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論文

Impact of nuclear data updates from JENDL-4.0 to JENDL-5 on burnup calculations of light-water reactor fuels

渡邉 友章; 多田 健一; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*

Journal of Nuclear Science and Technology, 16 Pages, 2025/04

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)

本研究では、JENDL-4.0(J4)からJENDL-5(J5)への核データ更新が軽水炉燃料燃焼計算に与える影響を調査した。燃焼計算はPWRピンセル及びBWR燃料集合体形状について実施した。計算の結果、中性子増倍率(k$$_{rm inf}$$)に燃焼度に依存した大きな差異があることがわかった。燃焼度0-50GWd/tの範囲において、J5のk$$_{inf}$$はJ4のk$$_{rm inf}$$よりも一貫して小さく、その差は燃焼が進むにつれて徐々に大きくなった。各核種の断面積データをJ4からJ5に置き換えた計算の結果、$$^{235}$$U, $$^{238}$$U, $$^{239}$$Puの断面積とH$$_{2}$$O中のHの熱中性子散乱則データの更新がk$$_{inf}$$の差に顕著な影響を与えることが分かった。Gd燃料を含むBWR集合体形状では、10-15GWd/tの燃焼度範囲で大きなk$$_{inf}$$の違いが観測された。この差異は主に$$^{235}$$U, $$^{155}$$Gd, $$^{157}$$Gd断面積の更新とH$$_{2}$$O中のHの熱中性子散乱則データに起因することが分かった。さらに、核種数密度、中性子エネルギー依存の感度係数、中性子スペクトルを調査することにより、核データの更新がk$$_{rm inf}$$にどのように影響を与えたかを明らかにした。

論文

Impact of nuclear data revised from JENDL-4.0 to JENDL-5 on PWR spent fuel nuclide composition

渡邉 友章; 多田 健一; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*

Journal of Nuclear Science and Technology, 60(11), p.1386 - 1396, 2023/11

 被引用回数:5 パーセンタイル:72.91(Nuclear Science & Technology)

使用済み燃料の核種組成を計算する燃焼計算は核データに大きく依存する。日本における最新の評価済み核データJENDL-5では多くの核種がJENDL-4.0から修正されており、その修正は燃焼計算に影響を及ぼす。本研究では、燃焼計算におけるJENDL-5の妥当性を確認した。検証には高浜3号機のPIEデータを使用した。JENDL-4.0からJENDL-5への例えば断面積や核分裂収率等のパラメータ変更が核種組成に与える影響を定量的に調査した。計算の結果、JENDL-5はJENDL-4.0と同程度の性能を有することがわかった。また計算結果から、アクチニド核種の断面積、核分裂収率、H$$_{2}$$O中の水素の熱中性子散乱則データの変更がPWR使用済燃料の核種組成に影響を与えることが明らかになった。

論文

Comparison of neutronic characteristics of BWR burnup fuel between JENDL-4.0 and JENDL-5

渡邉 友章; 多田 健一; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*

Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 10 Pages, 2023/10

2021年に公開された最新の日本の評価済み核データライブラリであるJENDL-5では、U-235を始めとした重核種や可燃性毒物として燃料に含まれるGd-155及びGd-157の断面積が修正されている。また、燃焼燃料の特性把握に必要不可欠な核分裂収率や崩壊データが全面的に見直されている。本研究では、JENDL-5の妥当性確認の一環として、これらJENDL-5において修正された核データが燃焼燃料の核特性に与える影響を調査した。BWRの9$$times$$9型STEP-3燃料に基づくOECD/NEA燃焼ベンチマークPhase III-CをJENDL-4.0とJENDL-5を用いて解析を行い、両者のk$$_{inf}$$を比較した。その結果、JENDL-5は燃焼を通じてk$$_{inf}$$を小さく評価し、12GWd/tのk$$_{inf}$$のピークあたりで約600pcmの大きな差異が生じること、また20GWd/t以降は燃焼度の増加につれて差異が拡大し、50GWd/tで約600pcmに達することが分かった。また本研究では、核種毎にJENDL-4.0からJENDL-5に核データを入れ替えて計算を行うことで、k$$_{inf}$$の差異にどの核種の核データが寄与しているかを調査した。

報告書

海外炉を用いた中性子照射試験,1; キャプセル温度制御システムを用いた照射試験の検討(共同研究)

高部 湧吾; 大塚 紀彰; 冬島 拓実; 佐谷戸 夏紀; 井上 修一; 森田 寿; Jaroszewicz, J.*; Migdal, M.*; 小沼 勇一; 飛田 正浩*; et al.

JAEA-Technology 2022-040, 45 Pages, 2023/03

JAEA-Technology-2022-040.pdf:6.61MB

中性子照射場として中核を担ってきた材料試験炉(Japan Materials Testing Reactor: JMTR)の廃止に伴い、軽水炉の一層の安全性、信頼性・効率性向上のための技術開発や革新的な原子炉開発に必要な国内照射場が喪失され、照射試験炉の運転技術や照射技術の継承や人材育成も困難な状況となった。こうした課題に対処するため、代替手段として中性子照射場を海外炉に求めた照射試験の実施に係る検討を行った。「ポーランド国立原子力研究センターと日本原子力研究開発機構との間の試験研究炉の研究開発のための共同研究取決め」に基づきポーランド国立原子力研究センター(NCBJ)が所有するMARIA炉(出力30MW)を中性子照射場として、JMTRの有する照射技術の一つである温度制御システムを導入した照射試験の実施可否を検討した。その結果、JMTRの設計・製作基準に則って製作済であったキャプセルに対し改造を施すことで照射試験の実現が可能である見通しが得られた。改造後に浸透探傷検査、絶縁導通試験及びキャプセルの使用温度である室温$$sim$$300$$^{circ}$$Cの範囲における動作試験等を実施し、良好な結果が得られ、MARIA炉への輸送前準備を完了した。

報告書

超音波厚さ測定によるJMTR原子炉施設の配管の健全性調査

大森 崇純; 大塚 薫; 遠藤 泰一; 武内 伴照; 井手 広史

JAEA-Review 2021-015, 57 Pages, 2021/11

JAEA-Review-2021-015.pdf:6.3MB

JMTR原子炉施設は、日本原子力研究開発機構が2017年4月1日に策定した施設中長期計画において、廃止施設に選別され、2019年9月18日に廃止措置計画認可申請を行い、2回の補正を経て、2021年3月17日に認可を取得した。現在、廃止措置を行うための準備を進めている。JMTR原子炉施設は、1968年3月の初臨界から50年以上経過し高経年化が進んでいるが、原子炉一次冷却系統などについては建設当時から更新されておらず、腐食等によって減肉している可能性があると考えた。そのため、JMTR原子炉施設のうち、冷却水等を取扱う設備を対象とし、配管の健全性調査をおこなった。本調査においては、原子炉一次冷却系統の主循環系統、プールカナル循環系統、CFプール循環系統等に対して、超音波厚さ測定法(UTM: Ultrasonic Thickness Measurement)を用いて配管の肉厚測定を実施した。その結果、これら系統を構成する配管等について、「試験研究用原子炉施設に関する構造等の技術基準平成15年5月30日(15科原安第13号)第3種管40条(管の形状)」に定める計算式から算出した最小肉厚値を満足していることを確認した。今後は、基礎的なデータとして本結果を活用することで、廃止措置期間中においても冷却水循環及び送水設備の配管等に健全性を損なう減肉がないことを定期的に確認していく。

論文

Development of radiation detectors for in-pile measurement

武内 伴照; 大塚 紀彰; 柴田 裕司; 永田 寛; 遠藤 泰一; 松井 義典; 土谷 邦彦

KAERI/GP-418/2015, p.110 - 112, 2015/00

開発中の鉛エミッタ自己出力型$$gamma$$線検出器(SPGD)及び白金40%ロジウム合金自己出力型中性子検出器(SPND)について、炉内照射試験に先立って$$gamma$$線照射試験を行った。200$$sim$$6000Gy/hの範囲における試験結果から、SPGDの出力電流はおよそ10%の誤差精度で$$gamma$$線量率に比例することがわかった。一方、SPNDにおいては、出力電流は$$gamma$$線量率に比例しなかった。また、出力電流は負の極性であり、その絶対値はSPGDよりも1桁程度低かった。こうした出力挙動の違いは、エミッタの形状や大きさの違い及びMIケーブル部から発生した電流成分の影響によるものであると考えられる。

口頭

Supercapacitor using lithium-ion endohedral metallofullerene

Kwon, E.*; 小松 健一郎*; 山田 洋一*; 長谷川 友里*; 佐藤 翔*; 境 誠司; 河地 和彦*; 横尾 邦義*; 小野 昭一*; 笠間 泰彦*; et al.

no journal, , 

Since the synthesis and characterization of lithium cation endohedral metallofullerene(lic fullerene), several investigations have been performed on the application of lic fullerene to the functional materials. However, there has been no study on the application of the "lic fullerene" to the energy storage systems. In the present work, we investigated the energy storage characteristics of Li@C$$_{60}$$ capacitor. The energy stored by Li@C$$_{60}$$/o-DCB capacitor was greater by several times than that stored by TBA/o-DCB capacitor under the same conditions. This result indicated that TBA ions undergo solvation and the size of the solvated TBA would be larger than that of Li@C$$_{60}$$ ions. Moreover, the charging speed of Li@C$$_{60}$$/o-DCB capacitor was faster than that of TBA/o-DCB capacitor. This would originate from the shape of Li@C$$_{60}$$ ion having a spherical structure.

口頭

自己出力型検出器を用いたJRR-3垂直照射キャプセル内のガンマ線計測

武田 遼真; 大森 崇純; 光井 研人; 武内 伴照; 牛島 寛章; 松井 義典; 仁尾 大資; 遠藤 泰一; 岡田 祐次; 井手 広史

no journal, , 

キャプセルの温度制御に用いるヒータ線は、キャプセル保護管内のアダプタ部でシース線からソフトケーブルに変換しており、アダプタ部はエポキシ樹脂により絶縁されている。原子炉運転中、炉心からのガンマ線を受けることで、ヒータの絶縁性の劣化を招く可能性がある。そのため、キャプセル保護管内のガンマ線量についてin-situで測定が可能なSPGDを用いて評価を試みた。原子炉起動時には、炉出力100kWからSPGDの出力電流に有意な上昇が見られ、各出力のステップ状の上昇に従い比例していることが確認された。SPGD出力電流について、$$^{60}$$Co照射場における校正定数を用いてガンマ線量率に換算したところ、20MW定格運転時で約12kGy/hとなった。原子炉停止時には、炉出力及びSPGDの信号が約2分で10分の1以下にまで急減衰したことから、SPGDの出力は主に核分裂に伴う即発ガンマ線によるものと考えられる。その後、SPGD出力値は緩やかに減衰しており、放射化した$$^{28}$$Al等及び短半減期のFP核種等の崩壊ガンマ線による影響が示唆された。以上より、JRR-3における照射試験時のキャプセル内ガンマ線量に関する基本的なデータが取得できた。

口頭

海外炉を用いたJMTR代替照射試験の現状と今後の計画

高部 湧吾; 大森 崇純; 武内 伴照; 冬島 拓実; 佐谷戸 夏紀; 遠藤 泰一; Wojtania, G.*; Migdal, M.*; Shaimerdenov, A.*; 竹本 紀之; et al.

no journal, , 

材料試験炉JMTRは、約40年間にわたって先進照射技術を開発しながら、発電用軽水炉を中心に新型転換炉、高速炉、高温ガス炉、核融合炉等の燃料・材料の照射試験、大学を中心とした原子炉材料に係る基礎研究や人材育成、医療用・工業用のラジオアイソトープの製造等に広く活用され、我が国の原子力の平和利用に大きく貢献してきたが、令和3年3月17日に廃止措置計画が認可され、廃止措置に移行した。JMTRの廃止決定により国内の照射場が失われ、我が国における照射研究基盤が危機的な状況となっている中、日本原子力研究開発機構大洗研究所材料試験炉部では、海外炉を用いた照射試験によってJMTRの照射機能の一部を代替するJMTR代替照射に向けた取り組みを開始した。本発表では、JMTR代替照射に向けてポーランドMARIA炉及びカザフスタンWWR-K炉で実施している照射試験の現状及び今後の計画について報告する。

口頭

様々な減速材温度でのJENDL-5のH in H$$_{2}$$Oの熱中性子散乱則の影響比較

多田 健一; 渡邉 友章; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*

no journal, , 

様々な減速材温度におけるJENDL-5と他のライブラリのH in H$$_{2}$$Oの熱中性子散乱則の影響の比較のため、PWRの単ピンセル体系を対象に、様々な減速材温度での評価済み核データライブラリ毎の無限増倍率を比較した。その結果、減速材温度によって従来の評価済み核データライブラリであるJENDL-4.0やENDF/B-VII.1とJENDL-5との差異が減速材温度によって異なることが分かった。この差異は減速材温度係数に影響を与える可能性がある。しかし、高温のH in H$$_{2}$$Oの断面積や角度分布・二次エネルギー分布を対象とした実験データはほとんどないため、ライブラリの良し悪しを判断することは困難である。H in H$$_{2}$$Oの熱中性子散乱則データの精度向上のためには、高温での実験データの取得が望まれる。

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