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高橋 美佐*; Kohama, S.*; 重藤 潤*; 長谷 純宏; 田中 淳; 森川 弘道*
International Journal of Phytoremediation, 14(3), p.275 - 281, 2012/03
被引用回数:3 パーセンタイル:9.24(Environmental Sciences)汚染物質を和らげる能力の高い変異体を作出することは植物による環境浄化において重要である。我々はイオンビーム照射を利用して大気中のNOを浄化する能力の高いオオイタビ( L.)変異体の作出を試みた。25,000以上の外植片を照射し、263系統の植物体を得た。これらの植物体をNでラベルした濃度1ppmのNOに暴露した後、質量分光分析を行った。各系統のNO吸収量は110倍の範囲で異なった。高いNO吸収能力を示した44系統の増殖を試み、増殖に成功した15系統のうちの2系統はNO吸収量が野生型の1.7から1.8倍であった。この形質は遺伝的であり、これらの系統から増殖した個体は野生型よりも高いNO吸収能力を示した。RAPD分析によって野生型との間でDNAの変異が見られたことは、これらの系統が変異体であることを示唆する。これらの変異体は大気中のNOを和らげるために有用と考えらえる。
高橋 美佐*; Kohama, S.*; 近藤 功明*; 羽方 誠*; 長谷 純宏; 鹿園 直哉; 田中 淳; 森川 弘道*
Plant Biotechnology, 22(1), p.63 - 67, 2005/03
低木性のつる性植物であるヒメイタビの品種改良を行い、大気中の汚染物質を吸収,浄化することを最終目標として、イオンビームによる生物効果を調べた。茎頂切片の無菌培養体に炭素イオン,ヘリウムイオンを10Gyから200Gy照射した。照射後、培養体を再分化させたところ、形態変異が15-20%観察された。そのうち、炭素イオン20Gy照射したものでは、葉のふちなどに斑入りの変異が観察された。斑入りの変異は、生理異常や遺伝的なものなど、さまざまな原因から起こるため、斑入り部分を再度培養し、再分化させたところ、同様の斑入りが見られたことから、イオンビームによって遺伝的な斑入り突然変異体が誘発されることが初めて明らかになった。
森川 弘道*; 高橋 美佐*; Kohama, S.*; 長谷 純宏; 田中 淳
no journal, ,
二酸化窒素ガスは自動車などを主な発生源とする大気汚染物質である。一方、植物は、二酸化窒素ガスを吸収し、アミノ酸・タンパク質にまで同化することが知られている。そこで、本研究では、蔓性低木で、蔓から気根を出して壁面を這い上がる性質を持っており、成長が著しく早く、大気汚染物質浄化植物として適しているヒメイタビを用いて、イオンビーム照射による高二酸化窒素浄化植物の育種を試みた。イオンビーム照射した263再分化体の二酸化窒素吸収能を調査したところ、高いものと低いものの間に約100倍の差異が観察された。吸収能が高かった16系統について、1系統につき10個体に挿し木で増殖させて、二酸化窒素吸収能を調査した。その結果、2系統においてコントロール植物に比べて有意に1.8倍高い二酸化窒素吸収能を持つことが確認された。この2系統についてはさらに、それぞれ10個体ずつ増殖させて二酸化窒素吸収能を調査した。その結果、内1系統において、コントロールに比べて1.4倍高い二酸化窒素吸収能が確認された。以上の結果より、イオンビーム照射はヒメイタビ植物において、二酸化窒素浄化能力の高い植物の創成に有効であることが示された。
高橋 美佐*; Kohama, S.*; 重藤 潤*; 坂本 敦*; 長谷 純宏; 田中 淳; 森川 弘道*
no journal, ,
植物は、大気汚染物質である窒素酸化物(NOx)等を吸収/吸着することが知られており、高速道路壁面や工場周辺を緑化することで大気汚染物質の除去/拡散防止が期待されている。ヒメイタビ( Maxim)はクワ科イチジク属のつる性常緑樹で、気根を出して壁面を這い上がる性質をもっており、壁面緑化に適した植物である。植物を用いて効率よく大気汚染物質浄化を行うには、植物の能力を改良することが必要である。われわれは、ヒメイタビにイオンビーム照射を行い、窒素酸化物に対する浄化能力が高いヒメイタビ植物の作出を試みた。無菌的に生育させたヒメイタビ外植片に炭素イオンビームを照射し、その外植片から再分化体を得た。再分化体を順化した後、二酸化窒素(NO)浄化(除去)能力を測定した結果、親植物に比べて二酸化窒素吸収/代謝能が約2倍上昇した突然変異株の選抜に成功した。今回得られた変異株は、親植物と外見上の差異は認められず、壁面緑化植物としての特性は失われていないため、植物を用いた窒素酸化物浄化への利用が期待される。