix, W. R.*
AIP Conference Proceedings 847, p.409 - 411, 2006/07
金属欠乏星の組成分布は超新星モデルにより全体的にはよく再現されているが、ScやKに対してはモデルによる合成量が少なすぎるために問題となっていた。しかし、最近の超新星シミュレーションによれば、中心に近い放出物質は大量のニュートリノ放射を受けるために、その物質本来の(核子1個あたりの電子数)から大きく変化し 0.5を超えることもあることが報告された。そして、この環境における爆発的元素合成では、ScやZnが多く作られることが示された。われわれは種族IIIの超新星において爆発的Si燃焼が起こる領域のを0.480.58まで変化させて元素合成計算を行った。この結果を使ってSc, K, Znなどの合成量の依存性を議論し、金属欠乏星で観測された組成分布と比較した。
日下部 元彦*; 岩本 信之; 野本 憲一*
AIP Conference Proceedings 847, p.424 - 426, 2006/07
炭素爆燃型超新星爆発モデルで合成された短寿命放射性核種(Mn, Nb, Tc、そしてSm)による原子核年代測定法を利用して、太陽系形成の年代学を行っている。われわれは-過程元素合成の結果を銀河の化学進化モデルへ適用することにより、太陽系形成環境について議論した。
西村 高徳*; 岩本 信之; 須田 拓馬*; 合川 正幸*; 藤本 正行*; Iben, I. Jr.*
AIP Conference Proceedings 847, p.455 - 457, 2006/07
われわれは小中質量,金属欠乏星でのヘリウムシェルフラッシュ現象に伴って発生した対流層内における元素合成を調べた。この対流はヘリウム層内で発生し、その上部に位置する水素層の方へと広がっていく。対流層が水素層に到達すると陽子がヘリウム燃焼殻へ運ばれ、豊富に存在するCに捕獲される。その結果、Cが大量に合成される。このようにして合成されるCの量の変化は、対流層内で起こる元素合成の結果に大きな影響を与える。初期にCよりも重い原子核がない状況下でも、合成されたCが十分存在すると、二つの中性子循環反応(C(n,)C(,n)OとO(n,)O(,n)Ne)を通じてNe, Na, Mg, Alなどの比較的軽い核が形成される。さらに、これらの核を種として中性子捕獲反応が進むことにより、鉄族元素よりも重いSrやBa、そしてPbまでの元素も合成されることを示した。