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大谷 具幸*; 山下 光将*; 小嶋 智*; 若居 勝二; 各務 和彦
no journal, ,
坑道等の地下で遭遇した断層の活動性を評価するための技術開発の一環として、断層ガウジ(粘土)の色調や化学組成の違いによって、断層の最新活動時期についての定性的な推定を試みている。本研究では、岐阜大学と共同で井戸沢断層の最新すべり面(2011年福島県浜通り地震の地表地震断層)の断層ガウジを採取し、薄片観察,粉末X線回折分析,蛍光X線分析,ICP発光分析,ICP質量分析による元素の定量分析に基づきガウジの岩石・鉱物学的特徴について検討した。その結果、粉末X線回折分析により、断層ガウジにはスメクタイトが認められた。全岩化学組成については、すべり面に近づくにつれてMnO含有量及び微量元素含有量の増加が認められた。このことは、地下の還元環境からもたらされた地下水が断層ガウジ中を毛管現象により上昇している状態で地震性すべり面が生ずることによってすべり面がアルカリ化したため、Mnが沈殿したと考えられる。
大谷 具幸*; 山下 光将*; 小嶋 智*; 若居 勝二*; 各務 和彦
no journal, ,
2011年4月11日福島県浜通りの地震(M7.0)では既存の活断層である井戸沢断層に沿って地表地震断層が出現し、これに沿って断層ガウジが現れた。断層ガウジの鉱物組合せや主要・微量元素組成を調べることにより、比較的最近に活動した断層ガウジの有する特徴を明らかにすることができれば、基盤岩のみが露出する地域で活動履歴が未知の断層ガウジ帯を用いて最近の活動の有無を特定できるようになることが期待される。井戸沢断層から得られた断層ガウジ試料の蛍光X線分析及びICP-OES分析及びICP-MS分析の結果、最新のすべり面にMnOとAsが濃集することが確認された。このことは、基盤岩からなる断層破砕帯であっても断層ガウジにおけるMnとAsの濃集の有無を確認することにより、最近に地震性すべりを生じたか確認できる可能性があることを示している。