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福島第二3号機シュラウドサンプル調査実施チーム
JAERI-Tech 2004-044, 92 Pages, 2004/05
本報告は、福島第二原子力発電所3号機炉心シュラウド下部リングH6a溶接部外側から採取したき裂を含む材料サンプル(東京原子力株式会社が平成13年度に実施した調査の際に日本核燃料開発株式会社に保管した試料の一部)について、日本原子力研究所が第三者機関として東海研究所の照射後試験施設(ホットラボ等)において各種の検査・評価を実施し、き裂発生の原因究明に資する知見を取得することにより、調査結果の透明性を確保することを目的として実施した。本調査の結果、以下のことが明らかとなった。(1)き裂は溶接金属から約3~9mm離れた位置に3箇所観察され、最大深さは約8mmであった。(2)2箇所のき裂破面を観察した結果、き裂破面のほぼ全面が粒界割れであったが、き裂開口部には約300m範囲に粒内割れが観察された。(3)表面から約500m深さまで、最高Hv400を超える硬化層が形成されていた。また、溶接金属から約3mmまでの表面層には溶接熱影響による軟化が見られた。(4)き裂の内部には、開口部からき裂の先端までほぼ全体にわたり酸化物が観察され、その酸化物は主として鉄の酸化物であった。(5)合金中に主要元素濃度の揺らぎが見られたが、き裂との間に相関性は認められなかった。本調査の結果と、溶接によりき裂付近に発生していたと考えられる引張残留応力及び炉水の溶存酸素濃度等を考慮すると、き裂は炉心シュラウド下部リング外表面の加工層において主として粒内型の応力腐食割れ(SCC)により発生後、SCCとして結晶粒界を経由して進展したと結論される。