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堀口 直樹; 吉田 啓之; 金子 暁子*; 阿部 豊*
Physics of Fluids, 37(3), p.033333_1 - 033333_20, 2025/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Mechanics)シビアアクシデントにおいて溶融燃料は浅い冷却材プール中で壁面衝突噴流として振る舞って微粒化し、デブリとして堆積することが想定されるため、壁面衝突噴流の微粒化機構の解明が重要である。本研究は、浅水プール中の壁面衝突噴流の渦状流れにおける微粒化機構の解明を目的とし、微粒化の素過程として液滴形成に着目した。液液系において屈折率を一致させた3D-LIF法を用いた実験によって得られた三次元界面形状データに対して定量化手法を適用することで機構を定量的に調査した。液滴と渦状流れの拡がり挙動の詳細な観察およびこれら挙動の定量評価によって、渦状流れが液滴の支配的な発生源であることを見出した。次に渦状流れに働く力を分析し、この渦状流れの形成・崩壊プロセスを見出した。この渦状流れに働く法線力の加速度は遠心力の見かけの加速度および重力加速度で代表できる。次に微粒化の素過程である液滴形成に着目して分析し、渦状流れにおいて二つの液滴形成パターンを見出した。一つ目は液膜自体から液滴が形成する液膜破断パターンであり、二つ目は液膜上の界面波から液滴が形成するサーフィンパターンである。無次元数を用いて液滴データを整理し、異なる液滴形成機構を表した理論線と比較した。この比較により、渦状流れにおける液滴形成機構を明らかにした。
堀口 直樹; 吉田 啓之; 金子 暁子*; 阿部 豊*
Physics of Fluids, 35(7), p.073309_1 - 073309_17, 2023/07
被引用回数:3 パーセンタイル:41.58(Mechanics)非混和液液系における液体ジェットの微粒化は、原子力産業分野の安全上重要である。日本原子力研究開発機構は、数値シミュレーションを用いて非混和性液液系における液体ジェットとして振る舞う溶融燃料の挙動を評価する手法を開発し、数値シミュレーションと実験により浅水プール中の液体ジェット挙動を調査してきた。本論文は、壁面衝突液体噴流における微粒化の機構を明らかにする。ここでは、非混和液液系の浅水プール中壁面衝突液体噴流における微粒化挙動について、数値シミュレーションと分散相追跡法を用いて、液滴形成とその流れ場の観点から研究した。その結果、壁面衝突液体噴流に見られる液膜流における液滴形成は、三つのパターンがあることを明らかにし、液滴形成直後の液滴物理量を取得し、無次元数を用いた液滴形成の理論的基準領域を開発した。液滴形成パターンとこの領域との比較により、パターンの特徴と発生源に応じた液滴形成機構を解明した。
麻生 智一; 門出 政則*; 佐藤 博; 日野 竜太郎; 達本 衡輝; 加藤 崇
日本原子力学会和文論文誌, 5(3), p.179 - 189, 2006/09
J-PARCのMW級核破砕中性子源(JSNS)では、水素(液体又は超臨界)をモデレータ材料として用いる。水素モデレータは過酷な中性子場による核発熱条件下にあり、モデレータ容器の効率的な冷却が要求される。そこで、衝突噴流による冷却特性に着目し、水素の温度上昇を抑えて水素密度が大きく変化しないように容器構造と流動条件を検討することとした。容器壁のある閉空間における衝突噴流による熱伝達特性を評価するために、2次元定常熱伝導の逆問題解を用いた熱伝達率を求める手法を導入し、JSNSモデレータの円筒型容器を模擬した試験体による実験結果から、熱伝達率分布は、壁のない水平平板に対する分布と異なり、容器壁の影響によって噴流Re数の増加に伴い容器壁周辺の熱伝達率が増加し、モデレータ容器底面r=070mmの範囲における平均ヌセルト数Nuavは、ノズル高さH/d
0.4の場合、管内強制対流熱伝達のDittus-Boelterの式の2.5倍以上となることを明らかにした。そして、中性子性能や液体水素の強制循環に影響を及ぼさないような実機運転条件を評価した。
麻生 智一; 門出 政則*; 佐藤 博; 達本 衡輝; 加藤 崇; 池田 裕二郎
LA-UR-06-3904, Vol.2, p.385 - 394, 2006/06
J-PARCのMW級核破砕中性子源(JSNS)では、水素をモデレータ材料として用いる。水素モデレータは過酷な中性子場による核発熱条件下にあり、モデレータ容器の効率的な冷却が要求される。水素密度が大きく変化しないように衝突噴流による容器冷却を提案したが、モデレータ容器内の狭い空間内における衝突噴流部の熱伝達特性が不明だったため、水による実規模モデルのモデレータ容器を用いた熱伝達実験を実施した。2次元定常熱伝導の逆問題解を円筒座標系に適用し、熱伝達率を求める手法を確立して容器内熱伝達特性を把握するとともに、中性子性能や液体水素の強制循環に影響を及ぼさないような運転条件を評価した。
麻生 智一; 佐藤 博; 神永 雅紀; 日野 竜太郎; 門出 政則*
可視化情報学会誌, 23(Suppl.2), p.13 - 16, 2003/10
J-PARCのMW級核破砕中性子源(JSNS)では、水素(液体又は超臨界)をモデレータ材料として用いる。水素モデレータは過酷な中性子場による核発熱条件下にあり、減速材容器の効率的な冷却が要求される。そこで、水素密度が大きく変化しないように衝突噴流による容器冷却を採用した。減速材容器は約1.5Lの円筒容器である。この小さい空間内における衝突噴流挙動を把握するためにPIVを用いて水による可視化実験を行った(噴流レイノルズ数Re10000)。また、衝突噴流部の熱伝達特性を実験的に求めるために、これまで用いた限界熱流束実験を参考にした板状ヒータを、減速材容器底面全体を伝熱体とした試験体に改良し、実現象に近づけて熱ロスを抑えた測定を実施した。流動解析結果は流れ場の状況をよく再現したが、熱伝達率については実験と解析結果で差が生じた。乱流モデルや壁関数が要因と推定される。
麻生 智一; 佐藤 博; 神永 雅紀; 日野 竜太郎; 門出 政則*
日本機械学会関東支部茨城講演会(2003)講演論文集(No.030-3), p.45 - 46, 2003/09
J-PARCのMW級核破砕中性子源(JSNS)では、水素(液体又は超臨界)をモデレータ材料として用いる。水素モデレータは、過酷な中性子場による核発熱条件下にあり、減速材容器の効率的な冷却が要求される。そこで、水素密度が大きく変化しないように衝突噴流による容器冷却を採用した。減速材容器は約1.5Lの円筒形である。まず、小さい空間内における衝突噴流挙動を把握するためにPIVを用いて水による可視化実験を行った。併せて、衝突噴流部の熱伝達特性を実験的に求めた。噴流管高さと内径の比が1.0では、流動解析結果は流れ場の状況及び熱伝達率をよく再現した。
門出 政則*; 光武 雄一*; 石田 賢治*; 日野 竜太郎
JAERI-Tech 2003-013, 56 Pages, 2003/03
次世代原子力機器での100MW/mオーダーの超高熱流束除熱技術の確立を目的として、高サブクール衝突噴流冷却による超高限界熱流束の実現の可能性を実証するための実験的研究を、噴流速度5~60m/s,系圧力0.1~1.0MPa,噴流サブクール度80~170Kの範囲で行った。その結果、限界熱流束の最大値として、圧力0.5MPa,サブクール度151K,噴流速度35m/s,加熱面長さ5mmの条件で212MW/m
が達成された。なお、大気圧条件下の限界熱流束は、気液界面での気体分子運動論に基づく理論上の最高熱流束の48%まで到達し、従来の最高値30%に対して60%も向上できた。本研究の結果、衝突噴流による超高熱流束冷却の実現の可能性が示された。
佐藤 博; 麻生 智一; 粉川 広行; 日野 竜太郎
日本機械学会関東支部茨城講演会(2003)講演論文集(No.030-3), p.47 - 48, 2003/00
大強度陽子加速器計画(J-PARC)ではMW級核破砕中性子源用に液体水素を用いた冷減速材を採用している。冷減速材は中性子場による高い核発熱条件下にあるため効率的な冷却が必要である。そこで、減速材容器内に衝突噴流を用いることで効率的な冷却を行うことを基本設計方針とした。これまでの研究で高Re型k-2方程式モデルによる設計解析が妥当であることが示されてきた。しかしながら、高Re型k-
2方程式モデルは壁関数を壁面条件とするため、設計解析の高度化に対応できないことが予想される。そこで、減速材容器内を模擬した可視化実験を解析対象に、線形及び非線形の低Re型k-
2方程式モデルを用いて数値解析を行った。その結果、両乱流モデルとも全体的な流れ場の状況は実験をよく再現できることを確認した。また、乱流エネルギー分布は両乱流モデルの結果に大きな違いがみられた。
柴本 泰照; 久木田 豊*; 中村 秀夫
Nuclear Technology, 139(3), p.205 - 220, 2002/09
被引用回数:47 パーセンタイル:91.91(Nuclear Science & Technology)溶融金属表面での水の直接接触沸騰は非常に効率の良い熱伝達を期待でき、液体金属冷却炉の一体型熱交換器の開発や軽水炉溶融炉心の冷却手段,または事故時の影響評価などと関連して近年注目を集めている。水ジェットのプール中への貫入挙動について、非沸騰体系またはジェットの沸騰する体系,プール材料の沸騰する体系など、数種類のプール流体を用いた実験研究がこれまでに行われており、プール流体と水ジェットの密度比=
/
で0.81~13.6の範囲に及んでいる。これらの研究により、ジェット貫入やキャビティ形成に関する各種データが提供されてきたが、実機のような高密度比(
大)かつ高温沸騰条件でのデータは筆者らの研究を除いてほとんど得られていない。本研究では高速度撮影の中性子ラジオグラフィを用いた実験を行い、可視化に対する問題を解決するとともに、発生蒸気量やメルト/水噴流界面形状にかかわるパラメータの定量計測を行った。衝突ジェットは、
小の場合にはジェットブレークアップ(エネルギー散逸)により貫入が制限されるのに対して、高温溶融金属中への水ジェット貫入は浮力によって制限される。また貫入は、沸騰による蒸気生成量やその界面の安定性にも大きく影響され、初期メルト温度や噴流速度に対する依存性があることを見いだした。
麻生 智一; 寺田 敦彦*; 神永 雅紀; 日野 竜太郎
可視化情報学会誌, 21(Suppl.2), p.119 - 122, 2001/09
原研とKEKが共同で進めている大強度陽子加速器計画において中枢となる中性子散乱実験施設では、中性子源である核破砕ターゲットシステムに設置する冷減速材は中性子性能を左右する極めて重要な機器である。冷減速材の工学設計では、液体水素を用いた減速材システムの重要課題である温度上昇の抑制を実現するために、容器内の温度分布を精度良く予測することが不可欠である。そこで、減速材の扁平構造モデル及び円筒構造モデルを用いて、入口管からの衝突噴流に注目した可視化実験及び熱伝達率測定を実施した。併せて、各種の乱流モデルを用いた解析を行い、円筒構造モデルについては、3次の非線形モデルによる解析が乱流エネルギー分布及び熱伝達率ともにある程度再現することを確認した。
村松 壽晴; 須田 一則; 村上 諭*; 山口 彰
JNC TN9400 2000-109, 96 Pages, 2000/11
高速炉の実用化に向け、多様な作動流体を冷却材として用いた場合の検討に資するため、原子炉基本設計を左右する重要熱流動課題として、(1)自由液面揺動、(2)温度成層化、(3)サーマルストライピングおよび(4)自然対流の4項目を取上げ、作動流体としてNa、Pb-Bi合金、Co2ガスを用いた場合のそれぞれの現象の特性変化を数値解析的に検討・評価した。得られた結果は、以下の通りである。[自由液面揺動](1)Fr数を指標とした内部流動特性および自由液面特性につき、Naを作動流体とした場合とPb-Bi合金を作動流体とした場合で有意な違いは生じない。(2)液面近傍流速を指標としたガス巻込み限界につき、AQUA-VOFコードが実験結果と概ね一致する結果を与え、同コードがガス巻込み限界の1次評価に使用可能であることを確認した。[温度成層化](1)連行現象(上下層剪断渦)の発生位置は、NaあるいはPb-Bi合金を作動流体とした場合Ri数の減少とともに下流側に移動する。一方、CO2ガスの場合には、その発生位置はRi数の減少により上流側に移動する。(2)温度成層界面の解消速度は、流体物性としての熱伝導度に大きく依存した特性を示す。すなわち、CO2ガス中に温度成層界面が発生した場合には、より積極的な界面解消策を講じる必要があることを示唆している。[サーマルストライピング](1)CO2ガスを作動流体とした場合には、大きな粘性係数値と小さな熱伝導度との相乗効果によって、より下流側まで大振幅の温度揺らぎが到達する。(2)作動流体を変更した場合、温度揺らぎ振幅を評価するためにはReを一致させる必要が、温度揺らぎ周期を評価するためには流速値を一致させる必要がある。[自然対流](1)基本的に、浮力噴流挙動に準じる特性を示す。ただし、自然循環力の立ち上がりの特性は、流体の熱容量および熱伝導度の影響を大きく受ける。なお、CO2ガスの場合には、自然循環ヘッドが大きい場合のみ、液体金属の場合と同様な温度過渡特性を示す。(2)各作動流体を用いた場合のピーク温度到達時間は、Ra数一致条件の下で評価が可能である。
木村 暢之; 田中 正暁; 林田 均; 小林 順; 上出 英樹; アキラ トーマス トクヒロ; 菱田 公一
JNC TN9400 2000-057, 60 Pages, 2000/05
高速炉の実用化を目指した研究において、著しい進歩を遂げた数値解析手法を用いた熱流動現象の解明や設計が可能となってきている。熱流動に関する実験研究ではモックアップ試験装置による実証試験から要素を取り出した小規模試験による現象解明、解析手法の検証に重点が移りつつある。このような要求を満たす上で、実験データの質の向上が不可欠である。とくに流速場の測定においては速度の空間分布が時間経過とともに変化する過程を明らかにすることにより、これまで得られなかった情報を抽出し、現象の解明や解析手法の検証に大きく貢献できると考えられる。本報告では、流速の瞬時の空間分布が得られる手法として超音波を用いた流速分布測定法(UDV)と粒子画像流速測定法(PIV)の2つを取り上げた。これらを水流動試験に適用し、計測手法としての適用性を評価した。UDVでは配管体系、平板状噴流体系、さらに高速炉の熱流動現象の要素を取り出した燃料集合体間の隙間流れ(炉心槽内の流れ)に関する水試験に適用した。既存のレーザー流速計やPIVとの比較を行った結果、妥当な測定結果を与えることを確認するとともに、その課題をナトリウム体系への適用を含めて明らかにした。PIVでは炉心槽内の流れに適用し、その課題を明らかにした。炉心槽のような複雑形状流路へ適用する上では、トレーサー粒子以外の画像ノイズを除去する手法を開発することで測定精度の向上を図ることができた。
白川 典幸*; 堀江 英樹*; 山本 雄一*; 松宮 壽人*
JNC TJ9440 2000-008, 47 Pages, 2000/03
伝熱流動数値実験によって、化学反応を伴う伝熱流動が高速炉を構成する機器に及ぼす影響を評価するには、反応の発生箇所近傍だけでなく機器全体を解析対象とする必要がある。そのため、計算負荷の観点から微視的な解析手法を直接用いることができない。このため、使用する熱流動解析コードには、化学反応によって生じる多相・多成分の反応性流体の挙動をモデル化し、相関式として組み込まなければならない。反応性流体の化学反応の量は反応する相間の境界面積に依存し、この面積は界面の形状によって大きく変化する。しかし、ナトリウム-水反応のように化学反応を伴う系については、これに関する実験的知見もないのが現状である。そこで本件では、微視的解析手法である粒子法を用いて、多相・多成分・反応性流体の挙動を機構論的に解析し、流動様式や境界面積に関する知見を得ることを最終的な目的とする。本年度は、粒子法を用いて水・ナトリウム反応を扱うための第一段階として、液体ジェットが他の液体プールに噴出する際の流体力学的挙動への粒子法の適用性を検討することを目的とした。このため、文献調査によりジェット流動様式のメカニズムを検討するとともに、ここでの目的に合致する、「ガソリンプールに水を噴出させる実験」を選び、解析した。また、蒸気発生器内部の伝熱管水リーク事故では管群内のジェット流を解析する。このような複雑体系への本手法の適用性を検討するため、蒸気発生器安全性総合試験(SWAT/Run19試験)を例として化学反応を含まない流体力学のみの予備解析を実施した。その結果、伝熱管群を含む複雑体系においても、高速ジェット流とプール流体との相互作用を考慮した流動挙動への適用性が確認できた。さらに、今後扱うべき現象のモデリングについて検討し、相変化と化学反応経路を選定し定式化を行った。水の相変化は伝熱律速モデルに基づき、化学反応は水・水素転換率をパラメタとした一括反応モデルに基づいている。また、コード構成についても概念設計を行った。
木村 暢之; アキラ トーマス トクヒロ; 上出 英樹
JNC TN9400 2000-027, 181 Pages, 2000/02
高温と低温の流体の混合により発生する温度変動が、構造材に高サイクル熱疲労をもたらす現象(サーマルストライピング現象)を定量化することは重要な課題である。本研究では、流体内の混合特性を明らかにする観点で、複数噴流の混合の過程を定量化することを目的とし、水を作動流体として低温噴流の両側に高温噴流を平行スリットから吐出させた3本鉛直噴流体系を用いた実験を実施した。実験パラメータは噴流吐出速度とし、噴流の混合過程を超音波流速計と移動式熱電対により計測した。三噴流の吐出速度差がないときは、噴流に周期的な振動が発生し、噴流の振動により混合が促進される。振動周期は噴流吐出速度に基づくStrouhal数で整理できることがわかった。一方、噴流吐出速度差があるときは、噴流に振動は生ぜず、噴流混合は、噴流吐出速度差がないときに比べ、緩やかに行われている。また、位相平均を用いることにより、温度変動を周期成分とランダム成分に分解することができた。それによると、噴流吐出速度が大きくなるにつれて、噴流が激しく混合する領域では、温度変動の周期成分の割合が大きくなり、ランダム成分の割合が低下することが明らかになった。
麻生 智一; 神永 雅紀; 寺田 敦彦*; 石倉 修一*; 日野 竜太郎
JAERI-Tech 2000-011, p.23 - 0, 2000/02
超臨界水素を用いる冷減速材は中性子強度やパルス性能などの中性子性能に直接影響する重要な機器である。冷減速材容器内における水素温度の上昇が中性子収率に影響するため、冷減速材容器の設計では再循環流や停滞流の発生などホットスポットの発生要因を抑制して円滑な流動を実現する必要がある。また、1.5MPa,20Kの超臨界水素条件の下で減速材容器の構造強度を維持する必要がある。冷減速材容器の簡易モデル試験体を用いて、入口噴流管による衝突噴流とその随伴流の流動パターンを水流動条件下で測定した結果、STAR-CDコードによる流動解析結果の流動パターンとよく一致した。また、冷減速材容器の薄肉構造における技術的な課題を明らかにするため、予備的な構造強度解析を行った結果、容器には112MPaの最大応力が生じることがわかった。
神永 文人*; 松村 邦仁*; 中村 弘史*
JNC TY9400 2000-003, 99 Pages, 1999/08
本報告は核燃料サイクル開発機構との表記の共同研究について、1998年度に茨城大学工学部において実施した研究の内容である。また、本年度は研究の最終年度にあたるため、前年度までの成果も加え、最終報告書としでまとめた。容器内へ流入する液流れと容器内の自由液面との相互作用によって生じる振動現象は、主にFBRの安全性に関連して非常に重要である。しかし、自由液面を有する容器内に上側から液体が流入する場合に生じる液面振動については、開水路流れを対象としたものを除くとこれまでほとんど研究がなされていない。本研究では自由噴流による液面振動に着目し、容器内流体の自由液面とその液面に流入する流れの相互作用によって発生する自由液面の非線型不安定現象について、現象の詳細な知見を得ることを目的とし、矩形2次元容器による実験的研究を行った。昨年度は、試験容器を製作し、容器内自由液面に生じる振動現象について容器の大きさと流入条件が振動現象に与える影響を実験的に調べた、本年度は、昨年度と同じ試験装置を用いて、噴流の吹き出しノズルが液面下に設置された場合について実験を行うとともに、内部流れの可視化を行い、液面振動と内部流れとの関係を調べ、液面振動の発生メカニズムの解明を試みた。その結果、液面に生じる振動形態は、容器長さ・流入位置・流入角度および水深によって決まり、振幅の大きな振動としては、スロッシング状固有振動と固有振動間で見られる遷移振動であることが明かとなった。またこの液面の振動は流入する噴流の変動と相間があり、液面振動には噴流の蛇行が不可欠であることも明らかとなった。
アキラ トーマス トクヒロ; 木村 暢之; 宮越 博幸
JNC TN9400 2000-014, 86 Pages, 1999/06
高速炉のサーマルストライピング現象について熱流動に関する実験シリーズが水流動試験装置を用いて行われた。ここで言うサーマルストライピング現象とは、炉心出口部において、制御棒チャンネルや集合体から流出する温度・速度の異なる噴流が十分に混合せずに炉心上部構造材に衝突することにより構造材に熱疲労を与える現象である。本試験体系は、鉛直噴流を平行に3本配置しており、中心噴流が低温、左右の噴流が高温である。噴流は、矩形ノズルから試験容器中に準2次元形状で吐出している。試験パラメータは、噴流の平均吐出流速(U)と中心噴流と周辺噴流の吐出温度差(
T
=T
-T
)である。流速測定はレーザードップラー流速計(LDV)と超音波流速計(UDV)を用いて行った。本試験は、中心噴流を吐出させた単一噴流条件と3本の矩形噴流を吐出させた三噴流条件で行った。第1報は主にUDV計測結果、第2報は主に温度計測結果をまとめ、これらの結果を踏まえ、本報においてフェーズ1試験のまとめを行った。単一噴流条件における流速測定結果は、噴流出口領域から下流において、LDVとUDVとも既知の試験結果と良い一致を示した。三噴流試験条件において、3つの噴流の吐出速度が等速の場合、噴流が左右に振動することにより対流混合が行われていることが明らかとなった。また、速度変動は、流れに垂直方向において、左右の噴流と中心噴流の間の領域で大きくなっていることがわかった。UDVによる速度変動および温度変動から得られた噴流振動の卓越周波数は、噴流が主に混合する領域(混合領域)でf = 2.25Hz、噴流の混合がほぼ終了した領域では f = 0.7Hzであった。左右の噴流吐出速度が中心噴流吐出速度より大きい場合、混合領域が下流側にシフトし、混合領域の流れ方向長さが短くなっていることがわかった。
麻生 智一; 神永 雅紀; 寺田 敦彦; 日野 竜太郎
JAERI-Tech 99-049, 45 Pages, 1999/06
原研で開発中のMW規模の核破砕ターゲットシステムにおいて、超臨界水素を用いる冷減速材は中性子性能に直接影響する重要な機器である。冷減速材容器内における水素温度の上昇が中性子収率に影響するため、再循環流や停滞流などホットスポットの発生要因を抑制して円滑な流動を実現する必要がある。冷減速材容器の概念設計に反映するため、簡易モデル試験体を用いて入口噴流管による衝突噴流とその随伴流の流動パターンを水流動条件下で測定した。入口噴流管の位置が底面より10mm以上で噴流速度が1m/s以上では再循環流領域の高さは約50mmであり、STAR-CDによる流動解析結果はこの流動パターンをよく再現した。この結果をもとに実機用冷減速材容器内の予備的な熱流動解析を行い、水素の局所的な温度上昇を3K以内に抑制するための流動条件を明らかにした。
麻生 智一; 神永 雅紀; 寺田 敦彦; 日野 竜太郎
JAERI-Tech 99-014, 113 Pages, 1999/03
ターゲットシステムにおいて、超臨界水素を用いた冷減速材は中性子強度やパルス性能などの中性子性能に影響する重要な機器である。特に減速材容器内における水素温度の上昇が中性子収率に影響を与えるため、減速材容器の設計では再循環流や停滞流の発生を抑制して水素をスムーズに流動させる必要がある。そこで、減速材容器の概念設計に反映させるため、減速材容器を模擬した試験体を用いて、減速材入口管からの衝突噴流による流動状況を明らかにするために水による予備的な流動実験を行った。実験の結果、衝突噴流によって大きな再循環流が発生していることが確認でき、STAR-CDコードによる流動解析結果とよく一致した。これらの結果をもとに、減速材容器構造の概念設計をさらに推進させ最適な容器構造を明らかにするために、今後の熱流動実験計画を立案した。
麻生 智一; 神永 雅紀; 寺田 敦彦*; 日野 竜太郎
可視化情報学会誌, 19(Suppl.2), p.127 - 130, 1999/00
原研で開発を進めている5MW規模の核破砕ターゲットシステムにおいて、超臨界水素を用いる冷減速材は中性子強度やパルス性能などの中性子性能に直接影響する重要な構成要素である。特に冷減速材容器内における核発熱による水素温度の上昇が中性子収率に影響するため、冷減速材容器の設計ではホットスポットの発生要因となる再循環流や停滞流を抑制して円滑な流動を実現する必要がある。そこで、冷減速材容器内の流動で重要な入口噴流管による衝突噴流とその随伴流の流動パターンを把握するため、減速材容器を模擬した扁平モデル試験体を製作してPIVにより水流動条件下で容器内の流動状況を明らかにした。また、並行してSTAR-CDコードによる流動解析を行い比較検討した。講演ではこれら実験結果及び解析結果について報告する。