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高柳 智弘; 池畑 隆*; 奥村 義和; 渡邊 和弘; 花田 磨砂也; 雨宮 亨*; 柏木 美恵子
Review of Scientific Instruments, 73(2), p.1061 - 1063, 2002/02
被引用回数:1 パーセンタイル:12.5(Instruments & Instrumentation)負イオンの引き出し加速系では、引き出し電極に埋め込んだ永久磁石によるダイポール磁場によって電子を偏向させ加速部へ流出するのを抑制している。負イオンもわずかではあるがこの磁場によってその軌道が偏向される。高収束の負イオン加速器を実現するうえでは、この負イオンビームの偏向の度合いを詳細に把握することが必要である。そこで、引き出し電極の磁場が負イオンビームの軌道に与える影響を調べるため、原研の400keV負イオン源用いて、プラズマ電極と引き出し電極のギャップを変えてプラズマ引き出し面の磁場を変化させ、そのときの負イオンビームの偏向角度を調べた。その結果、プラズマ電極と引き出し電極のギャップを3mmから9mmとし積分値が310Gauss・cmから160Gauss・cmと減少したとき、ビームの偏向角度が9.5mradから6.4mradへと減少することがわかった。しかし、この場合の磁場積分値と偏向角度の比は、それぞれ1.9:1と1.5:1で一致しなかった。ビームの偏向角度には、3段加速電極の静電レンズ効果が含まれ、ダイポール磁場の積分値だけに依存しないことがわかった。また、偏向角度はビームのエネルギーに反比例することを明らかにした。これらの実験により得られた結果は、3次元軌道計算ソフトOPERA-3Dを用いて行った軌道解析の結果と良い一致を示した。
渡邊 和弘; 雨宮 亨*; 花田 磨砂也; 伊賀 尚*; 今井 剛; 井上 多加志; 柏木 美恵子; 栗山 正明; 森下 卓俊; 奥村 義和; et al.
Review of Scientific Instruments, 73(2), p.1090 - 1092, 2002/02
被引用回数:18 パーセンタイル:65.81(Instruments & Instrumentation)ITER用の中性粒子入射装置(NBI)には、1MeV,40Aでパルス幅1000秒以上の大出力負イオン源が要求されており、その設計を完了した。負イオン生成部は原研独自のカマボコ型負イオン源の特徴を生かした構造であり、負イオン加速部には5段の静電加速方式を採用した。負イオンは60cm160cmの領域に配置した直径14mmの円孔1300個から引き出され加速される。大面積から引き出されたビームを効率良く入射させるため、電極の傾斜や孔軸変位,電界修正電極等の効果を利用して入射ポートに収束する工夫を施している。負イオン源の設計に際しては、負イオンのMeV加速試験,高電流密度生成,負イオンビーム光学最適化等を実施した。これまでに、新たに開発した真空絶縁方式の加速器でも970keV,37mAの負イオン加速に成功し本方式の有効性を示した。また、負イオン生成では目標を上回る0.1Paの極めて低い動作ガス圧力で31mA/cmの高電流密度を達成した。これらによって、ITER-NBI実現の見通しを示した。
柏木 美恵子; 雨宮 亨*; 伊賀 尚*; 井上 多加志; 今井 剛; 奥村 義和; 高柳 智弘; 花田 磨砂也; 藤原 幸雄; 森下 卓俊; et al.
第12回粒子線の先端的応用技術に関するシンポジウム(BEAMS 2001)報文集, p.37 - 40, 2001/11
核融合プラズマの燃焼,電流駆動に不可欠な中性粒子入射装置(NBI)における負イオン源では、電流の高密度化,長パルス化が重要な開発項目である。日本原子力研究所ではセシウム添加型高密度負イオン源を開発し、仏国・カダラッシュ研究所との共同実験にて負イオンビーム長パルス加速実験を行った。この目的は、ITER-NBIに要求されている高密度負イオン電流(重水素で20mA/cm,水素負イオンで28mA/cm)の1000秒間加速を実証することである。セシウム効果を十分に得るため、フィルター磁場を最適化し、プラズマ電極温度を一定に保つことが可能な強制冷却型プラズマ電極を用いた。その結果、高密度水素負イオン電流30mA/cm(80秒間)を得た。また水素負イオン18mA/cm、重水素負イオン12mA/cmで1000秒間の連続加速を達成した。
清水 崇司; 和田 元*; 渡邊 和弘; 花田 磨砂也; 柏木 美恵子; 伊賀 尚*; 井上 多加志; 森下 卓俊; 雨宮 亨*; 今井 剛
第12回粒子線の先端的応用技術に関するシンポジウム(BEAMS 2001)報文集, p.25 - 28, 2001/11
体積生成型負イオン源に少量のCsを添加すると、負イオン生成効率が3-5倍に増加することが知られている。そのため、核融合炉用などの大電流負イオン源として体積生成方式のセシウム添加型負イオン源が用いられている。Cs添加による負イオン生成の促進効果は、プラズマに直接面するプラズマ電極(PG)表面の仕事関数がCs吸着により下がることによって、表面生成効率が増加するためであると考えられている。セシウムが付着した場合のPG電極の仕事関数は電極材質によって異なるため、表面生成される水素負イオン量も電極材質によって違いがあることが予想される。本研究では、電極材質の違いが負イオン生成効率へ与える影響を調べるために、PG電極の材質(金,モリブデン等)を変えて、生成される負イオン電流値の比較を行った。その結果、Au,MoにそれぞれCsを添加した場合、負イオン電流値はCs/AuがCs/Moより1.5倍ほど高い値が得られ、電極材質の違いで負イオン生成量が大きく変化することが確認できた。