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論文

Non-invasive imaging of radiocesium dynamics in a living animal using a positron-emitting $$^{127}$$Cs tracer

鈴井 伸郎*; 柴田 卓弥; 尹 永根*; 船木 善仁*; 栗田 圭輔; 保科 宏行*; 山口 充孝*; 藤巻 秀*; 瀬古 典明*; 渡部 浩司*; et al.

Scientific Reports (Internet), 10, p.16155_1 - 16155_9, 2020/10

 被引用回数:0

Visualizing the dynamics of cesium (Cs) is desirable to understand the impact of radiocesium when accidentally ingested or inhaled by humans. The positron-emitting nuclide $$^{127}$$Cs was produced using the $$^{127}$$I ($$alpha$$, 4n) $$^{127}$$Cs reaction, which was induced by irradiation of sodium iodide with a $$^{4}$$He$$^{2+}$$ beam from a cyclotron. We excluded sodium ions by using a material that specifically adsorbs Cs as a purification column and successfully eluted $$^{127}$$Cs by flowing a solution of ammonium sulfate into the column. We injected the purified $$^{127}$$Cs tracer solution into living rats and the dynamics of Cs were visualized using positron emission tomography; the distributional images showed the same tendency as the results of previous studies using disruptive methods. Thus, this method is useful for the non-invasive investigation of radiocesium in a living animal.

口頭

植物RIイメージング技術による栽培診断の体系化; 「核農学」の確立を目指して

藤巻 秀; 河地 有木; 鈴井 伸郎; 石井 里美; 尹 永根; 栗田 圭輔

no journal, , 

農業の本質は、大気や土壌等に分散した栄養元素を、植物の収穫部位に有機物やミネラルの形で効率よく集積させることにあり、有害元素の場合はその逆である。我々が開発してきた「植物RIイメージング技術」とは、この営みの鍵を握る植物の元素輸送機能を直接捉えようとするものである。我々は過去5年ほどの間に、作物における有害なカドミウムの経根吸収と移行、光合成産物の転流に対する外部環境の影響など、植物の元素輸送機能に関わる様々な農学的な問いに取り組んできた。さらに近年、植物用ガンマカメラ、植物用コンプトンカメラといった新しい計測技術を開発し、研究の自由度が拡がりつつある。かつて、ヒトを対象としたRIイメージング技術であるPET(ポジトロン放出断層撮影法)が発展し、がんなどの診断を行う今日の「核医学」が形成された。今、我々はこれに倣い、植物を対象としたRIイメージング技術を発展させることにより、作物における元素動態を評価・解析(診断)し、栽培の最適化(治療)の指針を与える「核農学」という分野の形成を目指している。

口頭

生きた植物体内におけるナトリウムと亜鉛の動態の可視化; 市販のラジオアイソトープを用いた元素の非破壊イメージング

鈴井 伸郎; 尹 永根; 石井 里美; 栗田 圭輔; 河地 有木; 藤巻 秀

no journal, , 

原子力機構では、炭素($$^{11}$$C), 窒素($$^{13}$$N), 鉄($$^{52}$$Fe), カドミウム($$^{107}$$Cd)などのポジトロン放出核種とポジトロンイメージング装置を用いて、生きた植物体内における栄養・有害元素の動きを非破壊的に可視化する研究を行っている。多くのポジトロン放出核種は、サイクロトロンで発生させたイオンビームを用いて自ら製造・精製する必要があることから、他の研究機関において同様のイメージングを実施することが困難な状況である。一方、ナトリウムと亜鉛には購入可能なポジトロン放出核種($$^{22}$$Na, $$^{65}$$Zn)があり、ポジトロンイメージング装置もまた、購入可能な計測装置である。本発表では、ナトリウムと亜鉛の非破壊イメージングの研究例を紹介すると共に、サイクロトロンを持たない研究機関での元素の非破壊イメージングの実現可能性についても議論する。

口頭

高CO$$_{2}$$濃度環境によるシロイヌナズナの物質貯蔵関連遺伝子変異体への影響の解析

石井 陽平*; 鈴井 伸郎; 河地 有木; 尹 永根; 石井 里美; 栗田 圭輔; 藤巻 秀; 草野 博彰*; 島田 浩章*

no journal, , 

人間が食物として収穫する果実や根が同化産物を貯蔵する能力はシンク能力と呼ばれ、葉などが光合成を行う能力であるソース能力と対比して考えられている。ソース能力については生育との関係が多く研究されており、例えば、高CO$$_{2}$$環境下では光合成が促進され生育速度が上がることが分かっている。一方、シンク能力については生育との関係があまり研究されていない。そこで本研究ではシンク能力に関係する遺伝子の変異株を高CO$$_{2}$$環境において生育させ、シンク能力と生育との関係に高CO$$_{2}$$が及ぼす影響を調べた。その結果、いくつかの変異株が野生型とは異なる生育を示したが、その差異はCO$$_{2}$$の濃度によって変化していた。よって、シンク能力と生育の相互関係の変化には、意外にも、外部のCO$$_{2}$$濃度が影響を及ぼすことが分かった。今後は高CO$$_{2}$$におけるソース器官とシンク器官の関係を調べるために、PETISを用いて光合成によって生産される同化産物の動きを見く予定である。

口頭

植物研究のための放射線イメージング技術の開発

河地 有木; 鈴井 伸郎; 石井 里美; 尹 永根; 栗田 圭輔; 石井 陽平*; 島田 浩章*; 藤巻 秀

no journal, , 

放射線計測技術は、生命科学研究における一つの優れた分析技術である。これを用いた生体の生理機能を解析する様々な実験方法が生み出され、植物研究の分野において数多くの成果が生み出されてきた。特に、放射性同位元素を用いて、栄養元素もしくは環境汚染物質が植物体内を移行していく動きを追跡し、その動態を解明する技術は、現在も日々大きな進化を見せている。植物の吸収・移行・蓄積といった多様な物質動態が、様々な外的要因から受ける影響を明らかにすることが、農学上の植物研究の一つの目標となっている。この目標を達成できる強力なツールが放射線イメージング技術である。原子力機構で開発されてきた、「RIを生きた植物体に投与し、そのRIの分布と動きを、放射線計測技術を駆使して可視化する」というコンセプトを実現させた様々な放射線イメージング技術とその応用研究を本発表で紹介する。それぞれの測定原理を概説し、植物研究を目的とした放射線イメージング技術の今後のあるべき姿を展望したい。

口頭

根系が土壌へ分泌した有機物のポジトロンイメージング技術による可視化

尹 永根; 鈴井 伸郎; 河地 有木; 石井 里美; 栗田 圭輔; 中村 卓司*; 信濃 卓郎*; 藤巻 秀

no journal, , 

植物は、根圏と呼ばれる根の周囲数ミリメートルの土壌中に存在する栄養元素を吸収し、利用している。根が直接吸収できる栄養元素は、土壌溶液中に溶解しているもののみであるが、リンや鉄など一部の栄養元素は、そのほとんどが植物が吸収できない難溶性の状態で土壌中に存在している。これらを可溶化するために、根が根圏土壌へ有機酸などを分泌していることはよく知られている。しかし、その制御機構については未だ不明な点が多い。我々は、炭素11(半減期20分)で標識した二酸化炭素($$^{11}$$CO$$_{2}$$)とポジトロンイメージング技術を利用し、根を破壊することなく、光合成産物の根系への転流と有機物等の根圏への分泌を観測することで、根における分泌の制御機構の解明を目指している。本発表では、根が根圏土壌へ分泌した有機物を可視化する技術について述べる。

口頭

チェレンコフ光で植物体内の元素動態を見る

栗田 圭輔; 河地 有木; 尹 永根; 鈴井 伸郎; 石井 里美; 渡部 浩司*; 山本 誠一*; 藤巻 秀

no journal, , 

荷電粒子が物質中を通過する際に発せられるチェレンコフ光を用い、植物体内の元素動態をイメージングする方法を開発した。チェレンコフ光は、RIが放出する荷電粒子と植物体内の水との作用で発生する微弱な可視光で、昨今の高感度化・低ノイズ化したイメージセンサを用いれば十分に短時間で撮像できる。また、測定対象が可視光となるため、光学レンズを用いた像の拡大・縮小が容易となり、これを利用した空間分解能の向上が期待できる。チェレンコフイメージング技術を応用した植物実験の有用性を検証するため、F値0.95の明るいレンズを装着した高感度CCDカメラで実証試験を行った。撮像対象として、ベータ線放出核種であるCs-137の点線源の他、4 MBqのCs-137溶液を1週間にわたって根から吸収させたダイズを用いた。直径100$$mu$$mのCs-137点線源を撮像した結果、画像上のFWHMが220$$mu$$mとなり、従来技術に比べ十分に空間分解能が高いことが示された。またCs-137溶液を吸収させたダイズを用いた結果では、試料に含まれるCs-137由来のチェレンコフ光の撮像に成功し、植物体内の放射性セシウムの高精細な分布画像が得られた。このことは、本提案手法が植物体内の元素動態を高い空間分解能でイメージングできる、有用な技術であることを示している。

口頭

植物チェレンコフイメージング技術の開発

栗田 圭輔; 河地 有木; 尹 永根; 鈴井 伸郎; 石井 里美; 渡部 浩司*; 山本 誠一*; 藤巻 秀

no journal, , 

チェレンコフイメージング技術は、荷電粒子が物質中を通過する際、荷電粒子の速度が物質中での光の速度を超えたときに生じるチェレンコフ光をCCDカメラ等で捉えることで、放射性同位元素(RI)のイメージングを行う手法である。我々はこの技術を用いて、植物体内における放射性セシウム動態をイメージングする技術の開発を行っている。チェレンコフ光は可視光であるため、高エネルギーの$$gamma$$線を直接計測する従来のRIイメージング技術では困難であった、光学レンズを用いた像の拡大・縮小が容易となり、これを利用した空間分解能の向上が期待できる。本報告では、$$beta$$線放出核種であるCs-137を吸収させたろ紙の小片、またはCs-137溶液を経根吸収させたダイズ($$Glycine$$ $$max$$ [L.] Merr. cv. Jack)から発せられるチェレンコフ光を、高感度CCDカメラ(ORCA2-ER, 浜松ホトニクス製)で撮像した結果を示し、植物チェレンコフイメージング技術の有用性について議論を行う。

口頭

放射性セシウム動態解析に向けた植物チェレンコフイメージング技術の開発

栗田 圭輔; 河地 有木; 尹 永根; 鈴井 伸郎; 石井 里美; 渡部 浩司*; 山本 誠一*; 藤巻 秀

no journal, , 

植物体内における放射性セシウム動態を定量的に可視化するため、荷電粒子が物質中を通過する際に生じるチェレンコフ光を利用したイメージング手法に着目した。$$^{137}$$Csはベータ線放出核種であり、このベータ線によりチェレンコフ光が発生するが、この光は可視光であるため高精細な画像が得られる。また、光学レンズを用いた像の拡大・縮小も容易となることが期待できる。暗環境において高感度CCDカメラを用い、10-2000kBqの放射能の異なる点線源を撮像した結果、放射能に対するチェレンコフ光強度の直線性が確認された。また、5分間の露光時間で10kBqの点線源が十分に結像した。$$^{137}$$Cs溶液を吸収させたダイズを撮像したところ、試料地上部に含まれる$$^{137}$$Cs由来のチェレンコフ光の撮像に成功した。すなわち、放射性セシウム動態を精細に可視化する植物チェレンコフイメージング技術の実現性が高いことが明らかになった。

口頭

ダイズ根が根圏土壌へ分泌した有機物の可視化と定量解析,2 異なる培地条件における分泌物の分布の比較

尹 永根; 鈴井 伸郎; 河地 有木; 石井 里美; 栗田 圭輔; 中村 卓司*; 信濃 卓郎*; 藤巻 秀

no journal, , 

植物の根は、有機酸等を根圏土壌へ分泌し、土壌から難溶性の栄養元素を獲得する能力を持っている。根系構造の中では、部位によって根の発達ステージや分泌物の材料となる地上部からの光合成産物の転流量、そして根の周囲の養分の可給性や存在量などが異なるはずである。こうした根系の各部位における有機酸等の分泌の制御機構については、未だに不明な点が多い。我々は、$$^{11}$$CO$$_{2}$$$$^{13}$$CO$$_{2}$$を併用してダブルトレーサ実験を行い、根系各部位における分泌物の分布を$$^{11}$$Cで可視化し、この画像を元に根および根圏土壌に対して$$^{13}$$Cで分泌物などの成分を詳細に分析すれば、根の分泌の制御機構の全容を明らかにできると考えた。そこで本研究では、様々な養分環境下における根系各部位の分泌物の成分分析を行うために、根箱装置内で局所的に切り出しが可能な、土壌に代わりうる栽培資材の検討を試みた。珪砂あるいは寒天培地の根箱で栽培したダイズを対象に撮像実験を行った結果、珪砂に比べて寒天培地のほうが分泌物の量が多く、それぞれに炭素ビーズを混合することによって、分泌物の量が更に上昇することが分かった。

口頭

チェレンコフ光を利用した植物RIイメージング技術の開発

栗田 圭輔; 河地 有木; 尹 永根; 鈴井 伸郎; 石井 里美; 渡部 浩司*; 山本 誠一*; 藤巻 秀

no journal, , 

植物体内の$$^{137}$$Cs動態を撮像するため、植物チェレンコフイメージング技術を開発した。チェレンコフ光とは、高エネルギーの荷電粒子が物質中を運動する際、粒子がその物質中の光速度よりも速い場合に放出される、微弱な可視光のことである。$$^{137}$$Csが放出するベータ線は、植物組織中でチェレンコフ光を発生させる。この光は植物体外へと十分に到達でき、これを高感度カメラで撮像することで、$$^{137}$$Csの植物体内分布を画像として取得できる。この技術の空間分解能と定量性の評価を行うため、$$^{137}$$Cs点線源を撮像し、得られた画像の解析を行った。その結果、放射能濃度[kBq/mm$$^2$$]と画像強度[count/pixel/sec]との間に良い直線性を確認し、またサブミリメートルの高い空間分解能を持つことがわかった。さらに$$^{137}$$Csのダイズ体内分布の撮像にも成功し、本技術の有用性が示された。

口頭

植物チェレンコフイメージングにおける定量化技術の開発

栗田 圭輔; 河地 有木; 尹 永根; 鈴井 伸郎; 石井 里美; 渡部 浩司*; 山本 誠一*; 藤巻 秀

no journal, , 

農作物において、放射性セシウムの吸収・移行といった動態メカニズムを解明することは、$$^{137}$$Csの収穫部位への蓄積、人体摂取のリスクを低減させる上で非常に重要である。このため、植物体内の$$^{137}$$Cs動態をイメージングする技術の開発が望まれている。しかし、従来の技術で$$^{137}$$Csのイメージングを行う場合、$$gamma$$線の持つ強い透過力により像がぼやけ、非接触計測で得られる空間分解能には物理的な限界があった。そこで我々は、チェレンコフ光を利用したイメージング手法に着目し、放射性セシウム動態研究に有効な植物チェレンコフイメージング技術の開発と、その性能評価を行った。点線源を撮像した結果から、放射能と画像強度との間に、測定の範囲内で良好な直線性が確認できた。さらに、$$^{137}$$Csを含んだダイズ撮像した結果、CCDカメラを用いてチェレンコフ光を撮像することで、ダイズ植物の地上部・地下部に含まれる$$^{137}$$Csを画像化できることがわかった。

口頭

Analysis of carbon translocation in the ${it flo2}$ mutant of Arabidopsis using $$^{11}$$CO$$_{2}$$ and a positron-emitting tracer imaging system (PETIS)

石井 陽平*; 鈴井 伸郎; 尹 永根; 河地 有木; 石井 里美; 栗田 圭輔; 島田 浩章*; 藤巻 秀

no journal, , 

The gene ${it FLOURY ENDOSPERM2}$ (${it FLO2}$) is widely distributed in plants. The ${it flo2}$ mutant of rice is known to have decreased expression of genes involved in production of storage starch. In this study, we analyzed the phenotype of ${it flo2}$ mutation in Arabidopsis from the aspect of carbon movement. 20 individuals each of ${it flo2}$ and WT (Col-0) were grown for 21 days. Starch accumulation in the whole plant of ${it flo2}$ mutants was lower than WT. In contrast, the leaf areas and the fresh weights of ${it flo2}$ were larger and heavier than those of WT. We evaluated activity of carbon assimilation and source-to-sink translocation in ${it flo2}$ and WT using $$^{11}$$CO$$_{2}$$ tracer gas and PETIS, a noninvasive imaging system of radiotracers. As a result, the activity of carbon assimilation per leaf weight did not show difference between ${it flo2}$ and WT; however, the carbon translocation rate from the leaves to sink tissues was lower in ${it flo2}$ than in WT. These results imply the following mechanisms. Biosynthesis of starch in both of the source and sink tissues is decreased by ${it flo2}$ mutation. Sucrose accumulation in the sink tissue reduces the source-to-sink translocation. Excess sucrose in the source tissue causes the leaf expansion.

口頭

蛍光板によるオートラジオグラフィ技術の開発

酒井 卓郎; 飯倉 寛; 松林 政仁; 栗田 圭輔*; 河地 有木*

no journal, , 

オートラジオグラフィ法は、RI等のトレーサーが生体内でどのように分布しているかを可視化する手法として広く利用されている。また、福島第一原子力発電所事故以降、放射性セシウムが広く環境中に拡散し、その移行・集積の過程を観察する手法としても注目されているが、オートラジオグラフィ法は、RIから放出される電離放射線の強度分布をイメージングプレート等で観察するバッジ法であり、経時的な変化を観察することは困難であった。今回、蛍光板と冷却CCDカメラを利用した新たな撮影方法を開発した。放射性セシウム($$^{137}$$Cs)からの$$beta$$線の最大エネルギーは、512keV(94.4%), 1176keV(4.6%)であるため、薄い金属箔であれば十分透過することが見込まれる。そのため、蛍光板はアルミ箔の上に蛍光体粉末(ZnS:Ag)を塗布することで製作した。被写体は$$^{137}$$Csを吸収したダイズの葉であり、$$beta$$線による発光を冷却型CCDカメラにより撮影した。その結果、葉脈に集積した$$^{137}$$Csをはっきりと画像化できた。本手法は、植物が生息できる環境下での経時的な連続撮影も可能であるため、トレーサーの移行過程を観察することも容易である。

口頭

蛍光板によるオートラジオグラフィ技術の開発,2

酒井 卓郎; 飯倉 寛; 栗田 圭輔*; 鈴井 伸郎*; 尹 永根*; 石井 里美*; 河地 有木*

no journal, , 

オートラジオグラフィ法は、RIを利用したトレーサーが生体内でどのように分布しているかを可視化する手法として広く利用されている。現在、我々は放射性セシウムの植物体内での動態を観察することを目指して、経時的観察可能なオートラジオグラフィ技術の開発に取り組んでおり、その現状を報告する。被写体からの$$beta$$線を可視光像に変換する蛍光板は、支持枠にアルミ膜を貼り付け、蛍光体粉末(ZnS:Ag)を塗布することで作製した。蛍光体層の厚さは0.4mm、視野は96mm$$times$$96mmである。光学系・カメラを設置する暗箱はL字型とし、蛍光面はミラーを介して観察、被写体からの$$gamma$$線を遮蔽できる構造とした。また、焦点距離500mmの凸レンズを蛍光面との焦点位置に設置し、カメラから臨む蛍光面を無限遠の虚像とする光学系とした。こうすることで、レンズ交換時などのフォーカス調整を簡便に行うことが可能である。蛍光板・カメラを含む測定系全体は、外部から遮光されており、植物育成環境を妨げることなく測定できる。露光時間2分で、十分明るい画像が取得できており、本手法が有効に動作することが確認できた。

口頭

イチゴ種子の有無が果実への光合成産物の転流へ及ぼす影響

三好 悠太*; 栗田 圭輔; 長尾 悠人*; 山口 充孝*; 鈴井 伸郎*; 尹 永根*; 石井 里美*; 河地 有木*; 日高 功太*; 吉田 英治*; et al.

no journal, , 

イチゴ生産において、光合成産物の転流は果実の肥大成長や物質集積を支配し、収量や品質に直接影響を及ぼす重要な生理機能である。高収益安定生産の実現のためには、光合成産物の転流におけるソース(各葉位)とシンク(各果実、根、新葉など)の対応関係を明らかにし、葉から果実への転流を適切に制御することが望まれる。我々はこれまでの研究で、植物に投与した放射性同位元素の動態を植物が生きたままの状態で可視化できるポジトロンイメージング技術(PETIS)を用い、イチゴの葉位によって異なる果実への転流動態を明らかにしてきた。その過程で、葉に投与した$$^{11}$$Cがイチゴ果実の特に種子へ集積している様子を発見した。本研究では、イチゴの種子を除去し、除去前と除去後それぞれの$$^{11}$$C転流動態をPETISおよび開放型ポジトロン断層撮影装置(Open-PET)を用いて撮像し定量解析した。イチゴ種子の除去によって$$^{11}$$C転流量が22%低下した。果実に対する種子の乾物割合は約16%であり、イチゴ種子は果実よりも強いシンクとして働いている可能性が示唆された。

口頭

広視野を有する植物観察用オートラジオグラフィ技術の開発

酒井 卓郎; 栗田 圭輔; 飯倉 寛; 鈴井 伸郎*; 尹 永根*; 石井 里美*; 河地 有木*

no journal, , 

オートラジオグラフィ法は、RIを利用したトレーサーが生体内でどのように分布しているかを可視化する手法として、植物研究において広く利用されている。我々は、放射性セシウムなどの有害元素や、リンや鉄などの必須元素の植物体内動態を観察することを目指して、経時的観察可能なオートラジオグラフィ技術の開発に取り組んでいる。現在、本格的な植物研究への応用を目指し、広視野で植物体を観察できる撮影システムの開発を行っており、その現状を報告する。撮影視野は、より広い方が望ましいが、被写体のオートラジオグラムを検出する面の大きさに制限される。このため、検出面自体は現実的なサイズである200mm$$times$$200mmとし、水平方向に2面並べて、2個体を同時に観察できるようにした。検出面の材質としては、同一形状の物を比較的安価に入手できるプラスチックシンチレータを利用した。この検出面を取り付ける暗箱はT字型で、検出面・カメラを含む測定系全体は、外部から完全に遮光されている内部に設置し、植物育成環境を妨げることなく撮影できる構造となっており、実際に植物観察を行った結果に関して発表する。

口頭

蛍光板を利用したオートラジオグラフィ技術で植物体内の元素動態を観る

栗田 圭輔; 鈴井 伸郎*; 尹 永根*; 石井 里美*; 飯倉 寛; 河地 有木*; 酒井 卓郎

no journal, , 

オートラジオグラフィは、放射性同位元素(RI)を含む試料をイメージングプレート(IP)等に密着させ、その濃度分布を可視化する手法であり、植物研究分野においても広く普及している。しかしながら、撮像時には植物をIPに圧着させつつ、暗所で露光する必要があるため、投与したRIの動きを、植物が生きた状態で経時的に捉えることは困難であった。そこで我々は、明環境下において連続撮像可能なオートラジオグラフィ技術の開発を行っており、2018年には蛍光板や高感度CCDカメラ、暗箱等を用いた測定システムによりダイズ中のCs-137動態の観察に成功している。本技術ではIPの代替として、市販のアルミ箔上に蛍光体粉末(ZnS:Ag)を塗布した蛍光板を用いる。この蛍光板を、アルミ箔を外側に向けた状態で暗箱の窓に設置することで、植物育成環境の可視光を遮断する。これにより、暗箱内部のみを暗環境に維持できる。撮像対象となる植物は蛍光板表面に設置する。植物中のRIから放出される$$beta$$線の一部が、アルミ箔を透過し蛍光体を発光させる。この発光を暗箱内部のCCDカメラで連続的に撮像することで、生きた植物体内の元素の動きが可視化できる。本技術がCs-137以外のRIにも適用可能かを調査するため、ダイズにFe-59を経根吸収させ、葉や茎における鉄分布の経時変化の撮像を試みた。発表ではこの結果の他に、Cs-137を吸収させたダイズの撮像結果やCs-137点線源による撮像能の評価について報告する。また、Cs-137やFe-59以外にどのようなRIが本技術で利用可能かについて議論する。

口頭

イチゴの種子は果実への炭素転流を駆動する

三好 悠太*; 栗田 圭輔; 長尾 悠人*; 山口 充孝*; 鈴井 伸郎*; 尹 永根*; 石井 里美*; 河地 有木*; 日高 功太*; 吉田 英治*; et al.

no journal, , 

イチゴ生産において、同化産物の転流は果実の肥大成長や物質集積を支配し、収量や品質に直接影響を及ぼす重要な生理機能である。高収益安定生産の実現のためには、炭素転流におけるソース(各葉位)とシンク(各果実, 根, 新葉など)の対応関係を明らかにし、葉から果実への転流を適切に制御することが望まれる。そこで我々は、植物に投与した放射性同位元素の動態を植物が生きたままの状態で可視化できるポジトロンイメージング技術(PETIS)を用い、イチゴの葉位によって異なる果実への炭素転流動態を明らかにしてきた。その過程で、葉に投与した$$^{11}$$Cが果実へと転流し、特にイチゴ種子へ集積することを発見した。既往の研究では、果托や種子を含むイチゴ果実全体を炭素転流におけるシンクとして捉えているが、真にシンクとしての役割を持つのはイチゴ種子であると考えられる。本研究では、イチゴ果実への炭素転流に対する種子の影響について検討した。"福岡S6号"(あまおう)をプラスチックポットで栽培し、1$$sim$$3番果が着果した株を実験に供試した。ソース葉は9枚であった。果房直下葉に$$^{11}$$CO$$_2$$を投与し、PETISを用いて果房内の各果実への$$^{11}$$C転流動態を撮像した。撮像終了後、$$^{11}$$Cの転流が確認された複数のイチゴ果実のうち1果を、開放型ポジトロン断層撮影装置(OpenPET)で撮像し、果実内部における$$^{11}$$Cの分配部位を調べた。その後、同個体を用い、OpenPETで撮像した果実の種子を取り除き、果房直下葉に$$^{11}$$CO$$_2$$を投与して再びPETIS及びOpenPETでの撮像を繰り返した。2回のPETIS撮像で、種子を取り除かなかった果実は同様の$$^{11}$$C転流動態を示したが、種子を取り除いた果実は$$^{11}$$C転流が大きく抑制されていた。種子を取り除いた果実内部の$$^{11}$$C分配部位を調べると、果実中心の維管束にごく僅かに転流しているのみであった。イチゴ植物の炭素転流では種子が主なシンクであり、果実への炭素転流を駆動していることが示唆された。

口頭

OpenPETを用いた果実内における光合成産物の3Dイメージング

栗田 圭輔; 三好 悠太*; 長尾 悠人*; 山口 充孝*; 鈴井 伸郎*; 尹 永根*; 石井 里美*; 河地 有木*; 日高 功太*; 吉田 英治*; et al.

no journal, , 

果実内における光合成産物の分布や動態を調べるには、放射性同位元素(RI)の分布を経時的に撮像可能なRIイメージング技術が有効である。RIイメージング技術の一つであるPET測定を植物に対して行う際に、小型、かつ検出器リング間に十分な開放部を有するOpenPETであれば、供試植物の生育環境を装置視野内に再現でき、さらに植物への放射性トレーサの投与や、植物のセッティングを容易に行える。植物研究に対するOpenPETの有用性を示すため、果実内の光合成産物のイメージングを試みた。供試植物として矮化処理を施した一季成り性品種"福岡S6号"(あまおう)を用意した。この4葉(果房直下葉)に$$^{11}$$CO$$_2$$トレーサガス125MBqを投与し、OpenPETを用いて$$^{11}$$Cで標識された光合成産物のイメージングを行った。果実内における$$^{11}$$C量の経時的変化を示したグラフやイチゴ果実の断層画像から、OpenPETは果実内の光合成産物のイメージングを行うのに有効なツールであることが示唆された。

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