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湯口 貴史*; 遠藤 京香*; 鈴木 哲士*; 小北 康弘; 坂田 周平*; 横山 立憲; 井村 匠*; 大野 剛*; 笹尾 英嗣
Lithos, 494-495, p.107909_1 - 107909_14, 2025/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Geochemistry & Geophysics)花崗岩質マグマ溜りプロセスの解明のために、東北日本、北上山地の久喜花崗岩体に産出するジルコンの成長の特徴を明らかにした。分離ジルコンの複数断面と薄片中のジルコンに基づいて、ジルコンU-Pb年代、Ti濃度、Th/U比とジルコンの内部組織とを3次元的に関連付けるとともに、他の鉱物との晶出順序について検討した。ジルコンの内部組織には、低ルミネッセンスの均質なコア(LLC)と反復累帯構造(OZ)が見られた。LLCとOZはそれぞれ900-800C、850-700
Cの結晶化温度を有し、LLCのTh/U比はOZよりも高い。これは、マグマ溜りの冷却に伴う漸進的な分別結晶作用によりLLCからOZへの遷移を生じたことを示唆する。分別結晶作用が進行し、マグマ温度の低下により拡散速度が減少することが、界面反応律速によるLLCの形成から拡散律速によるOZの形成への遷移を引き起こしたと考えられる。薄片での分析では、異なる鉱物に含まれるジルコンでは異なるTh/U比を有することがわかった。周辺鉱物によるTh/U比や結晶化温度の違いは、広い温度範囲にわたるマグマ分化や鉱物の結晶化を明らかにすることに有用である。
鈴木 哲士*; 湯口 貴史*; 石黒 啓斗*; 遠藤 京香*; 加藤 あすか*; 横山 公祐*; 小北 康弘; 横山 立憲; 坂田 周平*; 大野 剛*; et al.
Journal of Mineralogical and Petrological Sciences (Internet), 119(1), p.230807_1 - 230807_18, 2024/02
被引用回数:1 パーセンタイル:56.88(Mineralogy)沈み込み帯における火成活動は、地下深部での熱や物質の供給の観点から重要な地質現象である。火成活動がとりわけ大規模であった時期(フレアアップ)には、大量のマグマが生成されることで大陸地殻の発達・進化が促進されたと考えられるが、詳細なマグマ溜りプロセスについての理解は乏しい。そこで本研究では、フレアアップ期の沈み込み帯におけるマグマ溜りプロセスの時空間変化を明らかにすることを目的とし、北上山地の白亜紀深成岩体のひとつである久喜花崗岩体の岩石学的、年代学的研究を行った。久喜岩体の標高ごとの岩石サンプルのモード組成や全岩化学組成は、久喜岩体での鉛直方向の分別結晶作用が生じたことを示唆する。ホルンブレンドに対して地質温度圧力計を適用したところ、定置深度は約10km、温度条件は800Cから730
Cとなった。ジルコンに対するU-Pb年代・Ti濃度定量分析の結果から、久喜岩体は約125Maに900
Cから700
Cまでの冷却を受けたことが明らかとなった。また、ジルコンのTh/U比と結晶化温度の関係から、900
Cから800
Cまでに分別結晶作用が大きく寄与したこと、岩体の深度方向でその傾向が一様であることが示唆される。
湯口 貴史*; 伊藤 大智*; 横山 立憲; 坂田 周平*; 鈴木 哲士*; 小北 康弘; 八木 公史*; 井村 匠*; 甕 聡子*; 大野 剛*
Lithos, 440-441, p.107026_1 - 107026_14, 2023/03
被引用回数:2 パーセンタイル:37.10(Geochemistry & Geophysics)本研究は、花崗岩質プルトンのジルコン成長過程を解明するために、3次元立体的なカソードルミネセンス(CL)パターン,U-Pb年代,チタン濃度,Th/U比の変動に基づく新しいアプローチ方法を提案するものである。また、本研究では、九州中央部に位置する大崩山花崗岩(OKG)のジルコン成長過程に着目し、この方法を用いて花崗岩質プルトンの形成に至るマグマ溜まりでの結晶化プロセスの解明を目的とした。大崩山花崗岩体は黒雲母花崗岩(BG),角閃石花崗岩(HG),角閃石花崗閃緑岩(HGD)の3つの岩相から構成されている。まず、ジルコン結晶の3次元内部構造と成長様式を明らかにするため、試料の多断面についてCL観察を行った。同時に、試料の中心部のジルコンのU-Pb年代とチタン濃度も測定した。CLパターンから確認できるオシラトリーゾーニングの3次元分布からは、結晶核を決定することができる。花崗岩試料のジルコンU-Pb年代とTi濃度の同時測定は、花崗岩マグマが固化するまでの時間-温度(t-T)履歴を示すものである。BG, HG, HGDの温度履歴はマグマ溜り内での類似した冷却挙動を示し、16Maから10Maの間にジルコン結晶化温度から黒雲母K-Ar系の閉鎖温度まで急速に冷却されたことがわかった。また、Th/U比の温度に対する変化も、約670Cの境界で異なる傾向を示した。マグマ溜まりでの分別結晶は670
C以上で著しく進行し、670
C以下では結晶化が緩やかになり、マグマ組成の変化が小さくなっていたことが示された。BG, HG, HGDの温度に対するTh/U比の変化は共通の傾向を示し、すなわち大崩山花崗岩体の3つの岩相の分別結晶化の進行は同じ挙動を示し、マグマ溜り全体で同じ挙動を示すことが示された。
湯口 貴史*; 山嵜 勇人*; 石橋 梢*; 坂田 周平*; 横山 立憲; 鈴木 哲士*; 小北 康弘; 三戸 和紗*; 井村 匠*; 大野 剛*
Journal of Asian Earth Sciences, 226, p.105075_1 - 105075_9, 2022/04
被引用回数:8 パーセンタイル:60.14(Geosciences, Multidisciplinary)LA-ICP質量分析法によりジルコンのシングルスポットからU-Pb年代とチタン濃度を同時に取得することで、花崗岩質マグマの時間-温度履歴を解明するのに必要なジルコンの結晶化年代と結晶化温度を推定することができる。黒部川花崗岩体は、苦鉄質火成包有物(MMEs)を多量に含む岩体である。本研究では、このMMEsに対してジルコンのU-Pb年代とチタン濃度を同時に取得する方法を適用した。MMEs及び母岩について共通の冷却過程が認められ、この冷却は150万年前から50万年前に生じたことが明らかとなった。また、ジルコンの結晶化温度から黒雲母K-Ar系の閉鎖温度にかけての冷却は、100万年以内に急冷したことが分かった。本研究によって得られた時間-温度履歴と母岩の岩石学的記載から、マグマチャンバーを通じたMMEsの浮揚、移動、拡散が150-50万年前に停止したことが示唆され、また、それ以降に大規模な温度上昇が生じていないことから、この時期に黒部川花崗岩体が定置したと考えられる。
鈴木 哲士*; 湯口 貴史*; 石黒 啓斗*; 遠藤 京香*; 加藤 あすか*; 横山 公祐*; 小北 康弘; 横山 立憲; 坂田 周平*; 大野 剛*; et al.
no journal, ,
島弧-海溝系の沈み込み帯におけるマグマの発生は、大陸地殻の発達・進化において重要な地質現象である。北上山地に分布する白亜紀深成岩体では、化学組成の特徴やマグマの起源に基づき2種類のマグマ(アダカイト質、非アダカイト質)が累帯状の岩体を形成するモデルが提案されている(例えば、土谷ほか, 2015)。しかし、北上山地には久喜花崗岩体のような、アダカイト質岩を伴わない岩体も存在する。そのような岩体を構成する非アダカイト質マグマは、アダカイト質マグマとは異なるマグマ溜りプロセスを辿ったことが想定されているが、その詳細なプロセスは明らかにされていない。そこで本研究では、久喜花崗岩体を対象として、マグマの発生から地殻への貫入・定置プロセスの解明を目的として、岩石学的研究と年代学的研究を実施した。久喜花崗岩体のホルンブレンドの化学組成に基づき、久喜花崗岩体の温度・圧力履歴を推定したところ、800Cから730
Cへの冷却では圧力(深度)の変化が認められず、深度約9から10kmにマグマが定置したと解釈できる。ジルコンU-Pb年代、Ti濃度の同時分析を行ったところ、マグマ溜りが約125Maにおいて約900
Cから700
Cまで冷却したことが明らかとなった。マグマの分別結晶作用の程度の指標となるジルコンのTh/U比は、ジルコンの結晶化温度が800
C以上と800
C以下で異なる傾向が認められた。これは、800
C以上ではマグマ溜り内での鉱物の分別が800
C以下に比べて活発であったことを示す。これらのことをまとめると、久喜花崗岩体を形成したマグマ溜りは、約125Maにおいて、比較的活発な分別結晶作用(ホルンブレンドやジルコンの晶出)を生じながら深度約9から10kmに温度800
Cで定置し、その後、比較的穏やかな分別結晶作用を生じつつ冷却し、約700
Cにおいてホルンブレンドとジルコンの結晶化が終了したと考えられる。
小北 康弘; 三戸 和紗*; 石橋 梢*; 坂田 周平*; 大野 剛*; 鈴木 哲士*; 横山 立憲; 鏡味 沙耶; 長田 充弘; 湯口 貴史*
no journal, ,
本研究では、遠野岩体の各岩相の貫入・定置年代とその時の温度条件を明らかにし、岩相ごとの温度-時間履歴に制約を与えることを目的として、遠野岩体の3岩相それぞれに含まれるジルコンを対象にU-Pb同位体分析とTi濃度定量分析を実施し、ジルコンの結晶化年代と結晶化温度を推定した。さらに、ジルコンのHf同位体組成から、各岩相の起源マグマに関する議論も行う。
鈴木 哲士*; 浅井 信夫*; 中島 和夫*; 小北 康弘; 横山 立憲; 坂田 周平*; 大野 剛*; 長田 充弘*; 湯口 貴史*
no journal, ,
島弧-海溝系の沈み込み帯におけるマグマの発生は、大陸地殻の発達・進化において重要な地質現象である。北上山地に分布する白亜紀深成岩体は、化学組成の特徴やマグマの起源に基づき2種類のマグマ(アダカイト質、非アダカイト質)が累帯状の岩体を形成するモデルが提案されている(例えば、土谷ほか、2015)。しかし、北上山地には堺ノ神深成岩体のような、アダカイト質岩を伴うものの明瞭な累帯状の岩相分布を示さない岩体も存在し、そのような岩体は土谷ほか(2015)のモデルとは異なる形成様式を持つ可能性がある。そこで本研究では、堺ノ神深成岩体を対象として、マグマの発生から地殻への貫入・定置プロセスの解明を目的として、岩石学的研究と年代学的研究を実施した。ホルンブレンドの化学組成に基づき、アダカイト質マグマと非アダカイト質マグマそれぞれの温度、圧力条件を推定した。アダカイト質マグマは850Cから740
Cへの冷却に伴い、深度11kmから5kmに上昇したことがわかった。一方で、非アダカイト質マグマは940
Cから700
Cへの冷却に伴い、およそ深度22kmから6kmに上昇したと解釈できた。最終的に2種類のマグマは、深度約4-7kmに温度700
C で定置したことが示唆された。ジルコンU-Pb年代・Ti濃度同時測定から、ジルコン結晶化時のアダカイト質マグマと非アダカイト質マグマそれぞれの時間-温度履歴を推定したところ、アダカイト質マグマは約120Maに940
Cから740
Cまで冷却したのに対して、非アダカイト質マグマは約125Maに1070
Cから830
Cまで冷却したと解釈できた。さらに、マグマの起源の相違を示すジルコンHf同位体組成を組み合わせて、アダカイト質マグマと非アダカイト質マグマの発生から貫入・上昇、定置、固化に至るまでのプロセスの相違について報告する。
小北 康弘; 坂田 周平*; 大野 剛*; 横山 立憲; 鈴木 哲士*; 遠藤 京香*; 湯口 貴史*
no journal, ,
ジルコンU-Pb年代は火成活動の時期の指標として広く用いられる一方で、ジルコンの結晶化に数百万年程度の期間の幅があるケースが報告されている。ジルコンのU-Pb年代測定から得られる年代値は、あくまでジルコンの結晶化年代を示すに過ぎず、マグマ溜りプロセスをより精緻に議論するためには岩石学的情報を踏まえた解釈が必要となる。そこで本研究では、単一の花崗岩体におけるジルコンの結晶化条件(年代、温度)を、ジルコン周辺の鉱物との晶出関係と関連させて解釈を行うことを目的として、薄片中のジルコンに対して結晶化年代、結晶化温度の推定を実施した。試料として、北上山地の遠野複合深成岩体の岩石サンプルを用いた。それぞれのサンプルで薄片を作製し、ジルコンのカソードルミネッセンス像観察とジルコンU-Pb年代及びTi濃度の同時取得分析を行った。その結果、産状によるジルコンの結晶化年代、結晶化温度に明瞭な相違が認められないことから、ジルコンやその周囲の鉱物の晶出が同じ時間、温度条件で並行して進んだことが明らかとなった。このことは、遠野岩体を形成したマグマ溜りの急速な冷却を示唆する。
湯口 貴史*; 伊藤 大智*; 横山 立憲; 坂田 周平*; 鈴木 哲士*; 小北 康弘; 八木 公史*; 井村 匠*; 甕 聡子*; 大野 剛*
no journal, ,
本研究では、花崗岩体中のジルコン成長プロセスを評価するために、三次元的なカソードルミネッセンス(CL)パターン,U-Pb年代,チタン濃度,Th/U比を組み合わせた新たな手法を提案する。また大崩山花崗岩体のジルコンの成長から、マグマ溜りプロセスの発達に関する検討を行った。大崩山花崗岩体は鉛直方向に変化する3つの岩相から構成される。試料はそれぞれの岩相から採取した。ジルコン結晶の三次元な成長様式は、ジルコンの複数断面から得られたCLパターンから評価した。花崗岩体のジルコンU-Pb年代とチタン濃度の同時定量は、ジルコンの結晶化年代と温度の決定を可能にし、花崗岩質マグマの温度時間履歴の導出を可能にする。また、本研究で実施するU-Pb年代とチタン濃度の同時定量は、ジルコンの結晶化温度の変化とTh/U比の変化を関連付けること、さらには、マグマ溜り中の温度変化に対する分別結晶の程度の変化を論ずることを可能にする。
鈴木 哲士*; 浅井 信夫*; 中島 和夫*; 小北 康弘; 横山 立憲; 坂田 周平*; 大野 剛*; 湯口 貴史*
no journal, ,
島弧-海溝系の沈み込み帯ではしばしば、マグマの生成量が増加する時期「フレアアップ」が存在し、東北日本の北上山地に分布する白亜紀深成岩体はフレアアップによって形成されたことが報告されている。北上山地の白亜紀深成岩体の中には、沈み込み帯で一般的に形成されるカルクアルカリからショショナイト質マグマの他にアダカイト質マグマの活動が関与すると考えられる岩体が存在するが、それらのマグマの貫入・定置機構(特にマグマの貫入・上昇、定置、固化に至るまでの冷却過程、貫入速度)は不明瞭である。そこで本研究では、カルクアルカリからショショナイト質マグマとアダカイト質マグマの両方から形成されたと考えられる堺ノ神深成岩体を対象として、その貫入・定置機構を明らかにすることを目的として岩石学的・年代学的研究を行った。岩体の広域的な範囲から岩石サンプルを採取し、露頭情報、モード、全岩化学組成などの空間的岩石学的特徴を把握した。これに加え、ホルンブレンドを用いた地質温度・圧力計から温度・圧力条件を導出するとともに、ジルコンU-Pb年代・Ti濃度同時定量を行うことで温度・時間履歴を構築した。本報告では、これら温度・圧力履歴と温度・時間履歴を組み合わせることで、マグマの貫入・上昇、定置、固化に至るまでの冷却過程、およびマグマの定性的な貫入速度の違いの議論を行う。