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Liu, J.; 土津田 雄馬; 墨田 岳大; 北垣 徹; 大貫 敏彦; 香西 直文
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 331(6), p.2785 - 2794, 2022/06
被引用回数:3 パーセンタイル:68.71(Chemistry, Analytical)福島第一原子力発電所(FDNPP)における燃料デブリは10年以上微生物を含んでいる地下水に保存した。微生物による燃料デブリの変化が起こる可能性がある。本研究では、CeO, ZrO, Fe(0), SiOを用いて燃料デブリの模擬体を調製し、好気性条件下で金属元素酸化細菌として認識されていない2つの常在菌Pseudomonas fluorescens及びBacillus subtilisに曝露して、模擬体の物理的及び化学的変化を調べた。粉末模擬体を用いた実験では、Ce, Zr, Siはほとんど溶解せず、Feを溶解したままFe(II)とFe(III)として液相に存在し、一部溶解した鉄は鉄(水)酸化物のナノ粒子として析出した。ペレット模擬体を用いた実験では、バクテリアはFe(0)粒子表面に選択的に集まり、腐食ピットを作った。これらの結果は地下水中のバクテリアがFDNPPの燃料デブリ中の鉄を腐食し、燃料デブリを多孔質体に変え、ナノサイズの鉄(水)酸化物粒子を水中に放出することを示唆した。
平野 伸一*; 井原 奏太*; 若井 暁*; 土津田 雄馬; 大谷 恭平; 北垣 徹; 上野 文義; 岡本 章玄*
Microorganisms (Internet), 10(2), p.270_1 - 270_12, 2022/02
被引用回数:7 パーセンタイル:84.82(Microbiology)淡水中の嫌気条件下での腐食におけるメタン生成菌の役割を理解するために、地下水と河川から収集されたサンプル中のメタン生成菌の腐食活性を調査した。地下水中でCO/NaHCOとFeをそれぞれ唯一の炭素源と電子供与体として成長できる微生物を単離した。電気化学的分析により、メタン細菌種は、-0.61V vs.SHE未満でカソードから電子を取り込むことができ、細胞外電子伝達能力を持つ他の以前に報告されたメタン生成菌とは異なる電気化学的ポテンシャルを持つ酸化還元活性を持っていることが明らかになった。この結果により、嫌気性淡水環境でFeから電子を取り込むことができるメタン生成菌による腐食リスクと、リスク診断に寄与するための腐食メカニズムを理解する必要性が明らかとなった。
Liu, J.; 土津田 雄馬; 北垣 徹; 香西 直文; 山路 恵子*; 大貫 敏彦
Proceedings of International Topical Workshop on Fukushima Decommissioning Research (FDR 2019) (Internet), 2 Pages, 2019/05
福島第一原子力発電所(FDNPP)の廃止措置を行う上で、燃料デブリの現状を把握することは非常に重要な課題の一つである。事故直後に行われた炉内への海水注入および現在まで続く地下水の流入により、FDNPP周辺環境中の微生物の炉内への侵入が予想される。また、今後予定されている燃料デブリの取り出し作業において、人や機材などの出入りに伴う大気の流入により、新たな微生物の侵入も考えられる。これらの微生物の代謝活動は、炉内構造材の腐食や燃料デブリの分解などの原因となる可能性があり、燃料デブリの現状を正しく把握する上で考慮する必要がある。そこで、本研究では模擬燃料デブリを液体培地中で細菌と混合培養することにより、微生物の代謝による燃料デブリへの影響を観察した。
堀池 巧*; 土津田 雄馬*; 中野 友里子*; 落合 朝須美*; 宇都宮 聡*; 大貫 敏彦; 山下 光雄*
Applied and Environmental Microbiology, 83(20), p.e00855-17_1 - e00855-17_11, 2017/10
被引用回数:18 パーセンタイル:58.91(Biotechnology & Applied Microbiology)福島第一原子力発電所事故により、放射性ストロンチウムの一部が海洋に漏出した。塩濃度が高い条件では一般的な吸着剤によるSrの除去効率が低いので、本研究では生物起源鉱物による塩水中からの水溶性Srの除去を検討した。海底堆積物から単離したバチルス属細菌のTK2k株は、塩水中のSrの99%以上を除去した。Srはまず細胞表面に吸着し、その後細胞外に形成した炭酸塩鉱物に取り込まれることを明らかにした。
Liu, J.; 土津田 雄馬; 北垣 徹; 香西 直文; 山路 恵子*; 大貫 敏彦
no journal, ,
原子力過酷事故後、水における燃料デブリの周囲に微生物の繁殖が確認された。このため、福島第一原子力発電所の炉内において、微生物による燃料デブリ中の元素のマイグレーションを考慮する必要がある。本研究では、自然界に広く存在する微生物を液体培地中で模擬燃料デブリと培養し、微生物による燃料デブリ中のアクチノイド, ジルコニウム, 鉄のマイグレーションメカニズムを明らかにした
Liu, J.; 土津田 雄馬; 北垣 徹; 香西 直文; 大貫 敏彦
no journal, ,
過酷事故後の燃料デブリには、微生物の存在が確認された。燃料デブリを取り出すために、その微生物の影響によって誘起される燃料デブリの変質現象は考慮する必要がある。本研究では、自然に広く存在する細菌を用いて液体培地で製作した模擬燃料デブリと培養し、溶液中の元素の経時変化及び培養した模擬燃料デブリを分析した。燃料デブリの変質メカニズムの解明に貢献した。
Liu, J.; 土津田 雄馬; 北垣 徹; 香西 直文; 大貫 敏彦
no journal, ,
福島第一原子力発電所(FDNPP)の事故では、溶融した核燃料、構造材料およびコンクリートからなる燃料デブリが生成された。現在に至るまで、損傷した原子炉の廃止措置および燃料デブリ取り出しについての検討が行われている。燃料デブリの現状と、燃料デブリ取り出し作業中に起こり得る変化を予測することは極めて重要である。過去の事例では、TMI-2やチェルノブイリ発電所(CNPP)において微生物の侵入/増殖が確認されており、特に、CNPPで分離された微生物では、ラボレベルの実験において燃料デブリの崩壊を促進したという報告がある。しかし、現時点においてそのメカニズムは不明である。FDNPPにおいても過去の事例と同様に微生物の侵入が予想されるが、その影響は未知数である。そこで、本研究では微生物による模擬燃料デブリの分解実験を行った。その結果、本研究における模擬燃料デブリの微生物分解は、主に鉄の酸化および鉄・ジルコニウムの液体培地への溶解によるものであると確認した。
土津田 雄馬
no journal, ,
土壌や水圏、さらには人の体表や腸内など、我々の身の回りには多種多様な微生物が存在している。放射線環境下も例外ではなく、過酷事故後のスリーマイル島原子力発電所やチェルノブイリ原子力発電所でも微生物の存在が複数報告されている。福島第一原子力発電所(1F)においても事故直後の海水注水や地下水の流入により、周辺環境から微生物が建屋内へ侵入していると考えられる。廃炉には長い期間を要することから、建屋内に侵入した微生物の特性を理解しておくことはリスク管理において重要である。本報告では、1F周辺から採取した環境試料(土壌および地下水)の遺伝子解析および培養試験を行い、微生物群の特性について検討した。その結果、今回検討に用いた試料では鉄の酸化還元を中心に、低級炭化水素や硫黄の代謝を軸とした微生物叢が構築されていることが明らかとなった。
Liu, J.; 土津田 雄馬; 北垣 徹; 高野 公秀; 香西 直文; 大貫 敏彦
no journal, ,
福島第一原子力発電所の廃止措置に向けては、微生物による燃料デブリや構造材の経年変化リスク評価の観点から、微生物が燃料デブリの溶解へ与える影響を把握しておく必要がある。本研究では、液体培地に模擬燃料デブリ(UO/Fe(0))と自然に広く存在する細菌を静置し経時変化を調べた。実験後の分析結果から、本実験の条件においては細菌により燃料デブリの溶解が促進されることを確認した。