Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
板敷 祐太朗*; 今林 洋一*; 執行 信寛*; 魚住 祐介*; 佐藤 大樹; 梶本 剛*; 佐波 俊哉*; 古場 裕介*; 松藤 成弘*
Journal of Radiation Protection and Research, 41(4), p.344 - 349, 2016/12
重粒子線治療は、根治性の高さや患者への身体的負担の小さなガン治療法として成果を上げているが、患者には術後の2次発ガンのリスクが伴う。このリスク評価では、体内の放射線挙動や核反応の理解が不可欠となり、放射線輸送計算コードが有用なツールとなる。計算コードの重イオン核反応に対する検証は十分でないため、放射線生成過程の実験データが必要となる。そこで、本研究では、新しいガン治療用のビームとして使用されている核子あたり430MeVの炭素ビームと人体構成物質との核反応から放出される中性子の二重微分断面積の実験データを整備した。実験は、放射線医学総合研究所のHIMAC加速器において実施した。核子当たり430MeVの炭素ビームを45に傾けた5cm
5cm
1cmの固体炭素標的に入射し、生成される中性子を15
, 30
, 45
, 60
, 75
および90
方向に設置した中性子検出器で測定した。また、中性子の運動エネルギーは飛行時間法により決定した。取得した実験データとPHITSの計算値を比較したところ、PHITSはこのエネルギー領域における炭素からの中性子生成を適切に模擬できることが分かった。
佐藤 大樹; 梶本 剛*; 執行 信寛*; 板敷 祐太朗*; 今林 洋一*; 古場 裕介*; 松藤 成弘*; 佐波 俊哉*; 中尾 徳晶*; 魚住 祐介*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 387, p.10 - 19, 2016/11
被引用回数:5 パーセンタイル:39.88(Instruments & Instrumentation)重粒子線治療施設における治療室の合理的な遮蔽設計のためには、患者と重粒子線との核反応で生成される中性子の収量および線量分布を精度よく知る必要がある。本研究では、患者を模擬した水ファントムに治療で用いる核子当たり290MeVおよび430MeVの炭素イオンを入射して、生成される中性子を液体有機シンチレータからなる検出システムを用いて測定した。シンチレータは、ビーム軸に対して15から90
方向に15
おきに配置した。また、測定した中性子生成二重微分収量にAP照射に対する実効線量への換算係数を乗じ、測定における検出下限エネルギーである2MeV以上で積分することで、水ファントム周りの実効線量分布を導出した。得られた実験値は、モンテカルロ計算コードPHITSの計算値と比較した。その結果、PHITSは水ファントムからの中性子収量をよく再現しており、治療室を含めた重粒子線治療施設の線量分布予測において有益な評価手段であることを示した。
執行 信寛*; 魚住 祐介*; 今林 洋一*; 板敷 祐太朗*; 佐藤 大樹; 梶本 剛*; 佐波 俊哉*; 古場 裕介*; 高田 真志*; 松藤 成弘*; et al.
JAEA-Conf 2014-002, p.81 - 87, 2015/02
高エネルギー加速器施設の遮蔽設計には、原子力機構を中心に開発されているPHITSや欧州原子核研究機構を中心に開発されているFLUKAなどのモンテカルロ法に基づく放射線輸送コードが利用されている。これら放射線輸送コードの予測精度を検証するには、核反応の素過程に関する二重微分断面積の実験データとの比較が必要である。しかし、重イオン入射反応に関する実験データは乏しく、荷電粒子生成に関するものはほとんど存在しない。そこで、放射線医学総合研究所のHIMAC加速器を用い290MeV/uのAr入射反応に対する炭素原子核からの陽子,重陽子及び三重陽子生成二重微分断面積を測定した。生成した荷電粒子は、ビーム軸に対して15, 30, 45, 60, 75及び90度方向に配置した液体有機シンチレータで検出した。各荷電粒子は、飛行時間と検出器でのエネルギー損失の情報から識別できる。実験データをPHITS及びFLUKAと比較したところ、陽子生成については実験データの傾向を再現するものの、重陽子及び三重陽子生成については、両コードで全く再現できず、各コードによる計算値の間にも大きな差があることが分かった。これは、既存の核反応模型では重陽子や三重陽子の放出に必要な核子の同伴および癒着過程を適切に取り扱えていないためと考えられる。本研究で得られる知見は、放射線輸送コードにおける核反応模型の改良に貢献することが期待できる。
佐藤 大樹; 梶本 剛*; 執行 信寛*; 板敷 祐太朗*; 今林 洋一*; 古場 裕介*; 松藤 成弘*; 佐波 俊哉*; 中尾 徳晶*; 魚住 祐介*
no journal, ,
重粒子線治療施設における合理的な遮蔽設計のためには、患者と重粒子線との核反応で生成される中性子の収量および線量分布を精度よく知る必要がある。本研究では、患者を模擬した水ファントムに治療で用いる核子当たり290MeVの炭素イオンを入射して、生成される中性子を液体有機シンチレータからなる中性子検出器を用いて測定した。検出器は、ビーム軸に対して15から90
方向に15
おきに配置した。また、測定した中性子生成二重微分収量にAP照射に対する実効線量への換算係数を乗じ、測定における検出下限エネルギーである2MeV以上で積分することで、水ファントム周りの実効線量分布を導出した。得られた実験値は、モンテカルロ計算コードPHITSの結果と比較した。PHITSは中性子生成二重微分収量の高エネルギー側のスペクトル形状をよく再現できるが、約10MeV以下の低エネルギー中性子を過大評価することが分かった。実効線量分布についても、同じエネルギー範囲で積分したPHITSの計算値は、二重微分収量同様に実験値よりも大きな値を示した。そこで、PHITSによる結果の絶対値を90
における実験値と一致するように調整し、熱エネルギー以上の中性子に対して角度範囲0
から180
における実効線量を算出した。さらに、その実効線量分布を適切に再現可能な簡易式を構築した。本研究の成果を用いることで、遮蔽設計に必要な患者周りの線量分布を迅速に精度よく評価することが可能となり、重粒子線治療施設における遮蔽設計の高度化に大きく貢献することが期待される。
執行 信寛*; 魚住 祐介*; 板敷 祐太朗*; Lee, J. E.*; 今冨 宏祐*; 梶本 剛*; 佐藤 大樹; 佐波 俊哉*; 古場 裕介*; 松藤 成弘*
no journal, ,
重粒子線ガン治療では、治療に用いる430MeV/uの炭素原子核と患者体内に存在する炭素、窒素、酸素原子核との核反応により、様々な2次放射線が生成される。この2次放射線によってもたらされる術後の発ガンリスクを検討するため、1MeV以上の中性子生成に関する精度の良い断面積データが求められている。そこで、放射線医学総合研究所HIMACにおいて430MeV/uまで加速した炭素, 窒素, 酸素原子核と炭素原子核との核反応により生成される中性子の二重微分断面積を測定した。実験では、430MeV/uの炭素, 窒素, 酸素ビームを炭素の固体標的に照射した。標的の厚さは、入射原子核の標的内でのエネルギー損失が運動エネルギーの約10%になるように設定した。SCINFUL-QMDにより検出効率を得たNE213シンチレータを用いて、15, 30, 45, 60, 75, 90度の方向で生成中性子を検出し、運動エネルギーは飛行時間法により決定した。これにより、中性子エネルギー1MeVから600MeVの二重微分断面積の導出に成功した。炭素入射の測定値と原子力機構が開発を進めているPHITSコードによる計算値との比較から、PHITSは100MeV以下のエネルギー領域で実験データをよく再現するが、それ以上のエネルギーではわずかに中性子生成断面積を過大評価することが分かった。これは、核反応の直接過程を記述する量子分子動力学模型に問題のある可能性を示唆する。本研究の成果は、核反応模型の改良によるPHITSの精度向上に貢献する。