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山口 晃範*; 横塚 宗之*; 古田 昌代*; 久保田 和雄*; 藤根 幸雄*; 森 憲治*; 吉田 尚生; 天野 祐希; 阿部 仁
日本原子力学会和文論文誌(インターネット), 21(4), p.173 - 182, 2022/09
確率論的リスク評価(PRA)から得られるリスク情報は、原子力施設におけるシビアアクシデント対策の有効性を評価するために有用である。再処理施設に対するPRA手法は原子力発電所のそれと比べて未成熟と考えられ、本手法を成熟させるためには事故シナリオの不確実性を低減することが重要となる。本論文では、再処理施設におけるシビアアクシデントである高レベル廃液の沸騰による蒸発乾固への事象進展と、それに伴う放射性物質の移動挙動に関する文献調査の結果をまとめた。Ruの重要な特徴の一つは、事象進展の過程で揮発性化合物を形成することであり、本稿ではその移動挙動を温度に基づいて4段階に分類した。高温まで至った乾固物からはRuは放出されない一方、Csのような他の揮発性元素が放出される可能性がある。実験データは未だに不十分な状態であり、放射性物質の移行挙動の温度依存性を明らかにすることが求められる。
深澤 裕; 星川 晃範; 山内 宏樹; 山口 泰男*; 井川 直樹; 石井 慶信
Physica B; Condensed Matter, 385-386(1), p.113 - 115, 2006/11
被引用回数:3 パーセンタイル:17.95(Physics, Condensed Matter)通常の氷であるIce Ihの水素原子は無秩序に配置しているが、低い温度で無限の時間を経過させると、水素原子の配置が秩序化した構造(Ice XI)へ変化すると予測されている。このIce XIの形成過程を調べるために、KOD等の水酸化物を含有させて変化に要する時間を短縮させた氷結晶の中性子回折を測定した。相転移点(76K)以下の特定の温度域(62-70K)において、氷の中性子回折が時間の経過に伴って変化する過程を観測した。また、回折プロファイルのリートベルド解析を行い、Ice XIへの相転移に伴う構造パラメーターの変化を温度と時間の関数として分析した。この分析結果に基づいて、さまざまな条件下(温度や不純物濃度等)におけるIce XIの発生と成長の過程の特徴について発表する。そして、無限の時間経過において、完全に水素原子が秩序化した構造の氷が自然界に存在しうるのかについての洞察を述べる。
深澤 裕; 星川 晃範; 山内 宏樹; 山口 泰男*; 石井 慶信
Journal of Crystal Growth, 282(1-2), p.251 - 259, 2005/08
被引用回数:20 パーセンタイル:81.99(Crystallography)水素(重水素)原子の配置が秩序化したIce XIと呼ばれる氷結晶の形成と成長過程を調べるために、KODを含有したDOの粉末氷中性子回折プロファイルを測定した。測定中、氷の温度は相転移点76Kより十分に低い57Kで約17時間維持し、さらに温度を上げて68Kで55時間程度アニールした。57Kで得られた中性子回折プロファイルは時間によらず一定で、水素(重水素)の配置が無秩序であるIce Ihの回折プロファイルと同じであった。一方、57Kから68Kに温度を上げることで回折プロファイルが変化することを発見した。そこで、68KにおけるIce XIの出現と成長の構造的証拠を得るために二相モデルを用いたリートベルド解析を実施した。その解析から、Ice XIは空間群Cmc21の構造を有していることがわかった。さらに、Ice XIの核が68Kで発生し、その質量比は時間の経過に伴って増加することが見いだされた。そして、Ice XIの核生成はKODを含有した氷の内部で数日間にわたって継続した。本研究により、未だ不明な点が多いIce XIの生成条件と成長過程の分析が初めて可能になった。