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牧野 高紘*; 小林 大輔*; 廣瀬 和之*; 柳川 善光*; 齋藤 宏文*; 池田 博一*; 高橋 大輔*; 石井 茂*; 草野 将樹*; 小野田 忍; et al.
IEEE Transactions on Nuclear Science, 56(1), p.202 - 207, 2009/02
被引用回数:36 パーセンタイル:90.52(Engineering, Electrical & Electronic)SET(Single Event Transient)パルス幅と線エネルギー付与(LET)との関係を求めるために、高い放射線耐性を持つSOI(Silicon on Insulator)基板上に試作したテストチップを用いてSETパルス幅のLET依存性を評価した。Kr322MeVとXe454MeVのイオンをテストチップに垂直又は45度で照射した。その結果、垂直入射の場合、LETの増加に対してSETパルス幅が直線的に増加し、45度の場合、LETの増加に対してSETパルス幅が飽和傾向を示すことがわかった。この飽和傾向を示す主な要因を調べるために3次元デバイスシミュレーター(TCAD)による解析を行った。その結果、重イオンによって誘起する過剰キャリアの再結合が飽和傾向を説明する一つの要因であることがわかった。
牧野 高紘*; 柳川 善光*; 小林 大輔*; 福田 盛介*; 廣瀬 和之*; 池田 博一*; 齋藤 宏文*; 小野田 忍; 平尾 敏雄; 大島 武; et al.
信学技報, 108(100), p.67 - 72, 2008/06
放射線によって生じる論理LSI(Large Scale Integrated Circuit)でのソフトエラーは、FF(Flip Flop)やラッチ回路に粒子が当たって発生するだけでなく、組合せ論理回路に当たって発生するスパイクノイズによっても発生する。この放射線誘起スパイクノイズを測定するために、インバータ24段の論理セルチェインと拡張バッファー及び自己トリガFFチェインから構成されるスナップショット回路を作製した。実験はKr 322MeVとXe 454MeVのイオンをテストチップに対して垂直と45度で入射させ、線エネルギー付与LET4092(MeV/cm/mg)の範囲でSET(Single Event Transient)パルス幅を測定した。その結果、インバータ24段を接続したチェインについて、0度(垂直)照射では取得SETパルスの総数が、LETの増加に対して増加を示し、45度照射では、取得SETパルスの総数はLETの増加にかかわらず一定であった。また取得したSETパルス幅分布の最頻値と半値幅をLETの関数で示した結果、SETパルス幅はLETの増加に対して飽和傾向を示すことが見いだされた。さらにSETパルス幅の上限が約1nsであることから、SETパルスを除去するために必要なフィルタ回路の時定数は最大1nsとすれば良いということもわかった。
牧野 高紘*; 小林 大輔*; 廣瀬 和之*; 柳川 善光*; 齋藤 宏文*; 池田 博一*; 高橋 大輔*; 石井 茂*; 草野 将樹*; 小野田 忍; et al.
no journal, ,
シングルイベントトランジェント(SET: Single Event Transient)は放射線が論理LSIに入射して発生する過渡的な電圧変動に由来した誤動作(ソフトエラー)として知られる。発生したSETパルスが回路中を伝搬し記憶セルにラッチされるとソフトエラーを招くが、その確率はSETパルス幅に比例して増大し、さらにSETパルス幅は入射するイオンの線エネルギー付与(LET: MeV/cm/mg)の増加に伴って大きくなることが明らかとなっている。ここではSETパルス幅の増加傾向を決める要因を調べるために3次元のデバイスシミュレーションを実施した。n型FD-SOI MOSFET(FUlly Depleted Silicon on Insulator)にKr322 MeVとXe454 MeVを照射したときの重イオン誘起SET電流パルスをDESSIS(Device Simulation For Smart Integrated System)デバイスシミュレータで求め、さらにデバイス回路混合シミュレーションによってインバータセルでの電圧パルスを求めた。さらに、過剰キャリアの再結合がSETパルス幅の増加傾向を決める要因と考え、再結合プロセスの有無を考慮してSETパルス幅のLET依存性をシミュレーションした。その結果、重イオンによって誘起する過剰キャリアの再結合がSETパルス幅の増加傾向を支配する大きな要因であることがわかった。