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論文

Rock strength and stress dependence of local flow-path connectivity within faults or fractures; A Preliminary overview of virtual and in-situ hydraulic tests

石井 英一; 尾崎 裕介; 青柳 和平; 菅原 健太郎*

Hydrogeology Journal, 33(1), p.63 - 85, 2025/02

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Geosciences, Multidisciplinary)

本研究はコンピューター上で仮想の亀裂の透水試験を行い、亀裂内の流れの次元とDIの関係を調べた。DIは岩石の平均応力、地下水圧、および引張強度により定義される力学的指標である。DIが大きいほど、亀裂の閉塞により亀裂目内の流路面積は小さくなる。仮想の透水試験により得られた亀裂内の流れの次元とDIの関係を天然の断層や亀裂における原位置透水試験の結果と比較した。その結果、DIが2未満だと断層内の水みちの連結性が高い(流れの次元が1.5以上)一方で、DIが2以上だと水みちの連結性が低い(流れの次元が1.5以下)ことが分かった。この関係は断層の注水試験においてDIが変化する場合や断層のせん断変位が発生する場合においても有効で、亀裂の鉱物充填が発達する岩盤においても有効であった。しかし、断層から離れた小規模な亀裂は、断層のネットワークとの連結性の低さや鉱物充填の影響によりDIが2未満であっても水みちの連結性が低い場合があった。健岩部の透水性が高い場合は、DIが2未満でも水みちの連結性が高かった。これらの知見は限られたボーリング孔データから断層や亀裂内の水みちの連結性の分布を推定する際に役立つ。

論文

大規模三次元連成解析に基づく幌延深地層研究センター350m調査坑道での掘削$$sim$$長期透水試験に対する再現シミュレーション

末武 航弥*; 緒方 奨*; 安原 英明*; 青柳 和平; 乾 徹*; 岸田 潔*

第16回岩の力学国内シンポジウム講演論文集(インターネット), p.304 - 309, 2025/01

地層処分の安全性評価において、廃棄体処分坑道の掘削に伴うEDZ(掘削損傷領域)の進展範囲や、掘削後の岩盤の透水性変化挙動を予測することは非常に重要である。本研究では、三次元坑道掘削シミュレーターを用いて、幌延深地層研究センターで実施されている原位置坑道掘削とその後の透水試験を対象とした再現解析を試みた。その結果、掘削によるEDZの進展範囲と透水試験の結果について、原位置試験と類似する結果が得られた。このことから、本シミュレーターがわが国の大深度泥岩帯においての掘削に伴う力学的影響や、掘削後の岩盤変形-浸透といった連成現象とそれによる透水性変化などの予測評価に関して、有効であることが確認された。

論文

堆積軟岩を対象とした高レベル放射性廃棄物模擬処分孔掘削時の岩盤損傷の発達状況

青柳 和平; 尾崎 裕介; 大野 宏和; 石井 英一

第16回岩の力学国内シンポジウム講演論文集(インターネット), p.269 - 274, 2025/01

幌延深地層研究センターでは、実際の処分事業を想定し、実規模大の緩衝材や炭素鋼製の模擬オーバーパックで構成される人工バリアを底盤に掘削した模擬処分孔に定置したうえで坑道の一部を埋め戻し、人工バリア及び周辺岩盤の長期的な挙動をモニタリングしている。本研究では、模擬処分孔を掘削した際の掘削損傷領域の発達を、ボアホールテレビ観察、弾性波・比抵抗トモグラフィ調査により検討するとともに、三次元逐次掘削解析により評価した。結果として、模擬処分孔の浅い深度では、坑道底盤部の掘削の影響を受けて壁面から0.8mから1.6m程度の範囲で割れ目が発達し、深度が深くなるにつれて、割れ目の発達領域が徐々に小さくなり、最深部では最大でも0.3m程度の発達であることを示した。

論文

幌延国際共同プロジェクトの現状と今後の展開,1; 幌延深地層研究計画における国際共同プロジェクトの重要性

青柳 和平; 舘 幸男

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 31(2), p.124 - 127, 2024/12

日本原子力研究開発機構は、幌延深地層研究センターの地下施設を活用した「幌延国際プロジェクト(Horonobe International Project: HIP)」を、8つの国・地域から11の機関の参加を得て開始した。本プロジェクトの主要な目的は、地層処分のための先進的な安全評価技術や工学技術に関わる研究開発の成果の最大化や、次世代の研究者/技術者の育成による知識の継承である。本プロジェクトでは、1)物質移行試験、2)処分技術の実証と体系化、3)実規模の人工バリアシステムの解体試験の3つの研究タスクに取り組んでいる。これらのタスクでは、実際に坑道を掘削して原位置試験を実施しながら、解析手法や調査手法の妥当性を検証していく。この点は、HIPの特徴的で独創的な側面であり、上記の3つの研究課題は国際的にみても難易度の高いチャレンジングなものである。以上の点から、HIPは地下研究施設を活用した国際協力の良好事例となり得る。

論文

幌延深地層研究センター周辺で発生した地震による立坑掘削損傷領域への影響

丹生屋 純夫*; 畑 浩二*; 青柳 和平; 松井 裕哉

トンネル工学報告集(CD-ROM), 34, p.IV-1_1 - IV-1_6, 2024/12

幌延深地層研究センターの350m東連絡坑道において、底盤から3本の鉛直ボーリング孔を掘削し、深度350$$sim$$370m間に光ファイバ式AEセンサ、間隙水圧計および温度計で構成されたマルチ光計測プローブを設置し、東立坑の周辺において生じる掘削影響領域の把握や間隙水圧の変化を継続的に確認している。本報告では、東立坑深度380m掘削完了後の維持管理期間における計測データの推移を整理し、掘削損傷領域(EDZ)の進展状況を確認するとともに、地震が発生した時点の波形データを分析し、地震動が立坑周辺のEDZに及ぼす影響を調べた。その結果、地震の影響によりAEや間隙水圧が僅かながら変動することを確認したが、センター周辺で観測した震度1$$sim$$4程度の地震による立坑周辺のEDZの拡大の可能性はほとんど無いと推察された。

論文

Evaluation of excavation damaged zones (EDZs) in Horonobe Underground Research Laboratory (URL)

畑 浩二*; 丹生屋 純夫*; 青柳 和平

International Journal of the JSRM (Internet), 20(1), p.240104_1 - 240104_4, 2024/11

地層処分技術の信頼性向上において、長期間にわたる岩盤のモニタリングが重要な研究課題となる。そこで、2014年に、幌延深地層研究センターの350m以深の立坑周辺に、岩盤掘削時の振動(AE)、間隙水圧、温度の3種類の特性を取得できる光ファイバー式センサーを設置し、岩盤の水理・力学的な挙動のモニタリングを開始した。計測の結果、立坑の掘削中は、壁面から約1.5mの範囲でAEが頻発した。また、同領域における透水係数は、健岩部と比較して2$$sim$$4桁高かった。さらに、数値解析の結果、立坑掘削時の間隙水圧の上昇が、立坑周辺の割れ目発生の主な要因であることを明らかにした。これらの計測・解析結果を基に、掘削損傷領域の概念モデルを構築した。このモデルは、地層処分において、安全評価に資する情報として活用されることが期待できる。

論文

Transmissivity prediction of the Excavation Damaged Zone fracture around the gallery at 500 m at the Horonobe Underground Research Laboratory

青柳 和平; 尾崎 裕介; 田村 友識; 石井 英一

Proceedings of 4th International Conference on Coupled Processes in Fractured Geological Media; Observation, Modeling, and Application (CouFrac2024) (Internet), 10 Pages, 2024/11

高レベル放射性廃棄物の地層処分では、処分場建設時に空洞周辺に生じる掘削損傷領域が放射性核種の選択的移行経路になりうることから、掘削損傷領域の評価が重要となる。過去の研究では、割れ目に作用する平均有効応力を引張強度で除した、Ductility Index(DI)というパラメータにより透水性を評価できる可能性があることが示されている。本研究では、幌延深地層研究センターの350m調査坑道を対象として坑道周辺のDIの分布を検討することで、掘削損傷領域の透水量係数を予測した結果、水理試験により得られた結果を内包する予測結果を得た。さらに、これから建設が予定されている500m調査坑道を対象としてDIに基づき掘削損傷領域の透水量係数を予測した。結果として、500m調査坑道では、350m調査坑道と比較して掘削損傷領域に生じる割れ目の透水量係数が1桁程度小さいことが確認された。これは、深度500mは、深度350mと比較して地圧状態が高いことにより割れ目が閉塞されやすいことを反映したものであると考えられる。

論文

Variation of electrical resistivity distribution around the opened and backfilled tunnel in the Horonobe Underground Research Laboratory

尾崎 裕介; 青柳 和平; 大野 宏和; 木村 駿

Proceedings of 4th International Conference on Coupled Processes in Fractured Geological Media; Observation, Modeling, and Application (CouFrac2024) (Internet), 10 Pages, 2024/11

本研究では坑道周辺の比抵抗変化の把握を目的として、幌延深地層研究センターの350m試験坑道の試験坑道2および4において比抵抗トモグラフィを繰り返し実施している。調査対象の一方の坑道では、坑道は解放状態である。この坑道周辺では、掘削直後に坑道周辺に高比抵抗領域が現れたものの、その後その高比抵抗領域はその後顕著な変化を示さなかった。調査対象のもう一方の坑道では、人工バリア性能確認試験のために坑道の一部が埋め戻されており、坑道埋戻し後における熱・水・力学・化学連成挙動の調査を目的として、人工バリア内での注水および加熱により人工的な擾乱が与えられている。この坑道の周辺では、坑道および人工バリアのピットの掘削により坑道周辺および坑道床面に高比抵抗領域が現れた後、埋め戻された坑道の内部およびこれら周辺岩盤の高比抵抗領域は、注水による影響で低比抵抗領域に変化した。これらの比抵抗分布の変化の情報は、坑道解放条件下における掘削損傷領域の経時変化や、坑道埋戻し後の再飽和過程を評価する上で、有益な情報となると考えられる。

報告書

幌延深地層研究計画350m調査坑道の拡張工事を対象とした地下施設計測データ集

櫻井 彰孝; 青柳 和平; 村上 裕晃; 田村 友識; 藤枝 大吾; 戸賀瀬 和輝

JAEA-Data/Code 2024-005, 48 Pages, 2024/07

JAEA-Data-Code-2024-005.pdf:6.54MB
JAEA-Data-Code-2024-005-appendix(DVD-ROM).zip:1029.9MB

幌延深地層研究センターでは、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示された研究課題である、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」、「処分概念オプションの実証」、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」に取り組んでいる。さらに、深度500mまで坑道を展開してこれらの研究課題に取り組むこととしている。2023年度以降は掘削工事を再開し、350m調査坑道の拡張工事として、3本の試験坑道(試験坑道6、7、東立坑側第1ボーリング横坑)を掘削するとともに、深度500mに向けた東立坑、西立坑、換気立坑の掘削や、500m調査坑道の掘削が実施される。本データ集は、現在掘削している切羽や後続施工箇所の設計・施工にフィードバックする情報化施工プログラムを実施していくための基礎データとすること、地下施設建設時に取得した調査・計測データの共有化ならびに散逸防止を図ることを目的として、350m調査坑道の拡張に伴う掘削時の調査・計測結果を取りまとめたものである。

論文

Estimation of stress state using measured tunnel convergence in loop galleries excavated in mudstone

青柳 和平; 菅原 健太郎*; 亀村 勝美*; 名合 牧人*

International Journal of Rock Mechanics and Mining Sciences, 178, p.105776_1 - 105776_11, 2024/06

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Engineering, Geological)

高レベル放射性廃棄物の地層処分場の設計や建設に際しては、初期地圧の情報を建設しながら行進していく方法を開発することが有効である。これまでの方法では、水圧破砕法や応力解放法といった手法により地圧状態の評価が行われてきた。しかしながら、特に堆積岩では、岩盤の不均質性や地形の影響によるばらつきが大きく、評価が難しい状況であった。本研究では、幌延深地層研究センターの深度350mに掘削した周回坑道で計測した掘削初期の弾性変形の情報を基に地圧状態を推定する手法を新たに開発した。推定の結果、最大水平応力、最小水平応力はそれぞれ11.25MPa、6.25MPaとなり、施設建設前の計測により得られた地圧値に整合的であった。この手法は掘削後の地圧状態を推定するものであるが、坑道周辺の数百メートル四方の広域的な地圧の状態を信頼性高く予測できるものであることが分かった。また、地層処分場のように広大な地下施設の設計や施工、安全評価の高度化や最適化に資する情報を提供できる手法であることもわかった。

論文

粘土を含む水が花崗岩質岩盤の透水特性に及ぼす影響

奈良 禎太*; 柏谷 公希*; 桶谷 和生*; 藤井 宏和*; Zhao, Y.*; 加藤 昌治*; 青柳 和平; 尾崎 裕介; 松井 裕哉; 河野 勝宣*

材料, 73(3), p.220 - 225, 2024/03

岩盤中においては、その中に含まれる亀裂が地下水流動や物質移動の主な移行経路となる。このような亀裂に粘土鉱物のような微細な粒子が充填すると、岩盤の透水係数が低下することが室内試験により確認されている。本研究では原位置においても同様の現象が発生するかを確認するため、瑞浪用地の深度300mにおいて岩盤中に粘土を含む水を注入し、岩盤の透水性の変化を測定した。原位置試験では粘土を含む水の注入により、2オーダーの透水性の低下が確認され、原位置においても粘土鉱物のような粒子の亀裂の充填により透水性が低下することが確認された。

論文

Evaluation of temporal changes in fracture transmissivity in an excavation damaged zone after backfilling a gallery excavated in mudstone

青柳 和平; 石井 英一

Environmental Earth Sciences, 83(3), p.98_1 - 98_15, 2024/02

 被引用回数:2 パーセンタイル:69.69(Environmental Sciences)

高レベル放射性廃棄物の地層処分において、坑道掘削損傷領域の透水性の経時変化の予測が、掘削損傷領域内部の割れ目を介した放射性核種の移行特性の評価の信頼性向上において重要となる。特に人工バリア定置後の緩衝材の膨潤圧発生に伴う割れ目の透水性の変化を検討することを目的として、幌延深地層研究センターにおいて実施している実規模の人工バリア性能確認試験領域付近で4年間透水試験を実施した。試験の結果、透水性は時間とともに低下し、膨潤から4年経過した時点で、試験開始時よりも透水性が41%に低下することが確認された。さらに、Barton-Bandisのモデルを適用することにより、膨潤圧の変化に伴う透水性の低下挙動を定量的に再現することができた。割れ目の閉塞の妥当性については、人工バリア性能確認試験実施領域で実施した弾性波トモグラフィ調査において、特に底盤部分の弾性波速度の増大が見られたことから確認することができた。これらの結果から、人工バリアの膨潤に伴う掘削損傷割れ目の閉塞について、実証することができた。また、地層処分事業において、廃棄体定置後の緩衝材の膨潤による掘削損傷割れ目の透水性の事前予測に際してBarton-Bandisモデルの適用可能性が示された。

論文

Evaluation of excavation damaged zones (EDZs) in Horonobe Underground Research Laboratory (URL)

畑 浩二*; 丹生屋 純夫*; 青柳 和平; 宮良 信勝*

Journal of Rock Mechanics and Geotechnical Engineering, 16(2), p.365 - 378, 2024/02

 被引用回数:3 パーセンタイル:78.47(Engineering, Geological)

山岳トンネルや地下備蓄基地などの地下空洞の掘削時には、応力再配分の影響により空洞周辺岩盤に損傷が生じる。このような領域では、亀裂や不連続面が発生することから、発生に伴う振動(アコースティックエミッション、AE)が生じる。本研究では、長期的な立坑周辺岩盤のモニタリングのために、光ファイバー式のAEセンサー,間隙水圧計を1つのボーリング孔に設置できるプローブを開発した。計測の結果、立坑掘削に伴ってAEの発生数が顕著となり、さらに立坑壁面から1.5mの範囲で2から4桁の透水係数の増大を確認した。さらに、数値解析の結果、間隙水圧変化と割れ目の発達領域を適切に再現できた。これらの結果を踏まえ、立坑周辺の掘削損傷領域の概念モデルを構築した。なお、この成果は、高レベル放射性廃棄物処分時の安全評価の信頼性の向上に資するものである。

論文

人工バリア性能確認試験における人工バリアおよび周辺岩盤の熱・水・力学挙動の計測に関して

尾崎 裕介; 大野 宏和; 青柳 和平

資源・素材講演集(インターネット), 6 Pages, 2023/09

幌延深地層研究センターでは、原子力発電により発生する高レベル放射性廃棄物の地層処分に係る技術開発の一環として、地下研究施設の深度350m坑道において人工バリア性能確認試験を実施している。人工バリア性能確認試験では、埋め戻した坑道の内部や周辺の岩盤を対象として種々の計測が約10年間実施されている。本発表では、これらの計測結果に関して紹介する。

論文

Resin-injection testing and measurement of the shear displacement and aperture of excavation-damaged-zone fractures; A Case study of mudstone at the Horonobe Underground Research Laboratory, Japan

青柳 和平; 石井 英一; Chen, Y.*; 石田 毅*

Rock Mechanics and Rock Engineering, 55(4), p.1855 - 1869, 2022/04

 被引用回数:5 パーセンタイル:41.00(Engineering, Geological)

高レベル放射性廃棄物の安全評価では廃棄体から地下水に漏洩した放射性核種の長期的な移動を評価するために、処分場の坑道掘削により坑道周辺に形成される掘削損傷領域割れ目の長期定な透水性を推定する必要がある。本研究は幌延深地層研究センターの地下坑道において、掘削損傷領域割れ目のせん断誘発膨張が同割れ目の開口幅に与える影響を定量的に調べるために、同割れ目を予め樹脂注入より固化した状態で掘削・採取し、観察した。これまで、掘削損傷領域割れ目のせん断変位を詳細に計測した事例はなかったが、せん断誘発膨張が割れ目開口に与える影響を理解することは、坑道埋め戻し後の割れ目の長期的な透水性を評価する上で重要である。樹脂により固化された割れ目の拡大写真を用いて、割れ目のラフネス、せん断変位、および開口幅を詳細に計測した結果、せん断変位量と開口幅に相関性は認められず、割れ目形成後のせん断膨張は有意に生じていないことが示された。この結果は既存の経験則を用いたシミュレーションでも再現でき、深度350mのやや高い垂直応力がせん断誘発膨張を抑制していることが考えられた。垂直応力が大きく低下しない限りは、仮に割れ目がせん断しても、割れ目の開口幅が有意に増加する可能性は低いと考えられる。坑道埋め戻し後の掘削損傷領域割れ目のせん断膨張の可能性を検討する上で、原位置における樹脂注入試験と詳細な割れ目観察は有効な手法であることを示した。

報告書

A Numerical simulation study of the desaturation and oxygen infusion into the sedimentary rock around the tunnel in the Horonobe Underground Research Laboratory

宮川 和也; 青柳 和平; 赤木 俊文*; 山本 肇*

JAEA-Data/Code 2021-002, 26 Pages, 2021/05

JAEA-Data-Code-2021-002.pdf:2.14MB
JAEA-Data-Code-2021-002-appendix(CD-ROM).zip:40.99MB

これまでに、堆積岩を対象とした不飽和領域の形成及び岩盤中への酸素の侵入要因の検討を目的とした数値解析を実施してきた。Miyakawa et al.(2019)では、堆積岩地域の例として、幌延深地層研究センターの地下施設を模擬し、これらの解析結果の一部をまとめ、飽和度変化及び不飽和領域の広がりに対する溶存ガス濃度及び岩盤の透水性の及ぼす影響について議論している。Miyakawa et al.(2021)でも同様に解析結果の一部をまとめ、坑道内の酸素の岩盤中への侵入挙動に対する溶存ガス濃度、岩盤の透水性及び坑道内の湿度の影響について議論している。これらの報告では、テーマを絞った議論のため、一部の解析結果のみしか公開されていない。本報告書は、不飽和領域の形成や岩盤中への酸素の侵入挙動及び坑道の埋戻し後の不飽和領域の消長を考察する上で参考となる基礎データを公開することを目的として、上記の2件の検討で使用したデータを含めた全ての解析結果をデータ集として取りまとめたものである。

論文

Numerical simulation of oxygen infusion into desaturation resulting from artificial openings in sedimentary formations

宮川 和也; 青柳 和平; 赤木 俊文*; 山本 肇*

第15回岩の力学国内シンポジウム講演論文集(インターネット), p.609 - 614, 2021/01

高レベル放射性廃棄物の地層処分場の掘削により、坑道周辺岩盤の損傷や溶存ガスの発生等による不飽和領域の形成といった掘削影響領域が生じる。当該領域では、坑道内の大気が岩盤内に侵入し、岩盤や地下水が還元状態から酸化状態に変化する可能性がある。北海道幌延地域に位置する幌延深地層研究センターの地下施設ではこれまでに、坑道周辺の掘削影響領域における酸化の兆候は確認されていない。その理由として、地下水中の溶存ガスが遊離することで、岩盤内への酸素の侵入を抑制している可能性が指摘されている。本研究では、溶存ガスや地下水の移流・拡散を考慮した気液二相流解析を実施し、岩盤中への酸素の侵入メカニズムについて検討した。その結果、地下水中に含まれる溶存ガス量と岩盤の透水性が酸素の侵入に及ぼす影響は、同程度であることが分かった。坑道内の湿度が低下した場合、掘削損傷領域中の飽和度が大きく低下し、溶存ガスが多く含まれるような条件においても、岩盤中に比較的多くの酸素が侵入する結果が得られた。幌延の地下施設では、吹付コンクリートが岩盤壁面の湿度を高い状態で維持し、さらに酸素との接触を低減させていると考えられる。吹付コンクリートが無い場合は、坑道内の湿度は季節変動や換気状況により低下し、酸素が岩盤内に侵入すると考えられるが、実際の地下環境では黄鉄鉱の酸化反応などにより酸素が消費されると考えられる。

論文

損傷モデルによる珪質泥岩を対象とした坑道掘削解析

三嶌 星輝*; 緒方 奨*; 乾 徹*; 安原 英明*; 岸田 潔*; 青柳 和平

第15回岩の力学国内シンポジウム講演論文集(インターネット), p.215 - 220, 2021/01

高レベル放射性廃棄物地層処分施設の安全性を評価する上で、廃棄体処分坑道掘削時の天然バリア中の亀裂発生挙動の把握が不可欠である。そのためには、日本の地質の大半を占める結晶質岩及び堆積岩中の亀裂発生挙動を数値解析により正確に記述する必要がある。そこで本研究では、損傷モデルを用いて、日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センターの深度350mの調査坑道で実施された珪質泥岩への坑道掘削を模擬した数値解析を行い、実測された亀裂の発生範囲,破壊モード、坑道の内空変位に対する解析結果の整合性を検証した。解析結果より、坑道周辺に引張による無数の亀裂発生が確認され、その発生範囲及び破壊モードは実際の観察結果とよく合致していることが確認された。更に坑道の内空変位に関しても、解析値は実測値と比較して概ね妥当性のある結果を示した。

論文

幌延深地層研究センターの東立坑における掘削損傷領域の評価

畑 浩二*; 丹生屋 純夫*; 青柳 和平; 宮良 信勝

土木学会論文集,F1(トンネル工学)(インターネット), 77(2), p.I_29 - I_43, 2021/00

北海道幌延町に位置する幌延深地層研究センターにおいて、空洞周辺岩盤の水理・力学的挙動モデルを確立するため、深度350m以深の立坑を対象に掘削前から掘削完了後の維持管理期間にわたって光式のAEセンサ・間隙水圧センサ・温度センサを用いて長期計測を実施した。計測結果から、掘削時には壁面1.5m程度までの領域でAEは頻発し、間隙水圧は複数回の顕著な増減現象が生じた。さらに、2$$sim$$4オーダーの透水係数増大も確認された。また、数値解析から、立坑掘削時の非排水・排水挙動が間隙水圧変化や破壊領域発生に寄与していることを示した。以上の結果を統合して掘削損傷領域を可視化した概念モデルを構築し、地層処分事業における施設設計の妥当性確認等に資する成果として取りまとめた。

報告書

マルチ光計測プローブを用いた立坑周辺岩盤の掘削影響領域の長期モニタリングとその評価(共同研究)

畑 浩二*; 丹生屋 純夫*; 鵜山 雅夫*; 中岡 健一*; 深谷 正明*; 青柳 和平; 櫻井 彰孝; 棚井 憲治

JAEA-Research 2020-010, 142 Pages, 2020/11

JAEA-Research-2020-010.pdf:13.74MB
JAEA-Research-2020-010-appendix(DVD-ROM).zip:149.9MB

高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究においては、坑道掘削時に生じる掘削損傷領域(Excavation Damaged Zone、以下EDZ)が主たる放射性核種の移行経路の一つとなる可能性が示唆されている。特に堆積岩では、坑道掘削中のみならず長期的なEDZ内外の割れ目の進展といった力学的な検討は、地層処分の安全評価上重要な情報となる坑道周辺の水理的な変化を捉えるという点においても重要であり、それを長期モニタリング可能な計測ツールの開発が待たれていた。本共同研究では、新第三紀堆積岩中に建設された幌延深地層研究所東立坑の深度370m付近の3本のボーリング孔内の合計9箇所に大林組が製作したモニタリングツールを設置した。モニタリングツールは、1箇所に岩盤の力学挙動計測用の「光式AEセンサー」、地下水挙動計測用の「光式間隙水圧センサーと光式温度センサー」が1式で構成されており、立坑対象深部の掘削中および掘削後におけるAE信号波形他各種計測データを取得・分析し、岩盤の破壊に起因するAE信号波形を選別することを目的に製作された。AE信号波形をはじめとした各種計測データを分析した結果、東立坑深部掘削および掘削後に周辺岩盤に発生もしくは進展したき裂などの短期/長期的なEDZに関する情報を把握することができた。今後、これらの分析データに基づいて解析評価を行うことにより、幌延深地層研究所深部の堆積岩におけるEDZの長期的な安定性評価に資する検討を行うことができると考えられる。

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