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廣瀬 貴規; 野澤 貴史; Stoller, R. E.*; 濱口 大; 酒瀬川 英雄; 谷川 尚; 谷川 博康; 榎枝 幹男; 加藤 雄大*; Snead, L. L.*
Fusion Engineering and Design, 89(7-8), p.1595 - 1599, 2014/10
被引用回数:47 パーセンタイル:96.04(Nuclear Science & Technology)低放射化フェライト/マルテンサイト鋼(RAF / M)は、増殖ブランケットの最も有望な候補材料である。しかし、設計解析に用いられるRAF/Mの物性値の評価例は非常に限られている。本研究では、設計解析に使用される材料特性データについて再評価するとともに、F82Hの複数ヒートについて新たに物性値を評価した結果を報告する。これまで、F82Hの熱伝導率はIEAラウンドロビン試験の中間報告値が国内外で広く参照されてきたが、複数ヒートの測定結果と比較すると、総じて20%程度過大に評価していることが明らかとなった。また、物性への中性子照射効果の一例として、573K及び673 Kにおいて、6dpaまで中性子照射したF82Hとその溶接部における抵抗率は、最大で6%低下することを明らかにした。
斎藤 滋; 菊地 賢司*; 濱口 大; 遠藤 慎也; 桜庭 直敏; 宮井 博充; 川合 將義*; Dai, Y.*
Journal of Nuclear Materials, 450(1-3), p.27 - 31, 2014/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)核破砕中性子源やADSのビーム入射窓及び構造材料など核破砕条件における材料の照射損傷特性を明らかにするために、スイスのPSIを中心として核破砕ターゲット材料照射プログラム(STIP: SINQ Target Irradiation Program)が進行中である。本プログラムではPSIの加速器で各種材料を580MeVの陽子で照射し、参加国がPIEを分担して行っている。原子力機構も照射試料の一部を輸送し、照射後試験を行った。本発表ではSTIP-II試料の中からJPCAとAlloy800Hの曲げ疲労試験の結果を報告する。これらの試料の照射条件は照射温度が120-350C、はじき出し損傷量が7.0-19.3dpaであった。JPCA鋼の曲げ疲労試験の結果、STIP-I試料と同様、照射前後で疲労寿命はほとんど変化はなく、疲労寿命の照射量依存性も見られなかった。試験後の破面観察の結果、粒界破面は見られなかった。この約19dpa照射されたJPCA鋼には約1600appmのHeが生成し、それらの多くが材料中に残留していると推定される。TEM観察でも、Heバブルが組織中にほぼ一様に分布しており、特に粒界析出が見られなかったことと一致する結果と考えられる。一方、Alloy800Hの破面には一部に粒界破面が観察された。
斎藤 滋; 菊地 賢司*; 濱口 大; 手塚 正雄*; 宮城 雅徳*; 粉川 博之*; 渡辺 精一*
Journal of Nuclear Materials, 431(1-3), p.91 - 96, 2012/12
被引用回数:15 パーセンタイル:73.82(Materials Science, Multidisciplinary)鉛ビスマス材料試験ループ1号(JLBL-1)の第5期3600時間試験運転において、配管内部に取り付けられた試験片の腐食評価を行った。ループの運転温度は高温部が450C、低温部が350Cで温度差は100Cである。試験片取り付け部の流量は約1L/min.である。試験片取り付け部は内径9mmのSS316L配管に溝を切り、10mm10mm1mmtの試験片を4枚取り付けた。試験片の材質はSS316L母材及びSS316L粒界制御(GBE)材である。運転終了後の試験片の光学顕微鏡による断面観察の結果、大きな減肉が観察された。SS316L母材,GBE材の減肉量は、それぞれ片面約390m及び190-270mであり、いずれも一様に減肉しつつも、局所的には平坦でなかった。SEM観察,EDX分析の結果、鉛ビスマスによる結晶粒界浸食は、母材,GBE材ともに断面のSEM観察上は数m程度であったが、鉛ビスマスの拡散領域深さは母材が20m程度、GBE材が10m以下で明らかな違いが見られた。これは、粒内への拡散深さは同じでも、GBE材では粒界の連続性を遮断する効果により粒界拡散を抑えた効果によると考えられる。いずれの試料でも酸化物層は観察されなかった。
斎藤 滋; 菊地 賢司*; 濱口 大; 宇佐美 浩二; 遠藤 慎也; 小野 勝人; 松井 寛樹; 川合 將義*; Dai, Y.*
Journal of Nuclear Materials, 431(1-3), p.44 - 51, 2012/12
被引用回数:2 パーセンタイル:17.14(Materials Science, Multidisciplinary)核破砕中性子源やADSのビーム入射窓及び構造材料は、高エネルギー陽子及び核破砕中性子の照射により、損傷を受ける。核破砕条件における材料の照射損傷特性を明らかにするために、スイスのPSIを中心として核破砕ターゲット材料照射プログラム(STIP: SINQ Target Irradiation Program)が進行中である。本プログラムは1996年に始まり、PSIの加速器で各種材料を580MeVの陽子で照射し、参加国がPIEを分担して行っている。原子力機構も照射試料の一部を輸送し、照射後試験を行った。本論文ではSTIP-II試料の中からJPCA鋼の引張り試験の結果を報告する。引張り試験の結果、JPCA鋼は照射後大きく硬化するが、耐力の増加は11dpa付近で飽和した。伸びも大きく低下したが、全伸びは19.5dpa照射後も約15%保っていた。試験後の破面観察の結果、粒界破面や割れなどは見られなかった。このJPCA鋼には約1600appmのHeが生成していると見積もられ、表面からの反跳分を除いた多くが材料中に残留していると推定される。TEM観察でも、Heバブルが組織中にほぼ一様に分布しており、特に粒界析出が見られなかったことと一致する結果と考えられる。
斎藤 滋; 菊地 賢司*; 濱口 大; 宇佐美 浩二; 石川 明義; 西野 泰治; 遠藤 慎也; 川合 將義*; Dai, Y.*
Journal of Nuclear Materials, 398(1-3), p.49 - 58, 2010/03
被引用回数:6 パーセンタイル:39.46(Materials Science, Multidisciplinary)核破砕中性子源やADSのビーム入射窓及び構造材料は、高エネルギー陽子及び核破砕中性子の照射により、損傷を受ける。核破砕条件における材料の照射損傷特性を明らかにするために、スイスのPSIを中心として核破砕ターゲット材料照射プログラム(STIP; SINQ Target Irradiation Program)が立ち上がった。本プログラムは1996年に始まり、PSIの加速器で各種材料を580MeVの陽子で照射し、参加国がPIEを分担して行っている。原子力機構も照射試料の一部を輸送し、照射後試験を行った。本発表では照射後試験の結果からF82H鋼溶接材の引張り試験及び曲げ疲労試験の結果を報告する。引張り試験結果より、F82H鋼TIG及びEB溶接材は10dpa以上照射後も延性を保っていた。曲げ疲労試験の結果、F82H鋼母材は照射前後で疲労寿命はほとんど変化しなかった。F82H鋼溶接材は、疲労寿命が増加するものと10の7乗サイクル内で破断しないものがあった。
斎藤 滋; 濱口 大; 宇佐美 浩二; 遠藤 慎也; 小野 勝人; 松井 寛樹; 菊地 賢司*; 川合 將義*; Yong, D.*
Proceedings of 1st International Workshop on Technology and Components of Accelerator-driven Systems (TCADS-1) (Internet), 9 Pages, 2010/03
マイナーアクチノイド(MA)を核変換するための加速器駆動未臨界炉(ADS)の研究開発が進められている。ADSの未臨界炉心内にあるビーム窓は高エネルギー陽子と中性子の両方の照射を受ける。本研究では、照射された材料の機械的特性を評価するために、SINQターゲット4(STIP-II)で照射されたオーステナイト鋼(JPCA及びAlloy800H)の照射後試験を行った。オーステナイト鋼はフェライトマルテンサイト鋼で考慮する必要のあるDBTTシフトの問題がないといった点でビーム窓材として好ましい。本研究の照射条件は、以下の通りである。陽子エネルギー580MeV,照射温度100450C,はじき出し損傷量6.519.5dpa。すべての照射後試験は原子力機構東海研究開発センターのWASTEFと燃料試験施設で行われた。引張り試験は大気中で、室温、250C及び350Cで行われた。試験後はSEMによる破面観察を行った。室温試験の結果、10dpa程度までは照射量とともに照射硬化が増加するが、それ以上の照射量では、照射硬化が飽和することがわかった。延性も、10dpa付近までは低下するが、19.5dpaでも保たれていることがわかった。また、SEMによる破面観察の結果、すべての試料は延性破断であった。
菊地 賢司; 斎藤 滋; 濱口 大; 手塚 正雄; 大林 寛生
Proceedings of 10th OECD/NEA Information Exchange Meeting on Actinide and Fission Product Partitioning and Transmutation (CD-ROM), p.315 - 320, 2010/00
ADSビーム窓の耐久性を評価する研究開発を、陽子照射後試験、及び3つの鉛ビスマスループ試験により実施した。陽子照射実験の結果、オーステナイト鋼の延性は低下し、耐力は増加した。8-9Cr鋼は、他の研究所のデータによれば、照射量の増加とともに破壊モードが脆性に遷移した。疲労データは現在取得中である。いずれも組織観察の結果、母材中に多数のバブルの生成が確認された。ナノスケールの観察結果と機械的試験結果の関連は調査中である。腐食試験ループでの材料試験では、流動の影響を反映したと見られる腐食が観察された。この現象を理解するため、超音波ドップラー法による鉛ビスマス流動の可視化を試み、まず超音波を透過するために必要な材料表面の濡れ性付与技術を手に入れた。今後局所の流れ場の調査を行う予定である。熱流動試験ループでは、ビーム窓の熱伝達性能を知るため、大流量試験を行った。実験式を定式化した結果、ビーム窓の熱応力の大きさを評価可能になった。
武井 早憲; 大内 伸夫; 佐々 敏信; 濱口 大; 菊地 賢司*; 倉田 有司; 西原 健司; 大林 寛生; 斎藤 滋; 菅原 隆徳; et al.
Proceedings of International Topical Meeting on Nuclear Research Applications and Utilization of Accelerators (CD-ROM), 11 Pages, 2009/05
原子力機構は長寿命放射性核種の核変換処理を目指した加速器駆動未臨界システム(ADS)の研究開発を進めている。原子力機構が提案するADSは、超伝導陽子加速器で熱出力800MWの鉛ビスマス冷却タンク型未臨界炉を駆動するものである。将来のADSの設計研究としては、超伝導陽子加速器用クライオモジュールの製作と試験、現存する加速器の運転データに基づく陽子加速器の信頼性評価などを行っている。J-PARCプロジェクトの核変換実験施設計画については、マイナーアクチノイド燃料を取り扱うための実験装置を含めた設計研究を進めている。
菊地 賢司; 濱口 大; 斎藤 滋
まてりあ, 47(12), P. 635, 2008/12
陽子ビームを照射したオーステナイトステンレス鋼の透過電子顕微鏡観察について述べた。条件は2ケースで照射量,照射温度,He生成量がそれぞれ10dpa, 623K, 800appmと20dpa, 693K, 1800appmである。結果は、バブルが母相に均一に生成し、そのサイズはおおむね2.5nm、転位密度より計算されるスエリング量はいずれも1%以下である。
大井川 宏之; 西原 健司; 佐々 敏信; 辻本 和文; 菅原 隆徳; 岩永 宏平; 菊地 賢司; 倉田 有司; 武井 早憲; 斎藤 滋; et al.
Proceedings of 5th International Workshop on the Utilisation and Reliability of High Power Proton Accelerators (HPPA-5), p.387 - 399, 2008/04
原子力機構は長寿命放射性核種の核変換処理を目指した加速器駆動未臨界システム(ADS)の研究開発を進めている。原子力機構が提案するADSは、30MWの超伝導陽子加速器で熱出力800MWの鉛ビスマス冷却タンク型未臨界炉を駆動するものである。将来のADSの設計研究としては、燃料被覆管の最高温度低減とビーム窓の成立性検証を行っている。J-PARCプロジェクトの核変換実験施設計画については、マイナーアクチニド燃料を取り扱うための実験装置を含めた設計研究を進めている。ADSの研究開発を促進するためには研究開発ロードマップを国際的に共有することが必要である。核変換実験施設計画は、このような国際協力体制の下、基礎的で多様な実験を行うための基盤施設として重要な役割を担うことができる。
大井川 宏之; 西原 健司; 辻本 和文; 武井 早憲; 菊地 賢司; 倉田 有司; 斎藤 滋; 水本 元治; 佐々 敏信; 菅原 隆徳; et al.
Proceedings of 9th OECD/NEA Information Exchange Meeting on Actinide and Fission Product Partitioning and Transmutation, p.371 - 382, 2007/00
原子力機構では、長寿命放射性廃棄物の核変換専用システムとして、加速器駆動未臨界システム(ADS)の研究開発を実施している。ADSは、FBRと共生することで、商用発電用FBRサイクルの信頼性や安全性の向上に寄与できる。原子力機構では、ADSの研究開発として、核・熱流動・構造設計,ビームトリップ時の過渡解析,鉛ビスマス核破砕ターゲットの開発,材料研究,コスト評価等を進めている。さらに、J-PARCの一環として、核変換実験施設を建設する予定である。
菊地 賢司; 斎藤 滋; 濱口 大; 手塚 正雄
no journal, ,
JLBL-1の運転時間は18000時間を超えた。運転の目的は、J-PARC施設でLBEの核破砕標的を設計するためのデータ取得にあった。選んだ材料はオーステナイト鋼で、その理由は電磁ポンプを使用するに際し、非磁性体を必要としたためである。ループ構成材料はおもにSS316とした。これは閉ループ内における質量の移行情報を得るためである。LBEの試験温度差は50, 100Cとし、高温部における流速は毎秒1mである。LBE中酸素濃度の積極的制御はせず、ArガスでLBEを外気から遮蔽した。酸素濃度計による測定はあとで実施した。経験した事象は、ポンプの目詰まり、高温部から低温部への質量移行、溶解成分の析出、LBEの総入れ替え、電磁流量計の不安定性解消を目指す新型の開発である。このループで経験した重要なことは狭隘部で生じたエロージョンであった。これらの経験は、実際の設計に教訓として生かされるであろう。
片伯部 陽一*; 菅野 隆一郎*; 岩切 宏友*; 濱口 大; 岩井 岳夫*; 吉田 直亮*
no journal, ,
リップル・ロスによる高エネルギーアルファ粒子の放出は、プラズマ対向材料に局所的ながら強い照射損傷をもたらすことが予想される。この問題を解決するためには、まずアルファ粒子による照射損傷機構を明らかにし、それに基づいた寿命評価やアルファ粒子照射に強い材料の開発が必要である。本発表では、原子レベルでのアルファ粒子による損傷形成機構解明を目的としたヘリウムイオン照射をFe-9Crフェライト鋼に対して行い、表面からアルファ粒子の到達する深層までの損傷形態を明らかにするための断面組織観察を行った結果について報告する。
斎藤 滋; 菊地 賢司; 濱口 大; 宇佐美 浩二; 遠藤 慎也; 小野 勝人; 松井 寛樹; 川合 將義*; Yong, D.*
no journal, ,
核破砕中性子源やADSのビーム入射窓及び構造材料は、高エネルギー陽子及び核破砕中性子の照射により、損傷を受ける。核破砕条件における材料の照射損傷特性を明らかにするために、スイスのPSIを中心として核破砕ターゲット材料照射プログラム(STIP;SINQ Target Irradiation Program)が進行中である。本プログラムは1996年に始まり、PSIの加速器で各種材料を580MeVの陽子で照射し、参加国がPIEを分担して行っている。原子力機構も照射試料の一部を輸送し、照射後試験を行った。本発表ではSTIP-II試料の中からJPCA鋼の引張り試験の結果を報告する。引張り試験の結果、JPCA鋼は照射後大きく硬化するが、耐力の増加は11dpa付近で飽和した。伸びも大きく低下したが、全伸びは19.5dpa照射後も約15%保っていた。試験後の破面観察の結果、粒界破面や割れなどは見られなかった。このJPCA鋼には約1600appmのHeが生成し、表面からの反跳分を除いた多くが材料中に残留していると推定される。TEM観察でも、Heバブルが組織中にほぼ一様に分布しており、特に粒界析出が見られなかったことと一致する結果と考えられる。
濱口 大; 菊地 賢司; 斎藤 滋; 遠藤 慎也; Yong, D.*
no journal, ,
JPCAは316オーステナイトステンレス鋼ベースのTi微量添加改良鋼であるが、ADS構造材料の候補材として検討されている。本研究では、ポールシェラー研究所のSINQ加速器を用いたターゲット部材料照射試験プログラムSTIPの第一期及び第二期照射試験で580MeVプロトン照射された試料を用い、その内部組織を詳しく解析した。照射量は5.7dpaから19.5dpaであり、照射温度は摂氏150度から400度である。形成された主な照射欠陥は、高密度の転位ループ及びブラックドット欠陥,ヘリウムバブルであった。形成された転位ループの密度は710mで、照射量及び照射温度上昇に伴う密度の変化はあまり大きくなかったが、一方、摂氏150度で5.7dpa照射された試料では見られなかったヘリウムバブルの形成が、7.9dpa,摂氏200度以上の照射試料で確認された。そのサイズは2から3nmと微細で、密度は1から410mと非常に高密度に形成されていた。JPCAにおけるヘリウムバブルの形成は、同様の条件で照射された316LN鋼に比べてその形成温度及び照射量が低くなっており、これは微量添加されたTiの影響によるものと考えられる。また、19.5dpa,摂氏400度での照射では、双晶境界等にヘリウムバブルが高密度に集積しているのが確認され、高温,高照射量ではこのようなヘリウムバブルの局所集積による材料強度の低下が懸念される。
菊地 賢司; 斎藤 滋; 濱口 大; 手塚 正雄
no journal, ,
鉛ビスマス材料腐食試験ループJLBL-1において、9000時間にわたり循環した試験中に鉛ビスマスをサンプリングしてきた。その場所は配管,電磁ポンプ,流量計,フィルター,試験管である。これまで、鉄クロムの合金析出が低温部において生じることを報告している。これは高温部で溶解した物質が質量移行したものと考えられる。そこで、鉛ビスマス中に溶解している鋼材元素をICPにより全量化学分析し、析出の因果関係を調査した結果、飽和濃度以上のCr, Feが検出された。
斎藤 滋; 菊地 賢司; 濱口 大; 手塚 正雄; 宮城 雅徳*; 粉川 博之*
no journal, ,
鉛ビスマス材料試験ループ1号(JLBL-1)の第5期3600時間試験運転において、配管内部に取り付けられた試験片の腐食評価を行った。ループの運転温度は高温部が450C、低温部が350Cで温度差は100Cである。試験片取り付け部の流量は約1 L/min.である。試験片取り付け部は内径9mmのSS316L配管に溝を切り、10mm10mm1mmtの試験片を4枚取り付けた。試験片の材質はSS316L母材及びSS316L粒界制御(GBE)材である。運転終了後の試験片の光学顕微鏡による断面観察の結果、大きな減肉が観察された。SS316L母材,GBE材の減肉量は、それぞれ片面約390m及び190270mであり、いずれも一様に減肉しつつも、局所的には平坦でなかった。SEM観察/EDX分析の結果、鉛ビスマスによる結晶粒界浸食は、母材,GBE材ともに断面のSEM観察上は数m程度であったが、鉛ビスマスの拡散領域深さは母材が20m程度、GBE材が10m以下で明らかな違いが見られた。これは、粒内への拡散深さは同じでも、GBE材では粒界の連続性を遮断する効果により粒界拡散を抑えた効果によると考えられる。いずれの試料でも酸化物層は観察されなかった。
菊地 賢司; 斎藤 滋; 濱口 大; 手塚 正雄*
no journal, ,
溶融鉛ビスマスを高エネルギー陽子標的として利用する技術確立の一環として、循環運転を実施したループより、配管,試験片,フィルター,電磁ポンプ等から鉛ビスマスサンプル採取し、全量化学溶解後、ICPによりFe, Ni, Cr量を定量分析し、含有量の時間変化を調べた。その結果、Fe,Crは飽和溶解度に到達しているが、Niは飽和溶解度が数%と大きいため、まだ飽和濃度に到達していないと判断される。Fe, Cr多結晶材の析出した原因は、飽和濃度の差に起因したと評価された。
渡辺 淑之; 森下 和功*; 濱口 大; 谷川 博康
no journal, ,
原型炉の材料設計や寿命評価を精度よく行うためには、材料試験炉やイオン加速器などの既存の代替照射場における材料照射データをもとに核融合環境下における材料挙動を理論的に記述するための方法論の開発が必要である。そのためには、照射による材料の振る舞い(照射下材料挙動)をその時間的・空間的マルチスケール性を十分に踏まえ記述するとともに、計算機シミュレーションによる評価が不可欠である。本発表の内容は、BA-DEMO R&D活動の一環として、金属やセラミクス材料中の照射によるミクロ構造変化、特に欠陥集合体形成挙動に着目してその機構論に基づくモデル化研究の成果をまとめたものである。
谷川 博康; 芝 清之; 酒瀬川 英雄; 濱口 大; 安堂 正己; 實川 資朗
no journal, ,
原型炉ブランケットにむけた構造材料開発は、原型炉実現にむけた重要なファクターの一つである。F82Hに代表される低放射化フェライト鋼は、原型炉の第一候補構造材料とみなされており技術基盤が整っていることが求められる。これらに加えて、核融合中性子照射下で構造材として用いるためには、核融合中性子照射をうける構造物の設計技術が開発される必要がある。これらの事項は、日欧間で進められる「幅広いアプローチ(BA)」活動における国際核融合エネルギー研究センターで、原型炉ブランケットにむけた材料工学開発における重要な研究開発項目と位置付けられており、これが原型炉設計クライテリア及び許認可の技術的基礎になることが期待されている。本論文では、BA活動における低放射化フェライト鋼研究開発活動について、開発対象とする技術課題を概説する。