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山西 敏彦; 小西 哲之; 林 巧; 河村 繕範; 岩井 保則; 丸山 智義*; 角田 俊也*; 大平 茂; 中村 博文; 小林 和容; et al.
Fusion Technology, 34(3), p.536 - 540, 1998/11
原研トリチウムプロセス研究棟において核融合炉燃料循環模擬ループを組み上げ、ITER条件での試験を行った。模擬ループは、電解反応器及びパラジウム拡散器を用いた燃料精製システム,深冷蒸留塔を用いた同位体分離システムから成る。模擬プラズマ排ガスとして、水素同位体混合ガス(トリチウム量1g)にメタン等不純物を添加してループに供給し、実証試験を行った。その結果、燃料精製システムから純粋な水素同位体のみを同位体分離システムに送ること,同位体分離システムからトリチウムを含まないHを抜き出すことを実証した。今回新たに得られた実証試験結果としては、電解反応器によりメタンを分解して水素として回収すること,同位体分離システムに設置したレーザーラマンにより、遠隔実時間分析が可能であることを示したことが挙げられる。
山西 敏彦; 岩井 保則; 西 正孝; 吉田 浩
Fusion Technology, 34(3), p.531 - 535, 1998/11
ITERの同位体分離システムは、5本の深冷蒸留塔より構成される。この5本の塔により、プラズマからの排ガス,NBIからの排ガス,水処理系からの軽水素ガスを処理するが、組成・流量がかなり変動することが予測されているプラズマ排ガスを受け入れる第1塔の制御手法を、シミュレーションにより検討した。第1塔は、プラズマ排ガスを受け入れ、塔中央部よりD-T50%の流れを、塔底からトリチウム90%の流れを製品として抜き出す。塔に供給されるトリチウム量を測定し、塔中央部からの抜き出し量をフィードフォワード制御する。また塔底温度を測定し、塔底からの抜き出し量をフィードバック制御する。この制御手法は、プラズマ排ガスの流量・組成の大きな変化に対しても、塔中央部及び塔底からの製品流組成を一定に保つことができる。
山西 敏彦; 西川 正史*; 中塩 信行*
プラズマ・核融合学会誌, 73(12), p.1326 - 1332, 1997/12
現在、ITER燃料システムの主コンポーネントの設計が、トリチウムインベントリー推算、故障事象解析の観点からも進められている。システムは2つの大きな特徴を持っている。約1kgの大きなインベントリーを持っていること、さまざまなプラズマからの排ガスに対応して高純度精製燃料(D-T)を再びプラズマに供給しなければならないことにある。この観点に立てば、シミュレーションコードを整備し、トリチウム計量管理及び制御システムを設計することの重要性が認識されよう。一例として、燃料システムの主コンポーネントである深冷蒸留塔の制御システム設計について、本報告で紹介する。燃料システムでのトリチウム取り扱いという観点からは、材料表面とプロセスガスのトリチウムに関する挙動が、プロセスのメンテナンス及びそれによって生じる廃棄物の問題を議論するうえで重要である。
山西 敏彦; 奥野 健二
Journal of Nuclear Science and Technology, 34(4), p.375 - 383, 1997/04
被引用回数:5 パーセンタイル:42.90(Nuclear Science & Technology)フィードバック流れを持つ深冷蒸留塔の制御特性を、シミュレーションにより検討した。このフィードバック流れを持つ塔は、核融合炉において重要な役割をになっている。シミュレーションの結果により、塔の新しい制御システムを考案した。塔頂流量は、主フィード流の組成及び流量から、フィードフォワード制御によって決定される。フィードバック流れの流量及び塔内蒸気流量は、フィード流量に比例して調節される。塔内蒸気流量については、フィードバック制御ループにより更に調節される。提案したシステムは、フィード流の大きな組成変化、流量変化、塔の全理論段数の減少あるいは増加に対して、製品純度を制御することができる。制御システムは、各塔毎に、塔の運転条件、機能を考慮して設計されなければならない。本研究は、深冷蒸留塔の制御システムの基本的設計手順を示すものである。
山西 敏彦; 奥野 健二
JAERI-Research 94-020, 22 Pages, 1994/10
フィードバック流れを持つ深冷蒸留塔から構成される2塔カスケードの制御手法を提案した。先頭の塔は、プラズマからの排出ガスを処理し、高純度のトリチウムを塔底から精製する。2番目の塔は、先頭の塔の塔頂流と、ブランケット及び水処理システムからのトリチウムを含んだ軽水素ガスを処理する。塔の塔頂及び塔底流量は、フィード組成の変化に対して、製品純度を保つように調整する。フィード組成のステップ変化に対する比例積分(PI)コントローラのパラメータ設定手法を提案した。先頭の塔では、塔頂流中のDTモル分率あるいは塔底流中のTの原子分率が制御因子となりうる。制御の迅速性からは、塔頂流中のDTモル分率を制御因子として選ぶことが望ましいが、この場合、制御因子測定のための遅れ時間は極めて短くなければならない。2番目の塔に対しては、塔頂流中のHTモル分率を制御因子とすることで安定な制御が可能である。
山西 敏彦; 奥野 健二
JAERI-M 93-145, 16 Pages, 1993/07
深冷蒸留塔の分離性能に対する、フィード中に含まれるヘリウムの影響を、ロスアラモス国立研究所における塔カスケードを対象に検討した。ヘリウムの水素同位体に対する溶解度データとしては、著者らが報告した新しいデータを用いた。ロスアラモス国立研究所の4塔カスケードにおいて、ヘリウムの影響を受けるのは主にColumn(2)である。フィード中のヘリウム濃度が1%の場合、凝縮器の冷却能力を増大させることで塔の分離性能を維持することが可能である。この結果は、塔径の増大、冷媒ヘリウムガスの流量等の増大を考慮しなければならないことを意味する。ヘリウム濃度が5%の場合、凝縮器容量及び塔圧力を2倍にすることが要求される。以上本研究で得られた結果は、従来のヘリウム溶解度データを用いてヘリウムの影響を検討した木下の報告と、定性的には一致する。
山西 敏彦; 奥野 健二; 榎枝 幹男; 天野 順造; 林 巧; 成瀬 雄二; Sherman, R. H.*
Fusion Technology, 21(2P2), p.948 - 953, 1992/03
被引用回数:3 パーセンタイル:35.29(Nuclear Science & Technology)深冷蒸留塔の動特性及び塔カスケードの分離特性を、H-D-T系で(1.5gトリチウム)で測定した。用いた塔は、内径2cm、1cm、充填高さ50cmの2種類であり、2cmの塔には3mmのDixon Ringを、1cmの塔には1.5mmのDixon Ringを充填した。塔の定常における塔頂及び塔底での組成は、2塔カスケード運転、単塔運転にかかわらず、両方の塔に関して、実験値とステージモデルによる計算値が良い一致を示した。測定されたHETPの値は3~6cmであった。又、単塔運転では約2時間で定常組成に達し、2塔カスケードでは定常到達に約6時間を要することを認めた。単塔及び2塔カスケード運転に共通して、塔底での組成の時間変化は、計算値と実験値で一致した。一方塔頂においては、計算値に比して実験値の時間変化が遅く、コンデンサーのホールドアップがかなり大きいことを認めた。
吉田 浩; 榎枝 幹男; 小原 敦*; 田中 茂; 大川 慶直; 長倉 正昭*; 内藤 大靖*; 長島 一寛*
JAERI-M 90-233, 38 Pages, 1991/01
国際熱核融合実験炉(ITER)の燃料系概念設計において、日本はトリチウムにかかわる全てのサブシスを考慮した総合設計を行った。ITERでは以下のサブシステムが必要とされる:燃料供給系(ガスパフ系,ペレット入射系)、トーラス排気系、プラズマ排ガス精製系、水素同位体分離系、NBI及びRFまわりのトリチウム系、ブランケット系、一次冷却水処理系、安全系、廃液処理系。水素同位体分離系は、これらの系統から回収されるトリチウムを分離、濃縮し、プラズマ条件を満足する燃料ガスとする役目を持つものである。本報は、日本が提案した水素同位体分離システムに関するパラメータ解析及び設計の結果をまとめたものである。
木下 正弘
Fusion Technology, 6, p.629 - 633, 1984/00
わずか2つの塔から構成される深冷蒸留塔カスケードを提案する。TSTAのカスケードと比較すると、トリチウムのインベントリーは約50%、最も高い塔の充填高さは約40%増加する。しかし、分離性能は同じであり、それでいて塔の数は半分となっており、計測機器の数や、監視すべきプロセスパラメーターの数も大幅に減少する。TSTAのカスケードと異なり、カスケードの性能がNBIからの重水素の流量に全く左右されない。また、フィード中のHの割合が1%から3%に増加しても、各塔のトップ、ボトム及び抜き出し流れの流量を変更するのみでカスケードの性能が確立できる。このように、提案するカスケードは大きな柔軟性を有しており、TSTAカスケードの代替として有望である。
木下 正弘
Fusion Technology, 6, p.564 - 573, 1984/00
ロスアラモスで開発された深冷蒸留塔カスケードをとり上げ、塔の分離特性に及ぼすヘリウムの影響を解析した。Column2が主に影響を受ける。カスケードへのフィールド中のヘリウムが1%なら、塔性能はコンデンサーの容量を増やすことによって確保でき、特にヘリウム分離器を設ける必要はないが、塔内径やコンデンサーの容量をより大きくすることを設計時に考慮しておかねばならない。5%のときは、コンデンサーの容量と操作圧力を2倍以上にしなければならない。そして、トップガス中のトリチウムのレベルコントロールは、大きな圧力上昇とリボイラーの液レベルの減少を伴うため、きわめて困難となる。一般に、ヘリウムが塔の動作性に及ぼす影響は、定常特性に及ぼす影響よりもはるかに大きく、カスケードへのフィールド中のヘリウムが1%を越えるときは、ヘリウム分離器が必ず必要であるものと考えられる。
木下 正弘
Nuclear Technology, 6, p.574 - 583, 1984/00
著者が先に開発したレコード、CRDIS-2のシミュレーション手法が大幅に改良された。CRDIS-2では、温度と液流量を独立変数に選定した多変数のNewton-Raphson法が用いられていた。液流量の収束性は、温度の収束性に比べると、あまり収束計算のタイプに左右されないことに注目し、収束ループを次の2つのループに分割した。即ち、温度修正用の擬ニュートン法のループと、流量修正用の逐次代入法のループである。ヤコビ行列の次数は半分になり、ヤコビ行列の数値的評価及び逆行列の計算は1回限りとなるため、必要なメモリ、計算時間は大幅に減少する。さらに、収束性の向上につながる温度及び流量の初期値設定法を提案すると共に、その有用性を実証した。このようにして、新しいレコード、CRDIS-Nが完成した。
木下 正弘
JAERI-M 82-214, 10 Pages, 1983/01
蒸留塔の充填部の内径が小さく、充填高さも比較的低く、それでいてコンデンサーの容積かかなり大きい場合には、塔の動特性解析において、コンデンサー内の蒸気ホールドアップが重要となり得る。このような問題は、実験室で基礎研究に用いる深冷蒸留塔でよく見受けられる。本報では、各段における蒸気ホールドアップを考慮した動特性解析のための基本式の導出が行われている。基本式及び解析手順は、蒸気ホールドアップを無視した場合に比べるとはるかに複雑である。修正オイラー法やルンゲ・クッタ・ギル法などの手法がどのようにして適用できるかが示されている。
高松 武一郎*; 橋本 伊織*; 木下 正弘
J.Chem.Eng.Jpn., 16(5), p.370 - 377, 1983/00
被引用回数:24 パーセンタイル:83.92(Engineering, Chemical)水-水素間同位体交換法を利用した多段型重水濃縮塔に対し、1つの強力なシミュレーション手法を開発した。通常の蒸留塔と比べると、本塔は、水・水蒸気・水素ガスの3つの流れが存在すること、種々の同位体交換反応が起ること、塔のコンフィギュレイションがはるかに複雑であることなどの特徴を持つ。主計算ループはニュートンラフソン法であるが、その独立変数の数をシーブトレイの数にまで巧妙に減少させてある。塔内の重水濃度がきわめて高い場合にでも適用できることが、分離係数を導入して定数扱いとする従来のシミュレーション手法にはみられない大きな利点である。
木下 正弘; J.R.Bartlit*; R.H.Sherman*
JAERI-M 82-162, 11 Pages, 1982/11
流下液膜式凝縮器及びフィードバック流れを持つ深冷蒸留塔で構成された1つの新しいシステムをHeとT
の完全分離用に提案する。完全分離を達成するため、充分な流量のプロチウム(H)が原料流れに添加される。
He,H
,T
の混合物が流下液膜式凝縮器に連続的に供給され、ここで
Heが完全に除去される。塔底液(H
,HT,T
の混合物)は、次の深冷蒸留塔で処理され、HとTの分離が行われる。本システムのトリチウム回収率は100%であり、2つの塔頂ガスはそのままTWT(Tritium Waste Treatment)に送ることができる。