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嶋本 洋子*; 高橋 嘉夫*; 天野 由記; 松崎 浩之*; 村松 康行*; 岩月 輝希
no journal, ,
放射性ヨウ素が高濃度に含まれる放射性廃棄物は地層処分される予定であるため、地下環境でのヨウ素の移行挙動の理解は重要である。幌延地域は、地下深部に高ヨウ素濃度の地下水が存在しており、地層処分された放射性ヨウ素のナチュラルアナログ研究としては最適な場所である。本研究では、珪藻質-珪質泥岩中のヨウ素の移行挙動を理解するため、地下水及び岩石中のヨウ素の分布,化学形態,ヨウ素同位体比(I/I)の測定を行った。その結果、地下水中の塩素濃度は海水よりも低濃度であるが、ヨウ素は海水よりはるかに高濃度であり、続成過程で固相から溶出したと考えられる。また、ヨウ素同位体比は、間隙水よりも岩石から抽出したヨウ素の方がやや高い値であったため、地下水中のヨウ素は声問層よりは下位の層準から移動してきた可能性が高い。これらのことから、一度岩石中に有機態として蓄積していたヨウ素が続成過程で特に稚内層においてヨウ素イオンとして解離し、圧密によって上位の声問層まで移動した可能性が考えられた。
嶋本 洋子*; 高橋 嘉夫*; 天野 由記; 松崎 浩之*; 村松 康行*; 岩月 輝希
no journal, ,
幌延深地層研究センターで掘削されたボーリング孔から採取された地下水及び岩石を用いてヨウ素の化学形態及び同位体比に関する分析を行った。その結果、岩石中のヨウ素の濃度は、稚内層(珪質泥岩)と声問層(珪藻質泥岩)の境界付近で急激に濃度が低くなる傾向が見られた。化学形態分析を行った結果、地下水中のヨウ素はヨウ素イオンとして存在していた。また、ヨウ素のK-edge XANES分析結果から、302m(声問層)では無機ヨウ素有機ヨウ素、1008m(稚内層)では有機ヨウ素無機ヨウ素の傾向が見られた。地下水中の塩素濃度は海水よりも低濃度であるが、ヨウ素は海水よりはるかに高濃度であり、続成過程で固相から溶出したと考えられる。ヨウ素と塩素はよく相関し、地下水中のヨウ素同位体比はいずれの深度でも比較的一定であった。この結果は、幌延地域が隆起し天水の影響を受ける以前に、溶出したヨウ素が稚内層及び声問層の地下水中に比較的均一に分布し、その後塩素と同様に天水による希釈を受けたことによると考えられる。