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羽賀 勝洋; 田坂 完二*; 久木田 豊
Journal of Nuclear Science and Technology, 32(9), p.846 - 854, 1995/09
被引用回数:4 パーセンタイル:43.23(Nuclear Science & Technology)PIUS型炉では通常運転時に高温の一次系と低温のポイズン系の間に生ずる冷暖界面を密度ロック内に安定な状態で維持しなければならない。そのために、下部密度ロック内の温度分布を利用して一次系循環ポンプをフィードバック制御する方法(以下 温度制御と略す。)が検証され、その有効性が確かめられてきた。特にこの方法では、炉が完全に停止している状態、つまり炉内が均一温度で一次系とポイズン系の間に温度差の無い状態から炉心を立ち上げる場合には、制御を有効に働かせる立ち上げ方法が重要である。本研究では一次系とポイズン系の間で2Cという小さな温度差でも温度制御は有効に働き、炉心立ち上げが可能であることを確認した。又、一次系循環ポンプの出口に補助ヒータを設置し、これを使って一次系とポイズン系に温度差を付けることにより、温度制御のみによって炉内温度均一の状態から炉心を立ち上げることができた。
中村 秀夫; 久木田 豊; 田坂 完二*
Journal of Nuclear Science and Technology, 32(9), p.868 - 879, 1995/09
被引用回数:4 パーセンタイル:43.23(Nuclear Science & Technology)LOCA時の1次系内冷却材分布は、水平配管内の流動様式に依存する。特に、波状流からスラグ流への遷移は、界面波が気送流れを塞ぐ液スラグに成長する結果生じ、界面摩擦や流路の圧力損失の増加を伴うため、その予測は重要である。ところが、スラグ流遷移の予測には、波状流での水位予測が必要であるものの、予測に必要な気液界面摩擦係数は、スラグ流遷移時のような液深の深い波状流(ボイド率~0.6)でのデータや予測式が大変少なく、壁摩擦係数などで代用されることが多い。そこで、TPTF装置の水平円管テスト部(直径87及び180mm)を用いた、高圧(3-9MPa)の水/蒸気二相流実験を行い、スラグ流遷移境界近傍の波状流について調べ、界面摩擦係数を与える実験式を求めた。実験式はKelvin-Helmholtzの界面不安定性理論に基づくパラメータで構成され、TPTF実験結果での配管口径及び圧力依存性をよく表すことができる。
中村 秀夫; 久木田 豊; 田坂 完二*
Journal of Nuclear Science and Technology, 32(7), p.641 - 652, 1995/07
被引用回数:5 パーセンタイル:49.5(Nuclear Science & Technology)ROSA-V/TPTF装置の水平管テスト部を用いた蒸気/水二相流実験(圧力≦12MPa)を行い、スラグ流から波状噴霧流への遷移は界面波頭からの液滴発生により生じ、液滴発生時の気液相対速度は圧力上昇と共に大きく減少することを見い出した。また、LOCA計算コード等に使用されているモデルや相関式の検討から、Steen-Wallis式を気液相対速度をパラメータとして改良すると、TPTF実験での液滴発生開始の圧力依存性が良く予測できることがわかった。更に、比較的低圧(約3MPa)では界面波高が高い為、より小さい気液相対速度で遷移が生じることが分かった。
辻 義之*; 伊藤 和宏*; 田坂 完二*; 中村 秀夫; 久木田 豊
Gas Liquid Flows 1995 (FED-225), 0, p.39 - 45, 1995/00
水平ダクト装置(0.1m幅、0.19m高、12m長)を用いた水/空気二相流実験を行い、波状流における気液界面摩擦係数につき調べ、水位データの統計量との関係付けを行った。流路内の定常水位と1次元運動方程式の解析結果を比較し、界面摩擦係数の流れ方向の変化を求めたところ、流路入口で大きく増加し、流路中央付近でほぼ一定値となることがわかった。一方、水位データの4次モーメント(flatness)は、界面摩擦係数が一定値に近づいた地点付近で最大値をとることが分かった。更に、線形界面波の理論式との比較から、この地点付近で波が不安定となり、下流で安定化することが分かった。
中村 秀夫; 久木田 豊; 田坂 完二*
Journal of Nuclear Science and Technology, 31(2), p.113 - 121, 1994/02
被引用回数:1 パーセンタイル:17.88(Nuclear Science & Technology)水平の閉流路内気液二相流では、波状流からスラグ流への遷移がKelvin-Helmholtzの不安定性を主要因として生じると考えられているが、実際はKelvin-Helmholtz理論が示す気相流速の半分程度で遷移が生じる。これまで提案されてきた多くの遷移機構予測モデルは、この違いが、波頭上部での気相流路面積の減少に伴う圧力降下が波の成長を促進する結果生じると仮定した。これをBernoulli効果と呼ぶが、これまでこの圧力降下を動的に計測した例は大変少ない。今回、PWRの水平配管と同等の流路高(0.7m)を持つ水平の矩形ダクト装置を用いてスラグ流遷移時の気相部圧力等を計測し、Bernoulli効果の評価を行った。その結果、スラグ流遷移過程の波の波頭部近傍で、水頭に匹敵する気相部圧力降下が確認された。その際、気相部運動エネルギー損失による波頭前後での不可逆な圧力損失や、高速の空気流による波頭での液滴の発生等が観察された。
田坂 完二*; 玉置 昌義*; 羽賀 勝洋*; 安濃田 良成; 村田 秀男; 久木田 豊
Proc. of the 4th Int. Topical Meeting on Nuclear Thermal Hydraulics,Operations and Safety,Vol. 2, 0, p.38.A.1 - 38.A.6, 1994/00
PIUS型固有安全炉において、定常運転時の安全性と異常時での安全性を両立させる事が重要である。これまでの研究で、下部密度ロックにおける密度界面を安定に保つように、1次系ポンプ回転数をフィードバック制御することによって、安全性と安定性の両立が確保されることを明らかにした。本報告では、特に炉の立ち上げ時における下部密度ロック中心温度による循環ポンプ回転数制御の有効性を調べるため、PIUS炉を原理的に模擬した実験装置により、大気圧下の実験を行った。実験の結果、制御開始時に1次系とポイズン系の温度差がわずかでもついていれば、制御が可能であるが、全く温度差の無い状態からは制御が困難であることがわかった。しかし、ポンプ出口にヒータを付加するような工夫をすれば、どの様な状態からも本制御方法による立上げが可能である。
田坂 完二*; 玉置 昌義*; 今井 聡*; I.D.Irianto*; 辻 義之*; 久木田 豊
7th Int. Conf. on Emerging Nuclear Energy Systems; ICENES 93, 0, p.287 - 292, 1993/00
PIUS型原子炉では、1次系と高濃度ボロン水タンクが、安定な密度成層を介して常時接触しており、異常時には圧力バランスがくずれてボロン水が1次系に流入することにより、原子炉が受動的に停止する。上記の密度成層が生る箇所を密度ロックとよぶ。本研究では、通常運転時に密度界面を一定位置に安定に制御する手段として、密度ロックにおける流量または温度により冷却材循環ポンプ速度を制御する方法を提案し、小型低圧の実験装置により模擬実験を行い、起動時を含む通常運転時にこのような制御が有効であることを確認した。
田坂 完二*; 羽賀 勝洋*; 玉置 昌義*; 村田 秀男; 安濃田 良成; 久木田 豊
Proc. of the 2nd ASME/JSME Nuclear Engineering, p.301 - 306, 1993/00
PIUS型固有安全炉において、定常運転時の安全性と異常時での安全性を両立させることが重要である。これまでの研究で、下部密度ロックにおける密度界面を安定に保つように、1次系ポンプ回転数をフィードバック制御することによって、安全性と安定性の両立が確保されることを明らかにした。本報告では、特に炉の立ち上げ時における下部密度ロック中心温度による循環ポンプ回転数制御の有効性を調べるため、PIUS炉を原理的に模擬した実験装置により、大気圧下の実験を行った。実験の結果、制御開始時に1次系とポイズン系の温度差がわずかでもついていれば、制御が可能であるが、全く温度差の無い状態からは制御が困難であることがわかった。しかし、ポンプ出口にヒータを付加するような工夫をすれば、どの様な状態からも本制御方法による立上げが可能である。
田坂 完二*; 玉置 昌義*; 今井 聡*; 纐纈 英年*; 安濃田 良成; 村田 秀男; 久木田 豊
Journal of Nuclear Science and Technology, 29(12), p.1152 - 1161, 1992/12
PIUS型炉は、一次系全体が低温のボロン水タンク内に納められており、上下2箇所の密度ロックにおいて、一次系とボロン水が接している。通常運転時には、一次系とボロン水の水頭差と炉心流動圧損が釣り合っているが、事故時には、このバランスが崩れ、ボロン水が一次系に流入し、炉が停止する。この炉停止機構は、静的安全性という点では優れているものの、安定性に問題がある。筆者らは、これまで、下部密度ロック内の密度境界を安定化させる方法として、下部密度ロック上下差圧を基に、主循環ポンプの回転数を自動制御することを提案してきた。本報は、さらに実用的な方法として、下部密度ロツクの中央温度を基準とした主循環ポンプの回転数制御を提唱し、その有効性を実験によって確認した。
小泉 安郎*; 熊丸 博滋; 三村 裕一*; 村上 洋偉*; 田坂 完二
Nucl. Eng. Des., 132, p.381 - 391, 1992/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)外管内径22mm、内側ロッド外径12mmの環状流路内のボイド率測定を大気圧下の水-空気系及び3MPaの水-蒸気系に対して行った。両実験の結果を既存のボイド率相関式と比較したところ、Griffithの相関式とはよい一致を得たが、他の相関式は矛盾なく両実験結果を表すことはできなかった。水-蒸気の実験結果をRELAP5/MOD2コードで解析したところ、同コードはボイド率を過大に予測した。同コードの界面摩擦計算モデルをGriffithの相関式で置き換えたところ、良好な一致を得ることができ、本実験のようなプール条件下で低蒸気流速の場合の流れの解析をRELAP5コードで行う場合には、ボイド率相関式(Griffithの相関式など)を同コードに取り入れることが有効な手段であることが示された。
田坂 完二*; 今井 聡*; 正岡 久和*; I.D.Irianto*; 纐纈 英年*; 正置 昌義*; 安濃田 良成; 村田 秀男; 久木田 豊
Proc. of the Int. Conf. on Design and Safety of Advanced Nuclear Power Plants,Vol. 2, p.17.6-1 - 17.6-6, 1992/00
固有安全軽水炉の一種であるPIUS炉は、1次系全体が低温のボロン水タンク内に納められており、上下2箇所のハニカムを境界として、1次系とボロン水が接している。通常運転時には、ボロン水と1次系水との水頭差と炉心流動抵抗とか釣合っている。事故時には、このバランスの崩れボロン水が水頭差によって1次系内に流入し、炉が停止する。この炉停止機能は、静的安全性という点で優れているものの、安定性に問題がある。本報は、下部ハニカム内の密度境界を安定化させる方法として、下部ハニカム中央温度をハニカム上下温度の平均値になる様に、主循環ポンプの回転数制御を行う平段を提案し、その有効性を、原子炉スタートアップ時、出力変化時について実験的に確認した。また、給水喪失時に、この制御が本来の固有安全性を失なうものではないことを確認した。
小泉 安郎*; 熊丸 博滋; 三村 裕一*; 久木田 豊; 田坂 完二*
Nuclear Technology, 96, p.290 - 301, 1991/12
被引用回数:5 パーセンタイル:53.89(Nuclear Science & Technology)ROSA-IV/LSTF装置において、破断面積を0.5%から10%に変化させて、また炉心出力減衰を保守的(高く)及び現実的(低く)見積もった場合について、計6回のコールドレグ破断実験を行なった。5%以上の破断では、ループシールクリアリング時にSG入口プレナム及びSGUチューブ内に滞水が見られ、このため最低炉心水位はクロスオーバレグ下端よりかなり低くなり、燃料棒表面温度上昇が大きくなった。2.5%以下の破断では上記滞水が無く、最低炉心水位はクロスオーバレグ下端に等しく、炉心露出は小さなものであった。この滞水はSG入口プレナムの入口部及びUチューブの入口部のフラッディングに起因するものであり、RELAP5/MOD2コードによる解析ではこの点の計算に問題があった。SG入口プレナムの入口部、Uチューブの入口部などでの相関摩擦の計算方法を変更することが提案されている。
浅香 英明; 久木田 豊; 与能本 泰介; 田坂 完二*
Nuclear Technology, 96, p.202 - 214, 1991/11
被引用回数:10 パーセンタイル:72.13(Nuclear Science & Technology)PWRのホットレグ小破断LOCA時における破断流量ならびに1次系内熱水力挙動の時間変化に対する破断口向きの影響を、ROSA-IV/LSTF実験結果に基づいて論じている。実験は、実炉における2インチ相当の破断口径を模擬し、破断口向きがホットレグ水平配管の上向き、横向きおよび下向きの、それぞれ3ケースについて実施した。1次系内熱水力挙動は、3実験で定性的に同じであった。しかし、破断流の相違により、炉心水位下など、主要事象の発生時刻は破断向きにより大きく相違することが明らかになった。本実験はRELAP5コードにより解析された。RELAP5の原型版による結果は定性的にも不十分であった。破断流モデルの改良により、3つの実験結果とその相違をほぼ定量的に再現できることを示す。
藤井 幹也*; 安濃田 良成; 村田 秀男; 与能本 泰介; 田坂 完二*; 久木田 豊
JAERI-M 91-076, 34 Pages, 1991/05
PIUS型炉においては1次系とポイズン系の界面に存在する密度境界層を安定に維持することが重要である。筆者らは、下部ハニカム内密度境界層の位置制御に対してハニカム全長間差圧が有効な指標になるものと考え、ハニカム差圧による循環ポンプ回転数フィードバック制御システムを開発し、その有効性を調査してきた。今回、比例ポンプ回転数制御によりループ差圧に生じる定常偏差を改善するため制御ロジックに微分項を付加し、定常並びに温度過渡条件でのシステム挙動を調べた。この結果、微分項の採用は制御性を著しく向上させ、スタートアップ、出力変更操作が容易に実施できることが確認できた。また1次系クーラー2次側への給水喪失模擬実験ではポンプ回転数に上限を与えることにより、炉の受動的停止機能を確保できることが確認できた。
田坂 完二*; 片倉 純一; 吉田 正*; 加藤 敏郎*; 中嶋 龍三*
JAERI-M 91-034, 97 Pages, 1991/03
核分裂生成物による崩壊熱の推奨値を五つの核分裂系(U-235,-238,Pu-239,-240およびPu-241)に対して与えてある。これらの推奨値は1990年に公開となったJNDCによる核分裂生成物の核データライブラリー第二版を用いた総和計算に基づいたものである。推奨値は二種類の方法で現わされている。一つは表形式であり、もう一つは33項の指数関数表示である。本報告書には、また、FPによる崩壊熱への中性子吸収効果の補正因子、ガンマ線エネルギースペクトルも与えられている。本報告書の内容は核データ委員会の崩壊熱評価ワーキンググループおよび原子力学会の「原子炉崩壊熱基準」研究専門委員会の成果に基づいている。
浅香 英明; 久木田 豊; 安濃田 良成; 中村 秀夫; 田坂 完二
Journal of Nuclear Science and Technology, 28(1), p.33 - 44, 1991/01
PWR小破断LOCA時において、水平配管内二相流の成層化現象は、一次系内の熱水力挙動に大きな影響を及ぼす。TRAC-PF1/DOD1コードは、この成層化現象を予測するための相関式が備わっている。しかし、そのモデルは、PWRの小破断LOCA条件と異なり、小口径・低圧条件下の実験に基づいている。ROSA-IV/TPTFにより大口径・高圧条件下の二相流動実験が実施された。本実験をTRACコードにより解析し、同コードの流動様式判定基準及び相間摩擦モデルの評価を行った。その結果、TRACコードに使用されているTaitel-Duklerモデルの蒸気流速項を相対速度項に置き換えることにより流動様式の予測性能は、著しく改善されることが示された。また、TRACコードの層状流相間摩擦係数は過大であり、これを現在使用されている値の1/2とすることにより妥当な計算結果が得られることが準定量的に示された。
与能本 泰介; 田坂 完二*
Int. J. Multiph. Flow, 17(6), p.745 - 765, 1991/00
被引用回数:49 パーセンタイル:87.39(Mechanics)成層二相流領域から小破断口への液体及び気体のエントレインメントについて理論的及び実験的な検討を行なった。すべての破断形状について簡単に使用する事ができるように、以前に得られた理論式を破断流量、破断クオリティ及び水位の関係を示す式に修正した。さらに修正された式を常温大気圧条件で行なわれた実験データで評価した。実験結果は破断口周辺の流動条件が対称的である場合、本修正式とよく一致した。実験で観測された渦や横流れや波状流の影響については、本モデルを基にしてその相関関係を明確にした。この相関式を用いる事により高圧の水蒸気実験を含む様々な文献のデータを予測する事ができた。
久木田 豊; 安濃田 良成; 田坂 完二*
Nucl. Eng. Des., 131, p.101 - 111, 1991/00
被引用回数:24 パーセンタイル:90.25(Nuclear Science & Technology)ROSA-IV計画LSTF装置によるPWR小破断冷却材喪失事故(LOCA)及び異常な過渡変化に関する総合実験の第1期(第1次模擬燃料体を用いた実験、85年5月~88年8月)の主要な成果について述べる。本実験期間には合計42回の実験が行われ、内訳は小破断LOCA実験29回、異常過渡実験3回、1次系内の自然循環を定常状態で模擬した実験10回であった。これらの実験によって、小破断LOCA時及び異常過渡時におけるPWRの基本的熱出力挙動、特にループシールクリアリング現象、リフラックス冷却過程など、冷却材が減少した状態における炉心冷却を支配する種々の現象が解明された。
渡辺 正; 朝日 義郎; 藤井 幹也*; 安濃田 良成; 田坂 完二*; 久木田 豊
Proc. of the 1st JSME/ASME Joint Int. Conf. on Nuclear Engineering,Vol. 1, p.315 - 320, 1991/00
固有安全(PIUS)炉の熱水力挙動を調べるため、小型の装置を用いて行われた給水喪失実験の解析を、THYDE-Wコードにより行った。THYDE-Wは軽水炉安全解析用に開発されたコードであり、PIUS炉の実験解析への応用は今回が初めてである。解析により一次系流量、ポンプ回転数、ポイズンタンク入口温度は良く模擬されたものの、ポイズンタンクから一次系への流入量、及び一次系ポンプ入口温度の低下が過大評価された。これは、ポイズンループ中の形状損失係数の過小評価が原因と考えられる。また、ポイズンタンクの冷却系を省略したため、タンク出口温度が過大評価された。さらに、感度解析により一次系内の最高温度、及びポイズン水の流入による温度変化は、ポンプ回転数の上限に比例することが確認された。このことは、安全な炉の停止のためには、ポンプの制御範囲を適切に設定する必要があることを示している。
田坂 完二*; 安濃田 良成; 久木田 豊
The OECD/LOFT Project; Achievements and Significant Results, p.145 - 163, 1991/00
OECD LOFT計画のLP-SB-1及びLP-SB-2実験は、PWRのホットレグ3インチ管破断を模擬した実験で、1次冷却材ポンプの運転と継続した場合と停止した場合の相違を調べるために行われた。ポンプを早期に停止した場合には、破断口露出以前の破断流量が多いが、破断口露出のタイミングは、ポンプの運転を継続した場合に比べかなり早い。破断口が露出した後は、破断流量は極端に少なくなるため、ポンプの運転を継続した方が破断流量が多くなる。こうした現象は、ホットレグ内の二相流が相分離により層状流になるためであるが、従来の計算コードでは予測が不十分であった。しかし、二相流動様式遷移およびoff-take (Pull-throghおよびエントレインメント)モデルを改良することにより、予測性を改善することができた。しかしながら、これらの現象に関する計算コードの予測精度にはさらに改良の余地がある。