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吉井 賢資; 林 直顕*; 水牧 仁一朗*; 高野 幹夫*
AIP Advances (Internet), 7(4), p.045117_1 - 045117_6, 2017/04
被引用回数:6 パーセンタイル:29.59(Nanoscience & Nanotechnology)本研究では、川崎市の明治大学生田キャンパスにおいて、土壌を深さ30cmまでコアサンプラーを用いて採取し、逐次抽出法を適用することで、放射性セシウムの深度別存在形態分析を行った。土壌試料は、生田キャンパス内の人の手が加えられていない6地点で、植生を考慮し採取した。表層土壌を一地点につき、深度別形態分析用の土壌を採取するポイントを中心に、30cm四方の4点(深さ5cm)でスコップを用いて採取した。また、生田キャンパスの北東で、コアサンプラーを用いて、深さ30cm分の土壌を採取した。採取したコア土壌は、5cmごとに分割し、ねじ口U-8式容器に充填した。放射性セシウム濃度は深度別に、2.5Bq kg (0-5cm)、22.3Bq kg (5-10cm)、3.4Bq kg (10-15cm)、0.3Bq kg (15-20cm)、0.8Bq kg (20-25cm)、1.0Bq kg (25-30cm)であった。川崎市で採取した土壌中の放射性セシウムは、表層から土壌の深さ方向に浸透していることが示唆される。
水牧 仁一朗*; 藤井 将*; 吉井 賢資; 林 直顕*; 斎藤 高志*; 島川 祐一*; 魚住 孝幸*; 高野 幹夫*
Physica Status Solidi (C), 12(6), p.818 - 821, 2015/06
被引用回数:10 パーセンタイル:94.45(Physics, Condensed Matter)新規強磁性体BaFeOの電子状態を、放射光による高エネルギー光電子分光とX線吸収分光により調べた。実験データおよび理論計算から、この物質は負の電荷移動エネルギーを持つ系であることを示した。すなわち、酸素2p電子のエネルギーが鉄3d軌道のエネルギーより高いため、酸素2p電子が鉄3d軌道を埋めやすい性質を持っている。通常の遷移金属酸化物では、酸素2p軌道のエネルギーは遷移金属3d軌道のそれより低いため、このようなことは起こらない。すなわち、BaFeOは、通常の酸化物とは異なる性質を持つ。この性質の起源として、鉄3d軌道のクーロン反発力と、鉄3dと酸素2p軌道の強い混成であることを提案した。
奈部谷 光一郎*; 村松 裕也*; 岡 研吾*; 中野 紀穂*; 北條 元*; 水牧 仁一朗*; 安居院 あかね; 肥後 祐司*; 林 直顕*; 高野 幹夫*; et al.
Applied Physics Letters, 106(6), p.061912_1 - 061912_5, 2015/02
被引用回数:60 パーセンタイル:89.12(Physics, Applied)ほとんどの物質は温度が上昇すると、熱膨張によって長さや体積が増大する。光通信や半導体製造などの精密な位置決めが要求される局面では、このわずかな熱膨張が問題になる。そこで、昇温に伴って収縮する「負の熱膨張」を持つ物質によって、構造材の熱膨張を補償することが行われている。本研究において、室温付近で既存材料の2倍以上の大きさの「負の熱膨張」を示す酸化物材料を発見した。添加元素の量を変化させることで負の熱膨張が現れる温度域を制御できるほか、これまでの材料の問題点だった温度履歴が抑制されている。
水牧 仁一朗*; 吉井 賢資; 林 直顕*; 齊藤 高志*; 島川 祐一*; 高野 幹夫*
Journal of Applied Physics, 114(7), p.073901_1 - 073901_6, 2013/08
被引用回数:19 パーセンタイル:61.74(Physics, Applied)磁場誘起強磁性を示す新規ペロブスカイト鉄酸化物BaFeOの磁気熱量効果を調べた。この物質は、酸化物には珍しいFeという高い価数の鉄イオンを含む。この系の基底状態は反強磁性であるが、0.3T以上の磁場により鉄スピンが強磁性転移を示す。キュリー温度は111Kである。磁気熱量効果測定から、磁化が温度及び磁場変化の両方において、ほぼ可逆的な変化をすることを見いだした。すなわちヒステリシスがないため、熱損失のない効率的な冷却が可能な物質である。放射光磁気円二色性測定から、この性質は、Feイオンが実際はFeL(Lは酸素ホール)の状態となっており、この状態の磁気異方性が少ないことに起因する。冷却におけるエントロピー変化と冷却能力は、キュリー点近傍で5.8JkgK及び172Jkgと比較的大きかった。BaFeOは希土類を含まず、熱媒体となる水に耐性があることから、新しい磁気熱量物質として提案できる。
辻本 吉廣*; 山浦 一成*; 林 直顕*; 樹神 克明; 井川 直樹; 松下 能孝*; 勝矢 良雄*; 白子 雄一*; 赤荻 正樹*; 室町 英治*
Chemistry of Materials, 23(16), p.3652 - 3658, 2011/08
被引用回数:26 パーセンタイル:59.91(Chemistry, Physical)トポタクティック合成法を用いることで、従来法よりもフッ素含有率の高いRuddlesden-Popper型鉄酸化物を合成することに成功した。粉末中性子回折,放射光X線回折及びFeメスバウアー法によってその結晶構造を解析したこところ、合成した物質は化学式がSrFeOF(x0.44)であり、室温における格子定数が=0.387264(6)nm及び=2.13465(6)nm、陰イオン欠陥のない正方晶オキシフッ化ペロブスカイト型構造を有する新規物質であることがわかった。また、この物質中でフッ素イオンは酸化物イオンとともに、鉄を中心とした四角錐の頂点に位置する結晶サイトを選択的に占有することを明らかにした。
赤尾 尚洋*; 東 勇介; 薄田 学; 西畑 保雄; 水木 純一郎; 浜田 典昭*; 林 直顕*; 寺嶋 孝仁*; 高野 幹夫*
Physical Review Letters, 91(15), p.156405_1 - 156405_4, 2003/10
被引用回数:34 パーセンタイル:79.6(Physics, Multidisciplinary)X線異常分散効果を利用した実験とバンド理論計算を実験結果の解析手法として利用し、CaFeOの電荷分離状態の実態を議論した。これまでの実験では、電荷分離状態は290K以下でFeに2-siteが出現し、それぞれの価数が3価と5価に分離したと考えられていた。しかし、今回のわれわれの実験によりFeの3d電子の数は変化しないで、Fe-Oにおける3d-2p電子の混合状態が変わること、すなわち酸素2p状態にホールが局在した状態であることを示した。
辻本 吉廣*; 山浦 一成*; 松下 能孝*; 室町 英治*; 林 直顕*; 樹神 克明; 井川 直樹; 白子 祐一*; 赤荻 正樹*
no journal, ,
本研究では、アニオン格子とフッ素化試薬の関係を調べるために、Ruddlesden-Popper型層状物質SrFeOのフッ素化反応とその結晶構造を調べた。本研究では、フッ化剤としてテフロンポリマー(-CF-)を、前駆体としてSrFeOを用い、そのフッ素化反応の検討を行った結果、これまでの報告よりも多くのフッ素が導入されたSrFeOFを合成することに成功した。中性子回折法及びFeメスバウアー法による解析の結果、この物質中のフッ素アニオンは選択的に頂点サイトを占有し、これを反映してFeは正方ピラミッド配位をとることがわかった。本発表ではさらに詳細な反応機構や結晶/磁気構造等についても報告する。
水牧 仁一朗*; 吉井 賢資; 林 直顕*; 齊藤 高志*; 島川 祐一*; 竹内 弥生*; 高野 幹夫*
no journal, ,
BaFeOは六方晶ペロブスカイト構造を持ち、含まれる鉄イオンは4+の高酸化数を持つ。この系は高温高圧下で合成され、ネール温度が160K近傍の反強磁性体とされてきた。ところが最近、低温酸化法を用いるとBaFeOが正方晶となり、酸化物には珍しい強磁性体となることが発見された。本研究では、この物質の詳細な磁気特性の解明と応用面での可能性も検討するため、本系の磁気熱量効果と放射光を用いた電子状態測定の結果を報告する。
吉井 賢資; 林 直顕*; 松村 大樹; 草野 翔吾*; 水牧 仁一朗*; 水木 純一郎*; 高野 幹夫*
no journal, ,
BaFeOは、2年程前に発見された、Feスピンが110Kで強磁性整列を示す新規強磁性体である。2013年の本学会および論文にて、この物質がヒステリシス損が少ないなどの磁気冷凍に適した性質を持っていることを、磁化測定と放射光磁気円二色性測定により報告した。今回は、鉄サイト置換物質に対し、磁気冷凍効果を中心とした磁性を調べた。Ni等の元素をパーセント程度の微量置換することで、基底状態から強磁性が発現し、母物質よりもヒステリシス損が小さくなりうることが分かった。また、置換量を変えることにより冷凍温度を制御できることなども判明した。さらに放射光EXAFSを用いた局所構造観測を行ったところ、BaFeOでは磁気転移温度以下でFe周囲の局所歪みが発生するが、置換系では歪みが抑えられることが分かった。現在、これらの結果を解析中である。学会当日は他の結果についても報告する。
吉井 賢資; 林 直顕*; 水牧 仁一朗*; 松村 大樹; 高野 幹夫*
no journal, ,
効率の良い新規な冷凍法として、磁場印加時のエントロピー変化、すなわち磁気熱量効果を利用した磁気冷凍が最近注目されている。本発表では、招待講演として、最近発見された新規強磁性体BaFeOの磁気熱量効果を調べた結果を報告する。この物質は立方晶ペロブスカイト構造を持ち、Feスピンがキュリー温度110Kで強磁性整列する、鉄酸化物系では唯一の強磁性体である。磁気エントロピーはキュリー温度近傍で最大となり、5.8JkgK程度の値を示した。この値は、希土類を含まない系における磁気熱量効果としては最大である。また、この物質は、磁場や温度サイクルに対してほとんどヒステリシスが無いことも分かった。これにより、エネルギー損失の無い効率的な冷凍が達成できる。ヒステリシスの無い性質は、放射光磁気円二色性で調べたところ、Feが実際には軌道モーメントの無いFeとなっているためと結論した。磁気熱量効果の温度範囲等の制御の観点から行っている、サイト置換系の性質も触れる。
吉井 賢資; 水牧 仁一朗*; 林 直顕*; 松村 大樹; 高野 幹夫*
no journal, ,
BaFeOは珍しい高酸化数Feを含み、六方晶ぺロブスカイト構造を持つものとして知られてきた。この系は高温高圧下で合成され、ネール温度が160K近傍の反強磁性体である。ところが最近、オゾンを用いた200Cでの低温酸化法により、BaFeOが正方晶となり、強磁性体であることが発見された。この物質のキュリー温度は110Kであり、これより下でFeモーメントが強磁性的に整列する。本研究では、この物質の詳細な磁気特性の解明と応用可能性も検討するため、磁気熱量効果を中心とした磁気的性質と、放射光を用いた電子状態測定などの結果を報告する。磁化測定より、強磁性転移温度近辺において大きな磁気熱量効果を示すと共に、磁場・温度でのヒステリシスが無いため、エネルギー利用効率の高い冷凍が可能な物質であることが分かった。また、放射光測定により、Feは、軌道角運動量を持たないFeになっており、これがヒステリシスの無い状態の起源であることが判明した。すなわち、Feを含む物質の探索は、新規磁気冷凍物質を開発する観点から興味深いアプローチであることが提案できる。
深田 幸正*; 吉井 賢資; 藤原 孝将*; 林 直顕*; 福田 竜生; 水牧 仁一朗*; 重松 圭*; 東 正樹*; 武田 全康; 池田 直*
no journal, ,
希土類-鉄酸化物LuFeOの磁性と誘電性について調べた。この物質は、申請者らが報告した強誘電体RFeO(R: 希土類)の関連物質であり、室温で鉄電荷秩序による強誘電性が報告されているものの、物性の報告例は少ない。本研究では多結晶及び単結晶のLuFeOの物性を調べた。磁化測定からは、磁気転移温度は270K近傍であり、RFeOの250Kより高いことが分かった。また誘電率測定からは、誘電率が120K近傍でブロードなピークを描くことが分かった。さらに、誘電応答における系の均一性を示す指数もこの付近でピークを描き、120Kより低温では系は均質に近づいてゆくことも判明した。ブロードなピークは交流帯磁率測定からも観測されており、この物質の磁性と誘電性の相関を示す結果が得られた。