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廣田 明成*; 幸塚 麻里子*; 福田 朱里*; 宮川 和也; 佐久間 圭佑; 尾崎 裕介; 石井 英一; 鈴木 庸平*
Microbial Ecology, 87, p.132_1 - 132_15, 2024/10
被引用回数:1 パーセンタイル:50.84(Ecology)深部の地下坑道は、鉱山や放射性廃棄物の地層処分のような工学的利用に加え、地下生命圏へのアクセスにおいても有用である。掘削損傷領域(EDZ)に人工的に形成した割れ目のネットワークは、物質の移行経路となると共に、空間と栄養を微生物に提供する場となる可能性がある。本研究では、幌延深地層研究所の深度350m坑道において掘削されたボーリング孔と検層結果を用いて、EDZ割れ目上の微生物バイオフィルムを調査した。顕微鏡観察と赤外分光分析により、EDZの高透水性割れ目表面に微生物が密集してバイオフィルムを形成していることを確認した。16S rRNA遺伝子配列分析の結果、微生物はGammaproteobacteria綱の好気性メタン資化細菌が優占した。好気性メタン資化細菌と同一種のゲノム配列は、幌延深地層研究所での先行研究で取得されており、活性酸素種からOを生成するcatalaseやsuperoxide dismutase、およびNOからN
とO
を発生する可能性のあるnitric oxide reductaseの遺伝子を有することがゲノム解析により明らかとなった。これらの結果から、EDZ割れ目における微生物のO
生成が示唆され、地下微生物の生息に有利な環境であると結論される。
西村 大樹*; 幸塚 麻里子*; 福田 朱里*; 石村 豊穂*; 天野 由記; 別部 光里*; 宮川 和也; 鈴木 庸平*
Environmental Microbiology Reports (Internet), 15(3), p.197 - 205, 2023/06
被引用回数:3 パーセンタイル:42.38(Environmental Sciences)地下深部の地下水は、微生物活動などにより酸素が消費され、一般に還元性になっている。幌延の深部地下水では、微生物活動による二酸化炭素還元反応により強還元雰囲気が維持されている。一方で、幌延深地層研究センター地下研究施設の一部のボーリング孔では、嫌気的環境にも関わらずメタン酸化機能を持つ微生物の存在が明らかにされている。局所的ではあるものの、地下深部の強還元雰囲気において進行する酸化反応機構の解明を目的として、本研究では、原位置の水質・水圧を模擬し、この嫌気的メタン酸化微生物の培養を行った。その結果、地下水中の懸濁物に含まれる非晶質鉄あるいは2八面体型スメクタイトに含まれる3価鉄が酸化剤として機能していることが分かった。このような酸化剤が地下深部に存在する要因の一つとして、ボーリングの掘削泥水などの掘削に伴う人為的影響が挙げられる。高レベル放射性廃棄物の地層処分において閉鎖後の処分場坑道周辺の酸化性環境は、周辺母岩中の鉱物との反応等により本来の還元性に戻ると考えられている。本研究で得られた知見は、この処分場閉鎖後の回復過程についてより正確な理解に繋がる成果である。
伊能 康平*; Hernsdorf, A. W.*; 今野 祐多*; 幸塚 麻里子*; 柳川 克則*; 加藤 信吾*; 砂村 道成*; 広田 秋成*; 東郷 洋子*; 伊藤 一誠*; et al.
ISME Journal, 12(1), p.31 - 47, 2018/01
被引用回数:54 パーセンタイル:90.03(Ecology)岐阜県瑞浪市の超深地層研究所において、深度300メートルの地下水を地下坑道から採取し、地下微生物の生態系を調査した。その結果、花崗岩深部でマグマ由来のメタンに依存した微生物生態系が存在することを明らかにした。
伊能 康平*; 今野 祐多*; 幸塚 麻里子*; 廣田 明成*; 東郷 洋子*; 福田 朱里*; 小松 大介*; 角皆 潤*; 田辺 章文*; 山本 智*; et al.
Environmental Microbiology Reports (Internet), 8(2), p.285 - 294, 2016/04
被引用回数:31 パーセンタイル:70.41(Environmental Sciences)瑞浪超深地層研究所の深度300mの花崗岩中の地下水を対象として、ボーリング孔を利用した微生物特性の調査を行った。ボーリング孔から得られた地下水は、当初、好気性の水素酸化に関わるHydrogenophaga spp.が優勢種であったが、3年後にはNitrospirae門の微生物が優勢種となった。後者の微生物種は系統学的に深部地下水や陸域の温泉水において観察される種であり、この地域の土着の微生物種と考えられた。
鈴木 庸平*; 今野 祐多*; 福田 朱里*; 小松 大介*; 廣田 明成*; 渡邊 勝明*; 東郷 洋子*; 森川 徳敏*; 萩原 大樹; 青才 大介*; et al.
PLOS ONE (Internet), 9(12), p.e113063_1 - e113063_20, 2014/12
被引用回数:14 パーセンタイル:38.53(Multidisciplinary Sciences)土岐花崗岩が対象として掘削された深層ボーリング孔において、深部地下水中の微生物特性の調査を行った。その結果、低硫酸濃度環境下において、微生物的硫酸還元に伴う硫黄同位体分別が認められた。また、硫黄同位体分別の大きな同位体比および炭素同位体比は、メタン生成菌の活性が低いことを示唆した。これらの特徴は、低栄養環境である深部火成岩中の微生物生態系の特徴と考えられた。
國丸 貴紀; 見掛 信一郎; 西尾 和久; 鶴田 忠彦; 松岡 稔幸; 石橋 正祐紀; 笹尾 英嗣; 引間 亮一; 丹野 剛男; 真田 祐幸; et al.
JAEA-Review 2013-018, 169 Pages, 2013/09
日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、「第1段階; 地表からの調査予測研究段階」、「第2段階; 研究坑道の掘削を伴う研究段階」、「第3段階; 研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなり、2011年度は、第2段階及び第3段階の調査研究を進めた。本報告書は、2010年度に改訂した「超深地層研究所地層科学研究基本計画」に基づいた、超深地層研究所計画の第2段階及び第3段階の調査研究のうち2011年度に実施した(1)調査研究、(2)施設建設、(3)共同研究等の成果を取りまとめたものである。
水野 崇; 青才 大介; 新宮 信也; 萩原 大樹; 山本 祐平; 福田 朱里
日本原子力学会和文論文誌, 12(1), p.89 - 102, 2013/03
本研究では瑞浪超深地層研究所の地下施設である研究坑道の建設に伴う地下水水質の変化を把握するため、研究坑道内において水質モニタリングを実施した。その結果、研究坑道掘削に伴う地下水の流動状態の変化により、水質分布が変化していることがわかった。特に立坑の坑底付近においては、溶存成分濃度が高い深部地下水の上昇による"upconing"現象が生じている。また、地下水のpHは立坑壁面に打設されたセメント等と接触することにより最大で12程度まで上昇し、研究坑道内に流入している。酸化還元電位については、研究坑道掘削前の状態からの変化が推定できるものの、還元環境を維持している。これらの結果は地下施設建設時における地下水水質の変化を把握するための技術基盤が整備されつつあることを示しており、地層処分事業における精密調査を進めるための知見として活用できると考えられる。
福田 朱里*; 萩原 大樹; 石村 豊穂*; 幸塚 麻理子*; 井岡 聖一郎*; 天野 由記; 角皆 潤*; 鈴木 庸平*; 水野 崇
Microbial Ecology, 60(1), p.214 - 225, 2010/05
被引用回数:31 パーセンタイル:65.69(Ecology)花崗岩深部においても微生物の生態系がみられることが知られているが、そのバイオマスや生物多様性,代謝活性を制限する地球化学的要因は明らかになっていない。今回、筆者らは地球化学特性と微生物学特性の関連性を明らかにするため、2005年及び2008年に瑞浪超深地層研究所(MIU)用地内に掘削されたMIZ-1号孔より深度1,169m地点において採取された地下水試料の生物地球化学的特性の調査を行った。化学分析の結果、いずれの試料においても酸素や硝酸,硫酸等の電子受容体は乏しいものの、有機酸を含まない有機炭素に富むことがわかった。いずれの地下水においても、優占する微生物種は、芳香族や脂肪族炭化水素のような利用されにくい電子供与体を利用可能な属に属する微生物であることがわかった。複数のエネルギー源や電子受容体を添加した3
5週間の培養試験では、培養試験の条件にかかわらず、優占種が
属へと変化した。これらの生物地球化学調査の結果から、MIU深部では、酸素や硝酸の電子受容体と有機酸が乏しいことから
属が優占する環境が保持されていると考えられる。
福田 朱里; 幸塚 麻理子*; 青才 大介; 萩原 大樹; 水野 崇; 鈴木 庸平*
no journal, ,
近年の分子系統学研究により、地層処分の対象となるような深部地下環境においてさまざまな微生物が生息し、その中には培養可能な近縁種が存在しない生理学的特性が未解明な微生物種が含まれていることが知られている。これら地下微生物の原位置における代謝様式・速度を明らかにするため、瑞浪超深地層研究所において深度別に採取した花崗岩中の地下水試料(深度99, 200, 300, 725, 1169m)を用いて、地下水の化学分析及び微生物群集構造解析と合わせて代謝活性実験を行った。地下水の化学分析では、全試料で溶存酸素,硝酸・亜硝酸イオン,有機酸濃度は検出限界以下であった。そのため、地下水の濃縮により微生物細胞と溶存成分の濃度をあげることで、短期間での高感度代謝活性実験を可能にした。その結果、花崗岩とそれを被覆している堆積岩の境界近傍の深度99mの微生物代謝活性が最も高く、それ以深は深度とともに低くなる傾向がみられた。また、微生物群集構造解析では深度に伴う優占微生物の遷移がみられ、深度99mと200mにおいて優占していた未知微生物については、代謝様式は不明であるが、代謝速度が遅いと推察された。
福田 朱里; 水野 崇; 青才 大介; 萩原 大樹; 山本 祐平; 新宮 信也; 伊藤 一誠*; 鈴木 庸平*; 幸塚 麻理子*; 今野 祐多*
no journal, ,
地層処分の安全評価に必要な深部化学環境とその形成プロセス及び長期的変遷の調査技術開発のため、原位置における微生物学的特性を明らかにし、化学環境形成や擾乱からの回復過程における微生物の役割を評価することを目的とし、地球化学分析,微生物群集構造解析,微生物代謝活性の評価を行った。これまでの研究により、土岐花崗岩から採取した地下水中の微生物の活性は低いことがわかっており、より短期で高感度な代謝活性測定方法の開発及び深度に伴う微生物学的特性の変化の解析を重点的に行った。地球化学分析の結果、酸素,硝酸・亜硝酸イオンは全深度で検出限界未満だったため、硫酸イオン以外の主な電子受容体は乏しいと推測された。微生物群集構造解析から深度に伴う優占微生物種の遷移がみられた。微生物代謝活性の評価により、花崗岩とそれを被覆している堆積岩の境界近傍の深度99mの微生物代謝活性が高く、それ以深は深度とともに低くなる傾向がみられた。本研究により、花崗岩深部において原位置の代謝活動は低いが、地下施設建設等による擾乱で酸素や硝酸が供給された場合、微生物による消費が期待されることが示された。
水野 崇; 萩原 大樹; 青才 大介; 新宮 信也; 山本 祐平; 福田 朱里
no journal, ,
超深地層研究所計画における第2段階での地下水の地球化学研究について、これまでに得られた成果をとりまとめた。その結果、(1)第1段階において構築した地球化学概念モデル妥当性確認方法の提示,(2)第2段階における地球化学概念モデルの構築,(3)地下施設で利用可能な調査技術の開発,(4)研究坑道内での採水調査における品質管理方法の構築、が成果として得られていることを示した。また、これらの成果については、地層処分事業の各調査段階に適切に反映できるほか、安全審査指針へも反映可能であると考えられる。
福田 朱里; 幸塚 麻理子*; 今野 祐多*; 青才 大介; 萩原 大樹; 水野 崇; 鈴木 庸平*
no journal, ,
深部地下環境には微生物が生息しており、その地下微生物の生理学的・系統学的多様性は地下水の地球化学環境に依存して変化する。瑞浪超深地層研究所における深度99mから1169mの深部花崗岩中の地下水の地球化学的特性に微生物が与える影響を定量的に評価するため、さまざまな好気及び嫌気的代謝活動を高感度に測定する手法を開発した。地下水のろ過により微生物細胞を約30倍に濃縮し、電子受容体とともに培養を行ったところ、好気呼吸活性は深度99mと175mにおいて400umol/L/year以上で、深くなるにつれ減少し、深度1169mで36umol/L/yearだった。硝酸還元活性は深度99mから308mにおいて増加した(4.3から37umol/L/year)が、それより深くなるにつれ減少し、深度1169mで0.20umol/L/yearだった。硫酸還元活性は1.4から3.2umol/L/yearの値で、深度200m以浅でしか検出されなかった。地下水系において酸素と硝酸が欠乏し、深度に伴い硫酸が緩やかに減少する理由として、本研究で求めた活性速度で行われている微生物代謝活動の影響が考えられる。本研究の予算の一部は、原子力安全・保安院の受託研究費を用いた。
今野 祐多*; 小松 大祐*; 西村 周作*; 福田 朱里; 青才 大介; 水野 崇; 長尾 誠也*; 角皆 潤*; 鈴木 庸平*
no journal, ,
水理・地球化学環境と地下微生物の代謝活動を担うエネルギー源の関係性を把握するため、花崗岩中の地下水試料を用いて、微生物のエネルギー源となり得る物質の分析により、微生物の代謝様式の推定を行った。瑞浪超深地層研究所の地上及び研究坑道内から掘削したボーリング孔より採取した地下水中の腐植物質様有機物の定量・定性,水素ガスの定量,硫酸・硫化物イオン,溶存無機炭素の定量及び安定同位体組成の分析を行った。その結果、腐植様物質は深度100から300mに向けて濃度が減少した。透水性の低い断層の両側に位置し、透水係数が異なる深度300mの2つのボーリング孔の酸化還元状態は、硫酸還元環境と二酸化炭素還元環境で異なることが示唆された。地下水流動が遅い場合、水-岩石-微生物反応にとって十分な反応時間が得られ、酸化剤の消費が進み、より還元的な化学環境が形成されると考えられる。したがってこれらの結果は、花崗岩中の地下水流動特性に従い、有機物に依存する硫酸還元(従属栄養)から地下由来のエネルギー源に依存する二酸化炭素還元(独立栄養)へのシフトを示唆し、地下深部において光合成由来物質が影響する限界に近付いていることを意味する。
水野 崇; 青才 大介; 新宮 信也; 萩原 大樹; 山本 祐平; 福田 朱里
no journal, ,
本発表は日本原子力研究開発機構が岐阜県瑞浪市において進めている超深地層研究所計画について、地下水の地球化学に関する調査研究の現状を2010年度の成果を中心に報告するものである。2010年度には、深度400m予備ステージより掘削長約70mの水平孔である10MI26号孔を掘削し、水質観測を開始するとともに、移流分散解析によりこれまでの水質分布の変化を解析的に検討することを行った。これらの結果、研究坑道掘削に伴う水質分布の変化が長期的な水質観測によって把握可能であることを示すことができた。また、水質分布が変化するプロセスを解析的なアプローチにより推定する手法を構築することができた。今後は、実測値に基づく水質分布変化のプロセスに関する概念化及びその概念に基づく移流分散解析により実測値と解析値の乖離を低減させることを課題として取り組んでいく予定である。
福田 朱里; 水野 崇; 青才 大介; 萩原 大樹; 山本 祐平; 新宮 信也; 竹野 直人*; 鈴木 庸平*; 今野 祐多*; 幸塚 麻理子*
no journal, ,
地層処分の安全評価に必要な深部化学環境及びその変動要因である微生物活動の調査技術開発のため、原位置における微生物代謝活性を空間的に把握し、酸化還元状態及び微生物活動の指標となる溶存ガスを定量的に評価することを目的とし、地球化学的特性と微生物学的特性の調査を行った。これまでの研究により、瑞浪超深地層研究所用地内及び周辺の土岐花崗岩から採取した地下水中の微生物の活性は低いこと、DNAの配列情報では代謝様式が未確定な微生物が優占していること、地下水中の溶存ガスは脱ガスにより定量的な評価が困難であることがわかってきている。そこで、さまざまな代謝様式を同時に評価可能な手法と溶存ガスの定量的な評価のためのサンプリング手法の確立を行った。全菌数測定の結果、全菌数は深度による有意な違いはみられなかった。微生物代謝活性の評価により、地質構造・水理・地球化学要因だけでなくボーリング孔の掘削条件なども大きな影響を与える因子であることが示唆された。また、サンプリング手法の改良により溶存ガスの定量分析が可能となり、溶存ガスの濃度や同位体比を酸化還元状態や微生物活動の指標に用いることが可能となった。
萩原 大樹; 新宮 信也; 大森 一秋; 福田 朱里; 岩月 輝希
no journal, ,
地震時及びその前後には、岩盤中の地下水に水理学的応答や水質変化が観測されることがあり、その要因として岩盤の透水性の変化や透水性割れ目に沿った地下水の移動などが挙げられている。本研究では、瑞浪超深地層研究所周辺において、東北地方太平洋沖地震及び岐阜県美濃東部を震源とする地震に伴う地下水の水圧・水質変化とその要因を考察した。その結果、地震時に地下水の水圧・水質変化が認められ、地下水の水圧上昇により、地下深部の地下水の流入の可能性が示唆された。
福田 朱里; 岩月 輝希; 新宮 信也; 大森 一秋; 萩原 大樹; 伊藤 一誠*; 東郷 洋子*; 鈴木 庸平*
no journal, ,
微生物活動が地下深部の地球化学環境や物質移動特性に与える影響にかかわる調査技術の構築のため、微生物学特性と地球化学特性の調査を行った。微生物群集の空間分布及び経時変化の解析のためDNA配列の解析を行った結果、深度に伴う地球化学環境の違いよりも、ボーリング孔掘削による酸素の混入等の擾乱が地下微生物群集に与える影響が大きいことがわかった。また、ボーリング孔掘削による擾乱から回復した環境に卓越する微生物種は、新規性の高い微生物であることが明らかとなった。地下微生物は代謝活性が低く、新規微生物の培養条件の検討は困難なため、培養に依存せずFISH法等の顕微鏡観察により、原位置の微生物活動を細胞単位で確認した。並びに、無機炭素・硫酸濃度の化学分析により、深度300m研究アクセス坑道からの水平ボーリング孔では立坑掘削による擾乱が少なく、最も還元的な微生物活動である二酸化炭素の還元が起こっていることが推測された。
福田 朱里; 幸塚 麻理子*; 今野 祐多*; 青才 大介; 新宮 信也; 萩原 大樹; 水野 崇; 鈴木 庸平*
no journal, ,
微生物は、地下の化学環境形成や維持において重要な役割を担っていることが知られている。そこで、微生物生態系の観点から地下水の化学環境を理解することを目的とし、瑞浪超深地層研究所において採取された花崗岩中の地下水試料を用いて、地球化学分析,微生物群集構造解析及び代謝活性の評価を行い、生物地球化学的特性の把握とそのための調査手法の開発を行った。採取した地下水試料の優占微生物は、既知の微生物との相同性から生理学的特性を推察することは難しかったが、本研究で行った代謝活性測定手法により、機能未知の微生物やボーリング孔掘削後に繁殖した好気性微生物を含む微生物群集の地下環境の形成・維持への影響の定量的評価が可能となった。本研究により、微生物が還元的な環境の形成・擾乱後の回復過程において重要な役割をもち、地球化学的特性と微生物学的特性の統合的調査の有用性が示された。
鈴木 庸平*; 福田 朱里; 今野 祐多*; 幸塚 麻理子*; 萩原 大樹; 青才 大介; 竹野 直人*; 水野 崇
no journal, ,
This study is aimed to understand the microbiological properties in deep granitic fresh water aquifer. As the result of investigation at two URLs, Mizunami Underground Research Laboratory and Grimsel Test Site, it is suggested that some microbes are cosmopolitan in the granitic freshwater aquifer and radionuclide interactions should be clarified to provide general and reliable information for the safety of geological disposal in granitic subsurface.
東郷 洋子*; 鈴木 庸平*; 福田 朱里; 水野 崇; 伊藤 一誠*
no journal, ,
地下水中に存在するコロイドは、放射性廃棄物の地層処分において、放射性核種の移行挙動に影響を及ぼす可能性がある。そのため、室内実験やフィールド調査,モデル解析等により、その定量的影響評価が検討されている。本研究では、コロイドを分子サイズごとに分離可能なサイズ排除クロマトグラフィーを誘導結合プラズマ質量分析装置に接続し(SEC-ICP-MS)、有機物と微量元素の同時検出を行うことで、地下水コロイドと核種アナログ元素の相互作用の検討を行った。地下水試料は日本原子力研究開発機構瑞浪超深地層研究所用地内に掘削されたボーリング孔(MSB-2号孔)の7区間(深度19-175m)から採取した。アルミニウムバッグに嫌気条件で採取した地下水試料を用いて紫外検出(280nm)及び蛍光検出(励起波長320nm,蛍光波長430nm)を行った。高速液体クロマトグラフィーをICP-MSに接続し、同時にAl, Fe, Co, Y, I, La, Ce, Lu, Uの測定を行った。その結果、コロイド態の割合は明らかではないが、浅層の堆積岩中ではコロイド態のY, La, Ceが存在していることが明らかとなった。また、Iはいずれの深度でもおもに無機態として存在していた。