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Li, Y.*; 杉野 英治*; 長谷川 邦夫*; 鬼沢 邦雄; 土居 博昭*; 蛯沢 勝三*
日本機械学会論文集,A, 75(749), p.56 - 63, 2009/01
供用期間中検査においてステンレス鋼配管に欠陥が検出された場合、その配管の健全性を評価するため、日本機械学会維持規格や米国機械学会ボイラー・圧力容器コードに規定されている極限荷重評価法が適用される。しかしながら、応力腐食割れの場合等には複数欠陥が同一平面に検出されているにもかかわらず、現行の規格においては、単一欠陥に対する極限荷重評価法の評価式のみが規定されている。本論文では、合理的な方法で配管の健全性を評価するため、任意の数と分布を有する独立した欠陥が配管内表面に存在する場合の極限荷重評価式を提案する。この評価式の妥当性を確認するため、さまざまなケースについて数値計算を行い、評価式の有効性を確認した。
堤 英明*; 杉野 英治*; 鬼沢 邦雄; 森 和成*; 山田 博幸*; 柴田 勝之; 蛯沢 勝三*
JAEA-Data/Code 2006-004, 167 Pages, 2006/03
機器免震有効性評価コードEBISA(Equipment Base Isolation System Analysis)は、安全上重要な機器を免震構造化した場合の有効性を評価するものであり、次の3つのコード(地震危険度評価コードSHEAT,応答解析コードRESP,損傷確率/損傷頻度評価コード)から構成される。これらのうちRESPコードは、原子力機器を免震構造化した場合の動的応答挙動を計算するためのものである。本報告書は、EBISAコードの概要及びRESPコードの解析機能や入力マニュアル,使用例などをまとめた使用手引きである。
堤 英明*; 蛯沢 勝三*; 山田 博幸*; 柴田 勝之; 藤本 滋*
日本材料学会JCOSSAR 2003論文集, p.829 - 836, 2003/11
原研では、原子力関連機器に免震技術を適用する際の有効性を確率論的手法に基づいて評価する手法について研究を実施している。本報では、炉心損傷頻度(CDF)の低減効果を設計目標として、CDFの低減に寄与する安全上重要な機器を選定して免震設計を行い、地震PSA手法を応用してその有効性を評価する手法を提案した。また、本手法及び機器免震化の有効性を検証するために、モデルプラントを想定して、外部電源喪失事象について応答係数法を用いて炉心損傷頻度(CDF)の試評価を行い、重要機器を免震化した場合の非免震プラントに対するCDFの低減効果を算定した。その結果、がい管付き起動変圧器と非常用ディーゼル発電機を免震化した場合に、炉心損傷頻度の低減効果が大きく、免震化によりこれらの機器の加速度応答が非免震機器の1/5に低減されると、1/100程度まで炉心損傷頻度が低減する可能性があることが明らかになった。さらに、非常用ディーゼル発電機について免震設計を行い、地震応答解析によって1/6程度に加速度応答を低減できることを確認した。
蛯沢 勝三; 久野 哲也; 柴田 勝之; 大井 昌弘*; 堀内 茂木*; 阿部 一郎*; 都筑 和久*
日本原子力学会和文論文誌, 1(2), p.177 - 190, 2002/06
地震情報緊急伝達システムの研究開発では、最新の地震工学の知見を反映した震源・地震動パラメータの推定手法の開発を行うとともに、最新の通信・情報伝達技術を反映したシステム造りを進めた。システム開発は、基本システムと応用システムに分けて行った。基本システムは、地震情報を一方向で伝達する。応用システムは、災害情報センターとユーザサイトで構成され、双方向情報伝達が可能な防災システムである。基本システムの開発では、原研東海研周辺の地盤データ,試験用地震計ネットワーク,想定地震による地震動分布データ,表層地盤の増幅率関数データ等を整備した。これらのデータを用いて、システムの機能を検証した。応用システムの開発では、京大の亀田等が開発した多次元地理情報システム(DiMSIS: Disaster Management Spatial Information System)を利用した防災システムの概念を構築するとともに、地震動推定に基本システムを用いたプロトタイプシステムを開発し、東海村を対象としたデモンストレーションを行い機能を確認した。
山田 博幸; 堤 英明*; 蛯沢 勝三*; 鈴木 雅秀
JAERI-Data/Code 2002-001, 161 Pages, 2002/03
地震ハザード評価コードSHEAT(PC版)は、当初大型計算機用に整備されたSHEAT(Seismic Hazard Evaluation for Assessing the Threat to a facility site)コードの操作性能と汎用性の向上を目的として整備された計算コードである。PC版では、大型計算機で動作していたFORTRANソースコードがWindows上で動作可能であるとともに、大型計算機でのジョブコントロール機能をGUIに置き換えて操作性を向上させた。地震ハザードは、特定サイトでの地震動レベルごとの年あたり超過発生頻度として定義される。評価手順は、まず、対象サイト周辺での将来の地震発生(発生位置,マグニチュード及び発生頻度)を、歴史地震データ,活断層データ及び専門家の技術的判断に基づきモデル化する。次いで、対象サイトにおける確率論的地震ハザード計算では、モデル化した各地震がもたらす対象サイトでの地震動を、地震動距離減衰式とその標準偏差を用いて計算する。さらに、地震動レベル毎の発生頻度をすべての地震について足し合わせることにより当該サイトの地震ハザードを計算する。本報告書は、PC版SHEATコードの使用手引きであり、(1)SHEATコードの概要,(2)サブプログラムの機能と計算モデル,(3)入出力データの説明,(4)サンプル計算の結果,(5)操作マニュアルの各内容を記述している。
森 和成*; 堤 英明*; 山田 博幸; 蛯沢 勝三; 柴田 勝之
JAERI-Tech 2001-037, 85 Pages, 2001/06
免震技術は一般構造物と同様に原子炉機器の耐震設計においても、機器に作用する地震力を低減する有効な手段として期待されている。原研では、1991年より原子力機器の免震化に関する研究に着手し、確率論に基づく機器免震の有効性評価手法及び評価コード(EBISA: Equipment Base Isolation System Analysis)を開発した。さらに、上記評価コードを高度化するために、1996年より機器免震システムの動的挙動を把握するとともに、有効性を検証するための確証試験を実施している。上記有効性評価手法においては、詳細法を用いて機器の現実的応答を求め、機器の応答と損傷限界から損傷頻度を算定し、非免震機器と比較して有効性を評価する。詳細法は、対象サイトにおいて想定される種々の入力地震動に対して、地盤・建屋・機器の非線形挙動やそれらの物性値あるいは振動特性等のばらつきを考慮して機器の現実的応答を求めるものである。したがって、損傷頻度を精度良く評価するためには、地盤・建屋・機器の地震応答解析手法の選定と、解析モデル及びばらつきを含めた解析条件の設定方法が重要である。また一方で、計算の効率化を図るために、地震応答解析において考慮すべきばらつきの要因を絞り込む必要がある。本報告は、機器免震有効性評価手法において地盤・建屋・機器の地震応答解析で用いる解析手法や解析モデルについておもに精度の面から妥当性を検討するとともに、地盤物性や建屋の振動特性等について応答のばらつきに大きな影響を及ぼす要因についてまとめたものである。
堤 英明*; 山田 博幸; 蛯沢 勝三; 柴田 勝之; 藤本 滋*
JAERI-Tech 2001-033, 124 Pages, 2001/06
日本原子力研究所では、1991年より原子力機器の免震技術を導入した場合の有効性評価に関する研究に着手し、機器免震の有効性評価手法及び評価コード(EBISA: Equipment Base Isolation System Analysis)を開発した。さらに、上記評価コードを高度化するために、1996年より機器免震試験システムの動的挙動を把握するとともに、有効性を検証するための確証試験を実施している。有効性確証試験では、特性の異なる2種類の3次元機器免震試験システムを製作し、特性試験によりそれぞれの動的特性と免震効果を検証している。上記試験システムの1台は、免震装置としてボールベアリングと空気ばねを用いたもので、現在大洗研究所敷地内のテストベッドに設置し、自然地震動下で応答を観測しており、いくつかの地震動により顕著な免震効果を確認した。また、ほかの1台は、免震装置として多段積層ゴムとコイルばねを用いたもので、3次元連成振動の影響と免震効果を確認するために種々の周波数特性の地震動による振動台試験を実施した。本報告書は、多段積層ゴム・コイルばねタイプ3次元免震システムの概要、振動特性、振動台試験及び地震応答解析結果についてまとめたものである。
蛯沢 勝三; 山田 博幸; 堤 英明*; 柴田 勝之; 安藤 和博*; 馬場 治; 鈴木 偉之
JAERI-Data/Code 2001-009, 96 Pages, 2001/03
原研では、大洗研究所に高温工学研究炉(HTTR: High Temperature Engineering Test Reactor)を建設するにあたって、地震時の敷地基盤の振動特性を把握するために加速度地震計4台(GL-1.2m,GL.-31m,GL.-95m,Gl-174m(せん断波速度Vs: 1020m/sの地盤))からなる鉛直アレー地震動観測システムを設置し、1987年12月から観測を開始した。観測は、東西(EW),南北(NS)の水平2成分と鉛直(UD)1成分からなるサーボ型加速度計である。2000年3月までに71地震を観測した。これらのデータは、(財)震災予防会のフォーマットで整理している。本報告書は、1987年12月から2000年3月までの鉛直アレー地震動観測システムによって得られた観測地震動をデータベースとしてまとめたものである。観測記録に加えて、敷地内地盤のせん断波速度等の物性値や観測地震動の周波数特性も集録している。
堤 英明*; 山田 博幸; 森 和成*; 蛯沢 勝三; 柴田 勝之
JAERI-Tech 2000-086, 93 Pages, 2001/02
日本原子力研究所では、1991年より原子力機器の免震技術を導入した場合の有効性評価に関する研究に着手し、機器免震の有効性評価手法及び評価コード(EBISA: Equipment Base Isolation System Analysis)を開発した。さらに、上記評価コードを高度化するために、1996年より機器免震試験システムの動的挙動を把握するとともに、有効性を検証するための確証試験を実施している。有効性確証試験では、特性の異なる2種類の3次元機器免震試験システムを製作し、特性試験によりそれぞれの動的特性と免震効果を検証している。上記試験システムの1台は、免震装置としてボールベアリングと空気ばねを用いたもので、現在大洗研究所敷地内のテストベッドに設置し、自然地震動下で応答を観測しており、これまでに、いくつかの地震動により顕著な免震効果を確認した。また、ほかの1つは、免震装置として多段積層ゴムとコイルばねを用いたもので、振動台試験により種々の大規模地震動に対する3次元的連成挙動と免震効果の検証を実施している。本報告書は、ボールベアリング・空気ばねタイプの3次元機器免震試験システムの設計仕様,特性試験及び自然地震動による応答観測から得られた動的特性、それらに基づいて作成した振動モデル及び免震要素の特性のばらつきを考慮した地震解析結果についてまとめたものである。
蛯沢 勝三; 久野 哲也; 柴田 勝之; 阿部 一郎*; 角本 繁*; 亀田 弘行*
地域安全学会梗概集,10, p.133 - 136, 2000/11
原研で進めている「地震情報緊急伝達システム」は、地震計ネットワークからの地震動観測データに基づき、地盤データ及び増幅率関数等を用いて、震源・地震動パラメータ等を迅速に推定するシステムである。一方、ユーザーシステムとして、平常時/緊急時両用機能や情報の時空間・自律分散管理機能を有する京大の「多次元地理情報システム」の連携が可能である。そのため、ユーザは、平常時には時空間管理機能によって地理情報等を日常業務で更新でき、緊急時には最新の地理情報や地震情報を利用可能である。また、自律分散機能に基づくミラーサイトの設定により災害時に強いシステム構築が可能である。
堤 英明*; 山田 博幸; 蛯沢 勝三; 柴田 勝之; 藤本 滋*
土木学会第2回免震・制震コロキウム講演論文集, p.75 - 82, 2000/11
原研では、平成3年度から平成7年度までのPhase I研究において安全上重要な機器に免震技術を導入した場合の有効性評価手法及びコードを開発し、碍管付き起動変圧器について有効性を評価した。平成8年度から平成12年度までのPhase II研究では、機器免震有効性評価コードの高度化を目的として3次元機器免震システムの有効性確証試験を実施している。有効性確証試験では、平成10年度に原子力機器を模擬した特性の異なる「ボールベアリング支承・空気ばねタイプ」及び「多段積層ゴム・コイルばねタイプ」の3次元機器免震試験システムを設計製作し、前者のシステムは、大洗研究所内のテストベッド上に設置し、自然地震動下において地震応答観測を実施中である。既に数回の地震で顕著な免震効果が確認されている。また、後者については、種々の振動特性を有する地震動により振動台試験を実施し、動的挙動と免震効果を検証した。本論文は、「多段積層ゴム・コイルばねタイプ3次元機器免震試験システム」の概要、振動特性、振動台試験及び模擬地震応答解析についてまとめたものである。
堤 英明*; 山田 博幸; 蛯沢 勝三; 柴田 勝之
JAERI-Tech 2000-045, 107 Pages, 2000/07
免震技術は一般構造物と同様に原子炉機器の耐震設計においても、機器に作用する地震力を低減する有効な手段として期待されている。日本原子力研究所では、1991年より原子力機器の免震化に関する研究に着手し、機器免震の地震時における損傷頻度の評価手法及び評価コード(EBISA: Equipment Base Isolation System Analysis)を開発した。さらに、上記評価コードを高度化するために、1996年より機器免震システムの動的挙動を把握するとともに、有効性を検証するための確証試験を実施している。有効性確証試験では、特性の異なる2種類の3次元機器免震試験システムを製作し、それぞれの静的及び動的特性を静加力試験及び自由振動試験等で確認した。それらのうちの1台は、免震装置としてボールペアリング支承と空気ばねを用いたもので、現在大洗研究所内のテストベッドに設置し、自然地震動下で応答を観測しており、これまでに、いくつかの地震動により顕著な免震効果が確認されている。また、ほかの1台は、免震装置として多段積層ゴムとコイルばねを用いたもので、振動台試験により種々の大規模地震動に対する3次元的連成挙動と免震効果を確認した後、テストベッドに設置して地震応答を観測する予定である。本報告書は、多段積層ゴム及びコイルばねを用いた機器免震システムの仕様、静的及び動的特性、それらに基づいて作成した解析モデル、振動台試験の加振実験や加振性能を確認するために実施した予備振動台試験及び地震応答解析についてまとめたものである。
柴田 勝之; 蛯沢 勝三; 阿部 一郎*; 久野 哲也; 堀 貞喜*; 大井 昌弘*
Proceedings of 12th World Conference in Earthquake Engineering (CD-ROM), 8 Pages, 2000/01
原研では、科学技術庁の「地震総合フロンティア研究」の一環として、地震観測ネットワークによる地震動観測データを利用して、震源及び地震動パラメータを迅速に推定する「地震情報緊急伝達システム」の研究開発に着手した。システムの主な機能は次の通り。ネットワーク間の異なるフォーマットの一元化機能、地震波形のノイズ・ドリフト等への対応機能、震源パラメータを1分以内で断層パラメータを2分以内で推定する機能、表層地盤の非線形性や基盤の不整形性を考慮した地震動パラメータ推定機能。また、時空間的に常に更新され、平常時、緊急時を通して常に活用されるような地理情報システムとのインターフェースを検討する。システムの機能は、兵庫県南部地震で得られた地震動データや地盤データを用いて検証する。また、開発地震動推定手法を原研東海研周辺地域に適用し、想定大地震による地震動分布を把握するため、同地域の地盤データベースを整備中である。本報では、これらについて述べる。
蛯沢 勝三; 久野 哲也; 柴田 勝之; 大井 昌弘*; 堀内 茂木*; 阿部 一郎*; 都筑 和久*
リアルタイム地震情報伝達システム; 今後の産官学連携のために, P. 18, 2000/00
研究は、初動対応や被害推定に必要な震源・断層パラメータ及び地震動パラメータ推定手法や地震情報緊急伝達システムの開発を目的としている。システム開発は、地震情報を一方向で提供する基本システムと多様なユーザのニーズを考慮し情報の双方向伝達が可能な応用システムに分けて行っている。基本システムは、次の6つのサブシステムからなる。(1)地震計ネットワーク・地震動伝送サブシステム,(2)地震動収集サブシステム,(3)震源・断層パラメータ推定サブシステム,(4)地震動パラメータ推定サブシステム,(5)地震情報発信サブシステム,(6)地震情報利用サブシステム。これらのサブシステムのうち、地震動パラメータ推定サブシステムの開発は、次の概念に基づき行った。(1)ユーザの地震情報に対する種々の要求項目・要求時間・要求精度に対応するため、推定地震動パラメータと推定時間・精度とのトレードオフを考慮し、各種手法を任意に選択できるようにする。(2)対象地域での詳細な地盤情報(表層地盤の非線形特性や基盤の不整形性等)や地震動の事前予測分布等の関連情報を事前に準備し、推定精度を向上させる。システムの検証のために原研東海研周辺30km地域を選び、試験用リアルタイム地震計ネットワーク、周辺地域で発生した地震の地震動データ等を整備し検証した。応用システムの開発では、関連システム間の連携や平常時/緊急時両用システムの確立が重要性と考え、亀田等が開発した平常時/緊急時両用機能や情報の時空間・自律分散管理機能を有する「多次元地理情報システム(DiMSIS: Disaster Management Spatial Information System)」の利用が可能なシステムの概念を提案した。この概念に基づきプロトタイプシステムを開発するとともに、茨城県東海村に適用し機能を確認した。
堤 英明*; 山田 博幸; 寺垣 俊男*; 蛯沢 勝三; 柴田 勝之
Seismic Engineering 2000 (PVP-Vol.402-1), p.141 - 146, 2000/00
原研では、1991年より安全上重要な機器に免震技術を導入した場合の有効性評価手法及び評価コードを開発しており、それらの高度化を目的として機器免震システムの有効性確証試験を実施している。確証試験では、原子力機器を模擬した2次元及び3次元機器免震試験システムを設計・製作し、大洗研究所敷地内のテストベッド上に設置して、自然地震動における応答観測を行っている。また、静加力試験と自由振動試験を行い、各試験システムの復元力特性と振動特性を求めた。本論文は、上記2次元及び3次元機器免震試験システムの概要、特性試験結果ならびに1999年3月26日に茨城県日立市で発生した地震動(M5.1,最大加速度86Gal)の地震動に対する応答観測結果についてまとめたものである。
蛯沢 勝三; 柴田 勝之
SEISMO, 2(8), p.2 - 3, 1998/08
兵庫県南部地震を契機に、自治体及び産業施設の地震防災の観点から、地震発生時に、正確にかつ速やかに地震情報を通達できるリアルタイム地震情報システムの整備が急務になっている。そのため、原研では、耐震安全・防災フロンティアの研究の一環として、「地震情報緊急伝達システム」の研究開発を開始した。本研究は、地震動が対象地域や重要施設へ到達する前と後に係わる項目に大別される。前者では、震源近傍の地震計で検知した地震動のデータを伝送し、地震動が到達する前に、地震規模や地震動の大きさを予測する「地震動到達前の地震情報予測技術」の検討を行う。後者では、既存の地震計ネットワークによる地震動データを有効利用し、震源パラメータや都市及び産業施設の立地地域での地震動パラメータを迅速に提供する「地震情報緊急伝達システム」の原型版を開発する。
蛯沢 勝三; 柴田 勝之; 村松 健; 梅本 通孝
地球惑星科学関連学会1998年合同大会予稿集, p.22 - 23, 1998/00
原研では、耐震安全・防災フロンティア研究として、原子力施設の耐震安全に係わる地震リスク評価及び機器免震研究と地震防災に係わるリアルタイム地震防災及び緊急時情報伝達法研究を進めている。前者では、PSA手法を用い原子力発電所の地震リスクを評価すると共に、機器免震有効性評価コードを開発し、地震リスク上の重要機器を免震化した場合のリスク低減効果を評価する。後者では、地震計データを利用し、震源情報や都市・産業施設立地地域での地震動情報を迅速に提供する地震情報緊急伝達システムを開発する。また、災害対策に係わる機関・組織間の情報伝達・住民反応を模擬する計算モデルを開発する。
蛯沢 勝三; 安藤 和博*; 柴田 勝之; 穂高 志郎*; 長屋 雅文*; 伊東 守*; 亀岡 裕行*; 加治木 茂明*
第24回地震工学研究発表会講演論文集, 1, p.309 - 312, 1997/07
著者等は、確率論的手法に基づく機器免震の有効性評価手法及び評価コードを開発した。安全上重要な碍管付き起動変圧器の免震設計を行い、免震化の有効性を評価した結果、免震度が非常に大きいことが分かった。更に、実際の性能を確認するため、鹿島灘に面した原研大洗研究所敷地内で自然地震動を利用した機器免震確証試験を平成8年度から開始している。鹿島灘は、我が国有数の有感地震動の発生地域であるとともに、周波数特性の異なる地震動の震源域でもある。試験では、水平用免震装置を取り付けた試験体と、水平・鉛直両用免震装置を取り付けた試験体をテストベットに設置し、両者の振動挙動を比較する。そして、ロッキング及びねじれ振動に伴う免震装置の3次元振動挙動や水平及び鉛直それぞれの免震効果を確認する。
蛯沢 勝三; 亀岡 裕行*; 安藤 和博*; 柴田 勝之
Proc. of 14th Int. Conf. on Structural Mechanics in Reactor Technology, 7, p.475 - 482, 1997/00
機器免震設計基準を確立するために、2つの研究を行っている。1つは、機器免震の有効性評価法と評価コードを開発することである。有効性評価法については、確率論的手法や地震PSA手法を応用し開発した。また、同手法に基づき評価コードEBISAも開発した。2番目の研究は、機器免震設計基準の概念を確立することである。建屋内の機器においては、建屋応答の機器応答への影響評価が重要である。そのため、機器応答の入力となる原子炉建屋床応答スペクトの挙動について検討を行っている。一方、建屋外の機器においては、地盤物性の機器応答への影響評価が重要である。そのため、安全上重要な機器として挙げられている碍管付き起動変圧器を対象として、地盤物性を表すせん断波速度(Vs)を150から1500m/sの範囲で変えた場合の非免震・免震機器応答への影響評価を行った。その結果、地盤のせん断波速度の非免震機器応答への影響は大きいが、免震機器応答への影響はないことが分かった。これらから、建屋外機器の免震設計基準の概念を確立する場合、地盤物性を考慮する必要がないことが分かった。
柴田 勝之; 蛯沢 勝三; 安藤 和博*
Proc. of 7th German-Japan Joint Seminar on Research in Structural Strength and NDE-Problems, 12 Pages, 1997/00
機器免震は、安全上重要な個々の機器の耐震性とプラントの安全性を向上できる技術として有望視されるが、いまだ実用化されていない。機器免震の特徴は、既存プラントの機器への適用性が高く、経済性にも優れていることである。本研究では、軽水炉機器の耐震性と地震リスクの低減に資するため、機器免震の評価手法開発と関連試験を進めている。Phase Iの研究として、機器免震効果を確率論的手法により評価するEBISA(Equipment Base Isolation System Analysis)コードを開発した。また、免震装置の設計法の検討等も行った。さらに、安全上の重要機器として起動変圧器を免震構造化した場合の損傷 度の低減効果について感度解析を行った。Phase IIとして、コードの検証と高度化をめざした機器免震実験を8年度に開始した。本報告では、これまでの成果と今後の研究計画について概要を紹介する。