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佐藤 智徳; 小松 篤史; 中野 純一*; 山本 正弘*
材料と環境, 70(12), p.457 - 461, 2021/12
福島第一原子力発電所(1F)の原子炉格納容器(PCV)は、事故後、放射線照射下で海水成分を含むような腐食環境にさらされることになった。このような環境では、溶存酸素のほかに、水の放射線分解(ラジオリシス)により過酸化水素が生成される。過酸化水素の生成量はラジオリシス解析により推測可能である。ガンマ線照射環境下での炭素鋼の腐食試験が実施された。その結果より、PCVで実施されているN2パージはガンマ線照射下での炭素鋼腐食の抑制にも効果的であることが確認された。また、実験結果をラジオリシス解析をもとに整理した。その結果、ガンマ線照射下での炭素鋼の腐食は、非照射下での酸素、過酸化水素の共存環境下での炭素鋼の腐食と同様に、酸素と過酸化水素の各拡散限界電流の和で決定されることが確認された。
端 邦樹; 内田 俊介; 塙 悟史; 知見 康弘
no journal, ,
PWR一次冷却水中の最適水素濃度の議論に資するため、原子力機構において、BWR及びPWR一次冷却水環境中の腐食電位(ECP)を精度よく評価できる解析手法を整備し、水素添加量とECPとの関係の詳細な評価を進めてきた。本研究では、これまでに整備した解析コードを仮想的なPWR一次冷却系に適用し、炉心や蒸気発生器(SG)を対象にECP解析を行った。炉心部ではSG部よりECPが高くなるが、溶存水素濃度の増加に対してECPは顕著に低下することを確認した。また、国内PWR一次冷却水の溶存水素濃度の管理値より低い水素濃度であっても一次冷却材応力腐食割れ感受性の低減が見込まれる低ECP値を達成できることが示唆された。さらに、ラジオリシス反応の中で、近年水素原子と水分子の高温での反応速度定数の見直しが行われたことを受け、最新情報を反映させたラジオリシスモデルの更新を検討した。試解析を行ったところ、逆反応の速度定数の増加に伴い、ECPの主要因の1つである過酸化水素濃度が高くなる傾向を示すことが分かった。
内田 俊介; 端 邦樹; 塙 悟史; 知見 康弘
no journal, ,
前回の発表(副題2)では、PWR一次冷却系では、水素の酸化電流が水素注入によるECP低減に大きな影響を与えることを示した。PWRでは、BWRに比べ、水素濃度のほかに、pH, 照射線量率などECPに影響を及ぼす因子に大きな違いがある。本発表では、特にpHに注目し、ラジオリシス,表面性状,金属イオン溶解度などpHがECPに及ぼす直接及び間接影響について議論した。この結果、PWR1次系とBWRを含む広いpH範囲の腐食環境を同一のラジオリシスおよびECP解析コードを用いて、pH依存性を考慮した定数を適用するだけで一元的に評価できることを示した。
端 邦樹; 塙 悟史; 知見 康弘; 内田 俊介
no journal, ,
国内PWRでは、PWSCCの抑制や更なる被ばくの低減を目指して、一次冷却系の溶存H濃度の最適化が検討されている。本研究では、PWR一次系環境の腐食電位(ECP)の解析的評価手法の確立のため、PWR一次冷却系での高pHやホウ素由来の線の影響を考慮したラジオリシス解析手法の整備を行っている。これまでの解析により、pHの上昇に伴い酸化剤であるHO濃度が抑制される傾向が示されたことから、本発表では高pH条件を対象としたラジオリシス解析を実施し、高pHにおけるHO生成メカニズムの検討を行った。解析の結果、高pH条件でHの分解反応により生成する水和電子及びOHがHOの捕捉剤として作用していることが明らかとなった。
内田 俊介; 端 邦樹; 塙 悟史; 知見 康弘
no journal, ,
前回までの発表(副題1-4)では、BWR用に開発したラジオリシス及びECP評価モデルをPWR一次冷却系環境での評価に拡大適用可能であることを示した。また、両モデルの組合せにより、ECP低減の視点からのPWR一次冷却系での最適pH制御を提案した。本発表では、PWR一次冷却系での水化学制御の特徴である、B-Li連成制御に関し、本評価モデルの適用性について検討し、放射線照射下でプラント線量率抑制のための最適pH制御と構造材の健全性確保のための最適水素濃度制御の両立が可能であることを示す。
内田 俊介; 端 邦樹; 塙 悟史; 知見 康弘
no journal, ,
国内加圧水型軽水炉(PWR)では、PWSCCの抑制や更なる被ばくの低減を目指して一次冷却系の溶存水素濃度の最適化が検討されている。本研究では、Studsvik INCAループで取得された照射下での腐食電位(ECP)測定結果をラジオリシスコードとECP解析コードで評価し、ECPに及ぼす酸化皮膜及び水素の影響を検討した。水素原子(H)の還元力に着目し、アノード反応にHの影響を考慮した結果、高H添加量の環境での実験結果に対する再現性が大きく向上し、水素分子(H)に加えてHがECP低下に大きな影響を及ぼす可能性が示唆された。
佐藤 智徳
no journal, ,
福島第一原子力発電所の事故において、放射線環境下で発生する水の放射線分解(ラジオリシス)は、重要視されている現象の1つである。放射線環境下での腐食に関するデータベースの構築の一環として、ラジオリシスデータベースの整備を進めてきた。本報告では、このデータベースを用いて、HO濃度,H濃度の溶存酸素濃度依存性および不純物イオン濃度依存性解析結果を紹介する。
佐藤 智徳
no journal, ,
放射線環境下での腐食現象に関して、ラジオリシス解析をベースにした評価例を紹介する。内容としては、ラジオリシス解析による過酸化水素濃度の解析例の紹介、酸素と過酸化水素共存下での炭素鋼の腐食評価に関して、ガンマ線照射下試験のラジオリシス解析による評価として、ガンマ線照射下での炭素鋼の腐食量測定、およびガンマ線照射下でのステンレス鋼の腐食電位測定に関して紹介する。
端 邦樹; 内田 俊介; 塙 悟史; 知見 康弘; 佐藤 智徳
no journal, ,
原子力機構では、これまでにBWR及びPWRの一次系冷却水の腐食電位(ECP)を推定する解析コードの整備を進めてきた。その一環として、炉心領域でのラジオリシス反応の速度定数が解析結果に与える影響について調べている。化学反応の速度定数は水のラジオリシスにおける過酸化水素(HO)(※ECPに影響を与える主要因の1つ)の生成挙動に影響を与える。特に、ヒドロキシルラジカルと水素分子の反応(OH + H = H + HO)及びその逆反応は水の再結合反応の主要な反応であることから影響が大きい。前回の発表では、逆反応の速度定数の影響を紹介し、最近の報告で推奨されている速度定数を考慮することでHO濃度が顕著に増加する傾向を示した。しかし、ECPの計算値も変化するため、既往実験データとの整合性を得る点から他の速度定数も最適化する必要がある。本研究では、まず、この反応の順反応に着目し、HO生成濃度への影響を調べている。これまでのところ、HO濃度はこの反応の速度定数の比に相当する平衡定数でほぼ整理できることがわかっており、平衡定数を揃えた場合、各速度定数の変化によるHO濃度の変化は2倍以内に収まることが分かった。