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Uddin, M. N.*; 下山 巖; 関口 哲弘; Nath, K. G.*; 馬場 祐治; 永野 正光*
JAEA-Research 2006-034, 72 Pages, 2006/06
イオンビーム蒸着法によりホウ素,炭素,窒素からなる二次元薄膜(B-C-Nハイブリッド薄膜)を合成し、その電子構造と立体構造を放射光を用いた内殻分光法により調べた。B-C-Nハイブリッド薄膜は、種々の温度で高配向性熱分解グラファイト(HOPG)表面にボラジンガスの放電により生成したプラズマを蒸着させることにより合成した。薄膜の構造はX線光電子分光法(XPS)及びX線吸収端微細構造法(NEXAFS)によりその場観察した。XPS測定の結果、薄膜中のホウ素,炭素,窒素原子はB-C, B-N, B-C-Nなど種々の結合状態をとることがわかった。B-C-Nハイブリッドは高温で作成するほど効率よく生成し、ホウ素の濃度が低い領域ではB-C-N結合をもつ薄膜の生成が支配的になることを明らかにした。NEXAFSスペクトルには、B 1s軌道から的性格を持つ価電子帯の非占有軌道への共鳴吸収によるピークが明瞭に観測された。このピークの偏光依存性を調べた結果、ホウ素の濃度が低い領域においてグラファイトと同様な配向性をとる二次元状のB-C-Nハイブリッド薄膜が安定に存在することを明らかにした。
Uddin, M. N.*; 下山 巖; 馬場 祐治; 関口 哲弘; Nath, K. G.*; 永野 正光*
Journal of Applied Physics, 99(8), p.084902_1 - 084902_5, 2006/04
被引用回数:5 パーセンタイル:16.74(Physics, Applied)六方晶グラファイトと同様の構造を持つホウ素-炭素-窒素系ハイブリッド薄膜の作成条件の検討と構造解析を行った。試料は、配向性グラファイト表面にベンゼン状の有機分子であるボラジン(BN
H
)イオンプラズマを注入することにより作成した。表面の構造は、X線光電子分光法(XPS)及び直線偏光した放射光を用いたX線吸収微細構造法(NEXAFS)によりその場観察した。XPS測定の結果、作成したB-C-N薄膜中のホウ素原子は、B-C, B-N, B-C-Nなどさまざまな結合状態をとることがわかった。ホウ素K-吸収端のNEXAFSスペクトルには、B 1s軌道から価電子帯の
*軌道及び
*軌道への共鳴吸収ピークが明瞭に認められた。このことは、ホウ素原子が、となりの原子とsp2結合を形成することを示唆している。800
Cにおいて作成したB-C-N薄膜のホウ素K-吸収端のNEXAFSスペクトルにおけるB 1s
*共鳴吸収ピークは、グラファイトのC 1s
*共鳴吸収ピークと同様の偏光依存性を示した。この結果から、六方晶グラファイトと同様の配向性を持つB-C-Nハイブリッド薄膜が安定に存在することを明らかにした。
関口 哲弘; 馬場 祐治; 下山 巖; Nath, K. G.*; Uddin, M. N.*
Journal of Physics; Condensed Matter, 17(36), p.5453 - 5466, 2005/09
被引用回数:1 パーセンタイル:5.90(Physics, Condensed Matter)ハロゲン置換,NCO-基置換した有機シリコン化合物について、その凝集試料のSi K吸収端近傍におけるX線吸収スペクトル(NEXAFS)測定とその偏光依存性測定を行い、その電子状態及び分子配向性、特に配向性が発生する機構を明らかにした。凝集表面において分子間の双極子-双極子相互作用により反平行配置を取りやすく、それが系全体の平均配向として現れること、正四面体型分子に近い構造の場合ほど最密充填構造をとり水平配向度が高くなる傾向があるなどのことが明らかとなった。また、スペクトルの蒸着速度依存性測定から動力学的要因によっても分子軸配向が影響を受けることを明らかにした。
Uddin, M. N.; 下山 巖; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 永野 正光*
Journal of Vacuum Science and Technology A, 23(3), p.497 - 502, 2005/05
被引用回数:40 パーセンタイル:77.28(Materials Science, Coatings & Films)B-C-Nハイブリッドは新奇半導体材料として注目されており、これまでさまざまな合成方法が試みられてきた。しかし合成された試料の多くはグラファイトと窒化ホウ素(BN)の混晶とともにさまざまな化合物を含み特定の結晶構造をもった単一成分の合成に成功した例はまだない。したがって合成方法の開発はまだ発展段階にある。われわれはイオン注入法を用いてその合成を試み、生成物のキャラクタリゼーションをX線光電子分光法(XPS)を用いて行った。イオン注入の供給ガスとしてはボラジン(BN
H
)を用い、室温,600
C、及び850
Cの3つの温度でグラファイトにイオン注入を行った。各温度におけるさまざまなイオンフルエンスで測定されたXPSスペクトルにおいてB-C, B-N, N-C、及びB-C-N結合形成が観測された。これらの結合状態は基板温度とイオンフルエンスに大きく依存し、B-C-Nハイブリッド成分が高温,低フルエンスにおいて成長したことから、温度・フルエンスによりB-C-Nの組成を制御することが可能であることを示した。
Uddin, M. N.; 下山 巖; 馬場 祐治; 関口 哲弘; Nath, K. G.; 永野 正光*
Applied Surface Science, 241(1-2), p.246 - 249, 2005/01
被引用回数:8 パーセンタイル:36.25(Chemistry, Physical)類似化合物であるグラファイトと六方晶窒化ホウ素はそれぞれ半金属と絶縁体であって電子構造は全く異なる。これにより両者のハイブリッド材料(B-C-Nハイブリッド)半導体的性質を持つことが期待されている。われわれはB-C-Nハイブリッドを合成するためにグラファイトにボラジン(BN
H
)をイオン注入することによりB-C-Nハイブリッド合成を試みた。実験は高エネルギー加速器研究機構放射光施設で行った。室温及び、YAGレーザーで600
Cに加熱したグラファイトに3keVに加速したボラジンのプラズマをさまざまなフルエンスで打ち込み、B原子周囲の化学結合状態について光電子分光法(XPS)を用いて調べた。室温,600
CでのB1s XPSスペクトルはともにB-C, B-N, B-C-N結合に由来するさまざまな成分を示したが、各成分の強度比は温度とフルエンスに大きく依存した。特にB-C-Nに帰属されるピークは室温で合成した試料に比し600
Cで合成した試料において大きく成長し、ドミナントな成分になることが確認された。この結果によりB-C-Nハイブリッドは高温でのイオン注入により優先的に合成されることを示した。
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no journal, ,
半金属のグラファイトと絶縁体の六方晶窒化ホウ素(h-BN)の中間の組成をとるハイブリッド構造(B-C-Nハイブリッド)は半導体的な電気特性を持ち、その電子構造は組成と原子配置に大きく依存することが理論的に報告されているが、生成物のほとんどはさまざまな結合の組合せによる複雑な構造をとるため構造は不明な点が多い。そこでまずわれわれは局所的な結合状態を明らかにするため吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)分光法を用いた構造解析を行った。ボラジンをイオン化して得られるフラグメントイオンをグラファイトにイオン注入し、フルエンスを制御することでさまざまな組成のB-C-N薄膜を作成した。得られた薄膜のB及びN K端におけるNEXAFSスペクトルはフルエンスに依存して大きな変化を示した。また、低フルエンスで得られた試料のNEXAFSスペクトルは異なる偏光依存性を持つ複数のピークを示した。これらの結果はBNとは異なる立体配置と組成を持つ幾つかの局所構造が形成されたことを示している。われわれはこの密度汎関数法を用いたモデルクラスターの電子構造と比較することにより、B-C-Nハイブリッドの局所構造に関するモデルについて考察を行う。
下山 巖; 馬場 祐治; 関口 哲弘; Uddin, M. N.*; 永野 正光*
no journal, ,
炭素材料へのヘテロ原子ドーピングにより形成される炭素アロイは触媒や半導体材料などの応用が期待されているが、ドーパント原子周囲の複雑な化学結合状態により構造解析は困難でドーピングと機能性との関連は十分明らかになっていない。そこでわれわれはボラジンを用いてBN共ドーピングしたグラファイトに対して吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)の偏光依存性を調べ、ドーパント周囲の立体配置を調べた。低フルエンスで得られた試料のNEXAFSスペクトル中にはグラファイト的な大きな偏光依存性を示す*ピークと、それよりも小さい偏光依存性を持つ成分が観測された。この結果は歪んだ平面構造の立体配置を持つ局所構造の存在を示唆する。われわれは分子軌道計算を用いたクラスターの構造安定性の考察に基づいてグラファイトへのBNドーピングが5員環形成を誘起することを示し、この局所構造が5員環と6員環から形成されるフラーレンライク(FL)構造に起因することを提案する。また、FL構造とグラファイト構造の電子状態の比較から、期待される反応性の違いについても報告する。
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no journal, ,
グラファイト状炭窒化ホウ素(B-C-N)は組成と原子配置に依存して金属から半導体までさまざまな電子構造をとることが期待されているが、複雑な化学結合状態の混在により構造解析は難しく、得られた材料の原子配置に関してはほとんどわかっていない。われわれは、ボラジンを用いたイオンビーム堆積法によりグラファイト表面にB-C-N薄膜を合成し、NEXAFS分光法によりその局所構造について調べた。B及びN吸収端においてNEXAFSスペクトルはグラファイト的な偏光依存性を示し、主な副生成物である六方晶窒化ホウ素には観測されない複数の*ピークを低エネルギー領域に示した。これらの
*ピークは低フルエンスにおいて強く観測され、グラファイトへのB, Nドーピングによって得られた何らかのB-C-N化合物に起因した成分であることを示唆する。そこでわれわれはグラファイト構造を持つ複数のモデルクラスターの部分状態密度をab initio分子軌道法によって計算し、実験結果と比較した。われわれは
*ピークの相対強度と原子配置の間にある相関関係からB-N間の分極を阻害しないようにB, C, N原子が配置されるという法則について提案する。
関口 哲弘; 馬場 祐治; 下山 巖; Nath, K. G.*; Uddin, M. N.*
no journal, ,
ハロゲン置換,NCO-基置換した有機シリコン化合物(CH)
SiX(X = F, Cl, Br, I, NCO)について、その凝集試料のSi K吸収端近傍におけるX線吸収スペクトル(NEXAFS)測定とその偏光依存性測定を行った。NEXAFSスペクトルの偏光依存性から塩素体のSi-X結合が最も顕著な水平配向を示すことが明らかとなった。その電子状態及び分子配向性が発生する機構を熱力学データ,モデルクラスター分子の安定化構造,モル分子容,分子形状(全電子密度),双極子モーメントをもとに考察した。結論として、凝集表面において分子間の双極子-双極子相互作用により反平行配置を取りやすく、それが系全体の平均配向として現れること、正四面体型分子に近い構造の場合ほど最密充填構造をとり水平配向度が高くなる傾向がある。また、スペクトルの蒸着速度依存性測定から動力学的要因によっても分子軸配向が影響を受けることを明らかにした。
Uddin, M. N.*; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 永野 正光*
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半金属のグラファイトと絶縁体の六方晶窒化ホウ素(h-BN)の中間の組成をとるハイブリッド構造(B-C-Nハイブリッド)は組成と原子配置に依存して広い範囲のバンドギャップをカバーする2次元半導体となることが理論的に報告されている。しかし、合成された試料のほとんどはさまざまな結合の組合せによる複雑な結合状態をとるため構造に関して不明な点が多い。そこでわれわれは吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)分光法を用いた構造解析を行った。ボラジンのイオン化により得られるフラグメントイオンを3keVでグラファイトにイオン注入し、フルエンスと試料温度を制御することでさまざまな組成のB-C-N薄膜を作成した。500Cで合成した試料のNEXAFSスペクトルは偏光依存性を示し、さらにh-BNの
*ピークの低エネルギー側に観測された複数の
*成分は異なる偏光依存性を持つことがわかった。この結果はB-C-N薄膜中に平面構造から歪んだ立体配置をとる局所構造が存在していることを示唆している。これらの成分の解釈を行うために幾つかのモデルクラスターを用いてDV-X
分子軌道計算を行い、実験結果との比較を行う。
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炭素材料中へのBやNなどヘテロ原子のドーピングは、触媒活性の向上などの物性制御に用いられることが期待されているが、ドーパント周囲の構造は不明な点が多く、物性との関連も十分解明されてはいない。われわれはB, N共ドーピングしたグラファイトをNEXAFS分光法を用いて調べ、分子軌道法でその解析を行った。イオン注入法を用いてBN共ドーピングした高配向グラファイトのB, N K端NEXAFSスペクトルはグラファイト的な偏光依存性を示すとともに、副生成物であるh-BNのピークに比べてグラファイト中にドープされたB及びNに起因する
ピークは小さな偏光依存性を持つことが明らかにされた。この結果はドーパント付近で歪んだ平面構造を持つ立体配置が形成されたことを示唆する。われわれは5員環を含む曲面構造がその原因ではないかと考え、6員環だけからなる平面構造のものと5員環を含む曲面構造をとる2種類のモデルクラスターについて構造安定性を比較した。その結果B, N置換前に比べ置換後のモデルクラスターの生成熱差が大幅に低下するケースが見られた。この結果はB, N置換により5員環形成が誘起されるというわれわれの予想を裏付けている。
下山 巖; 馬場 祐治; 関口 哲弘; Uddin, M. N.*; 永野 正光*
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グラファイト状炭窒化ホウ素(B-C-N)は組成と原子配置に依存して金属から半導体までさまざまな電子構造をとることが期待されているが、複雑な化学結合状態の混在により構造解析は難しく、得られた材料の原子配置に関してはほとんどわかっていない。われわれは、ボラジンを用いたイオンビーム堆積法によりグラファイト表面にB-C-N薄膜を合成し、NEXAFS分光法によりその局所構造について調べた。B及びN吸収端においてNEXAFSスペクトルはグラファイト的な偏光依存性を示し、主な副生成物である六方晶窒化ホウ素には観測されない複数のピークを低エネルギー領域に示した。これらの
ピークは低フルエンスにおいて強く観測され、グラファイトへのB, Nドーピングによって得られた何らかのB-C-N化合物に起因した成分であることを示唆する。そこでわれわれはグラファイト構造を持つ複数のモデルクラスターの部分状態密度をab initio分子軌道法によって計算し、実験結果と比較した。われわれは、
ピークの相対強度と原子配置の間にある相関関係からB-N間の分極を阻害しないようにB, C, N原子が配置されるという法則について提案する。
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発光素子や触媒などの応用が提案されているB-C-Nハイブリッドは結晶構造・組成・原子配置に依存して多様な電子構造をとることが理論的に予測されており、これまでさまざまな手法で合成が試みられてきた。しかし合成された試料の構造は不明な点が多い。そこでわれわれはその局所構造を調べるため吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)分光法を用いた構造解析を行った。ボラジンのイオン化により得られるフラグメントイオンを3keVでグラファイトにイオン注入し、さまざまな組成のB-C-N薄膜を作成した。高温で合成した試料のNEXAFSスペクトルにはグラファイト的な偏光依存性を持つ複数のピーク中に異なる偏光依存性を持つ成分が存在することがわかった。この結果はB-C-N薄膜中にグラファイト的な平面構造と歪んだ平面構造が存在していることを示唆する。われわれはB, C, Nからなる幾つかの炭素モデルクラスターの生成熱を比較し、グラファイトのB, N置換により5員環形成が誘起されることを見いだした。そこでわれわれは歪んだ平面構造が5員環と6員環からなるフラーレン構造に起因することを提案する。
下山 巖; Uddin, M. N.*; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 永野 正光*
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半金属のグラファイトと絶縁体の六方晶窒化ホウ素(h-BN)の中間の組成をとるハイブリッド構造(B-C-Nハイブリッド)は半導体的な性質を持ち、組成と原子配置に依存してさまざまな電子構造を持つことが理論的に報告されているが、これまでのところ生成物の構造は不明な点が多い。そこでわれわれは局所的な結合状態を明らかにするため吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)分光法を用いた構造解析を行った。ボラジンをイオン化して得られるフラグメントイオンをグラファイトにイオン注入し、フルエンスを制御することでさまざまな組成のB-C-N薄膜を作成した。得られた薄膜のB及びN K端におけるNEXAFSスペクトルはフルエンスに依存して大きな変化を示し、低フルエンスで得られた試料には異なる偏光依存性を持つ複数のピークが観測された。この結果はB及びNサイトで歪んだ平面構造が形成されたことを示唆する。そこでわれわれは幾つかのモデルクラスターについて空準位の部分状態密度を分子軌道法を用いて計算し、NEXAFSスペクトルとの比較からこの歪んだ平面構造がフラーレンライク構造であることを提案する。
下山 巖; 馬場 祐治; 関口 哲弘; Uddin, M. N.*; 永野 正光*
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炭素材料にヘテロ原子をドーピングして形成されるさまざまな炭素アロイは触媒や半導体材料などの応用が期待されている。しかし、ドーパント原子がとりうるさまざまな化学結合状態により構造解析は困難でドーピングと機能性との関連は十分明らかになっていない。そこでわれわれはBN共ドーピングしたグラファイトに対して吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)の偏光依存性を調べ、ドーパント周囲の立体配置を調べた。低フルエンスで得られた試料のNEXAFSスペクトル中にはグラファイト的な大きな偏光依存性を示す*ピークと、それよりも小さい偏光依存性を持つ成分が観測された。この結果は歪んだ平面構造の立体配置を持つ局所構造の存在を示唆する。われわれは分子軌道計算を用いたクラスターの構造安定性の考察に基づいてグラファイトへのBNドーピングが5員環形成を誘起することを示し、この局所構造が5員環と6員環から形成されるフラーレンライク(FL)構造に起因することを提案する。また、FL構造とグラファイト構造の電子状態の比較から、FL構造の持つ反応性についても報告する。
関口 哲弘; 馬場 祐治; 下山 巖; 平尾 法恵*; Nath, K. G.*; Uddin, M. N.*
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光子エネルギー可変性,偏光特性,パルス性といった放射光の特長を活かし、超高真空容器内で回転可能な飛行時間質量分析装置(R-TOF-MS)を開発した。それを使い、脱離イオン収量の励起スペクトルを測定することができる。内殻励起とオージェ過程の両者が局在した原子内過程であり、励起原子近傍で解離が起こるため、それは特定の化学結合に関する部分X線吸収断面積をもたらす場合が多い。さらに、偏光角度を変えることにより、光吸収選択則により特定方向を向いた化学結合のみが励起され、その断片イオンが脱離する。これまで吸着有機分子や炭素材料表面に適用した結果、角度依存解析から最表面分子の配向情報が得られる可能性が示唆された。さらに、超斜入射角度において最表面に吸着する微量分子が分解脱離する確率が大きく増加する現象が見いだされた。超斜入射ではX線が固体内部に進入せず、二次電子衝突励起による分子分解が抑制されるためと考察した。